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JALの農業事業「JAL Agriport」で初収穫。成田市の園児がサツマイモ掘り体験
2018年11月5日 20:54
- 2018年11月5日 実施
JAL(日本航空)と和郷が農業事業に参入するために設立した共同出資会社「JAL Agriport株式会社」は11月5日、サツマイモの初収穫イベントを実施。聖徳大学附属成田幼稚園の園児46名とJALグループのボランティアスタッフらが参加し、一緒にサツマイモ掘りを楽しんだ。
JAL Agriportは4月に設立されたばかりの企業で、成田新市場の近くに体験型農園施設を設け、2018年中にプライベートブランド商品をリリース、2019年春ごろに飲食施設を開業、2020年夏ごろにグランドオープンを予定している(関連記事「JAL、農業事業に参入。『JAL Agriport株式会社』設立会見」)。「JAL Agriport農園」(千葉県成田市川上)で行なわれた初収穫イベントには、JAL Agriport 代表取締役社長の鎌形晶夫氏も参加し、園児たちとともに土にまみれた。
大きなサツマイモを掘り出した園児は大はしゃぎ
聖徳大学附属成田幼稚園の園児たちがバスで到着すると、成田市の観光キャラクター「うなりくん」が出迎え、子供たちは大はしゃぎ。鎌形社長から園児たちへのあいさつのあとに畑へ移動し、鎌形社長と園児代表の2名が一緒に「初堀式」を行なった。
初堀式のあとは、園児たちがサツマイモ掘りを開始。手際よくサツマイモを掘り上げる子もいれば、大物に当たって苦戦する子、途中でサツマイモが折れてしまい悲しそうな子など、近くで見ているだけで心が和む時間だった。大きなサツマイモを掘り上げるとうれしさを隠せないようで、わざわざ報道陣に見せにくる子もいるなど、本当に楽しそうにしていた。
サツマイモ掘りが終了し、園児代表あいさつでは「今日はサツマイモを掘らせてくれてありがとうございました。ありがとうの気持ちを込めて、美味しくいただきます」と鎌形社長に話し、鎌形社長も「元気に楽しく掘ってくれてありがとう。こんなに掘ってくれるなんて、びっくりしました。感謝の気持ちを込めて、みんなにリュックをプレゼントするから、これにサツマイモを入れてお家に持って帰ってくださいね」と、JALの飛行機型リュックサックを贈った。
サツマイモだけでなく、2020年度には大規模なイチゴハウス建設を予定
JAL Agriportの事業の柱は「観光農園事業」と「プライベートブランド商品の開発・販売」。自社農園での植え付けや収穫などの農業体験、地元農産品の直売施設・バーベキューコーナーを併設した飲食施設の展開、自社農園・和郷グループなどが提供する安全・安心な野菜などを加工してプライベートブランド商品として販売することなどが含まれている。
JALの機内食やラウンジでの提供、JALUXの販路などでの展開も検討しており、2020年のグランドオープンまでにJAL Agriportの知名度を上げ、トランジットの外国人観光客など多くの人をこのエリアに呼び込み、2020年に開業予定の新成田市場を盛り上げ、日本の農産物の輸出力強化、成田空港の輸出拠点化にも取り組んでいこうとしている。
現在のJAL Agriportは2.5ヘクタールの農地を借り、そのうち1ヘクタールにパートナー企業の和郷により5月に「紅はるか」と「紅あずま」の2種のサツマイモを作付け。その収穫はJALグループのボランティア社員ですべて行なう予定で、11月4日までに200人ほどのJALスタッフが10トンほどを掘り起こしたとのこと。
JAL Agriportの鎌形社長は「昨日までの状況から考えると、今年は25トンくらいの収穫になるのではないか」と述べ、収穫したサツマイモを原料として、JALの機内で提供をしている福岡県八女市の酒蔵「喜多屋」で焼酎にすることや、菓子などの加工品にすることを検討しているという。
今後の展開について鎌形社長は、「現在は、地主さんから譲り受けたハウスをリフォームして、5種類のイチゴを10月に定植しているので、12月から収穫できると思います。立地的にお客さまを迎えるのが難しいので、イチゴは外(JAL Agriport以外)での販売をしようと近隣のホテルと話をしていますが、上手くいけば朝獲りイチゴをその日のうちに提供することもできるのではないかと思っています。
イチゴは「かおりの」(三重県発祥の円錐形のイチゴ)や「とちおとめ」など5種類を栽培していますが、イチゴだけでなくブルーベリーやブドウもあり、年間を通じてお客さまが収穫体験をできるような設備を整えていければと考えています。
2020年度には、1ヘクタール規模の最新鋭の大規模なイチゴハウスを建てようとしています。それが完成したときには本格的な観光イチゴ農園として稼働できると考えています。
すでに外国人のお客さまは日本の果物について高く評価しており、近隣のイチゴ園にも東南アジアのお客さまが観光バスでやってきて収穫体験などもされていますので、インバウンド需要は見込めると考えています。
また広い耕作地に植えてある緑肥(りょくひ)は、近隣に砂埃が舞わないためと、将来的に肥料とするために植えられていますが、その先にある民家をお借りして農家レストランを2019年度中にオープンできればと思っています」と展望を語った。