車中泊の拠点 RVパークを訪ねる

海まで5分! 房総半島の先端にオープンした愛犬と過ごせるRVパークに泊まってみた

RVパーク DOG KENNEL

千葉県館山市に新たにオープンした「RVパーク DOG KENNEL」は、愛犬をリードなしで遊ばせられるサイトやドッグランのある施設

 著名な観光地では「ペットと泊まれる宿泊施設」もあるのだが、その数はまだまだ多いとは言えない。また、人気の観光地になるとペットと泊まれる施設があっても予約が取りにくいこともある。そんなことからペット(愛犬)と一緒の旅をする人の間では、愛犬と一緒に寝泊まりをする車中泊を前提としたクルマ旅スタイルが根付いていて、そんな旅の宿泊場所として選ばれているのがRVパークだ。

 今回訪れたのは房総半島の先端、館山市に新規にオープンした「RVパーク DOG KENNEL(ドッグケンネル)」(千葉県館山市見物744-1)。名前から分かるようにこちらは愛犬と一緒に利用できる施設である。

 公式サイトによるとオープンは2025年5月となっているが、実は施設内にはまだ作業中の部分があったりするが、今回の取材ということで一部が未完成の状態で利用させてもらえることになった。

 なお、作業は6月中に終わる予定なので、7月からは本来の状態で利用できるようになるという。予約はすでに受け付けているので、夏休みの車中泊旅行を計画している人は今から予約をしておくといいだろう。ちなみにドッグケンネルは、千葉の人気キャンプ場「鋸南ほしふるキャンプ場」を運営する企業の施設だ。

運営会社の責任者である昆氏。6月初めの段階では一部設備が未完成だったが6月中には完成予定だという。予約はすでに受けている

 ドッグケンネルは12のサイトがあり、その作りは2タイプに分けられている。取材で利用したのは路面がコンクリート敷きのサイトで、こちらは6つ用意している。

 コンクリート敷きのサイトは路面が平らなぶん車体の傾きはないので、就寝時に車の傾きが気になる人にはこちらを勧める。ただ、ペグ打ちなどができないので(2か所のみ未舗装面付きのサイトもある)タープなどを張りたい場合は未舗装のサイトを選ぶこと。

 未舗装のサイトも6つあり、すべて地面は「土」なのでペグ打ちは容易だが、整地されているとはいえ地面の傾斜は多少ある。そのため車内で過ごすときに車体の傾きが気になる場合はタイヤの下に敷く高さ調整用のプレートなどを用意するといいだろう。この辺りの利用法は一般的なオートキャンプサイトと同じイメージだ。

ドッグケンネルの全体図。サイトの名前はすべて犬種の名前になっている。「シバ」から「ハスキー」まではコンクリート敷きでそのほかは土の地面になる。施設全体の路面も土だ
施設への入口。看板があるのでこれを目印に
看板のアップ
敷地は広い。こちらは以前、グランピング施設だったという(運営は違う会社)。その前は旅館があったそうだ

 ここからは各サイトを個別に紹介していこう。ドッグケンネルでは入り口に扉があるコンクリート敷きのサイトと、入り口がオープンになっている土の地面のサイトがある。

 どのサイトも車中泊のほかにテント泊での利用が可能だが、テントを張る場合は土の地面のサイトの方が設営しやすいだろう。

 すべてのサイトはオートバイや自転車などでの利用も可能なので、ツーリング時の宿泊先としても利用できる。その際はテントが必要になるが、ドッグケンネルの関連施設にキャンプ場があり、キャンプ道具の貸し出しも予定している。このサービスを利用すれば、多くのものを積んでこられないオートバイや自転車での旅であっても、装備が揃ったキャンプを楽しめるだろう。

 サイトの利用料金は、広さに応じて1泊4000円~6000円。この金額には電源使用料にごみ処理代も含まれている。さらに管理棟にあるシャワーも自由に使うことができ、ドッグランの使用もOKなので、料金設定としては手ごろといえるだろう。

 チェックインは13時~17時、チェックアウトは11時までとなっている。そのほか、細かい規約はまだ決まっていないが、夜の消灯時間や朝の活動時間(ドッグラン使用開始の時間)などは今後設定されるので、予約時に確認してほしい。

シバからハスキーまでのコンクリート敷きサイト。すべて壁によって仕切られている
ダックスからゴールデン、そして写っていないがダルメシアンとチャウチャウは土の地面になる。こちらも壁で仕切っている
コリーサイトも土の地面。草刈りはしているがまだ利用していないのですぐに伸びてきてしまうそうだ。正式に営業になった場合はきちんと整備される
サイト内からの光景。広角レンズなので実際より広く写っている
シバサイト。サイトの横には水道がある
サイト内からの光景。奥行きは十分にあるのでハイエースクラスでも余裕
チワワサイト。ここは約2.1mほどのところに塀の補強材が通っているので高さのある車両は利用できない
サイト内からの光景。この列の奥行きはすべて同じサイズ
シバサイトからハスキーサイトには扉が付いている。サイト内で愛犬をノーリードで遊ばせることも可能だ
パグサイト。今回はここを利用
パグサイトはスペースが少し広く、コンクリート敷きの横に土のスペースがある。まだ正式オープン前なので雑草が目立つが営業開始時は整備される
サイトの奥行きはこのように十分ある。ハイエースクラスでも狭さは感じないと思う
プードルサイト
サイトを仕切る壁は2m以上ある。板の合わせ目に隙間はあるが、プライバシーは確保されているので独立した環境が好みのひとには居心地よさそうだ
コーギーサイト。コーギーサイトとパグサイト、そしてシバサイトの横に水道があるが専用ではない。6サイトに対して3つの水道なので2サイトで共用する感じだ
ハスキーサイト。奥行きのサイズはほかのサイトと一緒
敷地の一番奥にはドッグランがある。仕切られているので小型犬用と大型犬用といった感じか
チャウチャウサイト。ここからは地面が土になる
チャウチャウサイトは奥の壁が斜めになっているので奥行きは変則的
ダルメシアンサイト。管理棟から近いのでトイレなど使いやすい
サイトの奥から見た光景
ゴールデンサイト。管理棟の横でここが一番広いスペース
サイト奥からの光景。整備中なので重機が置いてある
ラブラドールサイト
大型のキャンピングカーの場合は、スペースが広いラブラドールサイトかゴールデンサイトがいいだろう
最後はダックスサイト。横幅はあるが奥行きが短いので小さい車両向き
サイト奥からの光景。写真だと奥行きがあるように見えるがそうではない。横にタープなどの装備を展開する使い方がいいだろう
取材時は電源などの工事が進んでいるところで、一部のサイトには電源がすでに来ていた
場内の照明も現在工事中。完成すると消灯時間までは場内の照明が点灯する
ゴミは分別して袋に入れてそれぞれの箱へ入れる。ゴミ処理代はかからない。ダンプステーションも作る予定だ
施設内は禁煙で管理棟の横に喫煙所を用意している

 こちらは以前、グランピング施設だったので、そのときに使っていたサロン的な建屋を管理棟として使用している。室内は共用スペースになっていて、部屋の奥にはシャワーブースも設置している。ただ、現状はサロンだったときの名残が多く残っていて、ホールにはビリヤード台が置かれている。これはこれで楽しそうだが、多くの利用者が使う共用スペースだけにビリヤード台に関しては利用法を含めて検討中とのことだ。

 管理棟内にはシャワーブースが3つあり、脱衣所、シャワーブースとも新しく清潔。脱衣所は内側から施錠ができ、鏡とドライヤーを用意している。シャワーブースはオーバーヘッドシャワー付きだ。

 そのほかキッチンスペースがそのまま残されていて、水道やガスは使用できる。また、冷蔵庫と冷凍庫があるのでこちらも利用可能となっている。トイレは管理棟内に1つのみだったが、サイト数に対して明らかに不足するので増設することになっている。

こちらが管理棟。現在、夜間のみスタッフが駐在している
サロン的な雰囲気が残る室内。ビリヤード台が置かれているがこれをどうするかは未定
シャワーブースは3つある。すべて同じ作りだ
オーバーヘッドシャワー付き。ボディソープとシャンプーは備え付けられていた
脱衣所の広さも十分あり、着替えを置く棚も用意されている。鏡とドライヤーもある
キッチンスペースも利用が可能
右の2段が冷蔵庫。左が電子レンジで下が冷凍庫
大きな冷凍庫がある施設はめずらしい。連泊するときに冷凍食品を買って保存できるのは便利だろう
取材時、トイレは1つだったが増設されるという
トイレはウオッシュレット付きできれいだった
管理棟の横にはテーブルもある
海が近いので愛犬と海遊びしてきた際に愛犬の身体を洗うためのシャワーもある

泊まってみた印象

 取材に行った日は正式オープン前だったため利用者は筆者のみ。夜はとても静かだった。施設の周辺には民家もあり、隣が貸別荘地でそちらにも利用者がいたが、どこも夜は静か。そのような環境なので、ドッグケンネルを利用する際も夜は静かに過ごしたいところだ。

 まわりに高い建物や山がなく、灯りも少ないので夜は星空がきれいに見えるそう。取材に行く前日の天気予報では夜は晴れとなっていたが、夕方ごろから雲が出てきて星空が一切見えない夜になってしまった。これは少々残念だった。

 ドッグケンネルは海まで歩いて5分以内という場所にあるが、海までの間には林などもあるためか、吹いてくる風に海風特有のベタつきがない。むしろ涼しい感じで夏の夜だと車外にイスを出して過ごすのが気持ちいいかもしれない。

 翌朝、チェックアウト前に海まで歩いてみた。施設を出て小道を3~4分歩くと海岸線に出る。愛犬の散歩にはちょうどいい距離だ。

 海岸線には小さい砂浜と岩場、突堤があってのどかの雰囲気。釣りをしている人もいたので釣りも楽しめるようだ。そして海沿い少し歩くと海水浴場に出るので、海水浴のベースキャンプとしてドッグケンネルを利用するのもいいだろう。

夜はとても静かな環境。たき火はできるが直火はNG。土のサイトであってもたき火台を使用するルール。たき火台の底が直接地面にあたる場合はたき火マットも併用する
取材日は曇っていたが晴れた日は星空がきれいに見えるという。空にある光跡は羽田空港へ向かう航空機のもの。星が出ていれば航空機の光跡を絡めた星空が撮れるだろう
朝に気がついたこと。朝日は土のサイト側から登るが、土のサイトの後ろは林になっているので朝10時くらいまで(6月アタマ)はサイトが日陰だ。ゆっくり寝たい人や夏の朝の日差しを避けたい人は土のサイトを選ぶのもいいかも
コンクリート敷きサイトは朝日がよく当たるので夏場はタープなどの日よけがあった方がいいだろう
同時刻のチャウチャウとダルメシアンサイト。日に対して横向きのサイトなので影はこのような感じだ
施設を出て左に降りていく
すぐにある二股を右へいく。左に行っても遠回りだが海に出られる
海岸線の様子
前の写真と同じ立ち位置から逆を向いた風景。突堤の向こうは海水浴場
遊漁の際のルール
海の向こうに見えるのは三浦半島