旅レポ

ANAで飛ぶイスタンブール、ブルーモスクやアヤソフィアなど世界遺産の歴史地区を巡ってきた

イスラム文化を感じるトルコ最大の街イスタンブール。モスクに付属するミナレット(尖塔)の数はモスクの格式の高さを表わすのだそう

 ボスポラス海峡を挟んで、アジア大陸とヨーロッパ大陸にまたがるトルコ最大の都市イスタンブール。新市街側から対岸の旧市街を眺めたとき、これほど異国情緒という言葉が似合う街は初めて!とワクワクしました。

 その異国情緒の主要な要素はなんといってもイスラム教徒の祈りの場「モスク」。イスタンブールは“七つの丘からなる街”と言われていて、重要なモスクや建造物はその丘の上に建てられているのだそうです。

 そんなアジアとヨーロッパの交差点のような街イスタンブールを今回はたっぷり4日間堪能してきました。

新市街のランドマーク、ガラタ塔へ

この映え階段からガラタ塔へはほんの数分。週末にはウェディングフォトを撮るカップルの姿も

 まずはイスタンブールの街を小高い丘から見渡せるガラタ塔へ。泊まっていたホテルの近くに、ガラタ塔方面につながる素敵な階段がありました。「カモンドの階段」という小さな名所です。

イスタンブールはネコの街。いたるところで出会って、そのたびにスマホを向けるのでカメラロールはネコの写真でいっぱいに
細い坂道の先にガラタ塔が見えてきました

 新市街のシンボルとしてそびえるガラタ塔の高さは約67m。上層階へはエレベーターを利用することができます。ぐるりと一周できる展望テラスからは、それはそれは素晴らしい360°の大パノラマ! イスタンブールに着いたらまずこの絶景を眺めて、街の規模や観光名所の位置関係を確認してみるといいかも。

展望テラスへ
右が金角湾、左がボスポラス海峡。素晴らしいパノラマビュー!
ガラタ塔周辺にはおしゃれなカフェやレストランがたくさん

世界遺産「イスタンブール歴史地区」へ

振り返るとさっき上ったガラタ塔。小高い丘の上に建っているのが分かります

 お次はイスタンブール歴史地区のある旧市街へ。ガラタ橋を歩いてのんびり行くのもいいですが、タイパ重視の人ならトラムを利用する手も。イスタンブールにはメトロやトラム、フェリー、バスなど公共交通機関で使える「イスタンブールカード」という交通系ICカードがあります。公共トイレ(有料)でも使えるそうですよ。

今回はクレジットカードのタッチ決済でトラムに乗車。1区間40トルコリラ(約160円)
どっち方向に乗ったらいいのか迷っていたら世話好きのトルコ人が助けてくれました
Suicaのようにチャージ・購入ができるイスタンブールカードの端末。日本語にも対応

 最初に向かったのは、スルタンアフメット・ジャーミィ、通称「ブルーモスク」です。6つのミナレット(尖塔)を持つ優美な外観もさることながら、万華鏡を覗いているかのような内部のタイル装飾に圧倒! ステンドグラスを通して差し込む柔らかな外光がモスク内を包んでいたのが印象的でした。

世界一美しいモスクの1つといわれるブルーモスク
モスクに入る際、女性はスカーフを着用するのが基本。忘れても街中で売っているのでご安心を
なんともいえない色彩に包まれたブルーモスクの内部
チューリップなどの植物模様や幾何文様にあふれたイズニックタイルやステンドグラスが見事
誰もがスマホを上に向けてパチリ

 続いて立ち寄ったのは「アヤソフィア歴史体験博物館」。このあと見学する世界遺産アヤソフィアをインタラクティブなデジタル展示で楽しみながら学べるミュージアムです。日本語の音声ガイドで理解を深めたら、いざアヤソフィアへ!

17世紀にわたるアヤソフィアの歴史を視覚的に体感できる「アヤソフィア歴史体験博物館」。ここ、お勧めです!

 旧市街でひときわ目立つピンク壁の大ドームがアヤソフィアです。西暦360年に建立された大聖堂ですが、その後何度か焼失を繰り返し、537年にユスティニアウス大帝によって再建されたのが今の姿なのだそう。

 その頃の日本といえば百済から仏教が伝わった時代。推古天皇の即位や聖徳太子が摂政となるのはそれから数十年先です。1500年存在している大ドームって!

イスタンブールがたどってきた歴史を今に伝えるアヤソフィア

 4世紀中頃にキリスト教正教会の大聖堂として建てられたアヤソフィアは、その後オスマン帝国時代にはイスラム教のモスクへと改修され、1935年からは博物館として公開。そして2020年7月からは再びモスクへと姿を変えています。

 イスタンブールの宗教の変遷と大きく関わっている歴史遺産アヤソフィア。現在1階はモスクとしての利用なのでムスリム以外は入れず(時間になると礼拝が始まる)、観光客は博物館として2階に入ることができます。

アヤソフィアの長~い歴史の1ページとして、この場に立てていることに感動
7m超えの巨大円盤にアラビア語で書かれているのは唯一神アッラーや預言者ムハンマドなどの名前
かつてキリスト教の大聖堂であった名残として、キリストのモザイク画や壁画も

 さて、イスタンブールの歴史地区で私が一番楽しみにしていたスポットが、今から紹介する“地下宮殿”です。トム・ハンクス主演の映画「インフェルノ」のラストシーンで登場しています。

 宮殿といっていますが実はここ、西暦500年代の東ローマ帝国時代に造られた大貯水槽。飲水が貴重だったその昔、コンスタンティノープル(現イスタンブール)の全市民に2週間以上水を供給できるほどの大きな地下貯水池だったとか。

 アーチ型の天井でつながる柱の列が並ぶ光景は確かに地下に眠る宮殿のよう! ライトアップやアート展示、夏至の時期には音楽コンサートなども行なわれているそうです。

アヤソフィア西側にある入り口から地下に続く階段を下りていくと……
300本を超える高さ9mの大理石円柱がライトアップされている地下貯水池がド~ン!
映画「インフェルノ」では、ここに隠されていたヤバいものをラングドン教授らが必死に探していました
人気フォトスポットが柱石に使われている怪物メデューサ像。逆さバージョンのほかに横バージョンもあります
願い事をすると叶うらしい「涙の柱」

 イスタンブール歴史地区の散策、お次はトルコで出土した古代遺物などを所蔵する「イスタンブール考古学博物館」です。ここの展示品のハイライトは「アレキサンドロスの石棺」。そのほかにも大理石の彫刻像などすごそうな収蔵物がたくさんあるのですが、あまりに数が多過ぎて感覚が麻痺してきます。

イスタンブール考古学博物館
なんと紀元前4世紀後半のものだという「アレクサンドロスの石棺」。彫刻が見事
誰なのか分からない彫刻像も多数
こういうちんまりした収蔵物の方が見ていておもしろかったり

 旧市街から新市街へ戻る途中、最後に立ち寄ったのがエジプシャンバザールです。“スパイス・バザール”の別名があるとおり、カラフルな香辛料やドライフルーツ・ナッツやお茶など量り売りの乾物がずらり。ここでは両替したトルコリラを初めて使いました。

サフランを買う気満々でやってきました!

「サフランを買って帰りたい」と言ったら現地ガイドさんが信頼の(?)スパイス屋さんに連れて行ってくれました。次から次へと出てくる試食のお茶やらスイーツをいただきながらなんとか購入した(わずか)1gのサフラン。帰国後は何回かサフランライスを炊いてカレーを食べています。

素敵なアーチ天井から掛かる旗に描かれているのはトルコ建国の父、ムスタファ・ケマル
多種類をちょこっとずつ欲しいスパイス
お菓子を売っていたりハマムグッズを売っていたりの何でも屋
ここにもやっぱりネコがいる
現地ガイドさんが連れていってくれたお店
クオリティの高いサフランがずらり
「たった1gでいいのか!?」と何度も聞かれながら買ったサフラン1gは約1600円。高いのか安いのかよく分かりませんが、サフランライスは何回もできる量です

 旧市街と新市街を結ぶ全長490mのガラタ橋はトラムも走るイスタンブールの交通の要です。朝から晩まで釣り糸を垂らすたくさんの人でにぎわっているのが不思議な光景でした。

金角湾に架かるガラタ橋には釣り人だらけ。趣味なのか仕事なのか?
停泊する船もたくさん
海峡クルーズも人気のアクティビティ

 最後に観光名所の入場料について。トルコは観光地の施設入場料が思っていた以上に高かったです。例えばガラタ塔は30ユーロ(約5000円)、地下宮殿は1300トルコリラ(約5100円)、アヤソフィアは25ユーロ(4230円)で、考古学博物館は少し良心的(?)で15ユーロ(2538円)でした。

「一気に1000円近く上がったときもありました」という現地ガイドさんが教えてくれたのが「ミュージアムパス」です。

 ガラタ塔やトプカプ宮殿博物館、乙女の塔などトルコ文化観光省が管轄する13の博物館で使えるというもので、料金は105ユーロ(5日間有効)。行きたい博物館が入っていればお得なはずなのでご参考までに。ちなみにトルコ全体のパスもあって、こちらは165ユーロです(2025年5月現在)。

下階にはレストランが並ぶガラタ橋。夜はまた違ったにぎやかさに

 後編はローカル感が感じられるイスタンブールのアジア側や、トルコ土産にトルコグルメ、グランドバザールなどを紹介します。

バリエーション豊富な絵皿、イズニック陶器
ゆきぴゅー

長野生まれの長野育ち。2001年に上京し、デジカメライター兼カメラマンのお弟子さんとして怒涛の日々を送るかたわら、絵日記でポンチ絵を描き始める。独立後はイラストレーターとライターを足して2で割った“イラストライター”として、雑誌やWeb連載のほか、企業広告などのイメージキャラクター制作なども手がける。