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北陸新幹線で東京から一直線、JR福井駅前の高層ビル「コートヤード・バイ・マリオット福井」に泊まってみた

2024年6月上旬 時点

この春開業した「コートヤード・バイ・マリオット福井」に泊まってみた

 北陸新幹線の延伸にあわせて、この春3月15日に開業した「コートヤード・バイ・マリオット福井」(福井県福井市中央1-3-5)。JR福井駅西口すぐ目の前にそびえる28階建て複合ビル「FUKUMACHI BLOCK(ふくまちブロック)」の高層階に位置しており、市内の眺望を見渡しながら滞在することができる。

 今回ここに泊まる機会が得られたので特徴や見どころを紹介していく。

コートヤードは中価格帯のビジネス旅行者向けホテル。福井店のコンセプトは「枯淡」

 マリオット・インターナショナルが展開するブランドのひとつ「コートヤード・バイ・マリオット」は、シンプルかつ機能的な居心地を設えたビジネス旅行者向けクラシカルホテルであり、同ホテル含め現在国内に8軒。ラグジュアリークラスの「ザ・リッツ・カールトン」や「エディション」、プレミアムクラスの「マリオット・ホテル」や「シェラトン」に比べ、セレクトクラスに部類される同ホテルは中価格帯の設定だ。

JR福井駅西口すぐ目の前に誕生した複合ビル「FUKUMACHI BLOCK」の高層階にホテルが入る

 県都の玄関口・福井市においては初の外資系ホテルとなり、北陸新幹線の敦賀~金沢開通によって見込まれる国内外からの観光客増加に応えるべく、駅前開発エリアに満を持して誘致された。近隣ホテルの約2倍くらいお高めではあるものの、これまで街になかったインターナショナルホテルができたことで、観光やビジネスで訪れる人の宿泊はもちろん、地元客も週末バカンスや快適なリモートワークの場としてさっそくランドマークのひとつになりつつある。

 館内には白山や夜景を一望できる福井唯一のレストランと、各席に電源とUSBポートを完備したバーラウンジがあるため、“宿泊なし”で飲食だけ楽しむといった使い方も可能。

新幹線の延伸開業に向けて整備された福井駅
新幹線ホームでは恐竜たちがお出迎え。よく見ると、恐竜が咥えているのは越前がに‥‥‥?
駅前に恐竜広場が設けられている。「コートヤード・バイ・マリオット福井」が入るのは右の高層ビル
こちらは福井県内で発見された「フクイティタン」の模型。本物は全長10mあるという
JR福井駅西口にはバスターミナルとトラム乗り場がある
大河ドラマ「光る君へ」の重要な舞台としても注目の福井県。写真はラッピングトラム

 建物デザインは質素で洗練されている意を表わす「枯淡(こたん)」がコンセプト。福井の伝統工芸を随所に取り入れ、奥深い「美」を表現している。

 また国内随一の恐竜化石の産出地である“恐竜王国福井”ならではのアートやインテリア、至るところにこっそり飾られた恐竜フィギュアや折り紙は、大人でも思わずニヤッとしてしまいそうなチャームポイントだ。

エントランスは3階。レセプションには越前漆器の伝統技法“吹き漆”で艶やかに仕上げられたカウンターを配置している
フロントへ向かう拭き抜け部分には宇宙開発にも採用される“三軸織物”を使い、恐竜の骨格やDNAの螺旋をイメージした空間アートも
フロント・ロビーは16階

シンプルで機能的な4タイプ全252室。福井の街並みとマウンテンビューが美しい

 客室は17~28階に全252室ある。最もスタンダードな客室タイプの「スーペリア」(108室)と「デラックス」(120室)はそれぞれキングとツインから選べ、広さは25m2。そのほか開放的な38m2の部屋にキングベッドを配した「コーナーデラックス」(12室)、そしてリビングとキングベッドルームの2部屋からなる49m2の「スイート」(12室)を用意。いずれも福井の街並みとマウンテンビューを見渡すことができる。

 ベッドボード側の壁紙には越前和紙が用いられており、福井市の足羽山周辺で採掘される笏谷石(しゃくだにいし)をイメージした淡いブルー。

デラックスキング(25m2
デラックスツイン(25m2
コーナーデラックス(38m2
コーナーデラックスの洗面台。シャワーだけでなくバスタブも備わる
スイート(49m2
スイートのベッドルームとリビング
スイートはセカンド洗面で、シャワールームにバスタブ付き

 ちなみに今回、記者が泊まった「デラックスキング」は全室東側に配置されている。眼下には新幹線が発着するJR福井駅や駅西口“恐竜広場”の賑わいを望み、大きな窓際に配されたワークデスクとソファベッドで寛ぎながら遠くの山々と美しい夕景も楽しめるという造りだった。

 主な設備は全タイプ共通で、テレビ、冷蔵庫、空気清浄機、クローゼット、セキュリティボックス、ミネラルウォーター、コーヒー&ティーメーカー、部屋着、スリッパ、大中小のタオル、SALONIAのヘアドライヤーなど。館内と客室で無料Wi-Fiが使えるのはもちろん、電源コンセントとUSB Type-C/Type-Aポートがベッド両サイドに備わるのも便利なポイント。

 アメニティはヘアブラシ、歯ブラシセット、ボディクリームなどごく簡易的なので、化粧水などは自身で用意していく必要がある。

 バスルームにはシャンプー、コンディショナー、ボディソープ。ただしスーペリアとデラックスは“シャワーのみ”で、コーナーデラックスとスイートにはバスタブも完備されている。

 宿泊料金は時期により変動し、一例としてスーペリア1泊1室(最大2名)あたり平日1万8000円~週末3万2000円(税・サービス別)となっている。

デラックスキング(26階)からの眺め
客室設備・アメニティなど

地産地消にとことんこだわる3つのレストラン。宿泊なしでも利用でき、プチ贅沢を味わえる

 さて、客室だけでなく飲食施設まで福井らしさにこだわったのが「コートヤード・バイ・マリオット福井」。館内では、朝食ビュッフェなどを提供するオールデイダイニングレストラン「SUBSTANCE(サブスタンス)」(15階)、食材の宝庫・福井の恵みをたっぷり堪能できる「日本料理 福い」(15階)、フロント・ロビーに隣接する「The Lounge&Bar(ラウンジ&バー)」(16階)の3店舗が営業。もちろん、日本酒「黒龍」などで知られる地元の銘酒やワインも各店舗で揃う。

 食事は宿泊料金に含まれていないので、必要に応じて朝食やディナーを予約していただきたい。また前述したように、宿泊なしでレストランのみ利用ができるため会食やデートにもぴったりだ。3店舗それぞれの特徴を紹介しよう。

カフェ感覚で過ごせる「The Lounge&Bar(ラウンジ&バー)」

 まずはフロント・ロビー奥に隣接する「The Lounge&Bar(ラウンジ&バー)」(全日10時~23時)。朝昼はカフェ感覚で、紅茶やコーヒー、軽食、季節のスイーツをオーダーできる。14時からは越前漆器の“玉手箱”で供されるアフタヌーンティーセット(1人5800円)、17時からのハッピーアワーでは地元ブランドのトマトを使用したオリジナルカクテル「ブラッティー越のルビー」などのメニューを味わえる。カウンター席、テーブル席、ソファ席など多彩なタイプがあるが、そのほとんどに電源コンセントとUSB Type-C/Type-Aポートを備える点もありがたい。

カフェ感覚で過ごせる「The Lounge&Bar」
チェックインした日の午後は、越前漆器の玉手箱アフタヌーンティー
とみつ金時のスコーンや胡麻プラリネムース、黒米フリットなど、福井らしい和洋菓子とセイボリーが12~13品
ハッピーアワーは、地元ブランドのトマトを使ったカクテル「ブラッティー越のルビー」で乾杯。飾られているのはフローズントマトとセロリスティック

スペシャリティレストラン「日本料理 福い」

 続いて同ホテルのスペシャリティレストランとなる「日本料理 福い」(月・木・金曜17時30分~22時、土・日曜11時30分~13時30分/17時30分~22時)。その名のとおり“越山若水”に育まれた福井県の海と山の食材をテーマに中村一寛料理長が手掛ける懐石コースを提供する。

 例えば前菜は、古刹・永平寺の精進料理にインスパイアされた「特製すり胡麻豆腐」や「岩茸とろ湯葉」のほか、炙りへしこ、生うに、キャビア。それから甘鯛“若狭くじ”のお造りに若狭牛ステーキ、京都と福井をつなぐ鯖街道にちなんだ鯖ずし、ご当地グルメの「越前おろしそば」など。

 そして6月15日から始まる今夏コースのメインディッシュには、蒲焼きと白焼きの2種類を一度に味わえる「天然鰻の源平焼」や福井県を流れる一級河川・九頭竜川で獲れた「鮎の一夜干し」が盛り込まれる。秋冬は、蟹やふぐ料理も登場するとのこと。クラフトの若狭ビールやワインのほか、日本酒の「黒龍」や「梵」といった地酒とペアリングするのがお勧めという。

 カウンターにテーブル、個室もあり、昼コースは全10品7260円、夜コースは全13~14品2万4200円。いずれも当日17時までに要予約。

スペシャリティレストラン「日本料理 福い」
県産食材をふんだんに使った懐石コースを提供する
前菜は特製すり胡麻豆腐や岩茸とろ湯葉、炙りへしこなど
取材時は春のコースで、熟成させたサクラマスや雷いか(紋甲イカ)のお造りも。本わさびの隣にあるのは“もろみ醤油”で、発酵食や調味料の文化が豊かな福井ならでは
特産の梅を添えた越前おろしそば
棒鯖ずし
若狭牛ステーキ
料理長オススメの黒龍「石田屋」純米大吟醸
この日のメイン、焼き物は甘鯛
土鍋炊きご飯も登場
食事の〆は焼き甘鯛と白飯にだしをかけてお茶漬けに

オールデイダイニングレストラン「SUBSTANCE(サブスタンス)」

 最後は、オールデイダイニングレストラン「SUBSTANCE(サブスタンス)」(全日6時30分~10時30分、11時30分~15時、17時30分~22時)。吹き抜けになった開放感抜群の店内で、大きなガラス窓から眺める景色とともに味わう朝食ビュッフェ、昼と夜はコース料理を提供する。1人でもカップルでも会食でも、肩ひじを張らずに使いやすい雰囲気。

オールデイダイニングレストラン「SUBSTANCE」

 今回いただいたディナーのメニュー例を挙げると、越のルビーのトマトドレッシングをかけた季節のサラダ、福井県産とみつ金時のスープ、敦賀真鯛のローストにイカ墨のリゾットと海苔白ワインソース添え、福井ポークの赤ワイン煮込みと福井水菜香るマッシュポテト、デザートには福井県産黄金梅とベリーソースのマスカルポーネムースなど。とことん地産地消にこだわる創作フレンチを堪能することができた。

越のルビーのトマトドレッシングをかけた季節のサラダ
福井県産とみつ金時のスープ
敦賀真鯛のローストにイカ墨のリゾットと海苔白ワインソース添え
福井ポークの赤ワイン煮込みと福井水菜香るマッシュポテト
福井県産黄金梅とベリーソースのマスカルポーネムース

 朝のビュッフェカウンターには、マリオットらしいインターナショナルな洋食と福井の郷土料理、フレッシュな野菜サラダにパン、自家製ドリンクがずらり。また、シェフがライブキッチンで作る「平飼い卵の一品料理」を卓で注文することができ、とろっとろの半熟オムレツや目玉焼き、越のルビーのオランデーズソースでいただくハムとほうれん草のエッグベネディクトなども好きなだけ味わえる。

朝から絶景を眺めてビュッフェを楽しめる
洋食・和食がずらりと並ぶ。平飼い卵の一品料理はシェフが作るできたてを提供
福井の伝統食とマリオットらしい洋食が融合

 朝食ビュッフェは宿泊あり/なしともに1人3630円、予約は不要。こちらもラウンジ&バーと同じく眺めのいいカウンター席、ソファ席、テーブル席それぞれに電源とUSB Type-C/Type-Aポートが備わっていて便利。いざ、福井探検やビジネスへ繰り出す朝のパワーチャージにもってこいだ。

さりげなく飾られた恐竜たちがかわいらしい
テーブルや足元など、館内施設の至るところに電源とUSB Type-C/Type-Aポートが備わる
北陸新幹線で東京から一直線の福井旅へ!