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ANA、日本初の自動手荷物預け入れ機「ANA Baggage Drop」を羽田空港国内線に7月1日導入

自動チェックイン機やカウンターをリニューアルする新搭乗スタイル「ANA FAST TRAVEL」を展開

2015年7月1日 導入

乗客自身で手荷物の預け入れを行なえる「ANA Baggage Dropサービス」を7月1日より導入

 ANA(全日本空輸)は7月1日、羽田空港第2旅客ターミナルの国内線出発カウンターに、日本初となる完全自動の手荷物預け入れ機「ANA Baggage Dropサービス」を導入、運用を開始する。同機の導入に加え、2015年秋には自動チェックイン機の全面入れ替え、2016年春には出発カウンターのリニューアルを実施。「ANA FAST TRAVEL」として新しい搭乗スタイルを展開する。

 7月1日のBaggage Dropサービス開始に先立ち、6月30日に報道関係者向けの説明会および体験会が実施された。その冒頭、ANA代表取締役副社長の内薗幸一氏は挨拶で次のように述べた。

「羽田空港は日本最大の空港で、ANAの国内線でも1日に約9万人のお客様にご利用いただいている。多くのお客様に対して搭乗手続きの簡略化、簡素化を進めてきたが、3年ほど前からは、お客様の手荷物の手続きについて、待ち時間を短縮できないか真剣に検討してきた。

 『ANA Baggage Drop』をはじめとする、さらに進化した『ANA FAST TRAVEL』として本日お披露目し、明日7月1日からお客様へのサービスも開始する。これにより、この夏休みシーズンに入って、ご家族連れ、ビジネスのお客様においても、手続きの時間を簡略化。より便利に、お待たせする時間も短縮できるのではないかと期待している。

 『ANA FAST TRAVEL』は、これまでの簡単、便利をさらに追求、進化させた新しい搭乗スタイル。その第1弾が冒頭触れた『ANA Baggage Drop』で、7月1日より順次羽田空港で展開していく。これまでカウンターで手続きをしてお預けいただいていた手荷物だが、今後はANAの空港スタッフを介さずに、お客様ご自身でお預けいただける自動の手荷物受託サービス。これは日本で初めて私どもが導入するサービス。

 第2弾の計画は、秋に新しい自動チェックイン機へ全面改定する。第3弾は第2ターミナルカウンターをすべてリニューアルする。(2015)年度内で進化した『ANA FAST TRAVEL』の3つの展開を予定している。これにより、よりスピーディな手続きができ、外国人のお客様、手伝いの必要なお客様にも分かりやすい、使いやすい空港に進化させていきたいと思い、このようなサービスを順次展開する。

 これまでをさかのぼると、ANAは1980年代に国内線において自動チェックイン機を導入した。当時、これも日本初のサービスだった。2006年には現在もサービスを提供している『SKiPサービス』を提供。これは、搭乗手続きせずに保安検査場に進んでいただくものだが、このようなサービスを展開してきた。これらについてお客様からは、簡単、便利になったという評価の声を頂戴している。

 しかしながら、私どもはこのようなサービスをさらに進化させる必要があると認識している。すなわち、ご案内のとおり、訪日外国人は今年度1500万人を超える勢いで、国際線はもとより、国内線も多くご利用いただいている。

 2020年には東京オリンピック/パラリンピックが予定されており、今後一層、日本の国際線、国内線により多くご搭乗いただける機会が控えている。ANAは2020年の東京オリンピック/パラリンピックのオフィシャルパートナーとして協力させていただくことになっており、私自身もANAの中で推進担当の役員を担っている。オリンピック成功に向けて最大限協力するとともに、航空会社としてより多くお越しになるお客様、そしてパラリンピックの意義を考えると、お手伝いの必要なお客様についても、より優しい親切な空港作りを、この2020年に向けて取り組んでいきたいと思う。従って、今回導入する新しいシステムは4カ国語に対応し、外国のお客様にも使いやすい物を追求する。

 最後になるが、ANAはこれまでも安全を第一にお客様へのサービスを提供してきたが、今後ともなお一層努力して、お客様に応えられるような、空港作りに取り組んでいきたい。」

全日本空輸株式会社 代表取締役副社長 執行役員 内薗幸一氏
説明会でANA FAST TRAVELの詳細を説明した、全日本空輸株式会社 空港センター 空港業務推進部 部長 新郷雅史氏
体験会でANA Baggage Dropサービス導入について説明した全日本空輸株式会社 上席執行役員 東京空港支店長 峯尾隆史氏

手荷物の預け入れまで機械が行なう「ANA Baggage Dropサービス」

 「ANA Baggage Dropサービス」は、羽田空港第2旅客ターミナル出発カウンターに7月1日より順次導入される。7月1日時点では35番カウンター付近に5台を設置し、さらに7月中に、その奥(36〜38番付近)に7台を設置する予定となっている。最終的には2015年度中に39台を設置するという。

7月1日に運用を開始するANA Baggage Dropをアンベール

 その特徴は、預け入れ荷物についての全プロセスを乗客自身の操作で手続きする点にある。

 似たような手荷物預け入れの簡略化施策としては、JAL(日本航空)は3月31日より「JAL エクスプレス・タグサービス」を国内線に導入しているが、こちらは手荷物に取り付ける“タグ”を自動発行して、有人の専用カウンターへ荷物を預け入れるサービスとなっている。

 対してANA Baggage Dropサービスは、タグの発行はもちろん、荷物の預け入れそのものも機械が行なってくれる。ANAは、この点において「日本初」の自動手荷物預け入れ機であると説明している。今回は羽田空港のみの導入となるが、今後、利用者の声を聞きながら他空港への展開も検討したいとしている。

 ちなみに機械そのものに危険物などのセンサーはなく、操作の途中で自己申告による確認画面が用意されるのみだが、羽田空港は荷物を預け入れたあとにセキュリティチェックを行なうインライン・スクリーニングの機能を有しているので、航空機に危険物が運び込まれる危険性については、有人カウンターでの預け入れと変わらないレベルを維持できる。

 一方、手荷物預け入れにかかる時間について、新郷氏は「2013年に同じ機械を用いて中部国際空港(セントレア)でトライアルを行なった結果では、預け入れにかかる時間は有人カウンターと同程度だった。現在、有人カウンターが26カ所あるが(最大26名の係員を配置)、このANA Baggage Dropは年度末までに39台設置する。窓口の数が1.5倍になることで、トータルでは預け入れにかかる時間を短縮できる」としている。ちなみに、外国では導入実績がある同システムだが、39台という台数は世界最大の配備数であるという。

 導入直後については、6台につき2名ほどと係員を多めに配置するとしているが、浸透を見て、係員の人員数は減らす見込みだ。また、ANA東京空港支店長の峯尾氏によれば、有人カウンターは9カ所ほど残す予定とする。これは、ANA Baggage Dropでは預かれない荷物に対応する目的もある。また、ダイヤモンドメンバー向けの「ANA SUITE CHECK-IN」およびプラチナメンバー/スーパーフライヤーズカード会員/プレミアムクラス搭乗客が利用できる「ANA PREMIUM CHECK-IN」については、今後も係員による対応を続ける予定としている。

 なお、この自動手荷物預け入れ機はオランダのBagDrop systems BVのシステムで、国内ではOKI(沖電気工業)がシステムインテグレータとなり、ANAへ納入したことを発表している(沖電気工業のニュースリリース)。

 記者も実際に体験してみたが、利用は簡単だった。操作はすべてディスプレイをタッチ操作するだけでよい。また、日本語のほか、英語、韓国語、中国語(簡体字、繁体字)の4カ国5言語に対応している。

 まず、荷物を所定の位置に置く。このとき、荷台周囲のセンサーによって、はみ出していると警告が表示される。

 続いて、搭乗券またはSKiPサービスで登録しているICカードやスマートフォンなどをリーダに読み取らせる。ここで旅程の確認画面が出るので、最終目的地を確認して「確定」させる。併せて、危険物の確認画面も表示される。

 ここで、手荷物タグが出力される。手荷物タグは有人カウンターで使われているものとは異なり、両端付近をくっつけるだけで固定される自己粘着テープを用いたものとなっている。つまり、シールの剥離紙がなく、ゴミが出ない。

 このタグを自分で取り付けたら、手続きは完了。ほかに預けるものがなければ、ここで手荷物控えを受け取って、保安検査場へ進めばOKだ。

 ANA Baggage Dropではこのあと、正面の扉が閉じられ、内部ではベルトコンベアによって荷物が奥へと運ばれていく。

手荷物をANA Baggage Dropに置く
操作画面に説明がある通り、まずは荷物を荷台にセットする
荷物を置く部分。黒い枠線の中に収まるように置く
荷物を置く
位置が正しくないとエラーが表示される
搭乗券を読み取らせ旅程を確認
画面の指示に従い、搭乗券またはICカード、スマートフォンなどを読み取らせる
旅程の確認。ANAまたは提携会社への乗り継ぎがある場合は、追加で入力する
危険物の確認
手荷物タグの印刷と取り付け
手荷物タグが印刷される。このプリンタは用紙切れ時などのバックアップのため2台内蔵されているそうだ
出力された手荷物タグは、裏面の端の方が自己粘着テープになっているので剥離紙がなく、ただくっつけるだけで固定される
手続きが終了したら、前面の扉が閉じられ、荷物が奥へ運ばれていく
手荷物の控えを受け取って終了

「ANA FAST TRAVEL」では自動チェックイン機やカウンターもリニューアル

 ANAが今回発表した「ANA FAST TRAVEL」は、この自動手荷物預け入れ機「ANA Baggage Dropサービス」が第1弾の位置付けとなり、合わせて3つの取り組みを行なって乗客へ新しい搭乗スタイルを提供するものとなる。

ANAが過去、先進的に導入してきたサービス
7月1日より「ANA FAST TRAVEL」を導入
「ANA FAST TRAVEL」は3つの取り組みが行なわれる
1つが先述した「ANA Baggage Dropサービス」

 第2弾となるのが2015年秋からの導入を予定している「自動チェックイン機」だ。

 新しい自動チェックイン機は、これまで機械が分かれていた自動チェックイン、自動発券の機能を集約し、さらに、欠航や遅延時の予約変更や払い戻し、チェックイン後のマイル登録、座席変更、領収書の発行など、従来は有人のカウンターで対応していたが、新しい自動チェックイン機で対応可能になる。

 画面サイズは17インチから19インチへ拡大し、画面デザインも一新。言語も自動手荷物預け入れ機と同じく、英語、韓国語、中国語(簡体字、繁体字)の4カ国5言語に対応する。

 現在、羽田空港には自動チェックイン機、自動発券機、マイル登録用マシンの合計で83台設置されている。新しい自動チェックイン機は、この機能を1台に集約したうえで、88台を設置する予定としている。

第2弾が2015年秋に予定している新しい「自動チェックイン機」の導入
画面サイズを19インチへ拡大し、デザインも一新。4カ国5言語表示にも対応
これまで分かれていたチェックイン、発券、マイル登録の機能などを集約し、さらにカウンターで応対していた業務にも対応する
自動チェックイン機のハードウェアは現状でほぼ完成しているといい、ソフトウェアの開発が進められている
クレジットカードに対応。新しい自動チェックイン機は現金には非対応で、現金払いを希望する場合はカウンターで対応する
電子マネーにも対応。現状では「edy」への対応を予定している
現状、画面はサンプルとのことだが。全体にボタンや文字を大きくレイアウトしているのが特徴になっている

 第3弾は、2016年春を予定している羽田空港第2旅客ターミナル、国内線出発カウンターのリニューアルだ。

 このリニューアルでは、カウンターレイアウトを見直し、自動チェックイン機とANA Baggage Dropそれぞれを集約して配置。空港全体がシンプルになり、乗客自身が目指すカウンターを遠くからでも把握でき、スムーズに目的の場所へ進めるようになるという。

 また、現状のカウンターはチェックイン機や発券機がさまざまな場所に置かれており、利用されるカウンターにも片寄りがあるという。新たなレイアウトで、この平準化させ、結果として時間短縮に繋がるよう図る。

 案内表示についても、視覚による認知効果を高めるためにピクトグラムを採用する。これは、訪日外国人にとっても言語なしで理解できる点で有効としている。

羽田空港国内出発カウンターをリニューアル。自動チェックイン機、ANA Drop Baggageそれぞれを集約して配置する
ピクトグラムも活用し、訪日外国人にとっても目指す場所が分かりやすい案内表示とする
新しいカウンターのイメージ

(編集部:多和田新也)