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ANA、アバターで「バーチャルお花見」遠隔体験。東京・日本橋三井ホールの「FLOWERS BY NAKED 2020 -桜-」でサービス実証
2020年2月17日 12:53
- 2020年2月17日~28日 実施
ANAHD(ANAホールディングス)は、三井不動産運営の日本橋三井ホールで開催されている「FLOWERS BY NAKED 2020 -桜-」を、アバターを通じて鑑賞できるサービス実証を実施する。
ネイキッドが企画・演出・制作を手がける「FLOWERS BY NAKED 2020 -桜-」は、2016年から毎年行なわれている、生花、オブジェ、映像、インタラクティブ、香り、音楽などのさまざまな演出を通して、五感で楽しむ花の体感型アート展。2020年は1月30日から開催している。
「FLOWERS BY NAKED 2020 -桜-」概要
期間: 2020年1月30日~3月1日10時~20時(入場は閉場30分前まで)
場所: 日本橋三井ホール COREDO室町1 5階(エントランスは4階)
入場料: 当日券 大人1800円(平日)/2200円(土日祝)、子供1200円(全日)、未就学児は無料
アバターを使ったサービス実証は、2月17日~28日の約2週間にわたって行なわれるもので、ANAHDが開発したアバターロボット「newme(ニューミー)」を利用して遠隔でアート展を楽しめるもの。
2019年11月にANAHDと三井不動産が発表した、2020年度に日本橋エリアに100体のnewmeを投入するという都市実装共同事業の一環として実施する。また、アバターを通じて博物館や美術館、水族館などを遠隔から鑑賞するプロジェクト「avatar-in museum」の初事例にもなる。
FLOWERS BY NAKED自体は有料のイベントだが、サービス実証は無料で参加可能。「avatar-in」のWebサイトから事前予約を受け付けており、「春の始まり」「日本一早いお花見」の2種類から、体験したいプランを選択する。予約は1枠あたり30分単位で受け付けており、運用上の余裕を設けるため、ユーザーは25分間の体験時間となる。
プラン「春の始まり」は、写真家のレスリー・キー(LESLIE KEE)氏が撮り下ろした作品をネイキッドのアーティストである村松亮太郎氏のデザインで手がけた、春の訪れを感じられるビジュアルを中心とした「Prologue」を起点に、色とりどりの花が咲き乱れる花畑に羽をまとった妖精が飛びまわる「Wildflower Garden」、息を吹きかけることでたんぽぽの綿毛が空へと舞い上がる「Dandelion Hill」を順に巡るもの。
プラン「日本一早いお花見」は、体験型コーナーも充実している「OUSAI Garden」内を巡るもので、ペーパーアートで作られた巨大な桜の木を中心に、啓翁桜の生花やシャボン玉が舞う様子、HUMANOID DJが生み出す情景をアバターを通じて鑑賞できるものとなっている。
サービス実証概要
期間: 2020年2月17日~28日17時~20時
鑑賞エリア:
・プラン「春の始まり」: Prologue~Dandelion Hill
・プラン「日本一早いお花見」: OUSAI Garden
館内には接続を安定させるためにnewme専用のWi-Fiを設置。タイヤを搭載している点も活かされており、特に「春の始まり」では、自らの遠隔操作で次のコーナーへ進むことができる。
また、FLOWERS BY NAKEDは床面に投影した映像も見どころになっていることから、newmeに搭載された“足下カメラ”もこれまで以上に活用。遠隔操作の画面上に表示される足下カメラの映像サイズを、従来よりも大きく表示している。
ただし、「Wildflower Garden」では指定の場所に立つと妖精が現われる演出があるほか、「Dandelion Hill」では綿毛に息を吹き替えると綿毛が舞う演出があるが、これらは遠隔操作では実現できないため、newmeに付き添うガイドスタッフが代行することになる。
アバターには「新しいエンタテイメントを開く可能性」
サービス実証の開始にあたり、ANAHD アバター準備室長の津田佳明氏は、同社のアバターの取り組みや、コミュニケーション型アバター「newme」に触れながら、「これから社会に浸透させていきたいと思っている。その社会浸透にあたり、18の自治体や企業とパートナー契約を結んでいる」と紹介。
そうした取り組みの一つが、三井不動産との日本橋における社会実装の取り組みであり、「これまで三越伊勢丹でショッピングなどを実施したが、ミュージアムというユースケースは初めて」とし、「ネイキッドが提供している新技術を活用したバーチャル体験を中心にした新しいエンタテイメントと、アバターとの組み合わせになにか可能性があるのでは、と賛同いただいた」とネイキッド参画の経緯を説明。「今回は東京・日本橋だが、ネイキッドは全国各地に展開している。全国に路線を持って地方創生を目指すANAとの組み合わせにも可能性があるのでは」と、パートナーシップの範囲拡大の可能性も示した。
ANAHDはこの「avatar-in」のプラットフォーム展開を考えており、現在はハードウェアも自社開発だが、将来的にはAPIなどもオープンにしてハードウェア、ソフトウェアの開発も含めた他社の参画を狙う。また、2020年度内にもビジネスとしてアバターを立ち上げる方針で、newmeの販売やリースのほか、ショッピングなどでは売り上げの一部をロイヤリティのような形で支払ってもらうモデルなどが検討されている。
三井不動産 日本橋街づくり推進部 事業グループ 主事の川瀬康司氏は、同社の日本橋街づくりにおけるアバターの取り組みについて「日本橋の街自体はオフィスや商業、住宅、ホテルなどいろいろな都市機能が集中しており、ここを使って実証から実装へとデジタルソリューションをつなげていく動きをしている。アバターもその一環」と紹介。
今回のFLOWERS BY NAKED 2020 -桜-のサービス実証については、「前回はショッピングだったが、今回はエンタテイメントでのコラボレーションということで、より多くの方々にアバターの都市実装をご体験いただけると、意義深く思っている。今後も都市実装は続いていくので、注目いただければ」と述べた。
ネイキッド Executive Project Managerの済田篤氏は、今回で5回目となるFLOWERS BY NAKEDにアバターを取り入れて実装できることに「大変意味を感じている」とコメント。「FLOWERS BY NAKEDは昼間しかやっていないが、地球の反対側から夜に参加できるなど、いままで参加できなかった人も参加できるようになる」といった利用シーンが生まれることに喜びを示している。
また、FLOWERS BY NAKEDもバーチャルな空間、アバターもバーチャルな体験であるとしたうえで、「バーチャルは虚構のような意味合いで捉えられることが多いが、技術が進歩して解像度が上がっていくと、リアルとバーチャルの境目がなくなってきて、バーチャルもリアルと変わらない体験になってくると思う」とし、「新しいエンタテイメントの可能性の一つとして考えているので、今後もいろいろなところで導入していければ」との期待を語った。