旅レポ

ヨーロッパとアジアの文化が交差する国・トルコの絶景を満喫する(その1)

「三姉妹の岩」「らくだ岩」などカッパドキアの奇岩群を訪ねる

奇岩群で知られるトルコ・カッパドキアを訪ねた

 トルコ共和国大使館・文化広報参事官室は、7月5日から9日にかけて、トルコの最大の都市イスタンブル、および同国有数の観光スポットであるカッパドキアを巡るプレスツアーを実施した。

 その模様をレポートしよう。

古代の火山活動によって形成されたさまざまな奇岩

 最初に訪れたのはカッパドキア。カッパドキアは、トルコの国土のちょうど中央部、中央アナトリア地方にある世界遺産(複合遺産)にも登録されている歴史・自然遺産地区である。カイセリ空港からクルマで1時間ほどの距離にある。

 カッパドキアの名物といえば「奇岩」。円錐形、尖頭形、円柱形、キノコ形、帽子をかぶっているように見える形のものなど、それぞれ個性的な形状をしたさまざまな岩石群が、南北約50kmの範囲内に点在している。

 近隣にはエルジエス、ハサン、ギュルルといったかつての活火山があり、この奇岩は、数百万年前に繰り返されたこれらの火山活動の噴出物(溶岩が固まった火成岩、火山灰が押し固まった凝灰岩など)が堆積して地層を形成し、それが長い年月をかけて浸食されてできたものだという。こうした火山活動によってできた地層は柔らかく掘りやすいため、こうした奇岩を掘って住居や教会として利用された跡もある。

 特徴的な岩には、その形状から「三姉妹の岩」「らくだ岩」などと名前が付けられている。今回は代表的な奇岩スポットをひととおり巡ることができたので紹介していこう。

トルコで2番目に高い山「エルジエス」。標高は3916メートル。数百万年前の火山活動がカッパドキアの特徴的な奇岩を生み出した
カッパドキアのウルギュップという街にあるホテルから見た景色。街全体の雰囲気が素晴らしい

三姉妹の岩(エセンテペ)

 エセンテペには「三姉妹の岩」と呼ばれる有名な3つ1組の奇岩がある。角度によっては2つしか見えないが、背の高い2つの岩の間に寄り添うようにして3つ目の岩がある。この三姉妹の岩付近は周囲より標高が高い位置にあり、周辺の山や畑などを見下ろすことができる。

「三姉妹の岩」はこの角度からだと2つしかないように見えるかもしれない。筆者も奥の岩と合わせて三姉妹だと思っていた
少し近くに寄って見ると、大きな岩の間に小さな岩があるのが分かる
小高い丘の上から見た「三姉妹の岩」この角度だとよく分かる
周囲より高いところにあるため、見晴らしがよい。この日は少し雲が多かった
三姉妹の岩の奥にあるこの岩もなかなか存在感はあったが、特に名前はないという
岩とは反対側の眺めもよい
三姉妹の岩にも、下方にある岩にも、ところどころ穴がある。過去に人が穴を掘って別荘のように使っていたのではないかということだ
丘の上からの眺め
観光スポットとしては小規模だが売店などもある
売店の様子
カラフルなバッグが印象的

ラクダ岩(デヴレント渓谷)

 デブレント渓谷には「ラクダ岩」や「ナポレオンの帽子」と呼ばれる個性的な奇岩が楽しめる。今回は夕方にごく短時間立ち寄っただけだったが、ちょうどプロのカメラクルーを連れて結婚記念の写真を撮影しているカップルがいた。このように、奇岩のある渓谷を背景にした記念写真は人気があるという。

これが有名な「ラクダ岩」。まさにラクダ。当然ながら掘って作ったのではなく、自然の産物である
ラクダ岩の奥にも個性的な形の岩がある
中央にあるのが「ナポレオンの帽子」。いまひとつピンと来ないが、言われて見れば……といったところ
エリンギやしめじのような形をした岩も
岩には植物が生えている
結婚記念写真を撮っている様子
こうした光景はよく見かけるのだという

きのこの谷(パシャバー)

 パシャバーには、きのこのような形をした岩が多数並び、「きのこの谷」とも呼ばれているという。高い場所まで上って見下ろすと、眼下に奇岩のパノラマが広がる。この日は抜けるような青い空が広がる快晴で、凝灰岩の白さとのコントラストが実に鮮やか。まさに絶景といえる眺望が楽しめた。

 なお、この地域は観光スポットして大規模な再整備が進んでいる最中だということで、露店などは撤去されてモールのような場所へとまとめられ、ライトアップ設備の導入などが予定されているという。

いきなり目に飛び込んできたこの岩で「きのこの谷」の由来を理解する
まさに「きのこの谷」という感じ
少し高い丘からの眺め。また印象が異なる
少し角度を変えると周囲には畑が広がる
反対側もまた畑だ
さらに上へと上る。抜けるような青い空と凝灰岩のコントラストが鮮やかだ
何か別の惑星に降り立ったような感覚すらある
スケールの大きさに圧倒される
先ほど上ったところを降りて見上げたところ
日差しが強く、ゴーストが出ているが、あえて残した
とにかく岩がいっぱい
見事なきのこ形だ
小さなあんずの木にぶどうが絡まっていた
人が住んでいたと思われる岩も
奇岩に囲まれた風情のある売店。正面はあんずの木だ
また別の奇岩を目指す
馬に乗って散策することもできるという
おもしろい形の岩だ
こうして見ると地層がよく分かる
ラクダに乗って記念撮影ができる
馬は木陰につながれている。とてもおとなしい
お食事中失礼しました
なかなかのグッドルッキングホースだ
露店でひと休み
ジュースバー。おじさんがその場でガシガシ搾ってくれる
オレンジジュースは7トルコリラ(約230円、1トルコリラ=約32円換算)
店内の様子

レッドバレーで夕陽を鑑賞

 夕陽の鑑賞スポットとして有名なレッドバレー。丘の上にクルマで行ける鑑賞エリアがあり、売店などが並び、家族連れやカップルなど夕陽目当ての客でにぎわう。さらに丘を登って上のほうまで行くこともできる。

 夕陽を浴びて岩肌が赤く染まる様子はまさしく「レッドバレー」。空を見上げれば、JPEGでは圧縮のアラが目立ってしまうほどの美しく壮大な自然のグラデーションが展開される。幻想的な夕陽写真が取り放題だ。

 ちなみに、「夕日」と「夕陽」はどちらも正しいが、厳密には前者は沈みゆく太陽そのもの、後者は太陽が放つ光を表わすという解釈が多数派のようである。

 また、ここでもやはり結婚記念の写真を撮影するカップルとスタッフが何組かいた。図らずも、夕陽を背にカップルが情熱的な口づけを交わす幻想的な写真も撮れてしまった。

夕陽を浴びて岩肌が赤く染まる様子はまさしく「レッドバレー」
レッドバレーの鑑賞エリア。家族連れやカップルでにぎわっていた
ベストポジションを求めて散っていく人々。結婚記念写真を撮影する方の姿も
夕陽をバックに口づけを交わす男女を谷の少し下のほうから
コントラストを調整してドラマティックに仕上げてみた
谷の様子も素晴らしく美しい
夕陽の光をどう処理するか、現像手腕が問われるところだ
夕日が沈む様子をドラマチックに
夕日が沈みきるまでにはそこそこ時間があるので、画角や露出などいろいろ試せる
日没後はさくさく撤収していく
鑑賞エリアにはラクダの像?が
日没後の鑑賞エリアの様子。いかにも祭りのあとといった空気
鈴木雅暢

フリーランスのライター、時々フォトグラファー。IT系雑誌の編集者を経て独立。主にIT系雑誌やWebメディアへの寄稿を中心に活動している。旅先の写真はさりげないライブ感を大事にしている。