車中泊の拠点 RVパークを訪ねる
田舎で過ごすのんびり時間が心地いい、常陸太田の田園風景のRVパークに泊まってみた
天下野2区RVパーク捨吉
2025年7月13日 08:00
今回訪れた「天下野2区RVパーク捨吉」(茨城県常陸太田市天下野町9034)は、オーナーの実家(農業を営んでいた)だった場所を利用して作ったところで、立地は「The 田舎」といった感じの田園風景が広がる。
少しクルマで走ると観光地として著名な滝などあるが、施設の周辺はまったく観光地っぽさがないので、「のんびりしたい」と思う人は特に気に入る場所になるのではないだろうか。
RVパーク捨吉の基本情報
RVパーク捨吉へは主要道路である県道から脇道に入っていくのだが、この道はクルマ1台分の幅しかなく田んぼの間を縫うように通っているので、大型のキャンピングカーでは気を使うかもしれない。だけど道幅や周囲の景色を含めて「田舎にきた」という雰囲気がたっぷりで、筆者にはなんとなくワクワクするものだった。
RVパーク捨吉は農業を営んでいた古民家とその周辺の土地を利用した施設。この古民家はオーナーの実家だったそうだ。
施設の敷地は2つに分かれている。メインとなっているのが炊事棟や屋根付きサイトがあるエリアで、こちらは5台分のサイトを用意している。もう1つは古民家横の庭先に設けたスペースで、区画分けはしていないが2台が利用できるようになっている。
なお、この古民家も宿泊施設として運営していくため、現在はリフォームを行なっている最中。今回の取材ではこの古民家の撮影もさせてもらったので、記事の後半で取り上げている。
料金についてだが、RVパーク捨吉は「大人1人とクルマ1台」での利用を基本としている。つまり大人2人で利用する場合は「基本料金」にプラスして「大人1人分の追加料金」が発生するということ。追加料金は大人1人1100円、子供(小学生~高校生)1人550円で、小学生未満の追加料金は不要。
各サイトの基本料金は、屋根付きが2970円、芝生サイトが2750円、古民家横庭サイトが2530円となっているので、複数人で利用する場合はそれぞれに代表者を除く人数×1100円(子供の場合は子供料金)を追加することになる。電源の利用は別料金で1320円。連泊の場合は日ごとに880円が追加。RVパーク利用時に出たゴミの処理は基本料金に含まれる。
雨の日でも快適な屋根付きサイト(1~3番)
炊事棟があるメインのエリアはサイトが5つあり、そのうち3つが屋根付きになっている。サイトのサイズは横幅が約4.2m、奥行きが約6m、高さは約3.2m。大型のキャンピングカーやポップアップルーフ付きの車両の場合でも約3.2mの天井高があれば高さ的に足りると思う。地面は締まった砂利引きで、車内で横になったときに気になるような傾斜はなかった。
また、それぞれのサイト前には雨が降ったときに水が入ってこないようにするための溝が掘られていたので、屋根があるのと合わせて雨天での居心地に不満はなさそうだ。
屋根付きサイトは前方と後方を解放しているので、サイト内にテーブルや椅子を展開した状態でも風景を楽しめるのだが、前方が東向きで後方が西向きになるので、屋根があってもサイト内には午前と午後の一部の時間帯は日差しが入ってくる。
その時間の日当たりを防ぎたいなら影を作るためのタープなどを用意しておくといいだろう。サイト内に日よけや物置的な意味でテントを張るのはいいのだが、RVパーク捨吉は車中泊用の施設なので、テント内での就寝は不可。
開放感がある芝生エリア
炊事棟の前には「芝生エリア」というオープンスペースのサイトがある。ここは3台分スペースがあるのだが、オーナーいわく「狭い」ということから、3台分のスペースのうち、真ん中になる5番サイトを単独で利用せず、5番サイトを両脇のサイトで半分ずつ使用するようになっているので「2台分」となっている。
このエリアをどのように使うかは写真で紹介するが、オープンスペースゆえの開放感が得られるのでキャンプ的な雰囲気を楽しみたい場合は、屋根付きサイトよりこちらの方が適しているのではないだろうか。
もともとのサイトのサイズは幅が4m、奥行きが6mだが、真ん中のサイトを分けるので実際の利用時の幅は約6mとかなり広く使えるのだ。
古民家横庭エリア
もう1つのサイトは道を挟んだところにある「古民家横庭エリア」だ。ここは2台分の利用を想定しているのだが、サイトごとに区画分けがされていない。仲間同士での利用は問題ないとして、知らない方と隣同士になる場合はお互いに気を使い合って、どちらかが不快に感じるようなことがないように気をつけたいところでもある。
サイトの奥にはさらに広い庭があり、背の高い木(紅葉らしい)の下にはベンチがあってのんびりするには最適なスペースがある。また、このスペースではバーベキューもしていいということだが、夜は早い時間に静かになる地域なので、周辺にお住まいの方々に迷惑にならないよう利用できる時間などは事前に問い合わせておきたい。
設備が揃っていて便利な炊事棟
RVパーク捨吉の利用者が共同で使用できる炊事棟には、男女別のトイレと1つのシャワーブース(有料で1回300円)、そして大型のシンクに食材を保存しておくための冷蔵庫、電子レンジ、トースター、IHクッキングヒーター、さらに洗濯機と乾燥機がある(ともに有料)がある。
これらはすべて共用なので利用者が複数のときは譲り合って使用したい。なお、シャワールームの入り口には利用時間を書き込んでおくボードがあるので、ほかの利用者がいる状態でシャワーを使いたい場合は利用する時間を事前に記入すること。
田舎の夜は静かで暗かった
RVパーク捨吉は常陸太田市のなかでも内陸側にあり、周囲を山に囲まれているのだけど、海側の方向は開けているせいかパーク内を通る風は涼しかった。
特に芝生エリアと古民家横庭エリアは風通しがよく、タープなど張って日陰を作れば「いい風」を感じながらのんびりできそうな印象を受けた。
筆者は屋根付きサイトの真ん中になる2番を利用したので、炊事棟や横の壁があることからサイト内での風通しは今一つだったが、風向きによっては屋根付きサイトも風通しがよくなるだろうし、なにより雨が降っても車外で過ごせることは大きなポイントで、実際に雨の日を選ぶ常連のお客さんもいるそうだ。
確かにのどかな景色に人工の音がない静かな環境で、雨音を聞きながら屋根の下でたき火をするという時間の過ごし方は一度体験すると病み付きになりそうだ。
日が暮れてくると照明をつけるのだが、ここで気がついたのがヤブ蚊が少ないこと。一応アウトドア用の蚊取り線香は焚いていたが、ヤブ蚊が多いところだと防ぎきれない。しかし、RVパーク捨吉滞在中はヤブ蚊に刺されることがなかった。
RVパーク捨吉の周辺は田んぼや水路もあるのでボウフラが発生しそうだが、それでもいないということは、この地域の水辺は昔ながらの生物多様性が保たれていて、小魚やおたまじゃくし、水生昆虫といったボウフラを食べる生物がいるのではないだろうかと考えたりする。そんな自然界のサイクルがあるのも日本の田舎の特徴であり魅力なので、蚊がいない(少ない)ことからも「いい場所にいるな」と感じてしまったのだ。
古民家に泊まる
RVパーク捨吉はオーナーの実家があったところで、母屋も残っていた。こちらはかなり古い建物で、その昔は葉タバコの栽培をしていたとのことで、収穫後は母屋内の土間への天井から吊し、囲炉裏の煙などで乾燥させていたそうだ。
この古民家も解体を考えたそうだが、歴史のある建物なので内装の一部を現代の人の利用で便利なようにリフォームして、宿泊施設として貸し出すことにした。
リフォームはほぼ終わっているので近々、貸し出しを開始するという。田舎の暮らしを体験してもらうことも目的なので、部屋ごとで貸すのではなく一棟貸しになる。料金の設定はまだしていないが、プランを伺ったところ、かなりリーズナブルだったので、貸し出しが開始されると人気が出るのではないのか。貸し出し時期や料金についてはRVパーク捨吉の問い合わせ先から聞いてほしい。




































































