旅レポ
ルーベンスからモンドリアン、ミッフィーまで! アートに触れて美食に酔いしれるオランダ&ベルギーの旅(その4)
ミッフィーのふるさとユトレヒトを散策、オランダ前編
2017年10月31日 11:00
ベルギー・フランダースとオランダを巡るプレスツアーレポート、ここからはオランダ編をお送りします。まずはミッフィーのふるさとユトレヒトから。ディック・ブルーナさんの絵のように、空の青色、植物の緑色、お花の赤や黄色が印象的な美しい街でした。
半日かけてゆっくり見たい! セントラール・ミュージアムとミッフィー・ミュージアム
ユトレヒト。遠いヨーロッパの国にある小さな街ですが、私にとってはずっと行きたいと思っていた憧れの街でした。なぜなら大好きな絵本作家ディック・ブルーナさんが生まれ育った街だから。残念ながらブルーナさんは2017年2月に87歳で亡くなってしまいましたが、ブルーナさんが愛し、生涯のほとんどを過ごしたユトレヒトを歩いていたら、向こうから自転車に乗ったブルーナさんとすれ違いそうな気がしました。
ユトレヒトでまず訪れたのはセントラール・ミュージアム。ここは、アート、デザイン、ファッションなどさまざまな分野のコレクションを所蔵するオランダで最も古い市立博物館です。デ・スタイル派のメンバーの一人であり、オランダの建築家&デザイナーのヘーリット・トーマス・リートフェルトの作品を数多く所蔵することでも有名です。
セントラール・ミュージアムから3kmほど離れたところにあるシュローダー邸は、リートフェルトがデザインして1924年に建てられた住宅で、ユネスコの世界文化遺産にも登録されている貴重なモダニズム建築です。日本が大正時代のころに、こんな斬新なおうちをデザインしたなんて! ここは予約制ですがガイドツアーでの見学が可能です。興味のある方はぜひ。
セントラール・ミュージアムで私が一番興奮した展示室が、再現されたディック・ブルーナさんのスタジオです。実際のブルーナさんのアトリエがそうであったように、ここのアトリエも屋根裏部屋に作られています。一部の展示品を除いて「触っちゃダメ」といった規制がほとんどなく、“どうぞご自由にブルーナの世界を体感してみてください”というスタイルなので、本物のアトリエにお邪魔しているような気持ちになれました。
作業場の真ん中にある大きな白いキャビネットの引き出しは「どうぞご自由に」となっていたのでドキドキしながら開けてみると、なんとそこには赤や青、黄色、茶色の色紙が! “ブルーナ・カラー”と呼ばれる基本の色です。こ、これは感動! ブルーナさんの絵本はこれらの限られた色のみで構成され、キャラクターの色はもちろん感情や自然などを表わしています。なのでこの色紙を手にするということは画家の使っていた絵の具を触るようなもの! ちょっと手が震えてしまいました。
いつまでも居られそうなセントラール・ミュージアムをあとにして、道路をはさんで向かい側にある「ミッフィー・ミュージアム」へ。ここは以前「ディック・ブルーナハウス」という名前でしたが改装改名して2016年2月にオープンしています。
ここは一言でいうと“絵本の世界を体感できるミュージアム”。施設としては子供向けですが、大人も童心に返って楽しめるブルーナ・ワールドです。
セントラール・ミュージアム
所在地:Agnietenstraat 1, 3512 XA Utrecht, Netherlands
Webサイト:セントラール・ミュージアム(英語)
ミッフィー・ミュージアム
所在地:Agnietenstraat 2, 3512 XB Utrecht, Netherlands
Webサイト:ミッフィー・ミュージアム(英語)
シュローダー邸
所在地:Prins Hendriklaan 50, Utrecht, Netherlands
Webサイト:シュローダー邸(英語)
運河で栄えたユトレヒトの街を散策
続いてユトレヒト中心街の散策です。オランダ第4の都市ユトレヒトは運河とともに発展してきた街。ぐるりと街を取り囲むユトレヒトの運河は、アムステルダムなど、ほかの都市と違って道路より低い位置にあるのが特徴です。河畔にある空間は運河によって運ばれてきた物資などの倉庫だった場所なのですが、今はそこがカフェやレストランとして使われ賑わっています。赤や黄のカラフルなパラソルが並んでいて、まるで絵葉書のような風景でした。
賑わう街の中心部にある、ブルーナさんがお気に入りだったというお菓子屋さんに立ち寄ってみました。「テオ・ブロム」というこちらのお店、赤い外観でとってもかわいらしい洋菓子屋さん。ブルーナさんはここのバタークッキーがお気に入りだったそう。私もミッフィーが描かれたクッキーをお買い上げ。
ユトレヒトの街には、ほかにもミッフィー名所がいくつかあります。まずはこちら。世界でココだけのミッフィー信号機。ランゲ・フィー通りという大きな交差点にありますが、知らないと気づかないさり気なさなのでご注意を。
ほかにもミッフィー名所はいくつかあります。
旅のベストシーズン、しかもこの日はお天気がよかったこともあって、ユトレヒトは“憧れの街”から“大好きな街”になりました。次に行くことがあったら、運河沿いのカフェでゆっくりお茶をしながらのんびり滞在したいな~。
ディック・ブルーナさんがご贔屓にしていた洋菓子店「テオ・ブロム」
所在地:Zadelstraat 23, 3511LR Utrecht, Netherlands
Webサイト:洋菓子店「テオ・ブロム」(オランダ語)
お花屋さん併設の人気レストラン
ユトレヒトの夜は、お花屋さんでもありレストランでもあるというちょっと風変わりなレストラン「Le Jardin Utrecht」で、とびきりオシャレなディナーをいただきました。シックな店内席もあるのですが、ほとんどの人がオープンテラス席で食べていたのがユトレヒトらしいところ。お花を買いに来たついでにグラスワインを一杯な感じのご婦人の姿もいて、なんて優雅なんですの~と思いました。
Le Jardin Utrecht
所在地:Mariaplaats 42, 3511 LL Utrecht, Netherlands
Webサイト:Le Jardin Utrecht(オランダ語)
ユトレヒト観光に最適! ロケーション良のスタイリッシュホテル
ユトレヒトの宿泊は街の散策に便利な場所にある「Court Hotel City Centre Utrecht」。全27室のアットホームなホテルは、ドム塔へはほんの数分、セントラール・ミュージアムやミッフィー・ミュージアムからも歩いて10分ほどというロケーションです。各部屋の壁には有名人の顔が切り絵っぽくプリントされていて、私の部屋は若かりしころのアル・パチーノ!
Court Hotel City Centre Utrecht
所在地:Korte Nieuwstraat 14, 3512 NM Utrecht, Netherlands
Webサイト:Court Hotel City Centre Utrecht(英語)
巨大な青空市場マルクトハルは超近代的な食のマーケット
続いてオランダ第2の都市ロッテルダムのご紹介です。ロッテルダムは近代建築の街。なかでも有名なのが2014年にできた屋内マーケット「マルクトハル」です。世界的に活躍するオランダのデザイン事務所MVRDVが手がけたその建物は、巨大なトンネルのような外観で、マーケット以外の上部は住宅やオフィスになっています(それもすごい!)。何はともあれこの食の市場、お買い物にも食べ歩きにもサイコーに楽しい場所でした。
いずれはここも世界遺産!? キューブハウスはめちゃくちゃ楽しかった
マルクトハルからほど近いところある「キューブハウス」もロッテルダム観光の目玉の一つです。私、最初見たときは思わず「なんじゃこりゃ~」と声を上げてしまったほど。いくつもの黄色いブロック状の建物から成るこの「キューブハウス」は、1984年に建てられた集合住宅。そうなのです! フツーに人が住んでいるんです。その不思議っぷりを360度画像でどうぞ。
Post from RICOH THETA. -Spherical Image - RICOH THETA
そのなかの一つは有料(3ユーロくらい)ですが見学ができるということで興味津々で中へ入ってみると、これが思っていた以上に面白かった! ちゃんと床は平らで(当たり前)、これなら私も住めそう……かな? 方向感覚が若干狂いそうですが、1週間くらいの期間限定なら住んでみたいかも!
往時に思いを巡らせながらシーフードランチ@ホテルニューヨーク
ロッテルダムでのランチは、埠頭にある、船会社の昔の本社ビルをリノベーションした歴史ある建物で、てんこ盛りのシーフード。今でもクルーズ会社として運航しているホーランド・アメリカ・ラインは、1800年代にロッテルダムからニューヨークへの大西洋航路をスタート。当時はそれに乗って大勢のヨーロッパ人がアメリカへ移民として渡っていきました。3階建てのレトロモダンな建物は現在「ホテルニューヨーク」として営業していて、今回はこのなかにあるレストランでのランチでした。
次回のオランダ後編は、デ・スタイル100周年に湧いていたハーグの街と、オランダの首都アムステルダムをご紹介。モンドリアンやフェルメールを鑑賞してきましたよ。お楽しみに~♪