旅レポ

ヨーロッパとアジアの文化が交差する国・トルコの絶景を満喫する(その3)

トルコワインと壺焼きケバブ、歴史ある陶器店を訪ねる

ワイナリーとレストラン、陶器店を訪ねた

 トルコ共和国大使館・文化広報参事官室は、7月5日から9日にかけて、トルコ最大の都市イスタンブル、および同国有数の観光スポットであるカッパドキアを巡るプレスツアーを実施した。カッパドキアは、ワインや陶器作りも盛んだ。レポート3回目となる今回は、カッパドキアのワイナリーとグルメ、陶器店などを紹介する。

カッパドキアのワイナリーでワインをたしなむ

 トルコは世界有数のぶどうの産地であり、上質なぶどうが採れる。初期キリスト教徒が住んでいたこともあって、古代からワインの醸造文化が根付いている。洞窟内は温度がほぼ一定に保たれるため、ワインの醸造、保存にも適している。

 カッパドキアを含む中央アナトリア地域は、トラキア、イズミルに続くワインの生産が盛んな地で、カッパドキアには、TURASAN(トゥラサン)とKOCABAĞ Wines(コジャバー)という有名なワイナリーが2つある。TURASANの方が規模が大きく、カッパドキアではレストランやホテルなどにもよく置かれている。

 KOCABAĞは、遺跡で有名なウチヒサルにあるワイナリー。比較的小規模だが、地元のワイン通の間では評価が高いという。ワインの本場であるフランス・ボルドーのコンサルタントから助言を受けるなど、品質の担保改良に余念がないようだ。

 トルコワインは、世界的によくワインに使われるぶどうの品種に加えて、トルコ特有のローカルな品種も楽しめるのが特徴。赤はオクズギョズ、ボアズケレ、カレジックカラス、白はエミル、ナリンジェといった品種がある。なかでもエミルは、カッパドキアのみで採れる超ローカル品種ということだ。

 いくつか試飲させてもらったが、TURASANで試飲したエミルのキリッとドライでさわやかな風味は印象に残った。オクズギョズもフルーティで飲みやすい印象。オーク樽で熟成した「SENELER=セネレル」になると厚みがでて、いかにも肉料理に合いそうな味になる。ボアズケレとブレンドされて使われることも多いという。

TURASAN
KOCABAĞ Wines
TURASANのワイナリー
ギョレメから10分くらいのところにあるウルギュップという街にあり、坂の途中の通りに面したところにある
個性的なデザインが目を引く
奥のカウンターで試飲ができる
イケメンスタッフが注いでくれた
カッパドキアを代表する2品種。左がエミル(白)、右がオクズギョズ(赤)
超高級ワインもあるが、ほとんどは30~50トルコリラ(約960~1600円、1トルコリラ=約32円換算)とお手頃。最近の為替相場は1トルコリラ=31~32円前後のため、ものすごくお買い得といえるだろう
こんな雰囲気のある一角も
TURASANでは設備も見せてくれた。これは熟成に使うオーク樽
温度管理された巨大なタンクが並ぶ
世界的に見ても一流の設備を有しているという
収穫したぶどうは中央に見える滑り台のようなものから重力で落として選果し、タンクに送り込む
KOCABAĞは巨大な一枚岩の城塞で有名なウチヒサルにある家族経営のワイナリー
無料で試飲ができる
お土産に人気の奇岩ボトルも
店内には整然とワインが並ぶ
隣にぶどう畑が敷設されている
自慢の畑を前に自らポーズをとるマネージャー
カッパドキアで生産されているぶどうの品種が一列ずつ作られている
右がエミル、左がカレジックカラス
トルコワインの赤の定番オクズギョズもあった
エミルの実。まだ若い
ぶどう畑の囲いにトルコ品種のワインを並べて
KOCABAĞのすぐ向かいには「ハトの谷」と呼ばれる谷が。名前のとおりたくさんのハト小屋が見える
ウチヒサルの要塞も見える
ぶどう畑はカッパドキアのいたるところで目にすることができる。パシャバーの近くで見かけた畑。右に見える背の低いのがぶどうの木だ
これはギョレメ近くで見かけたぶどう畑。多くはこのように棚や柵を作らずそのまま植えられているが、まれに棚や柵も見かけることもあった

燃え盛る炎の中から現われるカッパドキアの名物料理「壺焼きケバブ」

 トルコ料理は、フランス料理、中華料理と並び、世界三大料理に数えられているように、美食も魅力の一つ。カッパドキアでもさまざまなトルコ料理が楽しめる。

 今回はアヴァノスという街にあるレストラン「BIZIM EV」でカッパドキアの名物料理「壺焼きケバブ(テスティケバブ)」をいただいた。文字どおり、壺に肉、野菜、オリーブオイルなどを入れて丸焼きにした料理だ。燃え盛る炎に包まれて運ばれてくる壺はインパクト抜群。さらに、フタの生地が外され、ぐつぐつと煮えたぎるなかの食材から湯気が立ち上る様子は、なんとも食欲をそそる。

 こうした演出は店舗によって異なり、壺を叩き割って見せるところもあるそうだが、ここでは割らずに壺のまま運ばれてくる。付け合わせには、米の形をしたパスタをバターで炒ったピラフ(ピラウ)。壺の中にはよく煮込まれたたっぷりの肉とトロトロになった野菜が入っており、ピラフによく合う。

 食後にはチャイと、「バクラヴァ」「エクメキカダユフ」といったトルコの定番デザートをいただく。前者はパイ生地を重ねてナッツなどを挟んで焼いたもの、後者はパンをシロップに漬け込んだようなお菓子。ここで食べたときは「強烈に甘い」という感想しかなかったが……。

 この「BIZIM EV」は洞窟をリノベーションした洞窟レストランで、内部は涼しく、独特の雰囲気がある。最上階のテラス席は、トルコで一番長い川「クズルルマク」を眺められるなど立地も抜群。地元の人からも観光客からも人気が高いようだ。

BIZIM EV
カッパドキアの名物料理「壺焼きケバブ(テスティケバブ)」
豪快な炎の演出はインスタ映えも抜群だろう
パン生地のフタをはがしているところ
はがすとぐつぐつと煮えたぎるスープが現われる
壺の中にはたっぷりの肉が入っている。牛肉のようだ
野菜はもうとろとろに
付け合わせには、米の形をしたパスタをバターで炒ったピラフ(ピラウ)
肉肉しい見た目がたまらない。壺の中にはこの4~5倍くらいの量の肉が入っていた
国民的ブランド「EFES」のビールをいただく。トルコ滞在中はどこへいってもビールを頼むとこれが出てきた
メインの前の前菜(メゼ)。ひよこ豆のペースト(フムス)、ミントとヨーグルトのディップ(ハイダリ)、野菜と唐辛子のペースト(アジュルエズメ)、この3種類は大定番のようだ
サラダ。ざくろのドレッシングやオリーブオイルをかけて食べる
ヨーグルト系のスープ。ミントのほか、ライスやパスタも入っている。あまりなじみのない味だった
これはぶどうジュース。濃厚な味わいだった
トルコの定番デザート。中央が「エクメキカダユフ」。緑の粉(クラッシュしたピスタチオ)がかかっているのが「バクラヴァ」
トルコのチャイ。独特の形状のチャイグラスで上のフチをつまんで飲む。すっきりとしてクセのない紅茶だ
テラス席からはトルコで一番長い川「クズルルマク」を眺められる
この「BIZIM EV」は内装を洞窟風にした洞窟レストランで、内部は涼しく、独特の雰囲気がある
地下のワインセラーにはTURASANのワインも
出入り口付近はより洞窟らしい雰囲気が
出入り口の様子
「BIZIM EV」の外観
通りの雰囲気もよい

トルコで一番長い川「クズルルマク」を渡る

 壺焼きケバブをいただいた後は、アヴァノス周辺を散策した。

 アヴァノスを流れるトルコで一番長い川「クズルルマク」は、雨季になると周辺の山から大量の赤土が流れ込んで川の水が赤くなることから「赤い川」と呼ばれているそうだ。

 アヴァノスではこの川で採れる赤土、地層から採れる白い粘土を利用した陶器作りが盛んな「陶器の街」として有名。街にはところどころに陶器店があり、雰囲気のある陶器の飾りなども楽しめる。

橋を渡るクルマのなかから見たクズルルマク
同じくクルマのなかから。雨季になると周辺の山から赤土が流れ込んで赤くなることから「赤い川」と呼ばれているという
アヴァノスは、いかにも陶器の街といった雰囲気
川に近い通りに並ぶ土産物屋もよい雰囲気
川にはたくさんの水鳥が戯れていた
川沿いに置かれている少年兵の銅像
陶器の街らしい噴水?
川沿いの木々の雰囲気がよい
水鳥の様子。ひな鳥がかわいい
きれいに舗装された川沿いの遊歩道。とてもよい雰囲気だ
遊歩道沿いには、日本でもおなじみのファーストフード店も。高級な感じがする
鮮やかな水色が印象的な吊り橋
吊り橋から歩いてきた方角を
吊り橋を渡ったところから。対岸からの街の感じもとてもよい

アヴァノスの伝統陶器店で高級陶器を鑑賞

 アヴァノスの陶器店「Ömürlü Ceramics」では、実際に陶器作りの現場も見せてくれた。今回は独特の形状をした伝統のワイン入れ(デキャンタのようなもの、固有の名前はないそうだ)の作業過程を見せてもらった。

 陶器はすべて手作り。柄も手描きで、トルコの国花であるチューリップ、イスラム教で天国を意味するというカーネーション、生命の樹、オスマン帝国のスルタンなどをモチーフにしたものが定番。点描で描かれた文様も実に風合いがあって美しい。

 この「Ömürlü Ceramics」は、1803年創業、なんと210年もの歴史がある陶器店。外からは普通の民家のようにも見える外観だが、工房の奥には「師匠」とそのお弟子さんのギャラリーがあり、外見からは想像できない広さがある。特に緻密に彩色された高級陶器がズラリと並ぶ師匠のギャラリーは、建物の外とまるで別世界。異空間的な雰囲気が楽しめた。

Ömürlü Ceramics
「Ömürlü Ceramics」。創業1807年、創業210年の伝統陶器店だ
職人さんによる実演。ろくろは足で回す。今回は右の店主が持っている「ワイン入れ」を作っている
ワイン入れはこのように使う
あっという間に円形の部分が完成
足の部分が終わり、注ぎ口の部分の成形に
見事な手さばきで形を作っていく
最後にパーツをつなぎ合わせて……
見事に完成
点描の文様は、店主が手に持っているスポイトのような道具で丁寧に彩色される。机の上には、チューリップやカーネーション、オスマン帝国のスルタン、生命の樹といった定番の柄の皿が並ぶ
彩色している職人さん
奥にはさらに通路が……
通路の先には高級陶器が並ぶ「師匠」のギャラリーがある
高級なオーラを発する陶器がズラリと並ぶ
左下に見える額縁に入った作品の図柄が「生命の樹」
オスマン帝国のスルタンをモチーフにした作品
どれもが圧倒的な存在感だ
歴史の重みを感じさせる文様
少し小ぶりなワイン入れ
緻密な装飾が印象的だ。一部しか見えないが、注ぎ口の部分にはチューリップが描かれている
この辺りのワイン入れの柄は、古代人や馬などをデフォルメした文様で「ヒッタイト柄」と言われている
この辺りの作品は蓄光塗料が使われている
暗くするとこのように光る
すべて手作りの一点物だ
この奥がお弟子さんのギャラリーだそうだ
お弟子さんのギャラリーの様子。やはり少し雰囲気が違い、比較的庶民的な作品が多い
伝統ある陶器店らしい雰囲気の空間だ
奥は来た道とは違う出入口に続いている

鈴木雅暢

フリーランスのライター、時々フォトグラファー。IT系雑誌の編集者を経て独立。主にIT系雑誌やWebメディアへの寄稿を中心に活動している。旅先の写真はさりげないライブ感を大事にしている。