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ボーイング、ワイドボディ市場を解説。「777Xの客室は787と同等の快適さで乗客に優しい」
2018年3月16日 06:00
- 2018年3月15日 実施
ボーイング ジャパンは3月15日、2018年の民間航空機市場、特にボーイング 787型機や777型機などのワイドボディ機について説明した。説明に立ったのは民間航空機部門 マーケット分析&セールスサポート担当 シニア・マネージング・ディレクターのダレン・ハルスト(Darren Hulst)氏。
まずは2017年を振り返り、全体で912機の受注があり、763機の納入を行なっており、「市場が強く伸びている」という。2017年の航空機による総輸送人員は、昨対比4億人増の40億人超であり、8%の成長だったことが背景にあるとした。過去10年で見ると航空機の納入数は年平均5%の成長をしており、なかでも2012年から2017年の6年間、同社は毎年競合他社(エアバス)より多くの航空機を納入していると数字を示した。
ワイドボディ機の市場を見ると、2014年から2017年の平均でボーイングが65%のシェアを取っており、低燃費や低いメンテナンスコストが支持される理由という。また、この2年間で新規開設された30の長距離路線のうち、21路線はボーイング 787型機が、8路線は777型機が、残り1路線も767型機が飛んでいると指摘した。
2018年2月までの787型機の状況としては、71の顧客から1319機の受注があり、644機を納入している。その内訳は787-8型機が350機、787-9型機が294機。受注・納入数だけでなく、「170の市場(地域)で運航されているという事実に最も価値がある」と述べた。
ハワイアン航空はA330型機をキャンセルしてボーイングを発注と説明
直近ではハワイアン航空が787-9型機を10機発注しているが、ハルスト氏は「787型機の新規顧客であることも素晴らしいが、エアバス A330型機をキャンセルして発注してくれたことがポイントだ」という(関連記事「ハワイアン航空、2021年にボーイング 787-9型機(ドリームライナー)導入」)。こうした新規受注もあり、2019年の787型機は月産14機の製造体制を予定している。
続いて、現在超長距離の太平洋路線で主力になっているのは777型機だが、その後継の777X型機に話が及んだ。777X型機では、主翼にこれまでで最も効率の高い第5世代の複合材を使用し、エンジンはゼネラル・エレクトリックのGE9Xを採用。これは、777型機などで使っているGE90のパワーと、787型機で使っているGEnxの効率性を併せ持つものだと説明した。座席は従来に比べて20~40の増席が可能で、シートあたりの効率は20%高まる。777X型機は双発ワイドボディ機としては最大の機材になるが、同時に最も効率的な機材であり、ペイロード(乗客や手荷物などの有償荷重)は18トン増え、航続距離は3000km伸びるとした。エアバス A350-1000型機と比べると、シートあたりの燃費は12%よいという。
内装などの仕様はまだ詰めているところであるとしつつ、客室の与圧は787型機と同程度になり、構造材の見直しで高い湿度を保ち、照明もLED化するという。
最後に、現在就航中のボーイング 737 MAXファミリーについて触れ、対737 NG(Next Generation、737-800型機などの現行モデルのこと)では14%低燃費で、航続距離は1000km延長、年間のCO2排出量は3670トン削減できるという。2017年から737 MAX 8型機を納入しているが、2月5日には737MAX 7型機がロールアウト、翌6日には737 MAX 10型機の仕様が決定しており、また16日に737 MAX 9型機がFAA(米連邦航空局)の認証を得るなど、2018年は737 MAXファミリーにとって大きな1年になる、と述べた。