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50周年のJAL東京~カナダ線がバンクーバー空港で記念式典。香港からの移民を支えた海外ファンの多い路線

2018年9月10日(現地時間)実施

JALがバンクーバー国際空港で就航50周年記念式典を実施した

 JAL(日本航空)は9月10日(現地時間)、カナダ・バンクーバー国際空港で就航50周年を記念した式典を実施した。

 JALの東京~カナダ線は、1968年9月11日に羽田~バンクーバー間をダグラス DC-8-55型機で週2便結んだことに始まるが、そのJL12便は現在のような2点間の路線ではなく、バンコク~香港~羽田~バンクーバー~サンフランシスコと5つの国を巡るもので、アジアの航空会社がカナダ(バンクーバー)まで太平洋をノンストップで横断したのもこれが初めてだった。

 カナダは2017年に建国150周年を迎えたばかりの若い国で、多くの移民で構成されていることでも知られる。当時、JALのバンクーバー線は香港からの移民をカナダに送り届ける役割も担っており、JALの資料のなかには「香港からカナダへの移民の相談に応じる」という同社の広告も残っているほど。こうした背景もあり、現在も同路線の利用者は日本人より外国人の方が多い。バンクーバー支店によると、「機内がカナダの縮図のようになっている」というほどさまざまな人種が乗り合わせており、実際に記者もこの成田~バンクーバー線に往復で搭乗したが、同じ感想を持った。なお、移民の里帰りなどを除けば修学旅行などを含む観光目的が多く、ビジネスユースが少ないのが路線の特徴になっているという。

 JALは2月28日に公開した「2017~2020年度 中期経営計画ローリングプラン2018」において、10年後(2027年度)のグランドデザイン(事業計画の全体構想)の1つに、「海外販売比率50%」を挙げている。全世界平均で見ると現在は30%強とのことだが、成田~バンクーバー線は海外販売比率がすでに約50%になっており、こうした視点からも路線の特徴が分かる。「JALが好きだから」と、東南アジアからあえて成田でJAL便に乗り換えてバンクーバーを訪れる利用者も少なくないという。

 JALはバンクーバー国際空港に就航する航空会社のなかでは最古参に位置し、空港公団との関係も深い。この50年を振り返ると、かつては夏場に週10便飛ばした時代もあったというが、現在は1日1便で運航。しかし満席が続くような好調路線であり、米州地区支配人の森岡清人氏によれば、他社もビジネスクラスの改善が著しく、JALとしてもバンクーバー線のサービス強化が必要だと捉えており、SKY SUITE機材の導入も検討しているという。また、こうしたサービス強化の一環として、8月15日から国際線出国エリアにあるラウンジ「Plaza Premium Lounge」内に30席強のJAL占有スペースを設けている。

バンクーバー国際空港の国際線出国エリアにあるラウンジ「Plaza Premium Lounge」。入って左手奥に8月15日からJALの占有スペースが用意されている

「日本流のホスピタリティがミッション」と森岡米州地区支配人

 9月10日当日、バンクーバー国際空港のD66ゲート前には路線の歴史を紹介するフォトパネルや50周年記念ロゴを彫り込んだアイスカービング、就航当時のリーフレットなどアーカイブ品を展示するスペースが設けられ、また利用者が自由に楽しめるケーキやソフトドリンクが振る舞われるなど、祝福ムード溢れるなか記念式典が行なわれた。

 主催者を代表して登壇したJAL 米州地区支配人の森岡清人氏はあいさつのなかで、「週2便、5000人に満たない旅客数で始まった路線は2014年にボーイング 787-8型機が就航し、2017年度は12万人の旅客が往来した」と紹介。また、森岡氏は2018年は日本とカナダの外交関係樹立から90年にあたることや、同社が日本流の温かいホスピタリティ“おもてなし”の提供をミッションとしていること、今年SKYTRAXによって「5スターエアライン」に選ばれたことなどを説明し、改めて利用者へ感謝を述べてあいさつを終えた。

日本航空株式会社 米州地区支配人 森岡清人氏

 以前駐日カナダ大使を務めていたというバンクーバー空港公団 取締役のジョセフ・キャロン(Joseph Caron)氏は、「就航から航空機は変遷してきたが、変わらないものがある。それはJALのサービスと安全だ」と述べ、続いて登壇したバンクーバー空港公団 社長兼CEOのクレイグ・リッチモンド(Craig Richmond)氏は「もう50年も経ったとは信じられない。バンクーバーはアジアと北米をつなぐゲートウェイで、JALはアジアとYVR(バンクーバー空港)と結んだ最初の航空会社の1つ。就航当時はDC-8-55型機で、現在はドリームライナー(ボーイング 787型機)が毎日運航している。JALはドリームライナーをYVRに最初に就航した航空会社でもある」と述べ、「この50年の献身と友好、カナダと美しい国を結んでくれていることに感謝する」と結んだ。

バンクーバー空港公団 取締役 ジョセフ・キャロン(Joseph Caron)氏
バンクーバー空港公団 社長兼CEO クレイグ・リッチモンド(Craig Richmond)氏

 その後、来賓を交えてリボンカッティングが行なわれ、13時50分ごろに搭乗を開始。利用者にはギブアウェイ(記念品)として、搭乗証明書とロゴ入りのお箸がプレゼントされた。50年目を迎えたJL17便は定刻どおりにプッシュバックを開始、成田へ向けて飛び立った。

この日のカウンターオープン(11時15分)には就航50周年を迎えたことの紹介と感謝のあいさつがあった
D66ゲート前にはアイスカービングやフォトパネルを展示。これらはバンクーバー空港公団が用意したものだという
開設記念の招待飛行の記念写真
初便到着時の様子
DC-8-55型機は「SHIKOTSU(支笏)」の愛称が付けられていた
1975年にはボーイング 747-100型機“ジャンボ”が就航
2004年には747-400型機が就航
2014年に現在の787-8型機が就航している
奥のスペースには就航当時のリーフレットなどアーカイブ品を展示していた
就航当時の機材DC-8-55型機のモデルプレーン
現在の機材787-8型機のモデルプレーン
就航記念のファーストフライトカバー
就航当時の航空券など
就航当時の機内サービスの案内
1996年のバンクーバー市街ガイドマップ
1973年の機内エンターテイメントのリーフレット
1973年の機内サービスの案内
バンクーバー線のジャンボのパンフレット
就航当時のルートマップ
1972年版のルートマップ
リボンカッティング
フォトセッション。左からCA(客室乗務員)の吉原里美氏、機長の吉澤賢一氏、米州地区支配人 森岡清人氏、バンクーバー空港公団 取締役 ジョセフ・キャロン(Joseph Caron)氏、同 副社長 アン・マレー(Ann Murray)氏、同 社長兼CEO クレイグ・リッチモンド(Craig Richmond)氏、日本航空株式会社 カナダ地域代表 バンクーバー支店長 安部省志氏、在バンクーバー日本国総領事館 総領事代理 首席領事 多田雅代氏
D66スポットに駐機するJL17便(ボーイング 787-8型機)
利用者にケーキやソフトドリンクが振る舞われた
搭乗が始まると、ゲートのなかで記念品をプレゼント
記念品は搭乗証明書とロゴ入りのお箸
JL17便は定刻どおりプッシュバックを開始、成田へ向け離陸した