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旭川空港、11月22日オープンの国際線ターミナルを公開。既存ターミナルの店舗は新棟に移転
新ターミナル到着第1便は22日のJALホノルルチャーター便
2018年11月21日 21:39
- 2018年11月21日 内覧会実施
- 2018年11月22日 オープン
旭川空港は11月21日、翌11月22日にオープンを控える新たな国際線ターミナルの関係者向け内覧会を実施した。2017年10月に着工し、既存の旅客ターミナルの南側に増築する格好で整備した。
旭川空港は開業時には国内線専用の旅客ターミナルを整備しており、2006年に国際線定期便が就航した際に、従来の旅客ターミナル内に国際線対応施設を設置する形で運用していた。
近年の訪日ブームのなか、旭川近郊でも富良野のラベンダーや美瑛町の「白金青い池」などの観光スポットが海外に知られるようになったほか、雪や温泉など冬場の観光ニーズもあることから東アジアを中心に季節定期便やチャーター便などの運航が増加。将来的に50万人の国際旅客受け入れに対応できる施設として整備を行なった。
今回のオープンは、第1期という格好となっており、グランドオープンは2019年9月を目指す。このタイミングでオープンしたことについて、旭川空港ビル 代表取締役専務 佐々木恵一氏は、「春節(中国の旧正月)の時期にあたる1月~2月にチャーター便が増加することから、その前に開業した」と理由を説明する。
旭川空港はスポットが5か所、PBB(旅客搭乗橋)が4か所あり、この増設は今回行なっていない。これまでは一番北側にあるPBBを内際(国内線/国際線)兼用スポットとして利用してきたが、「ほとんど使われていなかった」(佐々木氏)という一番南側にあるPBBとその隣のPBBを国際線に優先的に割り当てることで、2便同時の受け入れ体制を整える。
佐々木氏によると「これまで(同時受け入れができなかったため)航空会社からの要望にお応えすることができなかったことがある」とのことで、2便同時受け入れが可能になることで航空会社に都合のよい、すなわち旅客にとって利便性の高い国際線ダイヤを組みやすくなることにつながる。
ちなみに、既存の旅客ターミナルビルとは1階、2階でそれぞれ接続し、往来ができる。既存ターミナルビルの2階にある土産物屋などは、すべて新たに増築される国際線ターミナル側に移転。既存ターミナル内のショップエリアと国際線出発ロビー跡地を利用し、旭川ラーメンなどのご当地グルメやスイーツを楽しめる10店舗が入るフードコートやイベントスペースを設ける「空市」を2019年9月にオープン。これをもってグランドオープンとする計画だ。
現在、国土交通省は、北海道7空港のコンセッション方式による民間への一体運営委託を2020年から開始する計画に沿って、優先交渉権者選定のための審査を進めている。旭川市は広域観光ルートの拠点として道北地域への中核空港へと育てる計画で、旭川空港ビルとしては空港の魅力を高めるとの視点でこのような整備に取り組んでいる。
新しい国際線ターミナルは鉄骨造の総2階建てで、延べ床面積は6773m2。既存ターミナルを含む総延べ床面積は2万300m2で、増築前の約1.5倍に広がったという。
外観は、家具のような旭川らしい木調とし、数か所にひさしを設けて、農産物販売など多目的に使用できるパブリックスペースを軒下に用意。家具などの製作は旭川家具工業協同組合が請け負った。
1階:チェックインカウンター、到着ロビー
1階の正面入り口から館内に入ると、まずは出発時のチェックインカウンターがある。そこから向かって右が出発動線、向かって左側が到着ロビーとなる。チェックインカウンターは4か所で、2基のX線検査機が置かれている。
出発動線側には美瑛町のレストラン「valore(バローレ)」が展開するベジタブルスイーツ店「valore cyan(バローレ シアン)」が出店する。
到着ロビー側は、インフォメーションカウンター、外貨両替機、SIMカード販売機などを設置する。到着ロビーには、2019年7月を目途にセブン-イレブンが開業する予定となっている。
到着口となる1階の制限エリア内は到着便の預け入れ荷物を受け取るターンテーブル1基や、税関施設が入る。荷物のハンドリングを行なうターンテーブル裏のバックヤードも面積を広く取っている。
2階:出発ロビー、物販テナント、出入国審査場、搭乗待合室など
2階の出発ロビーは、既存ターミナルから移転する7店舗が出店。加えて、旭川の木工芸品を展示、販売する「AKJ GALLERY(エーケージェーギャラリー」も新規出店した。
この出発ロビーには2部屋の祈祷室も設置。イスラム教徒が多い国からの直行便はないが、東京乗り継ぎで訪れる人など、ニーズがあるという。
2階の制限エリア内は主に出国のためのエリア。保安検査場、イミグレーション(出入国審査場)や搭乗待合室などがある。壁を隔てて到着側のイミグレーションも2階に位置しており、出国時は4レーンで既存ターミナルと同じだが、入国時を6レーンから10レーンに拡張している。
保安検査場は一般的なX線検査機や金属探知機のほかに、成田空港で導入されているものと同じタイプのボディスキャナも1台設置されている(参考記事「成田国際空港、3月29日から保安検査にボディスキャナを導入、運用に先立ちデモ実施」)。
搭乗待合室はまだ整備中だったが、最終的には330席の椅子が置かれる予定とのこと。既存ターミナルは約200席で、約1.5倍の規模になる。また、内覧会時には設置されていなかったが、窓寄りの部分にUSB充電などが可能なカウンターテーブルを設置する計画だという。搭乗口は4番と5番が置かれる。
このほか、内覧会時には壁で仕切られていた奥に、免税店が出店。既存ターミナルに出店している「リラ・デューティーフリー(LILA'S DUTY FREE)」がオープン。その後、旭川空港ビル直営の「旭川エアポート・デューティーフリー(ASAHIKAWA AIRPORT DUTY FREE)」を出店するほか、そこに隣接してビジネスラウンジを2019年1月29日に開業する。
このほか、屋上にテラスエリアを設けており、滑走路側では離着陸する航空機、反対側は大雪山連峰の眺望を楽しめる、季節営業の「ジンギスカンデッキ」をオープン。こちらは2019年5月下旬のオープンを予定している。なお、3階屋上エリアへは、既存ターミナル3階のレストランエリアからアクセスする。
また、2019年6月には国内線出発エリアにカードラウンジを設置する予定になっている。
11月22日にオープンする国際線ターミナルだが、到着1番機は農協観光が催行しているホノルルツアーのJALチャーター便となる予定で、22日の13時15分に到着予定。このツアー参加者は既存ターミナルから出発し、新しい国際線ターミナルへ到着する格好となる。
出発1番機は現時点で唯一の定期便として週2便運航しているタイガーエア台湾の旭川~台北・桃園便となり、23日17時40分に到着した機体が、24日7時40分に出発するスケジュールとなっている。
このほか、旭川空港ビルでは国際線ターミナルの開業を記念したイベントを11月23日~25日に実施。内容についての詳細は旭川空港のWebサイトにある「国際線ターミナルオープニングイベントまであとわずか!!!」を参照してほしい。