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JAL、保安検査員のスキルを競う「JAL 空港保安検査員お客さま対応コンテスト」を開催
機内の安全を守る厳格な対応と快い接客を目指す
2017年11月9日 14:01
- 2017年11月6日 実施
JAL(日本航空)グループは11月6日、羽田空港 JAL第1テクニカルセンターにおいて「JAL 空港保安検査員お客さま対応コンテスト」を実施した。このコンテストは、JALグループが就航している国内空港のなかで乗客アンケートの評価が高い上位5空港を選抜し、その空港保安検査員のスキルを審査するものだ。当日は選抜された10名(男女ペアで1組2名)がコンテストに出場した。
コンテストの開催にあたり、空港企画部長の宍倉幸雄氏が参加者の前に立ち、「今年1年を振り返ってみてもいろいろな新製品が登場しています。そのなかで皆さんは危険品となり得る製品の知識を身に付け、厳格な検査をしていただいているご苦労は非常に大変なものだと考えております。
2020年のオリンピックに向けて保安検査の厳格化が求められている昨今ですが、その一方で出発されるお客さまに対してはさわやかな挨拶や対応をしていただいている。この2つの異なる対応を短時間に的確にスムーズにしていただくため、持ち込みが規制される物品に関して広く周知させるのがわれわれ航空会社の責務だと思っております。本日は皆さんの日頃の努力の成果を拝見させていただければと思います」と挨拶した。
今回参加したのはJALの乗客アンケートで上位に入った空港であり、規模別に大規模空港(カテゴリーI、6レーン以上)、中規模空港(カテゴリーII、3~5レーン)、小規模空港(カテゴリーIII、2レーン以下)からそれぞれ選ばれている。出場者の詳細は以下のとおり。
コンテスト出場者
羽田空港(カテゴリーI):にしけい 森永健介氏、児玉舞香氏
中部空港(カテゴリーI):全日警 林大悟氏、井本汐美氏
成田空港(カテゴリーII):ジェイ・エス・エス 五十嵐勝博氏、大賀慧莉奈氏
熊本空港(カテゴリーII):熊本空港警備 島本雄斗氏、丸岡裕美氏
旭川空港(カテゴリーIII):セノン 上野大輔氏、原田咲月氏
通常、保安検査は5人1組のチームで業務に当たるが、今回はそのうち案内係と接触検査係をそれぞれが担当する。案内係は危険物持ち込みに対してのアナウンスやエックス線検査までの誘導、接触検査係は金属探知ゲートで反応した場合の対処を行なう。保安検査場には5人の乗客が現われ、制限時間10分以内に保安検査を完了させる。10分を超過しても終了とはならないが、減点されていくのでスムーズな対応が必要だ。ネタばれを防ぐために出場者は順番が来るまで別室で待機する。
審査は担当部門の部長や教官クラスが審査員を務め、航空保安検査基準に適合した「確実性」「スピード」「丁寧さ」を重点的にチェックする。スピーディかつ、いかに快く応対するか、また時には毅然とした態度で接するかといった、さじ加減が腕の見せどころでもある。なお、今回のコンテストでは警察対応案件は含まれない。
1人目:訪問先で花火がやりたいとの理由で持ち込もうとする乗客への対応
2人目:チケットを持っていない乗客をチェックインカウンターに誘導する
3人目:英語と日本語が通じないタイ人の乗客を案内する
4人目:ペンケースに入れていたカッターの発見と対応
5人目:英語しか通じない乗客へ手荷物のiPadを別トレイに乗せる案内
実技審査でまず最初に登場するのは、手荷物の中に花火を持った男性の乗客。持ち込み禁止に関する案内をしたあとに該当する花火を出すが、どうしても訪問先で楽しみたいのか執拗に食い下がるので、不快感を与えないように説得していた。隙あらば持ち込もうとする仕草に対しては、瞬時に進行方向をふさぐなど日頃の訓練がしっかりと身に付いているようだった。
2人目は、チケット、eチケットを持たずに保安検査場に訪れた乗客への対応。すぐさま利用する航空会社のチェックインカウンターに行くよう案内するのだが、カウンターの場所や詳細な道順まで案内する姿も見られた。
3人目はタイ人の旅行客。英語や日本語が通じないので、ボディランゲージと簡単な英語で応対することになる。また、危険物が記されたラミネートを上手に使うことで、素早く意思疎通ができていた出場者もいた。
4人目はジャケットのポケットにカッターの入ったペンケースを所持していた男性客。金属探知ゲートに反応するので、接触検査係が所持品などの検査をする。その際は不快感を与えないように丁寧な言葉使いで検査を実施。見付かったカッターに関しては持ち込めない旨を説明し、最終的には破棄させるまで誰もがしっかりと対応していた。
5人目は英語オンリーの外国人観光客が登場。手荷物の中にiPadがあるので、別トレイに移して検査する旨を説明。ここでもラミネートを使って、英語と合わせてスムーズに対応する姿が見られた。
成田空港のジェイ・エス・エスが優勝
出場者の中には、応援団や審査員の前でとても緊張している姿が伝わってくる人もいたが、空港の代表ということもあって、誰もがしっかりとした対応を披露した。そのなかで優勝したのは、成田空港 ジェイ・エス・エスの2人だった。審査員特別賞は中部空港 全日警と羽田空港 にしけいが受賞した。
優勝したジェイ・エス・エス 五十嵐氏は「これからも日々努力してお客さまに満足していただけるような接客を目指します」と話し、大賀氏は「五十嵐君と2人で努力してこのような賞が取れてとてもうれしいです」とコメント。同期入社で4年目の2人は「普段どおりにできたのと、始める前に掛け声をかけて身だしなみチェックしたのがよかったと思います」と勝因を語った。
コンテスト結果
優勝:ジェイ・エス・エス 五十嵐勝博氏、大賀慧莉奈氏(成田空港)
審査員特別賞:全日警 林大悟氏、井本汐美氏(中部空港)
審査員特別賞:にしけい 森永健介氏、児玉舞香氏(羽田空港)
最後に空港オペレーション教育訓練部長である上原博信氏がマイクを持ち、「これまでも航空保安事象においていろいろな事故が起きています。これらを守るためには皆さんが心を鬼にして、強い意思を持ってしっかりと守っていただくことが大事です。それと同時に旅客サービス業でありますので、お客さまにご納得して搭乗していただくか、お怒りのまま搭乗していただくかの違いは非常に重要です。そのためには、しっかりとした立ち振る舞いや身だしなみが大切になってきます。
いろいろなお客さまがいらっしゃいますので、凛として対応するか、快くサービスができているかを今回は見させていただきました。サービスの快適性と安全との狭間で皆さん大変苦しまれていると思いますが、皆さんのしっかりとした技術と経験、マインドにかかっていますので、今後もスキルアップに励んでいただき、保安を頑張っていただきたいと思います」と語ってコンテストは終了した。