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エアバス、航空機最新情報や市場状況を説明。2020年には日本でのシェア約30%を予想

2018年5月15日 実施

エアバスが同社航空機最新情報や市場状況の説明会を実施

 エアバス・ジャパンは5月15日、航空業界向けのエアバス・ファイナンス・フォーラム開催に合わせ、仏Airbus本社より来日した担当者による市場予測や同社航空機の最新情報などを紹介する報道関係者向け説明会を実施した。

 最初にエアバス・ジャパン 代表取締役社長のステファン・ジヌー氏が、2017年度の納入機数などを紹介。2017年度は718機を納入し、15年連続で納期数が増加しており、「世界中で需要が高まっていることを理解してもらえると思う」と説明。納期数増の背景には生産レートの向上があり、ナローボディ(単通路)機のエアバス A320ファミリーは2019年半ばまでに月産60機、ワイドボディ(双通路)機のエアバス A350XWBファミリーについても2018年末までに月産10機を目指しているとした。

エアバス・ジャパン株式会社 代表取締役社長 ステファン・ジヌー氏

 日本においては、LCCの多くがエアバス A320型機を使用しているとおり単通路機が中心だったが、2019年度にANA(全日本空輸)がエアバス A380型機、JAL(日本航空)がエアバス A350 XEB型機を導入。ジヌー氏は「今後はワイドボディ機の存在感も高まる。日本でのシェアは順調に向上しており、2020年度には約30%に達すると思われる。長期的には50%を目指したい」と話した。

 世界市場では100座席以上の航空機が今後20年間で4万機になると予想。特に中国、インドが牽引するアジアのほか、中南米のような新興市場で航空輸送量の増加が著しく、新造機の引き渡しは日本を含むアジア・太平洋地域が世界の約40%を占めるという。

日本のインバウンド4000万人達成には航空機の座席数増が不可欠

Airbus インベスターマーケティング・ディレクター キース・ストーンストリート氏

 続いて説明を行なったのは、Airbus インベスターマーケティング・ディレクターのキース・ストーンストリート氏。エアバスがこれまでに約1万8000機を受注し、2018年4月時点で1万1098機を納入。受注残が7179機という状況で、10年間のうち9年間は受注が出荷を上まわる状況となっている。それに対応するために生産計画を進めてきたとし、受注増加については「エアバスのフリートに魅力があるから。航空会社にとっては経済性、旅客にとっては快適性が相まっての魅力になっていると考える」と語った。

 航空輸送については、IATA(国際航空運送協会)の予想を上まわる状況で、燃油費が上昇したとしても航空会社の営業利益は損なわれることなく、その需要が継続すると予想。日本においても、国内線、国際線、LCCがそれぞれ堅調に成長している。

 一方で日本では、羽田空港がさらに混雑し、アジア市場の潜在性と、高まるであろうニーズを考えると、日本向けの旅客をうまくハンドリングする必要があると指摘。そして、「日本発着の航空路線の成長のなかで、エアバスにとっての大きなチャンスがある」とする。

エアバス機のこれまでの受注状況
受注数と納入数
航空輸送の実績と2018年の予測
日本市場の状況

 ストーンストリート氏は、この日本市場の特徴について航空機と路線の適合という観点に目を向け、「ワイドボディ機は中長距離、ナローボディ機は単通路という簡単な切り分けはできない」と、羽田~福岡線などのように短距離の国内線でボーイング 777-300型機が使われているような例を示し、「以前はそのような神話があったが、日本こそ、それが誤りだったことを示した」とコメント。適切な座席数を、適切なタイミング、価格で提供することが求められているとした。

 さらに、日本が2020年にインバウンド4000万人を目標とする点に触れ、「その実現には多方面からのアプローチが必要だ。搭乗率、既存の発着枠の残り、発着枠増加を見越しても、なお500万人が不足する」と指摘。これは成田国際空港で計画されている新滑走路ができたとしても同様で、それに対応するには「フリートのキャパシティ(座席数)を増やすしかない」とした。

日本発着路線の地域別旅客数の予測。需給適合には短距離でもワイドボディ、中距離でもナローボディが求められる
日本のインバウンド予測。2020年に4000万人の目標を達成するには既存のインフラでは500万人分の処理能力が不足すると指摘

 ここで取り上げられたのが総2階建て機のエアバス A380型機。さまざまな調査会社の結果があるなか、航空旅客が15年ごとに倍増するという予測は一致しているなか、「長距離旅客の95%は58都市の間を飛行していることが分かっている。エアバス A380型機はすでに60都市に就航している」とした。

 そのように、運航機の座席数を増やすことで輸送量増加を実現した例として、英ロンドンのヒースロー国際空港を取り上げ、発着便の4%にエアバス A380型機を使い、全体の10%の旅客を運んでいることを紹介。

 さらに、「今の消費者はSNSやトラベルWebサイトで情報を得ている。A380がいかによい航空機かを知っている」とし、エアバス A380型機ならでの特別な体験を提供することで旅客を引きつけ、航空会社にとっては他社と差別化した収益性の高い機体となる優位性があるとアピールした。

 ANAのエアバス A380型機については、仏トゥールーズで初号機の組み立てが行なわれており、2018年末に塗装が終わる見込み。「来年の今ごろにはANAのA380を体験してもらえる」と話した。

エアバス A380型機の特徴
エアバス A380型機は他社との差別化ができる機体であることから、多くの情報を得ている旅客も引きつける収益性の高い機体であると説明した

市場とのギャップがない航空機ラインアップを用意

Airbus リーシング&インベスターマーケティング担当責任者 マーク・ペアマン・ライト氏

 続いて、Airbus リーシング&インベスターマーケティング担当責任者 マーク・ペアマン・ライト氏が、同社の最新航空機の状況を紹介。まずはワイドボディ機について説明した。

 ワイドボディ機のシェアは、「現時点ではボーイングがエアバスを上まわっていることは認めなければならない」と話す一方で、2000年には31%だったものが、2017年には41%へと迫っており、エアバスのみを運用する航空会社、エアバスとボーイング双方を運用する航空会社は、現時点で133社。ボーイングのみを運用するのは69社と、機体数はボーイングの方が多いものの、運用する航空会社はエアバスが上まわる状況になったという。

 また、「エアバスを運航する航空会社は小規模なところも多いが、成長率が高いという特徴がある。15年ほど前にA320型機を使っていたLCCなどの航空会社に似ている。もう少し時間が必要だが、ワイドボディ機でもエアバスが運航機数を上まわる日がくると思う」との観測を示している。

 このワイドボディのシェアについて、アジア・太平洋地域では23社がエアバスのみ、20社がボーイングのみ、19社が両社の航空機を運用し、機数でもエアバス機が53%とすでにエアバスがうわまっている状況。さらに、ボーイングのみを運用する20社のうちの2社はANAとJALで、それぞれA380、A350を導入することで差は広がることになる見込み。その成長を牽引したのがエアバス A330型機で、39%のシェアを持つ。

ワイドボディ機の受注数。10年間のうち7年間はエアバスがボーイングを上まわっている
ワイドボディ機の傾向として、小型ワイドボディのニーズが高いことが分かる
ワイドボディ機を運航する航空会社数とエアバスのシェア
ワイドボディ機の運航会社シェア
アジア・太平洋地域におけるエアバスのシェア

 ライト氏はここで、エアバス A330型機の最新モデルであるA330neoファミリーを紹介。既存モデルからエンジンを換装し、主翼もより大きなものへと設計変更。燃料効率を25%改善するほか、エアバス A350XWB型機でも導入されている最新客室仕様「Airspace」の導入で、座席数も増やすことができる。

 A350の半分の期間となる4年間で開発を進め、2017年10月に初飛行。現在は2機で飛行試験を行なっており、試験項目の80%を終了したという。今後は、2018年半ばに型式証明を取得する見込みとなっている。

エアバス A330neo型機の特徴など

 次に、JALが導入を決めているエアバス A350XWB型機を紹介。現在は17社、167機が運航されており、特にアジア発着の路線が多い。ライト氏は「航空会社はより大型で航続距離の長い機体を求めている」とし、4月に初飛行した最新派生モデルのA350-900ULR(超長距離)型機なども紹介。

 エアバス A350-900型機は、標準仕様のほか、この超長距離型、航続距離の短いリージョナル型機、JALが国内線で運用する国内路線(ドメスティック)型などのバリエーションを展開するほか、同じ航続距離で供給座席数を増やせるA350-1000型機など、柔軟性の高さもアピールした。

エアバス A350XWB型機の特徴。羽田空港のC滑走路(北風運用時)に、ボーイング 777-300型機と比べて85dB以上の騒音範囲が50%小さい
4月には超長距離型のエアバス A350-900ULR型機が初飛行。2018年下半期にシンガポール航空に納入予定
ニーズに応じたエアバス A350-900型機の柔軟性
長距離路線におけるエアバス A350XWB型機の柔軟性

 さらに、ナローボディのA320ファミリーについても解説。これまでに1万4000機以上を受注したベストセラー機で、New Engine Optionの略称を付与したA320neoファミリーの登場で、従来型のA320ceo(Current Engine Option)の人気も保持できていることを紹介。ceoとneoではエンジンのサイズが違うが、この実現は「設計が優れていたから」とした。

 加えて、「航空会社はより長い距離の機体を求めることから用意したもの」とする長距離仕様機、エアバス A321LR型機について説明。2月13日(現地時間)にパリ~ニューヨーク間、8時間44分のノンストップ飛行を成功させたことを紹介。これは向かい風のなかでの達成だという。同機は206席(2クラス時、モノクラスで最大244席)を供給でき、東京を中心にした場合は、東南アジア、インド、オーストラリア北部をカバーできる航続距離で、「日本のLCCにとってもより多くのチャンスをもたらすだろう」と話した。

エアバス A320ceoとA320neoの比較
エアバス A320neoとボーイング 737 MAXとの比較
エアバス A320neo型機を運航している航空会社
大西洋ノンストップ飛行、東京からインドやオーストラリア北部にも行けるエアバス A321LRもラインアップ
ワイドボディとナローボディの座席数と受注残。高い柔軟性と信頼性を持つ機体を、ギャップなくラインアップ