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北陸新幹線、いよいよ延伸開業する金沢~敦賀間に試乗。JR敦賀駅に増設された巨大な新駅舎・連絡通路も歩いてみた!

特急サンダーバード・しらさぎは敦賀止まりに

2024年2月1日 実施

いよいよ開業する北陸新幹線 金沢~敦賀間で試乗会。敦賀駅に増設された新駅舎・連絡通路も公開

 JR西日本は2月1日、この春開業する北陸新幹線 延伸区間(金沢~敦賀)の報道試乗会を行なった。

 北陸新幹線 金沢~敦賀は延長約125km、石川県と福井県の2県をまたぎ、全7駅(金沢/小松/加賀温泉/芦原温泉/福井/越前たけふ/敦賀)を停車駅とする区間。いよいよ3月16日の開業を前に、各地域・駅舎での準備が大詰めを迎えている。

 今回の報道試乗会では、W7系が実際に敦賀~金沢間を走行。また、北陸新幹線の当面の終着駅となる敦賀駅では、増設された巨大な新駅舎と在来線につながる連絡通路がお披露目された。

福井県敦賀市にあるJR敦賀駅
開業に向けて、駅周辺施設も整備されている
在来線ホームと新駅舎をつなぐ連絡通路には動く歩道が設けられている

東京からも、大阪からも、所要時間がグッと短縮。北陸の旅がもっとスムーズになる

北陸新幹線 金沢~敦賀間は「かがやき」「はくたか」を1日14往復で運行

 開業後は、首都圏・信越方面から敦賀まで直通する北陸新幹線「かがやき」(速達)と「はくたか」(各停)を1日14往復で運行。

 また、大阪・名古屋・米原方面から北陸エリアに行く場合は、まず特急「サンダーバード」「しらさぎ」で敦賀へ。そして敦賀の新駅舎内で接続する北陸新幹線「つるぎ」(速達・各停)に乗り換えることで、スムーズに金沢・富山まで到達できる。

米原駅を出発する特急サンダーバード
延伸区間が開業すると、金沢ではなく「敦賀」止まりになる
米原駅を出発する特急しらさぎ
こちらも延伸区間が開業すると、金沢ではなく「敦賀」止まりになる

 今回の延伸によって東西各方面のアクセスがスムーズになり、北陸がさらに身近になる。主な区間の所要時間(最速達列車の場合)は以下のとおり。

最速所要時間

東京~福井:2時間51分(36分短縮)
東京~敦賀:3時間8分(50分短縮)
※北陸新幹線を利用

大阪~福井:1時間44分(3分短縮)
大阪~金沢:2時間9分(22分短縮)
大阪~富山:2時間35分(29分短縮)
※特急サンダーバード→北陸新幹線を利用

名古屋~福井:1時間33分(3分短縮)
名古屋~金沢:2時間9分(16分短縮)
名古屋~富山:2時間35分(23分短縮)
※東海道新幹線→特急しらさぎ→北陸新幹線を利用

 なお、開業に伴い特急「サンダーバード」「しらさぎ」の敦賀~金沢間は運転を終了し、3月16日からは全席指定席・敦賀駅止まりに変更される。

 また前述のとおり、今後特急は現行の在来線ホームではなく、新幹線への乗り換えがスムーズな新駅舎1階の特急用ホームに発着となる(乗り換え標準時間は8分)。

最高速度260km/hの北陸新幹線、金沢~敦賀間は最速41分に! いよいよ開業する延伸区間に乗ってみた

新駅舎のホームに入線してくるW7系。北陸新幹線 E7系・W7系は、2015年3月の金沢延伸開業でデビューした車両

 新たに金沢~敦賀間を走る北陸新幹線「かがやき」「はくたか」「つるぎ」は、E7系・W7系の各12両編成で運行。いずれも最高速度260km/hを誇る。

 たとえば金沢→敦賀の所要時間は、これまで特急サンダーバードで約1時間12~29分、特急しらさぎで約1時間20~23分かかっていたところ、開業すれば「かがやき」(停車駅がもっとも少ない最速達列車の場合)なら41~43分で到着。

 座席は、「かがやき」「はくたか」「つるぎ」のいずれも普通車(1~10号車)/グリーン車(11号車)/グランクラス(12号車)の3タイプあり、「かがやき」は全席指定席、「はくたか」は1~4号車が自由席。また、特急と接続する敦賀~金沢・富山間の「つるぎ」(計25往復)の自由席は1~2号車となる。

北陸新幹線 W7系(普通車)
北陸新幹線 W7系(グリーン車)
北陸新幹線 W7系(グランクラス)

 普通車・グリーン車・グランクラス、いずれも全席にコンセントが備わり、大きなキャリーケースが収まる荷物置場も各車両に設けられている。

 デッキの手洗い場は、ハンドソープを出して水を流して風で乾かすまで、非接触の全自動式というのもありがたい。

各車両内には大型荷物置場。その分、デッキのトイレと洗面台は広々

 報道試乗会では、実際に敦賀~金沢間を走行。今回は上り(敦賀→金沢)を体験してみた。完成したばかりの敦賀駅 新駅舎ホームに入線してきたW7系。発車すると、ぐんぐん加速していく。

 しばらくして、さっそく注目ポイントの1つ「新北陸トンネル」を通過する。

 新北陸トンネルは、およそ60年前に開通した在来線の「北陸トンネル」と並行するかたちで建設されたもの。在来線の北陸トンネルは全長約14kmあり、特急サンダーバード・しらさぎでも通過に7分かかる。

 これに対し、北陸新幹線(敦賀~越前たけふ間)にできた新北陸トンネルは全長約20km。北陸トンネルの約1.5倍の長さでありながら、最短5分で駆け抜けることができる。

 長いトンネル内で最高速度260km/hに到達する新型ならではのスピードと、トンネルを抜ける瞬間に感じられる風の勢いが醍醐味だ。

 さらに、3月の開業に合わせて電波遮へい(これまで電話やネットが繋がらなかった)対策が進められ、北陸新幹線すべてのトンネル内で携帯電話が利用可能になったという。この新北陸トンネルに差し掛かっても、ネット回線が途切れることなく使用することができた。

北陸新幹線と並行して走る在来線(北陸本線)

 敦賀を出発して2つのトンネル(新北陸トンネル/深山トンネル)を抜けると、ほどなくして県内で唯一JR駅に併設しない新駅「越前たけふ駅」、続いて巨大な恐竜モニュメントが出迎える「福井駅」、東尋坊の最寄り駅で、あわら温泉の旅情があふれる「芦原温泉駅」を通過。

 そして石川県に入り、国道8号と交差する橋長339mの“細坪橋梁”を渡ると「加賀温泉駅」へ。しばらくすると進行方向右側には日本三名山の一つに数えらえる霊峰白山が見えてくる。

 さらに進むと、“勧進帳”の舞台として知られる歌舞伎のまちの「小松駅」、延伸区間の雪対策として建てられた施設“川北除雪基地”内を通過して、日本有数の急流河川である手取川に架かる“手取川橋梁”を渡る。

 だんだん賑やかな街の景色が見えてきて、ついに「金沢駅」へ到着。

金沢駅
金沢駅の新幹線のりば

 新幹線の開業に向けてリニューアルした駅舎や駅前の街はもちろん、新しいトンネルに橋梁、安全に運行するための整備基地といった構造物、自然の絶景など、40分ちょっとの区間に見どころが詰まっているようだ。

北陸新幹線、当面の終着駅となる「敦賀駅」。増設された巨大な新駅舎と連絡通路を見てきた!

 さて、北陸新幹線の延伸区間が開業すると「敦賀駅」が当面の終着駅となる(敦賀~京都・新大阪は時期未定)。

 敦賀駅の在来線改札やメイン出入口のある元々の駅舎の東側に増設された新駅舎。コンセプトは「空にうかぶ~自然に囲まれ、港を望む駅」で、敦賀湾の波の煌めきを表現した外観デザインとなっている。

在来線の改札・ホーム
その東側に新駅舎
3階建の新駅舎。外観デザインは敦賀湾の波の煌めきを表現。手前は在来線ホーム

 敦賀駅前はタクシー乗り場やバスプールが整備され、2022年9月には憩いの複合施設「otta(オッタ)」が隣接オープンした。

 その施設内には、映えスポットとしても人気がある全国初の公設民営書店「ちえなみき」をはじめ、ホテル、飲食店、土産店などが入っており、列車の待ち時間や休憩などに便利。

公設民営書店「ちえなみき」
複合施設「otta(オッタ)」
敦賀駅交流施設「オルパーク」
館内には北陸新幹線の開業を祝うフォトブースも
敦賀駅前にはバスプールとタクシー乗り場

 新駅舎の建物は3層構造。3階に新幹線ホーム、2階に新幹線の乗換改札コンコース、1階には前述した在来線特急ホームがある。全高37mで、新幹線駅では日本一という。

 元々ある駅舎の正面出入口(西側)から新幹線コンコース(東側)までは、新設された「連絡通路」の動く歩道、階段、エスカレーター、エレベーターを使って移動できる。

在来線 敦賀駅の正面改札を通る
階段・エスカレーターをのぼって在来線コンコースへ
在来線コンコースから望む山々も美しい
在来線6番ホームの先に、新駅舎へつながる連絡通路が増設
こちらが動く歩道
その先に階段・エスカレーター・エレベーター
上がっていくと、新駅舎2階コンコースにたどり着く
新駅舎の2階コンコースに到着。敦賀駅正面出入口からここまで、自分の足で歩いて6~10分くらいだった
新駅舎は1階~3階の3層構造

 コンコースにたどり着くと、まず印象的だったのは天井が高く開放感のある広さ。独特な造形の天井は、江戸時代の経済活動を支えた日本海海運「北前船」の帆をイメージしたものだとという。コンコースは全長200mあり、こちらも新幹線駅で日本一の長さを誇る。

長さ200mある新駅舎の在来線構内コンコース

 その中央には、新幹線乗換改札がずらりと19通路。ほかにもコンコースには、きっぷ売場やインフォメーション、改札内外のトイレ、山並みの景色を楽しめる休憩室などが完備されている。

新幹線乗換改札は19通路も
在来線構内コンコースにきっぷうりば
景色を楽しめる待合室と広いトイレは2階コンコースの両端(在来線側/新幹線側)にある
コンコースの柱には「つるがの山車」に飾られるさまざまな水引幕を展示
在来線構内コンコース(大阪・名古屋方向)
1階へ降りると、特急サンダーバード・しらさぎが発着する新たなホーム(31・32/33・34)がある
敦賀~大阪・名古屋を結ぶ、特急列車のホーム
こちらは乗換改札を通った先の、新幹線構内コンコース(金沢方向)
3階に上がると新幹線ホーム(11・12/13・14)となる

 新幹線ホームのある3階に上がってみると、床は船の甲板をイメージした木彫タイルになっていて、従来のプラットホームとはひと味違うオシャレな雰囲気を醸す。

 また、敦賀市の鳥・ユリカモメをモチーフにした大屋根や、船をモチーフにしたホーム待合室。ホーム安全柵のガラス面には福井県の景勝地や季節行事、名物グルメの写真が並ぶなど、まるで敦賀駅から始まる旅のワクワクを掻き立てるような工夫が散りばめられている。

新幹線ホームの床は船の甲板をイメージした木彫タイル

 この日の報道試乗会では、延伸区間の各自治体が敦賀駅新駅舎に集まり、コンコース内に特設したブースでパンフレットやグッズの配布、ゆるキャラたちによる出迎えなど、観光PRを行なった。

 2月3日~4日に実施される一般向けの試乗会には15万325名もの応募があり、当選した2000名が参加する予定とのこと(抽選倍率約75倍)。その際にも、各市町や観光協会、地元の学生ボランティアが一丸となってもてなし、開業日に向けてお祝いムードを盛り上げる。

試乗会の参加者と記念撮影に応じる観光敦賀キャンペーン隊の2人
延伸区間の各自治体がブースを設け、観光PRや記念品プレゼントを行なった