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ウィラーグループ、日本初2階建てオープントップのレストランバスを開発、試乗会を開催

「食」と「移動」を国内外に発信するWebサイト「にっぽんトラベルレストラン」、日本初の投資型鉄道ファンド「丹鉄ファンド」をスタート

2016年3月15日 開催

2016年4月30日 運行開始

 京都丹後鉄道(以下、丹鉄)を運営するWILLER TRAINS、高速ツアーバスを運営するWILLER EXPRESS JAPANなどを展開するウィラーグループの中核企業WILLER ALLIANCEは、グループ共同で日本初となる2階建てオープントップのレストランバスを開発した。

 レストランバスの企画運営は、3月に新設した地方創生に取り組む地域商社WILLER CORPORATIONとUmari(umari capital)が協働、地域の食を体験しながら移動を楽しむコンテンツの開発を行なっていく。3月15日には、ウィラーグループとUmariによる「地方創生への取り組み」に関する記者会見と、レストランバスのプレス向け試乗会、地域特産品の試食会が開催されたので、その模様をレポートする。

地方創生の必要性とウィラーグループの取り組み

株式会社umari 代表取締役 古田秘馬氏(左)と株式会社WILLER TRAVEL 代表取締役 村瀬茂高氏(右)

 最初にUmariの代表取締役である古田氏から簡単な自己紹介に続き、地方創生について「本当に地域の魅力になっているかが大切。過去を見せる観光や商品では長続きしない。これからの地域ブランドは先々の可能性に関わってもらう関係の構築が必要だ。いくら補助金を投下しても最終的にエンドユーザーがお金を払ってくれなければ何もならない」とコメントした。また「リサーチからターゲットを決めたら、そのターゲットに合わせたコンテンツを発掘する。ターゲットが求めていないコンテンツばかり用意しても意味が低いので、コンセプトだけではダメ。地域の人材を育てることも重要だ」とも語った。

古田氏のプレゼンテーション。「ウィラーはレストランバスの企画をしていて、我々は地域の結び付きを考えていたので、一緒に事業を行なうことになった」とコメントした

 続いて、WILLER TRAVELの代表取締役である村瀬茂高氏から、ウィラーグループとしての地域創生の取り組みに関するプレゼンテーションがあった。最初にウィラーグループについて「移動によってたくさんの人が元気になれることがウィラーグループのミッションである。実際に運行する事業会社としてWILLER EXPRESS JAPANとWILLER TRAINSがあり、新たなマーケティング活動で運営事業を価値に変えていくためにWILLER TRAVELとWILLER CORPORATIONがある」と簡単な企業紹介があった。

「ウィラーグループが目指すのは、人の移動と出会いにより地方創生につなぐことである」と語る村瀬氏のプレゼンテーション

 また村瀬氏は「旅行の目的として、地域の観光、買い物、食があるが、それらの目的地が広範囲に点在していることも多いので、そのスポットを便利にまわることができる交通手段は必要。食と移動をプロデュースできる我々のバスツアーならニーズを網羅できる」とも語った。

日本人の旅行目的とインバウンドの旅行目的の違いについて説明したスライド。どちらも食と文化を知るための移動が必要。レストランバスではウィラーグループとUmariが役割を分担する

 さらに「地方の食の魅力や情報の発信、食の体験コンテンツの販売などを行なうポータルWebサイト『にっぽんトラベルレストラン』を開設し、運営はWILLER TRAVELが行なう。4月から新潟で運行するレストランバスでは、地元食材の選定、調理方法なども含めたコンテンツ作りにWILLER CORPORATIONとUmariが共同して取り組む」と話していた。

「いろいろな地域で、地元食材の食べ方や、歴史、文化なども含めたコンテンツを用意する」とのことなので、今後も楽しみである

日本初の投資型鉄道ファンド「丹鉄ファンド」を開設

 WILLER CORPORATIONは同日、Umariと協同し、鉄道ファンのアイディアを実現する日本初の投資型鉄道ファンド「丹鉄ファンド」を設立した。これは、丹鉄沿線の地方創生を目的に駅ナカ、鉄道車内、丹鉄沿線の価値を高めるため、全国の鉄道ファンや起業家からアイディアを募り、そのアイディアを評価、採用された案件に投資して実現させるものである。「アイデアを実現することで丹鉄沿線の活性化し、認知度が向上して乗客が増えることなどが大切なポイント」と村瀬氏は語っていた。

 丹鉄沿線の地方創生を継続的に進めていくために、地域に根付いた収益モデルをしっかりと生み出せる人材の育成、確保が必要であることから、全国の鉄道ファン、起業家を対象とした「鉄道ビジネススクール」を5月より開講。1クール約3カ月のカリキュラムは、企画の作り方や丹後の歴史を学ぶ座学のほか、丹鉄沿線の魅力や特徴を学ぶためのフィールドワークなども行なう予定としている。

一般の鉄道ファンも受講できる「鉄道ビジネススクール」は、京丹後エリアの歴史や地域特性を学ぶことから始まり、地域ビジネスのポイントを覚えてフィールドワークまでを行なう

爽快な2階建てオープントップのレストランバスで食事も楽しめる

 お披露目された日本初となる2階建てオープントップのレストランバスは、1階に冷蔵庫やシンクなどのキッチン設備が揃い、2階にはダイニングテーブルやイスが配備され、走る車内で快適に食事を楽しめるようになっている。もともと運行に使用していた2階建てバスを改造したものであるが、「オープントップバスならではの絶景を楽しみながら、その土地の生産者や料理人と交流し、旬な食材を楽しむことをコンセプトにしたレストランバスとして開発した」と、バスの架装に関する説明が村瀬氏からあった。

暖かな天気のよい日にはオープントップで開放的な景色を楽しめ、天候がわるい日は透明のポリカーボネート製の屋根を閉めて景色を楽しみながら食事できる
透明度の高いポリカーボネート製ルーフパネル。万一のためのチェーンロックはもちろん、当然のように通常のバスとして不便がないようにエアコンや照明、コンセントも備えている
1階の厨房はバスの車外からも見えるガラス張り。冷蔵庫、電子レンジ、オーブン、IHクッキングヒーターなどを装備している
試乗会で提供されたのは「焼き野菜のマリネ」「山菜と干し野菜のスープ」と村上市富士美園の「雪国緑茶」。対面式テーブル中央の穴はワインボトル用、Sの字の切り込みは、走行中にもワイングラスが倒れないためのもの
レストランバスは新潟県で4月30日より運行開始予定。農園での収穫体験や観光を楽しみながら、地域の食を楽しめるコースを企画しているという

地域特産品の試食会には新潟の美味がいっぱい

 合わせて開催された地域特産品の試食会には、新潟県内のさまざまな食材とワインなどが並んでいた。これらの地元食材を食べたり購入できたりする旅行を、オープントップのレストランバスで楽しめるコンテンツが企画されていくようだ。

新潟の地域特産品が並んだ試食会。一通りいただいたが、どれも美味しいものばかりだった。新潟といえば日本酒のイメージだが、ワインもよかった

WILLER EXPRESSの新しいシート「GRAN」を搭載した車両も展示

 WILLER EXPRESSの新しいシート「GRAN」を搭載した車両展示もあった。147度までリクライニングでき、眠ってしまっても走行中に頭部が左右に揺れるのを防ぐバケット型ヘッドレストを備えたシートが、足元に余裕のあるレイアウトで配置されていた。カーテンは座席の前までまわり込んでほぼ周囲から遮断できるようになっており、これなら長時間の移動も快適だろう。

(酒井 利)