車中泊の拠点 RVパークを訪ねる

同伴犬種限定で動物アレルギーでも安心。清潔な茨城・北浦の高規格RVパークに泊まってみた

KITAURA LAKESIDE RVパーク

霞ヶ浦の隣、北浦という湖の側にある北浦レイクサイドRVパークに行ってきた。サイトのサイズが大きく、設備も充実している

 今回行ってきた「KITAURA LIKE SIDE RVパーク(北浦レイクサイドRVパーク)」(茨城県鉾田市梶山2947)は「犬や猫の毛に反応してしまうアレルギーを持つ方に配慮したRVパーク」という独特の方針を掲げている興味深い施設だ。

 北浦レイクサイドRVパークのオーナーの石川氏はテント泊のキャンプやクルマ旅が好きで、あちこちに出かけていたそうだが、実は犬好きでありながら犬の毛に対するアレルギー体質でもあった。ただ、クルマ旅は「愛犬と一緒にでかけられる」ことが魅力の1つで、RVパークを含めて多くの施設でペット同伴可になっている。

 しかし、本人もしくは家族や同行者にアレルギー体質の人がいる場合は、どんなに魅力的な施設であっても利用しにくい。見えない壁ができていたのだ。

 そこで自らが北浦レイクサイドRVパークを立ち上げた際にテーマとしたのが「アレルギーに配慮したRVパーク」であること。そして実施しているのが「来場できる犬種を限定する」という独自のルールだ。

 具体的な犬種については北浦レイクサイドRVパークのWebサイトを参照していただきたいが、リストに載っていない犬種、そのほかの動物はすべてNG。リスト以外の犬種の同伴があった場合はすぐに退場してもらうとのこと(利用料の返金もないという厳格な運用)。

「クルマから外に出さないので大丈夫だろう」と考える人もいるそうだが、利用者の身体や衣類についた脱け毛に反応してしまうこともあり、それがアレルギー体質の利用者に深刻な影響を与えることもある。この点はぜひ、施設のルールを理解していただきたい。

犬連れの利用を断るのでなく、犬種を限定することで犬好きな人とアレルギー体質の人の両方にとって気持ちのいい利用ができる施設。オーナーさんも犬が大好きな方でアレルギー症状が出ないトイプードルを飼っている
そのほかの注意事項。こちらはRVパークとして一般的な内容。RVパークは全体的に利用者のマナーがいい傾向なのでこれからもぜひそうであってもらいたい

猛暑日でも都心-5℃の意外な避暑地。清潔さに驚くRVパーク

 では、改めて北浦レイクサイドRVパークの紹介だ。茨城県の名所、霞ヶ浦の隣にある北浦という湖の側にあり、施設から北浦は歩いてすぐの距離だ。

 北浦と逆の方向は小山を挟んで大平洋となるためか、全国的に酷暑と言われる日であったもそれほど気温は上がらない。取材にいった日も都内は最高気温が37℃となっていたが現地は30~32℃であったし、夕方に風が出てくると涼しさを感じられた。そして夜も寝苦しさはまったくない。これは想像していなかったので「意外なところに避暑地があった」とうれしくなりつつ、驚きもあったものだった。

施設の前の道から見た光景。左側が施設で奥が北浦
北浦の湖畔。ここで撮影していると何人かの地元の方が通り過ぎていったが、皆さん「こんにちは」とあいさつしてくれた。北浦レイクサイドRVパークの石川氏にそのことを話すと、こちらではそれがふつうとのこと。気持ちのいい習慣を持つ地域だ
取材日は台風が接近していたので雲が多く、北浦の向こうに沈む夕陽は見ることができなかった。晴れていれば湖面に夕陽が映り込んできれいとのこと

 サイトは2つあり、料金はサイト1が5500円~、サイト2が6500円~となっている。土日祝前日、ハイシーズンは専用料金になるので詳細はWebサイトで確認してほしい。なお、これらの料金はサイトを2名までで利用するときのもので、人数が増えると1名につき+2000円(大人・子供とも)が必要になる(最大5名まで、貸し切りは除く)。ペット料金も設定しており、2頭までは無料で3頭目以降は+500円(最大4頭まで)。

パークの入口。ゲートがあり夜間は閉められている
入口から施設内を見た様子。奥がサイト1、そしてサイト2。その手前に新たにサイト3を作る予定
入口横には管理棟がある。たき火用の薪の販売もある

 RVパークは車中泊のために誕生したものではあるが、北浦レイクサイドRVパークはもっと気軽に、例えばレンタカーのクルマ旅でも訪れてほしいと考えているので、サイト内にテントを張れる芝生スペースも用意している。そのため、実際にレンタカーや普通のクルマにテントを積んで来る利用者も多いという。

 サイトは2つあり、そのどちらも面積はRVパークのなかでは広く、駐車スペースは大型キャンピングカーでも余裕の広さがある。

 さらに特筆すべきポイントとして、サイトごとにトイレとシャワールーム、炊事場を備えており、食事できる屋根付きスペースも用意している。しかもすべて清掃が行き届いているので、どこを見てもキレイ。これは脱け毛などが残らないようにするというアレルギー対策のためではあるが、アウトドア施設でありながら清潔というのは非常に好感を持てるものだった。

 ちなみにこちらの施設は建屋以外は基本的にオーナーがパートナーと一緒に設計・工事を行なっているので、「あった方がいい」と思う設備や装備はこれからも増やしていくという。

サイト1の全景。芝生スペースはクルマの乗り入れ厳禁。ここにテントを張ることもできる。RVパークでありながら、オートキャンプ場のような使い方も歓迎とのこと
入口側から見た様子。サイト内部でクルマを展開するのはさすがに難しいので、車両後方を建屋側にしたい場合はバックで進入する
サイト1を奥から見た様子。サイト1にはブランコを設置している
シャワールームとトイレはサイトごとに用意している。これはほかでは見たことのない豪華な環境
屋根下は食事などできるスペースとなっている
テーブルも用意している。奥にあるのは水道。ゴミ箱もサイトごとにある
こちらはサイト2。サイト1と比べると駐車スペースが広くなっている。今回はサイト2を使わせてもらった
サイトから北浦を見る。しっかりとしたゲートがあるのでサイト内では犬をノーリードで遊ばせることも可能
サイトの奥から見てみた。芝生スペースはサイト1より小さいが、それでも大型テントを余裕で張れる
芝生スペース。クルマで来て、テントを張って寝るのもOK
芝生スペースの横にあるのがシャワールームとトイレのある建屋。日よけがある部分はコンクリート敷きの食事などをできるスペース
テーブルとイスを常備しているのでアウトドアギアをあまり持っていなくても快適に利用できる。ここも大きなポイント
食事用とは別にリラックスできるチェアも置いてある。また、蚊取り線香も置いてあり、自由に使うことができるのだが、筆者のいた日はヤブ蚊が一切飛んでないし、ほかの羽虫も少なかった
なんと扇風機の無料貸し出しもある。ポータブルクーラーを借りることもできる(有料)
炊事場。水栓からはお湯も出る。井戸水で飲料用ではなく、ほかに上水道からの蛇口はないので飲料用の水は持参する。ちなみに筆者は水栓からの水を湧かしてからコーヒーなどに使ったが、特に問題はなかった
スポンジは備え付けだが、衛生のため使い回さず利用ごとに使い捨て。全体的に清潔感のある施設だけに、こういう部分にもこだわりを感じる
ゴミは施設の利用で出た分を分別して捨てる。ゴミ処理料金は利用料に含まれている
電源ももちろんある。コードリールを常備しているのでクルマまでの距離があっても問題なし。電源の分岐もできる
サイトごとに専用のトイレがある。混みあうこともないし、夜も利用しやすいので子供連れや女性にはうれしい設備では
隣はシャワールーム。利用料金は施設利用料に含まれている
シャンプーやボディソープは常備している
ドライヤーも完備。USB電源のファンもある
足拭きマットも使用ごとに取り替えできるようになっている

1泊してみた

 いつもどおり1泊してみた。東京からだと東関東自動車道の終点、潮来ICまでいって、そこから30分ほど走る。途中にコンビニはたくさんあるのだが、食材を買えるスーパーマーケットは道路沿いにはなくて、そのまま現地の近くまで着いてしまった。

 カーナビで施設検索をするとクルマで10分くらいの範囲にいくつか見つかったのだが、筆者が訪れたところは予想より小さめのお店で、品揃えも多くなかった。現地でしっかり調理をしたいという場合は、事前に大きなスーパーのある位置を調べておいた方がよさそうだ。

翌日、帰りの途中で海海沿いに行ってみたところ、施設から10分ほど走ったところに、こちらのスーパーマーケットを発見。店名はカスミ大洋店で国道354号線で向かうか、潮来ICから少し遠回りして海沿いの国道51号線を通ると途中にある
スーパーまで必要ないという場合はかなり楽。なんと施設の隣はセブン-イレブン。写真の手前がコンビニで、奥に北浦レイクサイドRVパークが見える。お弁当を買って温めてもらっても冷めることない距離だ
冷蔵庫・冷凍庫がなくても隣に行けば冷たい飲み物やアイスを調達できる
駐車スペースは広い。最初は真んなかに停めたが建屋の近くにクルマがあった方が便利そうだったので寄せたところ、かなりのスペースが余った。2台で来ても余裕で停められるだろう
施設入り口にゲートがあり、サイトも壁とゲートで仕切られているので安心感は高い。今回は風通しをよくするため、ホンダ純正アクセサリーのテールゲートカーテンを展開して、テールゲートを開けたまま寝てみた

 サイト正面(ゲート側)は西向きになるので午後には西日が来るが、日よけがあるのとそもそも気温が東京ほど高くないし、風も心地いいので快適に過ごせた。アウトドアでテーブル展開は開放的でいいものだが、「屋根がある」開放的な場所は安心感があってなおいい。特に気温が下がって涼しさを感じた夜の居心地がよかったので、今回は寝る直前まで屋根下スペースで過ごしていた。

 施設のまわりは灯りが少ないので、晴れていれば多くの星が見られるとのこと。取材日は台風の影響で雲がひっきりなしに流れる状況ではあったが、写真を撮ると多くの星が写った。涼しい環境のなかイスに座りながら星空を眺めてリラックスできたので、のんびりしたい方にはお勧めの過ごし方だ。

日よけがあるので、西日が差しても暑さは感じにくい
備え付けのテーブルは樹脂製なので、痛めないためにコンロを使うときは持参した金属製のテーブルを出した
たき火はたき火台を使用すれば可。やっていい場所として写真のエリアが用意されている。砂利の上でも可能。芝生はたき火台やマットを敷いても熱や火の粉により芝に影響があるので避けること
施設内にはこのように小さな照明が点灯する。明る過ぎないので雰囲気を壊さない
裏手にコンビニがあるので明るさや騒音が気になったが、それも問題なくむしろ適度な明かりとして有効だった。騒音については夜になると利用客が減るようで、騒がしいと思うことはなかった
星空の様子。雲の量は多かったが流れが早かったので、雲のかかりが薄くなるときもあった。肉眼ではこれほどの量は見えないけど、それでも十分きれいな星空を見ることができた
夜はこのようにたき火台を置くスペースにイスを置いて夜空を眺めていた。昼間の写真だがロケーション的な気持ちよさが伝わるだろうか

 今回はテールゲートを開けたまま寝たため、テント泊と同様に周囲の騒音の影響を受けやすい状態だったが、施設周辺は民家も少なく、前の道路も夜になると通行量がぐっと減り、コンビニ利用者もあまりないようだ。そのため騒音で不快に感じることはなかった。朝方、コンビニの駐車場にトラックが入ってきたときもあったが、すぐまた寝てしまった。

 先にも書いたが、この施設はまわりに湖や田んぼなどが多いわりに虫が少ない。夏はLEDの明かりに虫が来ないよう、青色に光る殺虫灯を持っていくのだが、そちらにもほとんど虫が入っていなかった。ヤブ蚊もまったくいなくて、殺虫剤を使うこともなかった。

青色の光を出す殺虫灯も持っていったがほとんど取れていなかった。アウトドアレジャーで虫が少ないというのは非常にポイントが高い
最後にもう1つ。サイト間にはこれだけのスペースを取っているので、両サイトに利用者がいてもお互いの存在が気になりにくい。また、この距離は犬にとっても落ち着けるようで、吠えやすい犬であってもムダ吠えしないそうだ