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神戸空港民営化、「関空、伊丹、神戸3空港一体のシステムで盛り上げたい」と関西エアポート山谷社長

神戸市長はポートライナーの増強や大阪湾岸線西部延伸などに意欲

2018年4月1日 運営開始

民間事業者・関西エアポート神戸による神戸空港の運営が4月1日から始まった。左から神戸空港に就航しているANAの地上スタッフ、全日本空輸株式会社 神戸空港所 所長 林和男氏、関西エアポート株式会社/関西エアポート神戸株式会社 代表取締役社長 CEO 山谷佳之氏、神戸市 市長 久元喜造氏、神戸空港に就航しているスカイマーク株式会社 空港本部 神戸空港支店 支店長 戸田健太郎氏と地上スタッフ

 神戸空港の「関西エアポート神戸株式会社」による運営が4月1日からスタートするのにあたり、4月1日8時から神戸空港2階でセレモニーが開かれた。神戸空港の「所有」と「運営」のうち、土地や施設などの所有についてはこれまでどおり神戸市のまま、運営を関西エアポート神戸が担うことになる。

 関西エアポート神戸は、関西国際空港と大阪国際空港(伊丹)を運営する関西エアポートがオリックス、ヴァンシ・エアポートと共同で2017年に設立したもの。関西エアポート神戸による神戸空港の事業期間は4月1日から2060年3月31日で、合意により最長2070年3月31日まで延長可能。滑走路の運営・維持管理といった航空系事業、ターミナルビルの運営・維持管理といった非航空系事業を担当する(関連記事「関西エアポートら3社、神戸空港を運営する『関西エアポート神戸』設立」)。

ポートライナーの増強や大阪湾岸線の西部延伸を見据えた道路網の整理を

神戸市 市長 久元喜造氏

 セレモニーで神戸市 市長の久元喜造氏は、神戸空港の旅客業のためには、関空、伊丹との3空港による一体運用が望ましいという見地から、コンセッション(公共インフラなどについて、所有権は公的な自治体などのまま運営を民間事業者が行なうこと)に向けた調整を2010年ごろから続けてきて、この4月1日を迎えられたことについて、関係者に感謝を述べた。

 これで関西エアポートによる関空、伊丹、神戸の一体的な運営が可能になり、利用者の利便性や神戸、ひいては関西圏の発展に寄与できるよう、神戸市も引き続き協力していくと述べた。

 そして市民から多く寄せられている意見の1つとして、神戸の中心地にある三宮駅と神戸空港を結ぶポートライナー(神戸新交通ポートアイランド線)の混雑の緩和を挙げた。ポートアイランドエリアへの通勤や通学、エリア内にある神戸市立医療センター中央市民病院への通院、神戸空港への通勤や渡航目的と利用者が多く、時間帯によってはかなり混雑するという。ポートライナーの編成を4両から8両にしたり、1両あたりの可能輸送客数を上げたりといった増強に早期に取り組むとした。また、阪神高速道路 大阪湾岸線の西部延伸を見据えた道路網の整理とともに、主要エリアと空港を結ぶ直行バスの運行などで、空港利用者増に対応していきたいと語った。

関空、伊丹、神戸3空港一体のシステムで都市の経済を再生、盛り上げていきたい

関西エアポート株式会社/関西エアポート神戸株式会社 代表取締役社長 CEO 山谷佳之氏

 関西エアポート/関西エアポート神戸 代表取締役社長 CEOの山谷佳之氏は、セレモニー前の7時台に神戸空港発羽田空港行きの第1便、羽田空港発神戸空港行きの第1便が無事に発着したことを報告し、空港にとって「安心・安全が第1」であり、神戸空港や関空、伊丹についても力を合わせて安全運航に邁進していくと語った。

 神戸市の運営で年間300万人を超えた状態で引き継ぐことにはプレッシャーもあるが、需要を見付けて供給していくという姿勢を見せつつ、神戸市に示している事業計画を達成することがまずは目の前の目標だとした。

 4月1日は「世界に類を見ない関空、伊丹、神戸3空港一体のシステム完成」に向けたその第一歩であり、世界に向けて、関西という大きな地域で1つの空港システムを作ることが、関西エアポートとしての大きなチャレンジであり、空港の役割を果たしつつ、関係者と協力し合って都市の経済を再生、盛り上げていきたいと意欲を見せた。

関西エアポート神戸による運営スタートを記念して、ターミナル内で記念品としてドリップコーヒーが利用客に配られた