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JAL、訪日誘客を強化する但馬地域・豊岡市を中心に兵庫県PR。「新・JAPAN PROJECT 関西」を2019年1月~3月に展開

豊岡市長「機内での紹介が豊岡、城崎温泉へ行く最後の決め手になれば」と期待

2018年12月19日 発表

JALが2019年1月~3月に「新・JAPAN PROJECT 関西」を展開することを発表。1月は兵庫県を特集し、なかでも豊岡市、城崎温泉、但馬地域にフォーカスする

 JAL(日本航空)は12月19日、地域活性化プロモーションの「新・JAPAN PROJECT」において、2019年1月~3月に「関西」を特集することを発表した。関西のなかから1月は兵庫県、なかでも但馬地域、豊岡市を中心にプロモーションを展開。同日、豊岡市の日和山温泉「ホテル金波楼」において、JALと豊岡市による共同記者会見が行なわれた。

 JALの地域活性化プロモーションで兵庫県を特集するのは、旧来の「JAPAN PROJECT」の第19弾として2012年に兵庫県を取り上げて以来、2度目。その際も但馬地域を中心に紹介している。

 JALグループはコウノトリ但馬空港における唯一の定期旅客便として、JAC(日本エアコミューター)運航で伊丹空港(大阪国際空港)~コウノトリ但馬空港線を運航しており、2018年5月7日からはそれまで24年間続いたSAAB 340B型機による運航からATR 42-600型機へと機材を変更(関連記事「JALとJAC、5月7日から伊丹~但馬線をATR 42-600型機で運航、24年間のSAAB 340Bでの運航に終止符」。

 さらに、10月6日からは但馬地域をPRすべくコウノトリ(鸛)が描かれた特別塗装機「コウノトリ号」(登録記号:JA05JC)にし、JAC運航の各路線で使用している。

JAC(JAL)による伊丹~但馬線(12月1日~2019年3月30日)

JAC2321便:伊丹(09時00分)発~但馬(09時35分)
JAC2323便:伊丹(17時00分)発~但馬(17時35分)
JAC2322便:但馬(10時05分)発~伊丹(10時40分)
JAC2324便:但馬(18時05分)発~伊丹(18時40分)

 JAL 執行役員 路線統括本部 国内路線事業本部長の本田俊介氏は、5月からの機材変更について「(JACとしての)機材更新の結果として(36席から48席へ)増席された格好ではあるが、路線のポテンシャルはまだまだある。流動は多く、飛行機では1割も取れていない。(気象条件などによる欠航について)SAABからATRにすることで就航率がぐっと上がる。それによって信頼性が上がって予定を立てやすくなり、お客さまも利用も上がっていくと思う」と期待を述べる。

 羽田~伊丹線と伊丹~但馬線は双方向とも短時間で乗り継げるようダイヤが設定されており、同路線の利用者について「大阪エリアだけでなく、伊丹空港での乗り継ぎ需要も含めてビジネス需要と生活需要がベース」としている。

 このベースに加えて国内の観光、インバウンドの観光といった需要拡大を狙うことになるが、「ATRになって座席数に余裕ができたので、豊岡の方々が伊丹まで行かれて、そこから多くの路線へ乗り継いでいただくといった形で、大いに飛行機を利用していただきたい」との期待や、「日本の地域と世界を結ぶ架け橋になるのが我々の役目だと思っている。地域のプロモーションのお手伝いをしながら、外国から豊岡まで人をお連れする。チャネルごとに対応していく」とコメント。新・JAPAN PROJECTはそうしたプロモーションの一環でもある。

日本航空株式会社 執行役員 路線統括本部 国内路線事業本部長 本田俊介氏
但馬地域PRのために10月に就航した「コウノトリ号」
コウノトリ但馬空港
こちらは本物のコウノトリ。豊岡市内では「コウノトリの郷公園」が広く知られるが、人工巣塔が立つ「ハチゴロウの戸島湿地」やその周辺など、城崎温泉から徒歩圏内でもその姿を見ることができる

「JALや豊岡は植村直己に通じる」と地域の独自性に磨きをかける豊岡市

共同記者会見が行なわれた「ホテル金波楼」
ホテル金波楼は城崎温泉からバスで10分ほどの日和山海岸にある。山陰海岸ジオパークのサイトの1つで、浦島太郎伝説も残る

 豊岡市の日和山海岸に建つ「ホテル金波楼」で行なわれた豊岡市とJALの共同記者会見では、まず豊岡市長の中貝宗治氏があいさつ。「JALとの付き合いは丸25年を終えて26年目。JALと、豊岡はじめ但馬は、お互いのよいときもわるいときも共同して、信頼関係を築いてきた」と強固な関係を強調。豊岡市がインバウンド誘致のために海外の旅行博に出展した際にJAL/JAC社員が参加したことが、2016年から2020年までの5年間にわたって地方創生に取り組むなど、「本当にたくさんのことをJALとお互いを理解し、お互いに敬意を払いながらやってきた。今回の新・JAPAN PROJECTもその流れの一環として喜んでいる」と話した。

 さらに、豊岡市とJALの関係について、「豊岡はたくさんの人に来ていただきたいと思っている。JALは会社の理念として世界中に素敵なところがあり、そこへお客さまへお連れしたいという思いがある。ここに協働できるベースがある」との考えを示す。

 加えて、「世界は多様でなければならない。ほかと一緒ではいけないと、豊岡であるということを一生懸命打ち出してきた」と世界の多様性についてコメント。「豊岡は(冒険家の)植村直己さんの故郷。植村直己さんの冒険の特徴は2つあると言われている。1つ目は単独行、2つ目は先住民の文化に対する徹底した敬意。極地でも高地でも地域の文化に深い敬意を払い、それを一生懸命身に着けて冒険するスタイルを貫いた。グローバリズムとはまったく違う方向で、世界をマルチローカルと見て、多様性に満ちていると見たうえで、そこに敬意を払っていた。JALや豊岡のスタイルは植村直己さんにも通じると思っている」と、豊岡市や城崎温泉、但馬地域の独自性をアピールした。

 ちなみに豊岡市の2017年のインバウンドは5万800人泊で、2018年は第3四半期(1月~9月)で対前年13%とのことで、やや伸び率が鈍化しているという。中貝市長は「一時のように倍々ゲームの時代ではなくなってきているので、さらに魅力をアップするとともに、それをどう発信するかが大きな課題」とし、その点でも今回の新・JAPAN PROJECTの取り組みを歓迎。

 今回の取り組みのなかで城崎温泉を紹介する英文記事が機内誌に掲載されることになっている点について、「海外の方が日本に来たときに宿泊地をいつ決めているかというGoogleのデータでは、12%が日本に着いてから決めている。欧米の方は長期間来られるときにすべてを事前に決めるわけではなく12%が到着してから決めるということで、JALの機内で見ることが最後の決め手になるのではないか」と期待した。

 このほか、「全体の訪日客のうち3分の1が欧米豪からの来訪で、この地域の方々はとくに城崎、豊岡の閑散期に来る傾向にある」とし、閑散期対策の戦略のなかで欧米豪にもアプローチ。毎年英・ロンドンで行なわれているWTM(World Travel Market)に出展するなど現地プロモーションを展開するほか、対象とする国の企業とREP契約を結んだり、各国の主要メディアへのプロモーション映像を流すなど、取り組みを行なっている。中貝市長は、「海外から来られる最初の目的地にはなかなかならない。まずは大阪、京都、東京、その次にどこへ行こうかとなったときに、豊岡、城崎温泉、ホテル金波楼がターゲットに入ってくるよう、地道に着実にさまざまな媒体で豊岡を発信し続けることが重要だと思っている」と話した。

兵庫県豊岡市長 中貝宗治氏

 JAL 執行役員 路線統括本部 国内路線事業本部長の本田俊介氏はあいさつのなかで、「豊岡市との関係は1994年のJAC就航以来となる。その間、JALは2010年に経営破綻したが、そのときに市役所の壁に『日本航空頑張れ!』という大きな垂れ幕を作っていただき、空港にも旗を立てていただいた。それを見たときに本当に感動した」とのエピソードを語り、「(本田氏自身が)市長と初めてお会いしたのが2011年。市長をはじめ、豊岡の方々は地元愛が強く、この豊岡をなんとか日本……いやいや世界に知らしめていこうという思いが強くなった。そのときもぜひ一緒に取り組みたいと感じた。今回は兵庫県の特集として取り組んでいるが、主に豊岡市をフィーチャーしたい」と、やはり両者の関係の深さについてコメント。

 そして、先の中貝市長のコメントにあった「信頼関係を築いてきた」とのコメントを受け、「会長の植木(義晴氏)は『JALは一回破綻をした、いまここに立っていられるのは地域の方々のおかげだ。君たちは地域の方々のためにしっかり汗をかけ』と言う。当時我々を応援していただき、地域を世界に出したいという豊岡の思いが我々に乗り移って、いろいろな取り組みをさせていただいたということ」とした。

 豊岡市のポテンシャルについても、「私から見ると、豊岡市は常に進化している。そして、日本を代表するインバウンドに向けた地域だと思っており、私は豊岡市がナンバーワンだと思う。豊岡市で成功して、各地にこの流れや考え方、豊岡市ややっていることが広がればよい」とコメントし、「がっちり組んで、地域活性化の役に立ちたい」と述べ、同市、同地域の紹介にかけるJALの意気込みを示した。

豊岡市長 中貝宗治氏(左)とJAL執行役員 本田俊介氏(右)。あいさつでは共に両者の信頼関係をコメントした

 今回、機内食プロデュースで協力し、共同記者会見の会場にもなったホテル金波楼の専務取締役 総支配人である今津一也氏は、JALの新・JAPAN PROJECTについて「我々のような観光事業者にとっては、地域の魅力を発信し、お越しいただいたお客さまにご提供して喜んでいただく、常に普段やっていることと意を同じくするもの」とし、「平成最後の年が始まる1月という記憶に残りやすいタイミングで、このような取り組みをさせていただくご縁に感謝したい」とあいさつした。

ホテル金波楼 専務取締役 総支配人 今津一也氏

 機内食は、羽田と新千歳、伊丹、福岡、那覇を結ぶ路線で提供している国内線ファーストクラスの夕食(羽田~新千歳/伊丹/福岡線は17時以降の出発便、羽田~那覇線は18時以降の到着便が対象)で提供するもの。

 監修を担ったホテル金波楼 総料理長 木村進氏は、「地元の食材を可能な限り使うこと。そして、上旬、中旬、下旬の料理のなかに、地元の魚、野菜、肉などをどの料理にも含むようにする。そして、機内食の制約があるが、できる限り常温でも美味しく食べていただけるように注意した」と、メニュー作成にあたってのポイントを説明。

 提供が1月という時期であることにも触れ、「食材をそろえるのに厳しい状況のなか、生産者や業者の方々にもご苦労いただいて、今回のメニューを作ることができた」とのこと。メニューに含まれる「二方蒲鉾」は機内食メニューのために市場に出ていないオリジナルの商品だという。さらに、「1月なので菊花金柑や黒豆など、新年らしさも加えた」とのこだわりも含めている。

 また、俵米は有機農法で作られた「コウノトリ育むお米」を使用。機内食を試食した中貝市長も「やっぱり美味しい。あとが甘い感じが残る。冷めても美味しい」とアピールした。

ホテル金波楼 総料理長 木村進氏
中貝市長が機内食を試食。香住産栄螺の和風エスカルゴに「いままで食べたサザエで一番美味しい。洗練されている」などの感想を話した

国内線ファーストクラス機内食の提供時期とメニュー

国内線ファーストクラスで提供する但馬地域のご当地食材を盛り込んだ機内食
有機農法で作られた但馬産の「コウノトリ育むお米」を全メニューで提供
茶菓は城崎銘菓であるみなとやの「独鈷水(どっこすい)」。天皇陛下にも愛されているという
羽田発便:1月上旬、羽田着便:1月下旬に提供するメニュー

小鉢:豊岡産ほうれん草としめじ茸の白和え カレーの香り 人参 ひじき 銀杏 紅蟹と豊岡産椎茸のお浸し 春菊 水菜 すだち果汁
主菜:兵庫県産八鹿豚味噌漬け みぞれソース添え 二方蒲鉾岩津葱真蒸 真鰈百合根クリーム巻 生野菜大葉ソース添え(胡瓜 大根) ぶどう豆串打ち 菊花金柑 梅人参
ご飯:兵庫県但馬産 コウノトリ育むお米
味噌汁:焼きばら海苔の味噌汁
茶菓:独鈷水

羽田発便:1月下旬、羽田着便:1月中旬に提供するメニュー
主菜「兵庫県産八鹿豚味噌漬け みぞれソース添え 二方蒲鉾岩津葱真蒸 真鰈百合根クリーム巻 生野菜大葉ソース添え(胡瓜 大根) ぶどう豆串打ち 菊花金柑 梅人参」
小鉢「豊岡産ほうれん草としめじ茸の白和え カレーの香り 人参 ひじき 銀杏 紅蟹と豊岡産椎茸のお浸し 春菊 水菜 すだち果汁」
羽田発便:1月中旬、羽田着便:1月上旬に提供するメニュー

小鉢:しろ菜・小松菜の信田煮 干海老 津居山産白バイ貝と赤烏賊 神馬草ジュレ掛け 胡瓜 パプリカ ミニトマト 生姜
主菜:但馬牛すき焼朝倉山椒の香り 玉子添え 出石蒟蒻 里芋白煮 小玉葱 焼き豆腐 水菜 梅人参
ご飯:兵庫県但馬産 コウノトリ育むお米
味噌汁:焼きばら海苔の味噌汁
茶菓:独鈷水

羽田発便:1月中旬、羽田着便:1月上旬に提供するメニュー
主菜「但馬牛すき焼朝倉山椒の香り 玉子添え 出石蒟蒻 里芋白煮 小玉葱 焼き豆腐 水菜 梅人参」
小鉢「しろ菜・小松菜の信田煮 干海老 津居山産白バイ貝と赤烏賊 神馬草ジュレ掛け 胡瓜 パプリカ ミニトマト 生姜」
羽田発便:1月下旬、羽田着便:1月中旬に提供するメニュー

小鉢:兵庫県産大根「竹泉」純米酒粕餡掛け 鰤 絹さや 一味 兵庫県産似鱚南蛮漬 豊岡産岩津葱と茗荷 人参 玉葱
主菜:香住産栄螺の和風エスカルゴ 但馬どり パプリカとドライトマトのソース 紅蟹入り出し巻 赤海老唐揚げ 二方蒲鉾蟹味噌真蒸
ご飯:兵庫県但馬産 コウノトリ育むお米
味噌汁:焼きばら海苔の味噌汁
茶菓:独鈷水

羽田発便:1月下旬、羽田着便:1月中旬に提供するメニュー
主菜「香住産栄螺の和風エスカルゴ 但馬どり パプリカとドライトマトのソース 紅蟹入り出し巻 赤海老唐揚げ 二方蒲鉾蟹味噌真蒸」
小鉢「兵庫県産大根「竹泉」純米酒粕餡掛け 鰤 絹さや 一味 兵庫県産似鱚南蛮漬 豊岡産岩津葱と茗荷 人参 玉葱」

「新・JAPAN PROJECT 関西」における兵庫県紹介の取り組み

 機内食関連ではこのほか、日本酒として山陽盃酒造(兵庫県宍粟市)の「播州一献 純米大吟醸」を提供。昼食時間帯の便では、アンリ・シャルパンティエ(兵庫県芦屋市)の「フィナンシェ」、然花抄院(京都市)の「抹茶幻月」といった茶菓を提供する。

 機内誌の「SKYWARD」では、豊岡市にある城崎温泉を紹介する「Town with Seven Hot Springs」と題した英文記事を掲載。7つの温泉を浴衣を着て楽しむという内容で、本田氏は「外国の方から見ると興味を持つ内容」と紹介した。

 同じく機内誌では、伊丹空港近隣の伊丹市や川西市を紹介する日本語記事や、広域エリア特集「日本めぐり」のなかで、1月に豊岡市出石町名物である「出石そば」を紹介。

 機内ビデオでは、お笑いコンビのパックンマックンが、伊丹空港のある豊中市と池田市を紹介するビデオコンテンツを用意し、2019年1月に所要時間が80分以上の国内線偶数便と、2019年2月3月に国内線機内Wi-Fi無料プログラム、国内線機内ビデオチャンネルで展開する。

 JALグループの伊丹/関空発着路線で2019年1月1日~3月31日にマイル積算対象運賃で搭乗した場合に抽選でeJALポイントや、ホテル金波楼宿泊券などがあたるキャンペーンの実施や、JALマイレージバンクの交換特典として「明石だこ」を堪能できる商品を提供。

 ツアー関連では「JALふるさと応援割」として、往路に羽田空港からコウノトリ但馬空港を利用し、豊岡市の指定宿泊施設に1泊以上宿泊する場合に1万円引きとなるキャンペーンを行なう。このキャンペーンはすでにスタートしており、11月7日から2019年2月28日の出発分までが対象となる。