旅レポ
ヨーロッパとアジアの文化が交差する国・トルコの絶景を満喫する(その3)
トルコワインと壺焼きケバブ、歴史ある陶器店を訪ねる
2017年11月9日 00:00
トルコ共和国大使館・文化広報参事官室は、7月5日から9日にかけて、トルコ最大の都市イスタンブル、および同国有数の観光スポットであるカッパドキアを巡るプレスツアーを実施した。カッパドキアは、ワインや陶器作りも盛んだ。
レポート3回目となる今回は、カッパドキアのワイナリーとグルメ、陶器店などを紹介する。
カッパドキアのワイナリーでワインをたしなむ
トルコは世界有数のぶどうの産地であり、上質なぶどうが採れる。初期キリスト教徒が住んでいたこともあって、古代からワインの醸造文化が根付いている。洞窟内は温度がほぼ一定に保たれるため、ワインの醸造、保存にも適している。
カッパドキアを含む中央アナトリア地域は、トラキア、イズミルに続くワインの生産が盛んな地で、カッパドキアには、TURASAN(トゥラサン)とKOCABAĞ Wines(コジャバー)という有名なワイナリーが2つある。TURASANの方が規模が大きく、カッパドキアではレストランやホテルなどにもよく置かれている。
KOCABAĞは、遺跡で有名なウチヒサルにあるワイナリー。比較的小規模だが、地元のワイン通の間では評価が高いという。ワインの本場であるフランス・ボルドーのコンサルタントから助言を受けるなど、品質の担保改良に余念がないようだ。
トルコワインは、世界的によくワインに使われるぶどうの品種に加えて、トルコ特有のローカルな品種も楽しめるのが特徴。赤はオクズギョズ、ボアズケレ、カレジックカラス、白はエミル、ナリンジェといった品種がある。なかでもエミルは、カッパドキアのみで採れる超ローカル品種ということだ。
いくつか試飲させてもらったが、TURASANで試飲したエミルのキリッとドライでさわやかな風味は印象に残った。オクズギョズもフルーティで飲みやすい印象。オーク樽で熟成した「SENELER=セネレル」になると厚みがでて、いかにも肉料理に合いそうな味になる。ボアズケレとブレンドされて使われることも多いという。
TURASAN
燃え盛る炎の中から現われるカッパドキアの名物料理「壺焼きケバブ」
トルコ料理は、フランス料理、中華料理と並び、世界三大料理に数えられているように、美食も魅力の一つ。カッパドキアでもさまざまなトルコ料理が楽しめる。
今回はアヴァノスという街にあるレストラン「BIZIM EV」でカッパドキアの名物料理「壺焼きケバブ(テスティケバブ)」をいただいた。文字どおり、壺に肉、野菜、オリーブオイルなどを入れて丸焼きにした料理だ。燃え盛る炎に包まれて運ばれてくる壺はインパクト抜群。さらに、フタの生地が外され、ぐつぐつと煮えたぎるなかの食材から湯気が立ち上る様子は、なんとも食欲をそそる。
こうした演出は店舗によって異なり、壺を叩き割って見せるところもあるそうだが、ここでは割らずに壺のまま運ばれてくる。付け合わせには、米の形をしたパスタをバターで炒ったピラフ(ピラウ)。壺の中にはよく煮込まれたたっぷりの肉とトロトロになった野菜が入っており、ピラフによく合う。
食後にはチャイと、「バクラヴァ」「エクメキカダユフ」といったトルコの定番デザートをいただく。前者はパイ生地を重ねてナッツなどを挟んで焼いたもの、後者はパンをシロップに漬け込んだようなお菓子。ここで食べたときは「強烈に甘い」という感想しかなかったが……。
この「BIZIM EV」は洞窟をリノベーションした洞窟レストランで、内部は涼しく、独特の雰囲気がある。最上階のテラス席は、トルコで一番長い川「クズルルマク」を眺められるなど立地も抜群。地元の人からも観光客からも人気が高いようだ。
トルコで一番長い川「クズルルマク」を渡る
壺焼きケバブをいただいた後は、アヴァノス周辺を散策した。
アヴァノスを流れるトルコで一番長い川「クズルルマク」は、雨季になると周辺の山から大量の赤土が流れ込んで川の水が赤くなることから「赤い川」と呼ばれているそうだ。
アヴァノスではこの川で採れる赤土、地層から採れる白い粘土を利用した陶器作りが盛んな「陶器の街」として有名。街にはところどころに陶器店があり、雰囲気のある陶器の飾りなども楽しめる。
アヴァノスの伝統陶器店で高級陶器を鑑賞
アヴァノスの陶器店「Ömürlü Ceramics」では、実際に陶器作りの現場も見せてくれた。今回は独特の形状をした伝統のワイン入れ(デキャンタのようなもの、固有の名前はないそうだ)の作業過程を見せてもらった。
陶器はすべて手作り。柄も手描きで、トルコの国花であるチューリップ、イスラム教で天国を意味するというカーネーション、生命の樹、オスマン帝国のスルタンなどをモチーフにしたものが定番。点描で描かれた文様も実に風合いがあって美しい。
この「Ömürlü Ceramics」は、1803年創業、なんと210年もの歴史がある陶器店。外からは普通の民家のようにも見える外観だが、工房の奥には「師匠」とそのお弟子さんのギャラリーがあり、外見からは想像できない広さがある。特に緻密に彩色された高級陶器がズラリと並ぶ師匠のギャラリーは、建物の外とまるで別世界。異空間的な雰囲気が楽しめた。