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ANA/ZMP/NAAが成田空港で一人乗り自動運転モビリティの実証実験。家族連れなど広範な利用を想定
2020年2月28日 19:18
- 2020年2月26日~28日 実施
ANA(全日本空輸)、ZMP、NAA(成田国際空港)は、成田空港 第1ターミナルビル内で、ZMPが開発した「RakuRo(ラクロ)」を使用した自動運転モビリティの実証実験を、2月27日~28日に実施した。
実証実験の概要については関連記事「ANA、ZMP、NAAが成田空港のビル内で自動運転モビリティ実証実験。笑顔と声でコミュニケーションして人と共存」にまとめたとおりで、2月28日に本実証実験の模様が報道公開された。
実証実験の公開にあたり説明にあたったANA 企画室イノベーション・KAIZEN部 イノベーション戦略チーム マネージャーの達野直樹氏は、「空港に関してはどうしてもお客さまの長距離の移動があったり、空港の施設上、複雑な動線があったりするので、自動で運転するロボットがあればお客さまが好きなときに、好きなところへ、自由に移動できるのではないかと考え、お客さまの往来の多いターミナル内が実現可能かを検証する」と目的を説明。期間を区切っていくつかのシナリオに沿った実証実験を実施するとした。
達野氏は今回のモビリティの利用者層について、「特に荷物をたくさん持っているお客さまや、お子さま連れのお客さまを想定している。ターゲットは決めておらず、空港を利用するお客さまに幅広くご利用いただくイメージを持っている」と話し、ユニバーサルサービスでターゲットとする利用層よりも多くの顧客を想定しているとしている。ただ、現状では実証実験を始めたばかりということもあり、最初に導入する空港などはまだ検討が始まっていない状況だという。
一方、自動運転モビリティを供出するZMPのロボライフ事業部 マネージャー 岩野紘昌氏は、「(実証実験に使用する)RakuRoは顔があるのが特徴で、笑顔を見せたり、声を出すことができ、まわりの人とコミュニケーションしながら安全に自動運転で目的地までお連れできる。今回は、人を避けながら、あるいは避けられない場合には人に『道を譲ってください』といったコミュニケーションをとって安全に進めるかなどをご覧いただける」と説明した。
RakuRoは2019年7月に「Robocar Walk」の名称で発表し、2020年5月の発売に向けて商品名をより身近に感じられる「RakuRo(ラクロ)」へと改めたもの。今回の実証実験はルートが決まっているが、機能としては備え付けのタブレットで行き先を指定し、自動運転で目的地まで移動してくれるものとなる。
自動運転にあたっては、あらかじめ取得、制作した独自の地図データと、上部に搭載した3D LiDARで取得した周囲の3次元情報とをマッチングさせて自己位置を把握。決められたルートに沿って走行するようになっている。
また、先述のコメントにあったとおり、人と接触する可能性がある場合には自動的に避ける動作を行なうほか、避けられない場合には人に声をかけて道の譲り合いを求める機能を装備。併せて、LEDディスプレイによる目も表情が作れるようになっており、これが方向指示器のようになったり、アイコンタクトを送ったりすることができる。
サイズは65×110×120cm(幅×奥行き×高さ)で、座席は回転が可能なほか、走行中に側面の扉が閉まることで乗客を保護する効果を持たせている。
走行速度は最大6km/h。今回の実証実験では4.5km/hに抑えて走行しているという。
今回公開された実証実験では、成田空港第1ターミナル南ウイングの出国手続きを終えた場所にあるインフォメーションカウンター前を起点に、第5サテライトの53番/54番搭乗口前に案内するもの。
途中、人が通り過ぎたり、人が立ち話をしていたりといった状況があるなかで人を避けて走行したほか、目を右に寄せつつ「右へ曲がります」と声を発してカーブを曲がるといった様子を見ることができる。
今回の実証実験は2月25日と26日にチューニングを行ない、27日と28日に実際に自動運転による走行実験を実施。ZMP 岩野氏によると安全性の面で特に課題は発生していないという。