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東京・浅草で地方の魅力を体験できる「まるごとにっぽん」が12月17日オープン
12月14日に内覧会を実施
(2015/12/15 16:49)
- 2015年12月17日 オープン
- 2015年12月14日 内覧会実施
まるごとにっぽんは12月17日、地方の魅力を体験できる商業施設「まるごとにっぽん」を東京都の浅草に開業する。まるごとにっぽんは、東京楽天地が浅草再開発プロジェクトの一環として浅草六区に建設した「東京楽天地浅草ビル」の1~4階を利用し、「見て」「食べて」「持ち帰って」旅気分を楽しめる「地方紹介のポータルサイト」をコンセプトにした施設。全4フロア50店舗を巡れば「にっぽんの暮らしがわかる」という食、文化、情報を発信する地方情報の総合拠点である。12月17日のオープンを前に、報道関係者向けの内覧会が12月14日に実施されたので、その模様をレポートする。
まるごとにっぽんの最終目標は「その地方に行ってもらうこと」
まるごとにっぽん取締役社長の小笠原功氏から「6年前に、まるごとにっぽんの親会社である東京楽天地が企画して始まったのがこのプロジェクト。親会社の社長である山田はこれまで全国のさまざまな地域で不動産開発を行ない、地域の皆様にとてもお世話になった。だからこの事業で、地方の皆様に対する思いである“ありがとう”を具体的に恩返しすることができないかと考え、まるごとにっぽんを企画した。たくさんの方々に関わって頂き本当に感謝している」と開業に至った思いの説明があった。
まるごとにっぽんのプロジェクトや施設概要については「本当にいいもの、本当に美味しいもの、本当に普段から食べている、使っているものを浅草で紹介するプロジェクトである。スタッフたちは47都道府県を飛びまわり“ほんもの”を浅草に集結させた。8割は都内初出店で、ものづくりに専念してきた方や、地元で1店舗しかもっていない方がほとんど。しかし、自分の店舗ではなく地元を愛し、勇気を持って集まった方々だ」と語った。
また「出店している方々は、それぞれの地方創生の理念を持っている。ふるさとを“見て”“食べて”“持ち帰る”試みは多いが、私たちは、その地方に行って頂く、その場所に住んで頂く、その場所で働いて頂くという“誘客”を最終目標にしている。その地に足を運んでもらうことが、現地の方が一番喜ぶことだ。その助けをするのが、まるごとにっぽんだ」と力強くコメントした。
施設内についても「“まるごとにっぽん”と言っているので建築にもこだわった。トイレには紫香楽焼の洗面器があったり、1階正面にある多治見の若い職人が1つ1つ手焼きしたタイルを編み込んだ柱、3階の粗欠き(あいがき)という釘を1本も使わない木材装飾と焼き印、版築(はんちく)の手法による職人の手塗り、ガラスに和紙を挟み込むなど、職人たちの技術だけでなく遊び心も含んだものとなっている」とこだわりを語った。
外国人が多く立ち寄る浅草ではあるが、インバウンドについては「外国人の方々にも特別な扱いはない。もちろん通訳などは対応するが、一緒に体験して、一緒に食べて持ち帰って、外国人来場者にも地域の活性化の手助けをしてもらおうと考えている」との考えも述べた。
「浅草という文化発信地で70年間商売をしてきた親会社の東京楽天地が、浅草も含めた地域活性化のために何をできるのか考えてきた結果でもあるまるごとにっぽんが遂に開業する。浅草、吉原は江戸と地方の文化とが交流するところで、参勤交代でやってきて昇華された文化が地方に戻っていく素晴らしい街だ。なので興行街としての隆盛を取り戻し浅草に恩返しをするためのプロジェクトでもあるが、テナントの皆さんの熱気や意気込みをぜひ感じてほしい。生産者1人1人、商品1つ1つにストーリーがあり、浅草を訪れる多くの方々に、地方ならではの美味しさ、温もりに出会ってほしいと願っている」とも小笠原社長はコメントしている。
1階は産地直送の生鮮品や、お惣菜、食材などを購入できる
東京楽天地浅草ビルの1~4階に入るまるごとにっぽんのメインエントランスがある1階は食物販のフロアで、全国津々浦々から23店舗が集結。食品をはじめとし、元蔵人のバイヤーがセレクトした約300銘柄の日本酒・国産ワインや、約1500種類以上の地方の隠れた逸品を購入できる、まるごとにっぽん直営の「蔵」など、東京ではあまり購入できないものも販売している。「蔵」のバイヤーである水口氏も「個性豊かな生産者さんが、ふるさとの言葉を交えながらお出迎えします。お気に入りの逸品を見つけてください」とコメントしているが、地方出身者には懐かしい味、都会育ちには新しい発見があるフロアとなっている。
まるごとにっぽん直営の「蔵」以外にも、東京では馴染みの薄い店舗が連なっている。1階フロアを担当する松本氏に聞くと「すべての出店社はインターネットでのECを行なっていないので、東京では馴染みがないところばかり。やはり、もののよさはWebだけでは伝わり切らないので、ぜひここに来て本物に触れてみてほしい」とのことだった。
2階は伝統を活かしたアイテムに出会える生活用品・雑貨のセレクトフロア
2階は地域発の生活用品、雑貨のセレクトフロア。地方には若くても伝統工芸を守りながら生産を続けている人が多いが、このフロアでは“暮らしに息づく温もりが詰まった、丁寧な手仕事で造られた生活用品・雑貨や、本当に使える道具”を購入することが可能だ。
岡山県倉敷市のルームシューズ店「はぎもの舎」では、い草や炭などを用いて心地よさにこだわったルームシューズを販売するなど、各地に伝わる伝統技術を活かしたチャレンジ精神に満ちた商品が揃えられているだけでなく、調理器具などを豊富に取り揃えた店舗もある。
まるごとにっぽんの2階を担当する杉田氏は「伝統技術が現代版にアレンジされたものが数多くあります。センスが光る一品をお買い求めください」と語っているので、ぜひとも新しい発見をしてほしい。
3階は“旅の窓口”をテーマとした実演・体験フロア「浅草にっぽん区」
まるごとにっぽんの3階は「Event space おすすめふるさと」に出店する市町村を中心とした“旅の窓口”がテーマのフロア。出店市町村の食材を使用した期間限定メニューが楽しめる「Cafe' M/N」や郷土料理の造り方を学べる料理教室「Cooking studio おいしいのつくりかた」や、移住・定住推進窓口「しごと・くらしコンシェルジュ」などが設置されている。
また、日本初のふるさと納税の実店舗となる「ふるさと納税コンシェルジュ」もカウンターを設置。「インターネットが普及したとはいえ、まだ分かりにくい部分も多くあることから不安に思い、先に進めていない方が多いと思う。そんな方と対面で相談をしながら、ふるさと納税をする手助けをしていく」と、運営するさとふる取締役 経営戦略室 室長の高松俊和氏は語っていた。また、さとふるの広報担当である中垣直之氏は「どの地域か、お礼品はなにかなど、膨大なデータから一緒に探すお手伝いをするのはもちろん、ふるさと納税の流れや控除額のシミュレーションまでできるので、ぜひご利用頂きたい」と話した。
出店する17市町村はWebページにも掲載(http://marugotonippon.com/press/pdf/press_20151116.pdf)されているが、そのうち11市町村は常設のコンセプトショップを運営するのが初めてとなっている。3階担当の三橋氏は「各市町村によるこだわりのPR動画や展示はミュージアムのように見て楽しめます。ふるさと納税、UIターン窓口など、真の地方創生を目指すための取り組みが詰まっているフロア。きっと次の旅行先が見つかります」とコメントしている。写真では各出店市町村のムービーが分かりにくいが、各什器の天板に投影されているので訪問時はゆっくりと見てほしい。
また「おすすめふるさと」をまわって旅に出たくなった来場者には、その場で旅行プランを検索できる端末を設置。観光情報やお得なツアーを紹介し、その場で旅行プランの申し込みができ、現地への誘客を図る「おすすめ観光プラン」も用意されている。「地元の方と一緒に農業体験をして頂く、川遊びをして楽しんで頂く。そんなことをとおして何回も訪れてもらえるようにしたい。そのための相談カウンターである」と小笠原社長は語っていた。
4階は新鮮な食材を使用し、浅草の景色を楽しみながら味わう旬の味覚7店舗
4階は旬の味覚を味わうことができるレストランフロア。1階の鮮魚店で販売している新鮮な魚を使用した海鮮丼などを楽しめる「海鮮若狭丸」や、愛媛県産を中心とした30種類以上の野菜をビュッフェ形式でいただける「チャーリーズベジタブル東京」など、旬の食材・厳選した素材にこだわった7店舗のレストランで、浅草の景色を楽しみながら、くつろぎのひとときを過ごせる。ぷるぷる、アツアツのもつ鍋や、本格的な広島お好み焼きなど、下町情緒あふれる浅草の景色を楽しみながら選りすぐりのグルメを楽しめる。
内覧会でまわっただけでも、まるごとにっぽんは魅力的なスポットであると感じたが、1階から4階までの施設内を、短い時間ですべてを見て、食すのは困難。訪問時は時間をかけて楽しんで頂きたい。
また、12月17日の9時30分から催される開業セレモニーには女優の水野真紀さんが和装で登場し、鏡開きのあとに一般の来場者にも振る舞い酒が提供される予定。食や文化なども含め、地方に関心を持っている方はぜひ足を運んでほしい。