ニュース

JAL、手荷物を1.5倍速く預けられる「JAL エクスプレス・タグサービス」を3月31日開始

羽田空港 国内線第1ターミナル 手荷物預けの混雑解消へ

2015年3月31日 サービス開始

羽田空港 第1ターミナル 南ウイング 28番カウンター付近に6台設置されたJAL エクスプレス・タグサービス端末。規制テープは、試験運用中のため。3月31日からは正式運用

 JAL(日本航空)は、3月31日より羽田空港 国内線第1ターミナルにおいて「JAL エクスプレス・タグサービス」を開始する。このサービスは、利用者自身が預け入れ手荷物のタグを発行することで、預け入れ手荷物待ちの混雑解消を目指したものとなる。正式サービス開始に先立ち、3月30日の試験運用の模様をお届けする。

 JAL エクスプレス・タグサービスについて説明を行なったのは、日本航空 空港企画部旅客グループ 高橋慶太氏。高橋氏によると、羽田空港のJALカウンターで1日に預けられている手荷物は、1万個~1万3000個になるという。とくに、7時近辺、13時~14時、16時近辺は出発便が多く、手荷物預け入れカウンターには預け入れ待ちの列が発生。春休みや夏休みなど、それらの列が長くなり、5分~10分以上待つことになってしまう。

JAL エクスプレス・タグサービス端末に対する解説を行なった空港企画部旅客グループ 高橋慶太氏

簡単・便利・シンプルを実現する「JAL スマートスタイル」コンセプト

 JALグループでは、簡単・便利・シンプルを実現すべく「JAL スマートスタイル」というコンセプトを進めており、このJAL エクスプレス・タグサービスによって、預け入れ待ちの列の減少を図っていく。

 具体的な手順は非常に簡単で、あらかじめ座席指定のされた航空券(バーコードの印刷されたeチケットや、チケット情報の入ったICカード)を持っていればJAL エクスプレス・タグサービスによる預け入れが可能だ。JAL エクスプレス・タグサービスの端末に航空券をかざし、端末が認識すると確認事項が表示される。普段、預け入れ手荷物のカウンターでJALスタッフから質問されていることと同様の内容で、問題がなければ預け入れ手荷物の個数の選択画面になる。

 JAL エクスプレス・タグサービスでは、1個~6個の手荷物タグを発行でき、7個以上の手荷物がある場合は、手荷物カウンターでの受け付けとなる。

高橋氏がデモ。このスーツケースに対し、手荷物タグを発行する
まずは、画面にちょっと触れて初期画面へ
ICカードやバーコードの読み取りが要求される
高橋氏は、紙の航空券を用意。左下にQRコードが印刷されている
読み取り部にかざす
航空機に乗る場合と同じ動き
荷物の確認画面。問題なければ「はい」を
危険物があるかどうかのチェック。入ってなければ「入っていない」を
荷物の個数。「1個」を選択

 高橋氏は、ここで「1個」を選択。すると、航空券の内容が表示され、確認ボタンを押すと1枚の手荷物タグが発行された。この手荷物タグには、手荷物引換証が印刷されているので、手荷物引換証をはがして、糊面を露出。手荷物タグを手荷物のハンドルなどに巻き付ければ作業は終了となる。後は、手荷物タグを自分で付けた手荷物を専用のカウンターに持ち込めば、スタッフが最終チェックをして預け入れ作業は完了となる。

短時間の待ち画面を表示
受け取り空港は仙台、荷物は1個と出た
「確認」ボタンを押すと荷物タグが発行される
荷物が1個なので1枚
タグの付け方が表示される
「タグです」
手荷物引換証のはがし方
「こうやってはがします」
無事にはがせた
手荷物引換証。これは荷物を引き取る際の証明となるので大切に保管。「TT」から始まっているのは、羽田空港の4レターコード「RJTT」に由来する
タグの取付方法の説明
高橋氏による実演
「こうやって」
「こうして」
無事荷物タグを取り付けることができた。見て分かるように、回して貼るだけなので難しい作業ではない
完成した手荷物タグ付き手荷物。これを端末後方の専用カウンターに持ち込めばよい
親子連れも試験運用に参加
荷物タグをまいて
専用カウンターに持ち込んでできあがり

 高橋氏によると、このようなセルフタグサービスは、ロンドン ヒースロー空港やヘルシンキ空港で導入例があり、実際に待機列が減るなどその効果も出ているという。システムの導入費用は「数千万円」(高橋氏)とのことで、JALではコスト削減の観点ではなく、お客さまの利便性向上と効果検証のために導入したとのこと。実際、JAL エクスプレス・タグサービス端末2台につき、1つの預け入れカウンターを用意しており、試験運用の利用者の動きを見ている限り、初めての利用でもとまどった様子は少ない。取材当日は旅行客の多い時間帯であったが、スムーズに専用カウンターへと向かっていた。

 JAL エクスプレス・タグサービスの主なターゲットユーザーは「忙しいビジネスマン」とのことだが、旅行での利用も便利に使えるだろう。もちろん、従来どおりのカウンターも用意されているので、「荷物タグを自分で貼るのは不安」という人は、従来カウンターを利用すればよい。JAL エクスプレス・タグサービスの利用者が増えることで、従来カウンターの待ち行列も短くなると思われる。

南ウイングに6台、北ウイングに4台設置

 このJAL エクスプレス・タグサービス端末は、航空便の多い第1ターミナル南ウイングに6台(専用カウンター最大3つ)、北ウイングに4台(専用カウンター最大2つ)設置される。高橋氏は、このJAL エクスプレス・タグサービス端末により、手荷物の預け入れ時間は1.5倍速くなると試算しており、その効果を確認していく。羽田からJAL便を使う機会がある人は、ぜひ一度試してみていただきたい。以下に、主な制限事項を記載しておく。

北ウイングのJAL エクスプレス・タグサービス端末は4台。南ウイングより2台少ないのは、北方面の便が南に比べて少ないため

──乗り継ぎ便のタグ発行は可能か?
高橋氏:可能です。JALグループ便であれば4区間まで発行できます。

乗り継ぎ便のタグ発行画面
無事、乗り継ぎ便用のタグを発行できた。AOJは青森空港、HNAは花巻空港

──最終目的地まで荷物を預けるのではなく、途中で荷物を受け取るようなことは可能か?
高橋氏:JAL エクスプレス・タグサービス端末は、最終目的地まで荷物を預け入れるための端末となっています。乗り継ぎの際の途中の空港で受け取る場合は、通常カウンターを利用ください。

──座席指定をしていなければ使えないとのとことだが、座席指定をしていない場合はどうなるのか?
高橋氏:エラーになります。事前チェックイン機でチェックイン後、再度JAL エクスプレス・タグサービス端末を利用していただくか、通常カウンターを利用ください。

座席指定がされてない場合の案内画面。通常の手荷物カウンターが案内される
通常の手荷物カウンターではなく、自動チェックイン機で座席指定するのもあり。状況によって判断していただきたい

──荷物が1個の場合に、間違って2個のボタンを押してしまった場合はどうなるのか?
高橋氏:JAL エクスプレス・タグサービス端末利用後に向かう専用カウンターで、その旨を申し出てください。スタッフが対応します。

26番が通常の手荷物カウンター、その右の28番がJAL エクスプレス・タグサービス端末用の専用カウンター。26番は、混雑時間帯ではなかったが、それなりの列となっていた。JAL エクスプレス・タグサービス端末への分散が期待される

編集部:谷川 潔