旅レポ
7年ぶりに復活の初便に搭乗。JALのコナ直行便でハワイ島へひとっ飛び
「滞在中ドボンととろけてしまえるのがハワイ島」とJAL 大西会長
2017年9月21日 00:00
イベント開催でお祝いムードの中、初便でハワイ島へ出発
JAL(日本航空)は、2017年9月15日より成田国際空港と米国ハワイ州ハワイ島のエリソン・オニヅカ・コナ国際空港を結ぶ成田~コナの往復直行便を開設した。
JALの成田~コナ線は、1996年6月2日に成田~コナ~ホノルル経由便として就航し約15年間運航。その後、経営破綻の影響により2010年10月に運休してから約7年の時を経ての待望の復活となる。さらに直行・往復便としては新規開設とあって、成田国際空港第2ターミナルのイベントスペース「スカイリウム」で行なわれたイベントはお祝いムード一色に。成田空港 第2ターミナル62番搭乗ゲート前で初便搭乗者向けに開催されたセレモニーでも、フラの披露やウクレレの演奏などで出発前からハワイ島の風を感じられる時間を過ごすことができた。
イベントの詳細については関連記事「ワイ島へ直行、成田空港第2ターミナルでJAL 成田~コナ(ハワイ島)線開設記念セレモニー」並びに「JAL、『多様なハワイの楽しみ方を提案』。成田~コナ線の初便記念セレモニー」をご覧いただければ。
成田国際空港発~エリソン・オニヅカ・コナ国際空港着のJL770便、エリソン・オニヅカ・コナ国際空港発~成田国際空港着のJA779便はデイリー運航で毎日1便ずつの運航。使用機材はボーイング 767-300ER型機(SS6)だ。ビジネスクラスはJAL SKY SUITE IIで24席、エコノミークラスはJAL SKY WIDERで175席の合計199席となっており、初便はほぼ満席の状態(ビジネスクラス24席・エコノミークラス174席と座席を必要としない幼児3名)での出発となった。
JL770便:成田(21時25分)発~コナ(10時15分)着 ※10月1日~28日は10分早着
JL779便:コナ(12時15分)発~成田(翌16時00分)着 ※10月1日~28日は10分早発
機内へと進むと手作りのボードがあり「記念すべき成田=コナ線就航初便にご搭乗いただき誠にありがとうございます」のメッセージが。また心のこもった操縦につなげたいとパイロットの有志で始まった旅の手帳も置いてあり、旅への期待や感想が書き込めるようになっていた。
出発前には機内で初便搭乗へのお礼の言葉とともに、CA(客室乗務員)の出身地と氏名がそれぞれアナウンスされ挨拶が。拍手が沸き起こるなど温かな雰囲気に包まれた。さらにランプエリアにてJALスタップによるお見送りも実施。大きく手を振りながら横断幕を掲げ、横断幕には「ご搭乗ありがとうございます HAVE A NICE TRIP」のフレーズ。機内ではスタッフに向けて手を振る乗客や笑顔で「初めてお見送りを見た!」と話す乗客も。
「新・間隔エコノミー」でまったり過ごし、ハワイ線限定のこだわり機内食で旅の始まりを飾る
21時25分成田国際空港出発のJL770便。勤務地にもよるが仕事帰りに利用するのにもちょうどよい時間帯で、出発が深夜ではないため体への負担も少なく魅力的だ。今回利用したエコノミークラスのシートは「新・間隔エコノミー」のJAL SKY WIDER。シート幅は約48cm、シートピッチは約84~86cmで足下も広々。約7時間弱のフライトも快適に過ごせる。シートには、ハワイ線限定のスリッパと毛布と枕を用意。海外ではホテル滞在時にスリッパが用意されていないことが多いため、宿泊先でも使えるのもありがたい。
ヘッドレストも高さ調整とともにググッと変形ができ、ゆったりと頭を委ねられる仕様。足下付近のラックにはペットボトルホルダーと小物入れネットもあり、フライト中に税関申告書などを書く際にペンやパスポートを探すためにゴソゴソしなくて済むのも嬉しい。ラックには鶴丸マーク入りのヘッドホンも入っていた。
正面の個人モニターは10.6インチのタッチパネル式「MAGIC-V」。ディズニー映画「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」をはじめ話題作が目白押し。コントローラもすぐ下に設置されており操作もしやすい。個人モニターのサイドには、USBポートや小物入れ、スマートフォンホルダーなどが並んでおり、使い勝手も抜群。足下にもユニバーサルAC電源完備でカメラやPCなどの充電でも大活躍だ。利用できる機器は110V/60Hzに対応し、消費電力は最大75Wとなっている。
テーブルは2段階で開閉する仕様。そのためドリンクのみ利用の際や消灯中は半分サイズに。食事の際はフルで使えるようになっている。
出発して約1時間ほど経ったタイミングでドリンクとスナックのサービスがスタート。JALオリジナルドリンク スカイタイム“キウイ”をオーダーし、ほのかな甘みとフルーティーな飲み心地で旅の始まりをお祝い。スナックは柿の種やおかきが入った亀田製菓の「あられミックス」。今回は初便ということで、手書きのメッセージカードも一緒に渡され、よりスペシャルな時間を過ごすことができた。
しばらくすると、成田発のコナ、ホノルル行き限定の「『資生堂パーラー For Resort』西洋モダン機内食」の提供が開始された。1902年創業の銀座の老舗が手がける機内食ということでホノルル線に導入され話題となったメニューたちがコナ線でも味わえるのだ。
搭乗した9~11月の秋メニューのメインは、「やわらかなビーフのブランケット 伝統のチキンライスを添えて」。資生堂パーラーならではのごろっとチキンが入ったホクホクのチキンライスに、ビーフのブランケット(クリーム煮)がたっぷり。じっくり煮込まれたやわらかビーフとクリーミィなシチューがベストマッチ。その口どけ&美味しさに一口一口が惜しいほど。
副菜の「パテ・ド・カンパーニュ」は、肉の旨味がギュッと凝縮されてワインが飲みたくなる。ブラックオリーブやピクルスの漬け具合も絶妙だ。「フレッシュサラダ フレンチドレッシング」は鮮度抜群でシャキシャキ感とフレッシュさが味わえる。トマトの甘さも予想以上。白パンで箸休めし、デザートの「資生堂パーラー チーズケーキ For Resort スペシャルフレーバー“リリコイ”」を堪能。ハワイではメジャーなフルーツの一つであるパッションフルーツを使いトロピカルに仕上げた1品。濃厚チーズとリリコイのフルーティさは、もう一度頬張りたくなる美味しさだ。なお、コナ線就航をお祝いして特製のシールを貼った「マカダミアナッツクッキー」も配布。ごろっと大きめのマカダミアナッツとバターの風味が抜群のクッキーで、食後のデザートタイムの幸せをアップしてくれた。
食後すぐに翌朝の朝食がパッケージされて配布。バッグの中には、ミネラルウォーターと「コナ線就航記念 コナコーヒーパン」がイン。着陸直前に味わったが、コナコーヒーの風味が効いたクリームが贅沢に楽しめる1品で目覚めにぴったりだった。
なお、ビジネスクラスの機内食は東京・麻布十番にてレストランを展開する山田チカラシェフ監修のメニューとなっている。和食は「台の物:鴨治部煮と金目の煮付の盛り合わせ」を中心に、「鯖(※魚へんに青)の南蛮漬け」「胡麻豆腐 栗のすり流しがけ」「蟹酢和えのいくら添え 菊花」「鶏肉の鍬焼き」に「鯛のゴマサバ風」。そして雪蔵今摺り米を使った炊きたてのご飯に味噌汁。デザートは、「コナ線就航記念 コナコーヒーロールケーキ」となっている。
洋食はメインディッシュに「ドフィノワと牛肉のペリグールソース」を用意し、「牛蒡(ごぼう)のシーザーサラダ」「秋野菜のローズマリーマリネ」「鶏肉のバジルクリーム和え」に「秋刀魚の酢〆と揚げ茄子」。さらにメゾンカイザー特製パン「プチナチュール」と「プチパンオノア」、スープに「サツマイモの冷製スープ」を提供する。デザートは和食同様に「コナ線就航記念 コナコーヒーロールケーキ」だ。
なお、コナ線限定のカクテル「JALオリジナル“ビッグアイランド ブリーズ”」も用意。グレープフルーツや梅酒などを使用しさっぱりと果実感あふれる味わいに仕上げているので、ビジネスクラス利用の際はぜひオーダーしてほしい。
朝食は「コナ線就航記念 パンケーキ」を提供。コーヒーゼリーとマスカルポーネチーズのキャラメルナッツソースをかけて、心ゆくまでそのふわふわ感と美味しさが楽しめる。
ギャレーやラバトリーにもデコレーションやメッセージがいたるところにあり、就航をお祝いしていた。
快晴のハワイ島ではウォーターキャノンで祝福。到着便セレモニー&地元名産品で歓迎ムード
気流の関係で約12分ほど遅れて現地時間10時27分に到着したJL770便。約7年ぶりの復活をお祝いするために空港用消防車が待機しウォーターキャノンでお出迎え。水しぶきをあげるアーチをくぐると機内の搭乗客から大きな拍手が沸き起こる。アナウンスでもウォターキャノンの紹介とともに開設の感謝を伝えるメッセージが読まれ、機内は祝福ムードに包まれた。
タラップを使い地上に降り立つと、操縦席から機長が手を振っている姿が。乗客も手を振り返し、青空の下、心温まる景色が広がっていた。また、ハワイ州知事のDavid Ige氏やJAL 取締役会長の大西賢氏も笑顔で出迎え、初便利用者と言葉を交わす場面も見られた。続いては、入国審査エリアへ。巨大な白いテントを思わせるエリアには、APCキオスク(Automated Passport Control Kiosks)が12台ほど稼働しており、日本語が堪能なスタッフが案内してくれ初めてでも安心。筆者は座席が後方だったため入国までに約30分ほどの時間がかかったが、かなりストレスなく進めた印象だ。
無事に入国し、パビリオンへ向かうとサプライズが。「コナコーヒークイーン」によるレイとギフト入りバッグのプレゼントが。バッグの中には、100%ハワイ島産の「ハマクア・マカダミアナッツ・カンパニー」や「MAUNA LOA」などのマカダミアナッツ、オーガニック・ハワイアン・ハニーにUCCの100%コナコーヒー、さらに地元で展開するKTAスーパーストアのエコバッグに周辺ホテルのグッズやゴルフ場で使えるクーポンなどがぎっしり。また、初便の搭乗証明書も一緒に入っており、まさにハワイ島の詰め合わせ。
また、パビリオン内では地元の人気メニューやドリンクが味わえるブースも。ハワイ島名物の餅スイーツやUCC提供の100%コナコーヒー、定番のママキ茶にパイ饅頭とコナの夕日をイメージしたシフォンケーキなどのカフェメニューが目白押し。また「ビッグアイランド・キャンディーズ」も味わえるなど、ハワイ島の美味しいをフリーで一気に堪能できる嬉しい歓迎に全員が笑顔になっていた。
カフェブースで大盛り上がりのパビリオンでは、到着便セレモニーを開催。コナ線就航祝賀スピーチでは、ハワイ州知事のDavid Ige氏が「JALは50年以上に渡りハワイ州とのパートナーシップでハワイをスペシャルな場所としてビジター産業を成長させてきました。ハワイという場所や人々、そして文化は日本からの観光客を牽引してくれます。そして日本からのゲストはハワイの島々にとって素晴らしい訪問者だと感じています。本日、私は大変興奮しています。それはJALの大西氏との強いパートナーシップと絶え間ない働きかけの結果、再びJALがコナへと戻り日本からのゲストを迎えることができたからです。大西氏が我々との約束を実現してくれたこの日を”JAPAN AIRLINES RETURN TO KONA DAY”としたいと思います」と語った。
また、一時的に国内線のみの空港になってしまった同空港を再び国際空港として復活させた米国税関・国境取締局ディレクターBrian Humphrey氏は「一旦国際空港にしたものを国内線に戻し再び国際線に復活させるのはアメリカでも珍しいことです。空港のある州知事、そして地元の方々の理解と支援があったからこそ実現できたのです。これからもハワイ州と協力し、空港が発展するように努力をしていきたい」と祝辞を述べた。
さらに、ハワイ州観光局チーフオペレーションオフィサーのRandy Baldemor氏は「ハワイ島は美しい海やリゾート、そして歴史に文化、マウナ・ケアをはじめとする火山。ぜひ滞在で多くの方々に島に宿るアロハスピリットを感じてほしいと思います。これまでハワイ州と日本航空はともに協力をしながらハワイの観光の促進に力を尽くしてまいりましたが、これからもますます協力をしていきお互いに発展して行くよう努力をしたいと思います」とパートナーシップの強化と今後の発展について話した。
さらにJAL 取締役会長の大西賢氏は、2010年の運休から約7年を経て運航再開の約束を果たすことができた喜びをセレモニーで表明。インタビューでも「運休の際に地元の皆さまからたくさんの署名をいただき、“絶対に帰ってくる!”と7年間言い続け今日を迎えることができて本当に嬉しいです。通常は新路線として初めての場所に入っていきますが、コナ線は15年間オペレーションをしていた場所であり、ローカルのコミュニティの皆さまにも就航を歓迎していただけて、利用されるお客さまにもその雰囲気を感じてもらえるかと思います。ホノルルとはマーケットが全く異なりますし、さらに大きなディスティネーションとして品揃えをよくし、層を厚くできると期待しています。目一杯詰め込む旅行ではなく、滞在中ドボンととろけてしまえるのがハワイ島。これからの日本人の旅行に広がりを持たせてくれる、そんな場所として心からオススメします」と熱く語ってくれた。
なお、イベント後のレセプションで大西氏は多くの人々の署名入りの嘆願書に「常にお互い助け合うことが必要だと思う。地元で何ができるかをぜひ教えてほしい」という言葉があったことを紹介。そして、以前コナ線を就航していた際に地元からカヌーのパドルをプレゼントしてもらったことを振り返り「この記念すべき今日、日本から持ってまいりました。これからこのパドルを使って、地元の皆さまと共にコナ~東京線という船のパドルを漕ぎ続け、成功へのルートを進みます」とパドルを掲げた。
到着便セレモニー終了後には、続いてエリソン・オニヅカ・コナ国際空港発~成田国際空港着の初便JL779便の出発便セレモニーを搭乗口エリアで、そしてランプエリアでのお見送りも実施。到着便同様に搭乗者にはギバーをプレゼント。タラップ前ではJALスタッフが「HAWAII ISLAND Narita-Kona Launch Anniversary」そして「ご搭乗ありがとうございます」と書かれた横断幕でお見送り。プッシュバックされる機体とともに移動し、大きく手を振り出発を祝った。
成田~コナ線初便の搭乗と現地のお祝いムードたっぷりのイベントの様子をお伝えした本記事。ハワイ島カイルア・コナ滞在と帰国便搭乗についてをレポートする。