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成田空港、新規導入の自動手荷物預け入れ機を公開。国際線では国内空港初の本格導入。全ターミナルに展開

2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに72台を導入

2019年8月19日 発表

2019年8月20日 公開

成田空港が国際線への自動手荷物預け入れ機の導入を本格化。2020年までに全ターミナルに計72台を導入する

 NAA(成田国際空港)は8月19日、成田空港の全ターミナルに自動手荷物預け入れ機を導入し、セルフサービス型の搭乗手続き「Smart Check-in」を順次開始することを発表。8月20日に、新たに導入する自動手荷物預け入れ機を報道関係者に公開した。

 空港での手続きを自動化する「ファストトラベル(FAST TRAVEL)」の一環で、航空会社スタッフが応対する搭乗手続き(チェックイン)を旅客自身が行なうことで、手続きの簡素化や時間短縮を図るもの。第1ターミナル南ウイングに10台を導入するのを皮切りに、全ターミナルに計72台を導入する計画。実証実験などを除くと、国際線搭乗手続きに自動手荷物預け入れ機を本格導入するのは成田空港が国内空港で初めてのこととなる。

 自動手荷物預け入れ機の本格導入に伴い、各ターミナルでは自動チェックイン機と自動手荷物預け入れ機を集中的に配置するエリアを設置。ここを「Smart Check-in」ゾーンとして案内表示をリニューアルし、利用者の動線の円滑化を図る。

 なお、第1ターミナル北ウイングには2017年3月から自動手荷物預け入れ機を実証実験的に4台導入しているが(関連記事「成田空港、自動手荷物預け入れ機を運用開始。国際線では日本初」)、この4台も新規導入機へと入れ替えを行なう。このほか、第3ターミナルのみは国内線での利用も行なわれる。

第1ターミナル(南ウイング): 20台
第1ターミナル(北ウイング): 8台
第2ターミナル: 28台
第3ターミナル: 16台

各ターミナルへの導入台数と導入時期
第1ターミナルの「Smart Check-in」ゾーン
第2ターミナルの「Smart Check-in」ゾーン
第3ターミナルの「Smart Check-in」ゾーン

 この2020年までの導入に合わせて自動手荷物預け入れ機の利用を開始する航空会社は、下記の15社。供用開始日は明確にされていないが、設置がほぼ完了している第1ターミナル南ウイングのDゾーンE側では、8月内にもANA(全日本空輸)がサービス提供を開始。2019年秋にはJAL(日本航空)などの第2ターミナルでもサービスが始まる見込みとなっている。

第1ターミナル(南ウイング): ANA(全日本空輸)、ニュージーランド航空、スカンジナビア航空、エチオピア航空
第1ターミナル(北ウイング): KLMオランダ航空、エールフランス航空、アリタリア-イタリア航空
第2ターミナル: JAL(日本航空)、キャセイパシフィック航空、アメリカン航空、カンタス航空、エミレーツ航空、フィンエアー
第3ターミナル: ジェットスター・ジャパン、ジェットスター航空

利用する航空会社とターミナル

 ちなみに、報道公開にあたって説明を行なったNAA 経営企画部門 経営計画部 戦略企画室 室長の本宮進一郎氏によると、第1ターミナル北ウイングで導入した自動手荷物預け入れ機では、搭乗手続きのスループット(単位時間あたりの処理量)が有人カウンターに比べて約1.5倍になったそうで、航空会社スタッフや利用者の習熟によってさらにスループットが向上する可能性もあるという。

 また、本宮氏は、第1ターミナル北ウイングの検証を踏まえたうえで、今回の72台の導入により利用航空会社15社の旅客の8割はカバーできるとしている。「ファストトラベル」として旅客の手続きの自動化を促しているIATA(国際航空運送協会)は、2020年までに全旅客の8割が自動手続きをすることができることを目指しており、それに沿ったものとなっている。

成田国際空港株式会社 経営企画部門 経営計画部 戦略企画室 室長 本宮進一郎氏

手荷物タグはチェックイン機でも自動手荷物預け入れ機でも発行可

 今回NAAが導入する自動手荷物預け入れ機は、オーストラリアに本拠地を置くICM Airport Technicsの「Series 7」。第1ターミナル北ウイングやANAが国内線の基幹空港に導入している自動手荷物預け入れ機ではオランダのBagDrop systems製が採用されていたが、BagDrop製では搬送する際に荷物を90度倒すという動作があるのに対して、ICM製は置いた状態のまま搬送されていく点に違いがある。

成田空港が導入する自動手荷物預け入れ機。豪ICM Airport Technicsの「Series 7」

 NAAでは今回の自動手荷物預け入れ機の導入にあたり、大きく2つの流れによるセルフチェックインを想定している。

 1つはWebチェックインなどを利用せず、空港ですべて搭乗手続きを行なうケースで、自動チェックイン機を利用して搭乗券の発行と手荷物タグの発行を行ない、自動手荷物預け入れ機と進む流れとなる。

 手荷物タグの発行は自動チェックイン機でも可能となっており、この場合は自動チェックイン機で発行されたタグを預け入れる荷物に取り付け、自動手荷物預け入れ機に置くことでタグが取り付けられていることを認識するという。

ANAスタッフによる自動チェックイン機のデモ

 もう1つは、Webチェックインなどを利用して利用者自身がプリントした搭乗券やモバイル搭乗券などを持っているケース。この場合は自動チェックイン機を使わず、そのまま自動手荷物預け入れ機に向かえばOK。こちらで搭乗券を読み取らせることで手荷物タグの発行が行なわれる。

 また、前述の本宮氏は、自動チェックイン機の方が台数が多いことから、Webチェックイン済みの利用者であっても自動チェックイン機を使って手荷物タグを発行して荷物に取り付け、自動手荷物預け入れ機へ向かうことで時間の節約が図れるという利用の仕方も提案した。

報道公開ではANAによるデモンストレーションのほか、航空会社7社のスタッフが自動手荷物預け入れ機の体験サポートを行なった
自動手荷物預け入れ機の利用の流れ
初期画面
搭乗券を読み込ませる
搭乗券を読み込ませず、先に言語選択するともできる。この場合は航空会社を選択する画面が表示され、のちほど搭乗券を読み取らせることになる
預け入れ荷物に関する注意事項の確認
預け入れる荷物を台に置くよう案内
スーツケースはピクトグラムのように横に置く
荷物を認識すると手荷物タグが発行される
プリントされた手荷物タグ
手荷物タグを取り付けるよう案内
手荷物タグの裏面。剥離紙のあるタイプで、赤いテープのところから「ここまで(STOP)」の位置まで剥がす
「ここまで(STOP)」の位置はシールの形状が異なっているので認識しやすい
持ち手に巻き付け、「ここにはる(STICK HERE)」の場所に貼る
手荷物タグを取り付けた状態
預け入れ荷物の確認画面
確認が終了すると奥へと搬送されていく
複数預けるかどうかの確認
すべての荷物を預け入れると控えがプリントされる
預け入れ荷物の控え
成田空港が導入する自動手荷物預け入れ機のデモ