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関西エアポート、2017年度決算。営業収益2064億円、営業利益529億円の増収増益。東アジアの旅客と免税店売り上げが牽引
2018年6月7日 21:57
- 2018年6月7日 開催
関西エアポートは6月7日、大阪府の本社で会見を開き、2017年度期末連結決算を報告した。代表取締役社長 CEOの山谷佳之氏および代表取締役副社長 Co-CEOのエマヌエル・ムノント氏が出席し、収益の分析や今後の投資計画についても説明を行なった。
その冒頭、山谷氏は4月18日に中央エリアをリニューアルオープンした伊丹空港(大阪国際空港)に触れて、「NKIAC(新関西国際空港)から引き継いだ事業で、2020年までのグランドオープンを目指している。(中央エリアは)我々の民間企業らしさを盛り込めたのではないか。50年という古いターミナルビルの改装で難しいところも多いが、一つの形に仕上げつつある」と評価した。
営業収益は前年比15%増、営業利益は同40%増
2017年度の営業収益は前年比15%増の2064億円、営業利益は同40%増の529億円、当期純利益は同67%増の283億円で、大幅な増収増益決算となった。その背景には、関西国際空港におけるS7航空やジェットスター・パシフィック、エアソウル、カンタス航空などの新規就航航空会社の存在や、韓国(27%増)、中国(16%増)、香港/マカオ(23%増)など東アジアからの旅客数の順調な伸びが挙げられるという。
その結果、国際線の旅客数は初めて2000万人を超えて2190万人となり、うち外国人旅客数は前年比21%増の1501万人と過去最高を記録している。国内線旅客を合わせると2880万人、また伊丹空港も機材の大型化などで取り扱い旅客が前年比+4%の1568万人と増えており、2空港を合わせた総旅客数は4448万人(同9%増)となった。
一方で、免税店や物販などの直営事業は旅客の伸びを上回る増収を記録している。営業収益2064億円のうち、873億円は着陸料や旅客サービス施設使用料など「航空系」収入で、その割合は42%。残りの58%は免税店や物販、飲食、駐車場使用料など「非航空系」収入の1190億円で、どちらも前年比で増収だが、航空系の70億円増に対し、非航空系は192億円増(同19%増)と、旅客数の伸び(9%増)より大きく伸長している。
特に牽引したのは前年比49%増の免税店売り上げで、具体的な数字は非公開ながら400億円を超える売上を記録した。免税店売り上げを国籍別に見ると中国が63%、日本が16%、韓国が8%、そのほか13%で、同社は「中国人旅客の客単価と購買率の高さに支えられた」としている。
今後5年間の投資計画
2018年4月からは関空と伊丹の2空港に神戸空港を加えた3空港の一体運営が始まっており、今後5年間で3空港に1000億円規模の投資を計画しているという。3空港への配分は非公開としたが、安全への取り組みとして「関空での受託手荷物保安検査機器の高度化」「3空港の天井の耐震強化」「沈下対応」、利便性/快適性向上の取り組みとして「関空/伊丹のすべての搭乗橋の更新」「ファストトラベルの推進」「伊丹のターミナルリノベーション」を挙げている。
ファストトラベルの取り組みは、国際線保安検査場の待ち時間を予測するディスプレイの設置(関連記事「関西国際空港、国際線保安検査場の予測待ち時間を表示。館内ディスプレイとWebサイトで情報提供」)や、スマートレーンの導入(関連記事「保安検査場の待ち時間を約30%短縮、伊丹空港がスマートレーンを公開」)、自動チェックイン機の設置などを紹介したほか、詳細は未定ながらセルフバゲッジドロップ(自動荷物預入機)も導入予定とした。