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山形空港から旬のさくらんぼをお届け。JALの“さくらんぼフライト”初便出発セレモニー
さくらんぼ出荷最盛期に山形空港で航空貨物取り扱い
2017年6月14日 16:41
- 2017年6月14日~30日 実施
JAL(日本航空)は、6月14日~30日の期間限定で、山形空港(おいしい山形空港)において航空貨物の取り扱いを行なう。JALの山形空港発便では通常、航空貨物の取り扱いを行なっていないが、山形県が全国一の生産量を誇る「さくらんぼ」の出荷が最盛期を迎える期間に限定し、その輸送を主目的として取り扱いを行なう。
JALは2010年10月までは山形空港で航空貨物を扱っていたが、経営破綻後の事業整理において取り扱いを中止。東日本大震災の際に一時的に取り扱ったことを除いては、貨物輸送を行なってこなかった。しかし、2016年6月10日~7月10日に、さくらんぼ輸送を目的とした貨物輸送の取り扱いを実施。1カ月間で約21トンを輸送した。この取り組みが2017年も行なわれ、6月14日にスタートした。期間は6月30日までで、2017年の航空貨物取り扱いは、2016年に比べて期間が短いが同程度の取扱量を目指す。
ちなみに、現在JALの山形空港発便は1日5便。2014年度から国土交通省が実施した「羽田発着枠政策コンテスト」を活用した取り組みでも利用者数を伸ばすなど成果を出している。
貨物輸送については、持ち込まれる貨物量、機材、搭乗する旅客数によって積載量は異なるものの、すべての便での輸送が可能になっている。羽田空港へは主に関東圏の市場、伊丹空港へは関西圏のほか、西日本や九州への輸送も行なう。また、羽田空港へ向かう荷物には、沖縄便へ乗り継ぐものもあるそうだ。
JALの山形空港発便(2017年6月1日~30日の運航スケジュール)
JAL174便:山形(08時50分)発~羽田(09時55分)着、エンブラエル 170型機
JAL178便:山形(19時00分)発~羽田(20時05分)着、エンブラエル 170型機
JAL2234便:山形(09時45分)発~伊丹(11時05分)着、エンブラエル 170型機
JAL2236便:山形(14時25分)発~伊丹(15時45分)着、ボンバルディア CRJ200型機
JAL2238便:山形(18時05分)発~伊丹(19時25分)着、エンブラエル 170型機
山形県がさくらんぼの生産量日本一であることは知られているが、農林水産省が2016年11月に発表した、2016年産さくらんぼ(おうとう)の収穫量と出荷量(PDF)を見ると、全国の収穫量が1万9800トン、そのうち山形県は1万5000トンと76%を占める。
山形空港がある東根市を発祥とする「佐藤錦」のほか、「紅さやか」「紅秀峰」「紅てまり」など多様な品種があり、航空貨物取り扱いの短い期間のなかでも、収穫時期の違いによって品種の傾向が入れ替わるという。
また県内の市町村別収穫量でも山形空港がある東根市がもっとも多く、天童市や寒河江市といった近隣市がそれに続いており、まさに山形空港の近くで作られたさくらんぼが、すぐに飛行機に乗って全国へと飛んでいくイメージだ。
JAL 日本地区貨物販売支店長 西田昌司氏は、「航空輸送のメリットは2つ。高品質な取り扱いができること。それからスピード。山形空港から東京、大阪に飛んでいて、乗り継ぐ形で九州や沖縄へ輸送できる」と全国各地へ早く届けられることをメリットとして挙げる。特にさくらんぼのように、時間の経過による品質変化に敏感な生鮮品では、そのメリットがより発揮されることになる。
山形県が初便出発セレモニーを実施
2017年の貨物輸送取り扱い開始日となる6月14日、貨物の受け付けを開始した7時10分頃から、山形空港1階のJALカウンターに多くのさくらんぼが集まってきた。貨物取り扱いのない山形空港では、その受け付けの設備もないため、旅客の受け付けを開始する前に同じカウンターで貨物の受け付けも行なっている。
航空貨物として運ばれるさくらんぼの箱には、冒頭で示した「そら飛ぶさくらんぼ とれたての美味しさ届けます」のシールが貼られ、市場でも航空便で運ばれたことが分かるようになっている。
また、貨物輸送取り扱い初便となる羽田行きJAL174便(定刻8時50分発)の出発に際して、山形県が出発セレモニーを実施した。
セレモニーでは、JAL 日本地区貨物販売支店長 西田昌司氏が、2016年に続いて航空貨物によるさくらんぼ輸送を行なうことを説明したのち、「航空貨物輸送は取り扱いの品質とスピード、これを提供することができる。一方で、さくらんぼの栽培には驚くほど手間がかかると聞いている。生産者の皆さまが一生懸命、一つ一つ手塩にかけ(て生産し)、きれいに箱詰めされたさくらんぼの美しさ、瑞々しさをそのままに、お預かりしたそのままに、全国各地にお届けしたいと思う。一つ一つに込められた生産者の思いが、これからさまざまな方々のバトンタッチを経て、全国の家庭に無事に届くよう祈念したい」と挨拶。
続いて、山形県知事 吉村美栄子氏からのメッセージを、山形県 企画振興部 次長 佐々木昭喜氏が代読。「山形空港においては、羽田発着枠政策コンテストによる羽田便の2便化、名古屋(小牧)便の就航と2便運航、さらには2017年3月からの札幌便の就航と、この数年で次々にネットワークが拡大し、県内に明るい話題を提供している。こうしたなか、昨年、JALによる航空貨物の取り扱いが5年半ぶりに再開され、今年も本県のさくらんぼの出荷が最盛期を迎えるこの時期に実施していただけることは大変喜ばしい。
航空貨物の取り扱いが再開されたことにより、新鮮なさくらんぼをはじめとする本県の特産品を山形空港から全国に向けて迅速に輸送できる手段が増える。県としては、毎年さくらんぼの時期に季節の風物詩として航空貨物の取り扱いを実施していただき、ゆくゆくは通年での取り扱いに発展させ、モノの流れの活発化、ひいては地域経済の活性化につなげていくことを期待している。併せて、今後もさらなる利用拡大に取り組んでいく」との言葉が伝えられた。
その後、東根市観光物産協会「2017果樹王国ひがしねプリンセス」の直原美沙さんからJALの西田昌司氏へ、寒河江市観光キャンペーン推進協議会「第41代ミスさくらんぼ」の青木瑠美さんから JAL CA(客室乗務員)の上松可奈子氏へ、それぞれさくらんぼを手渡し。カートに積み込まれた初便で輸送されるさくらんぼは、グランドハンドリングスタッフの手で機内のカーゴスペースへと搬入されていった。ちなみに、初便で送られるさくらんぼは135kgだった。
その後は、JALや山形県の関係者、ひがしねプリンセス、ミスさくらんぼ、そして東根市の「果樹王国ひがしねイメージキャラクター タント君」や、寒河江市イメージキャラクター「チェリン」が見守るなか、9時6分にプッシュバックを開始。ほぼ満席(定員76名)となる74名の乗客と、135kgのさくらんぼを載せたJAL174便が羽田空港へと向かった。