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シンガポール航空、ボーイング 787-10型機を関空で報道公開。新開発のビジネスクラスとエコノミークラス搭載

「2018年中に日本路線のすべてに787-10を導入する予定」

2018年4月4日 報道公開

2018年5月3日 世界初就航

シンガポール航空はボーイング 787-10型機を報道公開。世界初の定期便として関空~シンガポール線に就航予定

 シンガポール航空は4月4日、世界初の定期便として関西国際空港~シンガポール・チャンギ国際空港線に5月3日に就航する予定のボーイング 787-10型機を、報道向けに公開した。

 シンガポール航空は787-10型機のローンチカスタマーで、米サウスカロライナ州チャールストン工場で製造された初号機は3月25日(現地時間)に引き渡され、デリバリーフライトを実施。4月4日に関空に到着した787-10型機は2号機(登録記号:9V-SCB)で、旅行会社によるチャーター便運航の合間に報道公開を実施した。

シンガポール航空が5月3日に就航するボーイング 787-10型機のダイヤ

SQ618便:シンガポール(01時25分)発~関空(09時05分)着、毎日運航
SQ619便:関空(10時55分)発~シンガポール(16時40分)着、毎日運航

関空からシンガポールへ向けて離陸する、シンガポール航空のボーイング 787-10型機

「2018年中に日本路線のすべてに787-10を導入する予定」

シンガポール航空 日本支社長 デイヴィッド・ラウ氏

 報道公開前に行なわれたブリーフィングで、シンガポール航空 日本支社長 デイヴィッド・ラウ氏が787-10型機就航の概要などを説明した。

 2018年はシンガポール航空の日本路線就航50周年であり、世界で初めて定期旅客路線に最新鋭旅客機787-10型機を、しかも日本の関空路線に就航するという「シンガポール航空にとって非常に誇らしい年」になると、関係者に感謝の意を示した。

 シンガポール航空では全49機を確定発注している787-10型機だが、シートなどの機内プロダクトはこの最新型機のために新たに開発したものであり、最初の20機に対して約3億5000万ドルを投資しているという。

 さらに関空路線の就航を皮切りに、羽田、成田、セントレア(中部国際空港)、福岡と、「2018年中に日本路線のすべてに787-10を導入する予定」とのこと。これは「破格の投資」であり、日本とのインバウンド/アウトバウンドへ「最大限に努力していくことの1つの表われ」と語った。

関空に到着したシンガポール航空の787-10型機は39番スポットに駐機。旅行会社によるチャーター便運航の合間に報道向けに機体が公開された
39番スポットに駐機する787-10型機

シンガポール航空の787-10型機のビジネスクラス

シンガポール航空の787-10型機のビジネスクラス

 787-10型機は787-9型機と比較して全長が約5.5m長く、標準仕様で約40席多い330席クラスとなる。シンガポール航空が関空路線で運航する機材の仕様で比較すれば、これまでのエアバス A330-300型機から座席数は約18%、貨物室の搭載量も約18%増え、ビジネスクラス36席、エコノミークラス301席の計337席となる。

 ビジネスクラスのシート配置はこれまで2-2-2だったが、それが1-2-1となり、すべての座席から通路に直接アクセスできる。ビジネスクラスのシートはステリア・エアロスペース製で、全長76インチ(約193cm)、幅26インチ(約66cm)の180度フルフラットベッドになる。

 中央の2列はシート間が近い配置と遠い配置が交互に連なっていて、近い配置では「ダブルベッドのような感覚」で使用でき、間にあるディバイダーを引き上げることでプライバシーを確保することもできる。

 各席ごとにユニバーサルAC電源、充電用USBポート、18インチのフルHDタッチスクリーンモニターを備えている。機内エンタテイメントシステムは日本語メニューでの操作が可能になり、1000種類以上の映画、テレビ、音楽、ゲームコンテンツを楽しむことができる。

 また、マイレージ会員向けのサービスとして、会員IDをエンタテイメントシステムに登録しておくと、例えば往路で途中まで見た映画の続きを復路で視聴できるようになったり、視聴するコンテンツの傾向からお勧めコンテンツが提案されたりするといった機能を備えている。

ビジネスクラスのシート配置は1-2-1
窓側の1列はシートが左右交互に配置されている
中央の2列はシート間が近い配置と遠い配置が交互に連なっている
中央の2列席の間にあるディバイダーを上げることでプライバシーを確保できる
テーブルはモニターの下に収納されていて、引き出して広げて使用する。写真は13インチクラスのノートPCを置いたところ
食事でテーブルを使用するときは、サイドにあるミニテーブルにノートPCを逃がすことができる。奥には収納と、ユニバーサルAC電源、充電用のUSBポートが2基を備え、隣には引き出すタイプの鏡がある
ミニテーブルの下にシートのリクライニング、機内エンタテイメントシステムのコントローラとヘッドフォンジャックが集約されている
18インチのフルHDタッチスクリーンモニターで、1000種類以上の映画、テレビ、音楽、ゲームコンテンツを楽しめる。機内エンタテイメントシステムは日本語メニューでの操作が可能
全長76インチ(約193cm)の180度フルフラットベッドになる

シンガポール航空の787-10型機のエコノミークラス

シンガポール航空の787-10型機のエコノミークラス

 エコノミークラスのシートはレカロ製で、3-3-3配置。各シートに11.6インチのフルHDタッチスクリーンモニターとユニバーサルAC電源、充電用USBポートを備えている。機内エンタテイメントシステムはビジネスクラスと同じ内容を利用できる。

 また、従来の機材ではフットレストを設けていたが、足元の広さを拡大し、手荷物置き場のスペース拡大のためにも廃止。ヘッドレストは高さや角度を変更でき、眠ったときに頭部を支えてくれる。

エコノミークラスのシート配置は3-3-3
テーブルは2つ折りになっていて、手前に倒して開いて引き出す。13インチクラスのノートPCを置いてみた
各シートに11.6インチのフルHDタッチスクリーンモニターを備えている。機内エンタテイメントシステムはビジネスクラスと同じ内容
モニターの左下に充電用のUSBポート、ヘッドフォンジャック、読書灯などのスイッチ類がある
テーブルとは別にカップホルダーもある
ユニバーサルAC電源はシートの下にある
前にシートがない列ではテーブルは肘掛けの中から、モニターは足元から引き出す
シートを倒してみたところ
身長176cmの記者が座ってみた。フットレストをなくして足元のスペースを広くしている
ヘッドレストは高さや角度を自分に合わせて調整できる
枕とブランケット
ラバトリー
オーバーヘッドコンパートメント(手荷物収納棚)

関空発シンガポール行きでは787-10型機就航記念メニューを用意

機内食メニューの展示もされた

 機内食も記念メニューとなり、5月から6月末までの期間、関空発シンガポール行きのSQ619便のエコノミークラスでは、シンガポール航空が結成したシェフ集団「インターナショナル・カリナリー・パネル」に所属する京都の老舗料亭「菊乃井」の村田吉弘氏が考案した和食メニューを、ビジネスクラスでも村田氏監修の和食メニュー「花恋暦」を提供する。さらにビジネスクラスでは、5月は「上撰 純米大吟醸松の翠」を用意する予定だ。

ビジネスクラスの機内食

日本発便のビジネスクラスでは、期間限定で京都の老舗料亭「菊乃井」の村田吉弘氏が監修した和食メニュー「花恋暦」と「上撰 純米大吟醸松の翠」を用意する予定
ビジネスクラスの洋食(魚)
ビジネスクラスの洋食(肉)

エコノミークラスの機内食

エコノミークラスでも村田吉弘氏の監修メニューを5月から提供する予定だが、取材日は現行の機内食メニューが参考展示されていた
子供にプレゼントするグッズ類は定期的に更新していくとのこと

787-10型機がシンガポールへ向かって離陸

 報道公開を終えた787-10型機は、チャーター便「SQ8878便」として14時38分にシンガポールへ向けて飛び立っていった。シンガポール航空の787-10型機は関空線に就航後、次はオーストラリア・パース空港線での就航を予定している。

39番スポットに駐機する787-10型機。機内Wi-Fiによるインターネット接続サービスにも対応しており、ビジネスクラスやマイレージ上級会員が利用できる
プッシュバック開始。パイロットが手を振る姿が見える
787シリーズで最長の787-10型機