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羽田/成田~丸の内をバスと自動運転で。スマホで一括予約できるMaaS実証実験が始まる
2020年1月21日 13:30
- 2020年1月20日 実施
東京空港交通、T-CAT(東京シティ・エアターミナル)、日本交通、日の丸交通、三菱地所、JTB、ZMPの7社は1月20日、空港リムジンバス/自動運転タクシー/自動運転モビリティを活用したMaaS(Mobility as a Service)実証実験を開始した。初日となる同日、T-CAT(東京都中央区)において出発セレモニーを行なった。
この実証実験は、東京都事業の「自動運転技術を活用したビジネスモデル構築に関するプロジェクト」に基づき、MaaSを活用して複数の交通手段を連携させるもの。スマホアプリを使って、「1つの移動サービス」として提供する取り組みは世界初の試みとなる。
具体的には、羽田空港/成田空港からT-CATまでを空港リムジンバス、T-CATから丸の内パークビルまでの約3kmを自動運転タクシー、丸の内パークビルを起点とした丸の内仲通り付近を自動運転モビリティで走行するルートを設定している。自動運転タクシーはZMP RoboCar MiniVanを2台、1人乗りモビリティはZMP Robocar Walkを1台利用する。
自動運転モビリティを含めた実証実験は1月20日から24日まで(11時~15時)、自動運転タクシーまでの実証実験は1月20日から2月1日まで(10時~17時)の予定。なお、実証実験への参加申し込みはすでに締め切られている。
リムジンバス、自動運転タクシー、1人乗り自動運転モビリティを組み合わせる
自動運転タクシーにはZMP RoboCar MiniVanを使用。市販のハイブリッドミニバンにZMPの制御装置を組み込んだ車両で、自動運転においてはGPSやカメラはほぼ使用することなく、高精度地図により自車の相対位置を認識するほか、車両の前後左右および正面に設置されたLiDARで人やクルマなどを検出する仕組み。
日の丸交通 富田氏によると、2018年の実験では突発的に道路上に置かれるコーンや二重駐車といった状況ではドライバーが介入する必要があったものの、まったく介入せずに移動可能だったこともあるという。今回の実験では距離は短縮されるものの交差点の数は同じということで、高頻度で右左折が必要となる難易度の高いシチュエーションでの状況を確認したいとのことだった。
今回の実証実験では、専用スマホアプリを利用することで、すべての乗り物を一括して予約することが可能になっている。乗車当日はリムジンバスはアプリ画面に表示された4桁の数字を係員に提示、自動運転タクシーはタクシードアのQRコードを読み込んで、自動運転モビリティはディスプレイに表示されるQRコードを読み込むことで乗車が可能。アプリはiOS、Androidともに日本語、英語版が用意されている。
ZMP 谷口社長「世界中の多くの方に自動運転を」
実証実験に先立ちT-CATで行なわれたセレモニーには、主催者としてZMP 代表取締役社長の谷口恒氏、東京空港交通/東京シティ・エアターミナル 代表取締役社長の内波謙一氏、三菱地所 街ブランド推進部 オープンイノベーション推進室長の佐野洋志氏、日の丸交通 代表取締役社長の富田和孝氏、JTB 執行役員 法人事業本部 事業推進部長の檜垣克己氏、来賓として東京都 副知事の宮坂学氏、国土交通省 自動車局長の一見勝之氏、全国ハイヤー・タクシー連合会 会長の川鍋一朗氏、元女子バレーボール日本代表の狩野舞子氏が参加した。
最初にあいさつを行なったZMP 谷口氏は今回の実証実験について、2018年末に日の丸交通と協業して実施した自動運転タクシーによるサービス実証(大手町~六本木間)を発展させ、増加するインバウンドへの対応がターゲットだと説明。そのために空港リムジンバスと連携するとともに、丸の内仲通りでは1人乗りのモビリティと連携することでラストワンマイルまでサポート。「バスとタクシーと1人乗りのモビリティ、異なる交通手段をスマホアプリでワンストップで利用できる東京版MaaS」だと述べ、世界で初めての試みとなる実証実験について「世界中の1人でも多くの方に自動運転を、そして東京版MaaSを楽しんでいただければと思います」とコメントした。
2018年のサービス実証にもタクシー事業者として参加した日の丸交通 富田氏は、今回の実証実験に対して「ルート設定は前回より難易度が高いコースをあえて選択」「進化した自動運転技術を検証していきたい」としたうえで、「交通機関の連携による新しいサービスを見い出していきたい」とポイントを説明。さらに「有人タクシーと無人タクシー、タクシー事業者がしっかり担えるということを証明していきたい」とコメントした。