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WILLER、新潟を巡る2階建てオープントップのレストランバス2号車を公開
海外からの観光客にもアピールする“祭り”仕様。九州・阿蘇地方でもレストランバスツアーを実施
2017年3月22日 14:23
- 2017年4月1日 運行開始
WILLERが新潟において2階建てオープントップのレストランバスを使ったツアーを行なっているのは本誌でもお伝えしているが、その2号車を4月1日から同じく新潟で運行するにあたり、東京都内で報道向けに車両を公開した。
2号車では海外からの観光客を意識し「祭り」をテーマに、外観は花火をあしらったデザインを加え、車内には暖簾や提灯、畳調シートを新たに採用している。装備や機能は1号車と同じ。定員は乗客のみで25名。
WILLERのレストランバス2号車を使った新潟コース
予約受付開始日:2017年3月17日
対象催行期間:2017年4月1日~6月30日
福島潟・米文化 堪能コース:1万5120円(期間中の土曜開催)
佐潟・日本海、砂丘を堪能コース:1万5120円(期間中の土曜開催)
鳥屋野潟 潟辺の暮らし堪能コース:1万2960円(期間中の日曜午前開催)
鳥屋野潟 潟辺の暮らし堪能コース:1万2960円(期間中の日曜午後開催)
アートミックスジャパン記念企画 桜編:1万2960円(4月9日開催)
アートミックスジャパン記念企画 桃編:1万7280円(4月16日開催)
港町新潟・水の港空の港と夜景クルーズ:6480円(期間中の水曜開催)
※価格は大人1人あたり
すべてのコースで新潟の素材を使った、旬の料理が楽しめるスペシャルコースが付いている。そのうちアートミックスジャパン記念企画は、4月1日~23日に新潟で開催される日本の伝統芸能や文化、食などが楽しめるイベント「アート・ミックス・ジャパン」の開催を記念した企画で、車内では演奏も行なわれる。
バスの内部は1階が厨房、トイレ、運転席などの設備で、乗客は1階中央の出入口から階段を上り2階に乗車する。2階には対面のダイニングテーブルとシートが配され、窓の周囲には赤い暖簾とカラフルな提灯で飾り付けらている。まるで居酒屋のような雰囲気。
提灯はライトで点灯し、ディナーではいっそう雰囲気が盛り上がる。テーブル中央は、各種のグラスが動かないようにホールドできる作りになっている。
屋根中央部は透明のポリカーボネート製で、後部に折りたたむことで左右のフレームを残してオープントップにできる。試乗会当日は好天に恵まれたため屋根を開けた状態で公開された。
試乗では、今まで感じたことのない特別な開放感があった。高さのある大型バスのため、走行時には通常のオープンカーともまた違った感覚。後方と前方の座席で一部屋根が残るので、より風を浴びたければ中央付近で通路側の席がお勧めだ。走行風があるといっても、料理が飛ばされるようなシーンはなかったので安心してほしい。
なお、1階にはトイレも備えているので、心配せずにお酒をいただける。人数分傘も用意されていて、農場などを見学する際に急に雨が降っても心配はない。
予約開始日の3月17日に行なわれた内覧会では、WILLERが募集した旅好きで情報発信力のある日本在住外国人からなる「トライアルトラベラー(Trial Traveler)」の一行も招かれ、大崎と東京タワー間を往復するコースで車内を楽しむ様子も公開された。車内案内では日本語に併せて英語も使われていた。
すべて新潟産の素材を使用したコース料理も実際に提供され、お酒と一緒に楽しむことができた。車内での食事もツアーの大きな楽しみになっているが、今回料理を提供したシェフは、新潟出身の真保元成氏。2009年より数々の地元密着型の自然派イタリアンレストランの料理長を務め、新潟で自然派料理レストランを開店準備中とのこと。
料理の提供には、和食、洋食問わず多数のシェフが名乗りを上げていて、現在9名のシェフが交代で提供することになっている。メニューは常時決まっているわけではないが、地元産で旬の素材が使われる。料理を提供する皿はすべて紙製で、フォークやスプーンは木製と、安全面でも配慮されていた。
試乗会と併せて行なわれた発表会では、WILLER 代表取締役の村瀨茂高氏と、新潟でのバスのレストラン部分を取り仕切るピースキッチン新潟 代表理事の横山裕氏が登壇し、レストランバス2号車について説明があった。
また同時に、すでに運行中の1号車を使い4月8日から6月まで、九州の阿蘇周辺にてレストランツアーの開催も発表された。ランチ(12時~15時)とディナー(16時~19時)のコースがあり、「阿蘇南・田園満喫コース」や「阿蘇北・草原満喫コース」などが予定されている。阿蘇赤牛のハンバーグ、湧水ヤマメの塩焼きフリット、地酒などが楽しめる。これらは時期により変更されることもある。
これまで1号車は、オープンルーフを活かし、新潟市や東京・お台場、沖縄で運行された。村瀨氏は、「これまでのレストランバスの運行実績で、点在していた地域の魅力をつなぎ、単に旅行客を連れてくるだけでなく、地域との交流も生まれることが分かった。地元の人々が魅力を再発見することにつながっている」と説明。
今回の2号車は、海外からの観光客を強く意識したデザインになっていて、車内案内に英語も併用されていたが、海外からの旅行者専用のコースではない。「インバウンド(海外からの旅行者)で韓国、台湾、香港からが46.6%と5割近くあり、そのなかの80%がリピーターとなってくれている。
リピート旅行では、より深い日本の魅力に触れたがっている。このニーズを地域の魅力とつなげていきたい。点在する地域の魅力を安心して楽しく巡ることができ、外国人と地域の方々の交流も生まれてくる。もちろんツアー貸切で外国人観光客専用として走らせることも可能。まずは新潟で集中して展開し、今後オファーがあればどの地域でも行ないたい」と語った。
海外向けのWebサイトなどを通じて海外に発信していくが、日本人も利用可能。海外の人と盛り上がれば、楽しめる車内となりそうだ。レストランバスは1、2号車ともに3月17日から専用サイトを通じて予約が開始されている。
レストラン部分はピースキッチン新潟が運営する。ピースキッチン新潟は、食文化をさまざまな切り口からアプローチし、地域の多様な可能性を引きだそうという団体。新潟でのレストラン運営はピースキッチン新潟が行ない、貸し切りバス運行は、WILLERが委託する、ゆきつばき観光が行なう。
ピースキッチン新潟の横山氏は、「新潟では、食と中心に据えた旅行のフードツーリズムと、農業を体験などを通じて感じてもらう旅行のアグリツーリズムを合わせた、ガストロノミーツーリズムを始動させています。
信濃川と阿賀野川が作った砂丘列と潟湖のある新潟で、生産者、料理人、消費者の3者をつなぐきっかけを作ってくれたのが、レストランバスだと考えています。2016年の運行では6割近くが地元の方々に乗車いただき、地元の魅力の再認識につながったと感じています。
単に乗り物で料理を食べるというだけでなく、風景を楽しみ、シェフが乗り、地元の生産者と出会い体験する、バス内でのコミュニケーション。それ全体に価値があると考えています。
そして、インバウンドでのキラーコンテンツにしていき、2020年を迎えたいと思っています」と思いを語った。ツアー行程でも、地域の方々が盛り上がりを見せていて、2017年は和食と洋食を取り混ぜた9名のシェフが新潟の旬の味を提供する。
また、4月1日から23日まで、新潟では18の会場を使った「アート・ミックス・ジャパン」という日本の伝統芸能や文化、食などが楽しめるイベントを開催されることの告知もあった。このイベントとコラボレーションし、バス内で篠笛の演奏を楽しむコースも用意される。
試乗会のあとには参加したトライアルトラベラーを集め、新潟を知ってもらうイベントも開催。新潟万代太鼓「華龍」による太鼓や獅子舞の演舞披露のほか、地酒の試飲や、名産の試食などが行なわれ盛況だった。