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リニア新駅、地下30mの掘削現場で吹奏楽コンサート。JR東海 丹羽社長がトランペットで出演「まるで音楽ホールのようないい響き」

2023年10月14日 開催

新設工事が進む「中央新幹線 神奈川県駅(仮称)」で吹奏楽コンサートが行なわれた

 JR東海は10月14日、中央新幹線 神奈川県駅(仮称)で「さがみはらリニアコンサート」を開催した。

 現在、神奈川県相模原市緑区橋本2丁目で新設工事が進む「中央新幹線 神奈川県駅(仮称)」は、中央新幹線中間駅工事のなかで最初に構築作業が着手される大規模地下構造物。

 JR・京王線 橋本駅から徒歩3分ほどの県立相原高校移転跡地を中心に、国道16号と交差する地下3層からなり、延長は約680m、最大幅約50m。リニア開業に向けて、今後いよいよ本格的な工事が始まる。

この巨大な地下空間が、リニア中央新幹線の神奈川県駅(仮称)となる。左の写真は品川方向、右の写真は名古屋方向

「鉄道の日」でもある今日、その一番深い地下約30mにあたる工事現場に特設ステージが用意され、JR東海音楽クラブ、相原高校、相模原弥栄高校などの団体が吹奏楽の演奏を行なった。曲は、童謡「線路は続くよどこまでも」や東海道新幹線の新CMソング「会いにいこう」、ダンスが人気の「ジャンボリミッキー!」に「銀河鉄道999」といったおなじみのナンバー。

 天井吹き抜けの野外ステージだが、巨大な地層の壁に囲まれた会場はまるで反響板を備えた音楽ホールのようで、満員の観客席からは歓声や手拍子も沸き起こった。

JR東海音楽クラブは、東海道新幹線の開業に向けた音楽隊として国鉄時代の1963年に結成
JR東海音楽クラブに所属するグループ社員たちが、それぞれの職種の制服や作業着で演奏
吹奏楽団のほか、JR在来線の発車メロディーなどを手掛けるプロのアーティスト「スギテツ」らが参加

 また、通常立ち入ることのできない掘削現場では、将来の駅の基礎となるむき出しの鉄筋コンクリートや地層まではっきり分かる土留壁、埋戻しのため仮置きされた土嚢などを見学でき、そのほかリニアの仕組みや工事の進捗状況を解説するブースも登場。地域住民や鉄道ファンなど約2400人が来場し、ステージパフォーマンスや各ブースでの体験を楽しんだ。

掘削された砂礫層は、駅構造物の構築後に埋戻しするため仮置き。上は見晴らしのいいイベント広場になっている
土嚢の上の広場から眺めたリニア 神奈川県駅(仮称)の工事現場。この下に巨大地下空間が広がる
東海旅客鉄道株式会 中央新幹線建設部 土木工事部 担当課長の吉川太郎氏が建設工程について説明
一般来場者向けには、リニアについて楽しく身近に学べるブースや体験コーナーが設けられた
こちらはスペーサー(鉄筋を支えるブロック)にメッセージを書くコーナー。鉄筋コンクリートの一部として、メッセージはそのまま地下に埋められる

 主催者を代表して挨拶した東海旅客鉄道 代表取締役社長の丹羽俊介氏は、「コンサートを楽しんでいただくとともに、リニア中央新幹線の事業について理解を深めていただくきっかけになれば。音楽を通じて近隣の皆さまと一体感を持ちたい」とコメント。

 丹羽氏はJR東海音楽クラブの会長であり、中学時代から現在に至るまでトランペット奏者としての歴も長く、今日の演奏にも参加。企画当初は「正直、どんな音響になるのかよく分からず。しかし実際に演奏してみると、本当にコンサートホールのようないい音が出て、思わぬ誤算だった」という。

東海旅客鉄道株式会 代表取締役社長 兼 JR東海音楽クラブ会長の丹羽俊介氏

 また吹奏楽部の生徒たちは、「最初は盛り上がるか心配したが、ジャンボリミッキー!を演奏したときにはJR東海の方々が踊ってくださり、観客の皆さまも手拍子をしてくれて、私たちも最後まで楽しく演奏することができた」。

 さらに別の生徒は「地下で演奏するとは聞いていたが、まさかこんなに深いところだとは思わず驚いた。すごく貴重な体験ができて、アンコールまでたくさん拍手をいただき楽しんでもらえたので、演奏してよかった」と感想を述べた。

相原高校の演奏に合わせて、JRの現役車掌や整備士がダンス
左から、相原高校と相模原弥栄高校の吹奏楽部員

 地域を代表して出席した相模原市長 本村賢太郎氏は祝辞を述べ、「こういった非日常空間でコンサートを開催したのは、おそらく日本でここだけ。皆さまのご理解や、安心・安全に新駅工事を進めてくださっているJR東海の皆さまに感謝する」とした。

相模原市長 本村賢太郎氏