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JAL、農業事業に参入。「JAL Agriport株式会社」設立会見

農業体験やバーベキューができる施設を2020年成田に開業

2018年5月21日 発表

2020年 グランドオープン予定

 JAL(日本航空)と和郷は5月21日に記者会見を開き、共同出資会社「JAL Agriport株式会社」を設立して農業事業に参入することを発表した。

 JAL Agriportは成田市がエアポート都市構想として2020年に向けて再整備を進めている成田新市場の近く、千葉県成田市川上に拠点を置き、イチゴやサツマイモなどの収穫体験や食事を楽しめる体験型農園施設を開園し、プライベートブランド商品の生産、加工、販売などを行なう。

 新会社の登記は4月18日に完了しており、資本金は1億円(出資比率は非公開)。2018年中にプライベートブランド商品をリリース、2019年春ごろに飲食施設を開業、2020年夏ごろにグランドオープンを予定している。

地元成田の皆さんのお役に立てるような活動を和郷さんと一緒にやっていきたい

日本航空株式会社 代表取締役副社長 執行役員 藤田直志氏

 会見でマイクを握ったJAL 代表取締役副社長 執行役員の藤田直志氏は、JALが農業に取り組む理由を説明した。

 JALは地域活性化プロモーション「新・JAPAN PROJECT」など日本各地で地域産業を盛り上げる取り組みを行なってきた。それらの取り組みのなかで、「地域活性の大義は、地域に暮らす人たちが豊かな生活を送ることができるようにすることが一番大事」であり、「そのためには志を同じくするものが集まって、それぞれのノウハウを共有して活動することが大事」であると感じてきたという。特に取り組みのなかで必ず話題に上がるのが「農業」であり、地方活性化の中核をなす農業をJALとしても盛り上げたいという思いがあったそうだ。

 そこへ農業の6次産業化に先駆的に取り組み、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの食材調達基準策定にも関わっている和郷と1年ほど前に接点があり、「同じ志」を持つ和郷を「JALの農業の先生」として、農業事業に取り組むことになった。

 2018年は成田空港が40周年を迎え、この成田空港の40年は「JALの成長の歴史」でもあり、「地元成田の皆さんのお役に立てるような活動を和郷さんと一緒にやっていきたい」と語り、このプロジェクトには「JALブランドを再強化」という思いを込めていると説明した。

JAL Agriportを観光、農業、食文化、地域活性化の発信拠点に

株式会社和郷 代表取締役 木内博一氏

 続いて和郷 代表取締役の木内博一氏が、同社について紹介した。和郷は「株式会社の農協」のようなイメージで、1次産業の「生産」、2次産業の「食品加工」、3次産業の「流通/販売」を合わせた農業の6次産業化に先駆的に取り組み、現在は生産、加工、販売、リサイクル、観光、飲食、海外事業など多角的なアグリビジネスを展開しているという。

 JALの企業理念にある「全社員の物心両面の幸福を追求する」「お客さまに最高のサービスを提供する」「企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献する」といった志が「和郷グループが目指していることと重なる」とし、「JAL Agriportを互いの新たな分野での成長の中核企業と位置付け、観光、農業、食文化、地域活性化の発信拠点にして、住民の皆さま、国内外の皆さまに楽しんでいただける、日本の農業、食産業の融合のすばらしさを知っていく場にしていきたい」と思いを語った。

「日本発便・海外発便の機内食をほぼ決めてきた立場」が新会社に活かせるのでは

JAL Agriport株式会社 代表取締役 鎌形晶夫氏

 JAL Agriportの代表取締役に就任した鎌形晶夫氏は、和郷の拠点がある千葉県香取市出身。祖父の代までは農業を家業としており、「少なからずそのDNAは残っているのではないか」と自己紹介。

 JALに入社してからは空港や営業業務、さらに客室乗務の経験もあるという。特に一番キャリアとして長いのが機内食だそうで、「日本発便・海外発便の機内食をほぼ決めてきた立場」にあり、「世界の食を見てきた」経験が、新会社に活かせるのではと述べた。

 開港40周年を迎える成田空港とともに歴史を刻んできたJALにとって、「成田の地域振興と地域との共存共栄は至上命題」であり、「それに少しでも貢献できればという思い」がJAL Agriport設立の大きな動機だと語り、同社について説明を行なった。

 JAL Agriportの役割は、成田市のエアポート都市構想に掲げる観光振興、政府も支援する農業の6次化に参画することによって農業振興に貢献することであり、休農地を活用して観光農園を展開し、多くの人を呼び込み、地域振興に貢献していくという。休農地は、後継者問題を抱える農家と話し合い、農地を借り受ける形で運営していくとのこと。

 2020年に開業予定の新成田市場と連携し、地元や周辺地域はもちろん、トランジットの外国人観光客など多くの人をこのエリアに呼び込んで新市場を盛り上げ、また日本の農産物の輸出力強化、成田空港の輸出拠点化にも取り組んでいくと展望を語った。

 事業の柱は2つあり、1つ目は「観光農園事業」。自社農園でのイチゴ狩りの施設を約2ヘクタール用意するほか、植え付けや収穫などの農業体験ができる、例えばサツマイモなどの生産も行なっていく。また、地元農産品の直売施設やバーベキューコーナーを併設した飲食施設を展開していく。バーベキュー施設では、JAL Agriportで購入した野菜とともに、新成田市場で購入した新鮮な肉や魚介類を持ち込めるようにして楽しめるようにしたいという。

 2つ目は「プライベートブランド商品の開発と販売」。プライベートブランド商品の原材料は自社農園のみならず、関連の和郷グループなどが提供する安全・安心な野菜などを加工して販売。さらに、JALの機内食やラウンジでの提供、グループ会社のJALUXの販路などでの展開も考えているとのこと。2018年中にはプライベートブランド商品を展開し、2020年のグランドオープンまでの間にJAL Agriportの知名度を上げていきたいと語った。

 和郷グループとJALグループがタッグを組むことで、和郷の農業生産の豊富な経験、加工、飲食事業のノウハウ、JALのブランディングのノウハウやさまざまなチャネルが合わさり、6次産業化を推進していく。この農業を軸にした地方活性化の取り組みを成田というエリアで育て、プラットフォーム化し、全国の空港、そして世界へと展開していきたいと期待を述べた。