旅レポ
J-AIRが新導入した「エンブラエル 190型機」の初便に乗って、伊丹空港から鹿児島へ
ビジネスマンにうれしい「クラスJ」「ドリップコーヒー」「アイスコーヒー」
(2016/5/11 13:27)
- 2016年5月10日 就航
J-AIR(ジェイエア)は5月10日、日本初導入となるエンブラエル 190型機(E190型機)を就航した。初便は伊丹空港(07時20分)発~鹿児島空港(08時30分)着のJAL2401便。この初便に取材のために搭乗したので、そのレポートをお届けする。
出発地となった伊丹空港の搭乗口20番では、その就航を祝うセレモニーも実施された。初便に乗ることを目的とした航空ファンの乗客も多いようで、多くの人がカメラを向け、盛り上がっていた。このセレモニーの詳細は別記事でお伝えする予定だ。
初便の出発は、定刻の7時20分よりやや遅れること、7時27分に20番スポットから出発。伊丹空港の滑走路32Lから7時38分に離陸した。こうした使用滑走路や時刻は、離陸直後に機内アナウンスで説明されたものだ。そのアナウンスではルートや主要ポイントの通過見込み時刻も紹介。淡路島上空を7時48分頃、高知県上空を7時58分頃、足摺岬上空を8時08分頃、宮崎県上空を8時23分頃に通過予定で、鹿児島空港へ定刻よりやや遅めの8時33分に、滑走路34を使用して着陸する見込みと説明があった。
到着予定時刻は一般の便でもアナウンスがあることが多いが、使用滑走路やルートの紹介などもアナウンスがあるのは、さすが初便といったところだ。
併せて、高知県上空付近では機長の間野公太氏によるアナウンスがあり、高度2万4000フィート(約7300m)、対地速度800km/hとの説明があった。この日の西日本は天気がわるく、揺れを避けるためにやや低い高度で飛行しているとのことだった。
さらに、同便にはジェイエア代表取締役社長の大貫哲也氏も同乗。キャビンは予約で満席だったとのことで、コックピット内のジャンプシートに座っての移動となった。同氏は機長アナウンスに先立ち、離陸直後に機内放送で挨拶。「鹿児島行き初便、2401便は、本日5月10日よりブラジルに本拠を置く、世界代4位の航空機メーカー、エンブラエル社製の最新鋭機での運航となります。この飛行機の日本初就航に際しまして、先ほど就航記念セレモニーを執り行なったところでございます。日本航空では、新機材の導入にあたり、このサイズの飛行機として初めてクラスJを導入し、また、全席革張りのシート、PC電源等を装着して、一つ上のサービスをご提供する準備を整えて参りました。このあと、ベルトサインを消灯いたしますが、本日はあいにくの空模様です。また、短い空の旅ではございますが、どうぞエンブラエル 190とJ-AIRのサービスをごゆっくりお楽しみください。本日は初便にご搭乗いただき、まことにありがとうございました」と述べた。
機内アナウンスでもあったとおり、初便はあいにくの天気のなかでの運航となった。ところどころ揺れもあったが、落ち着いている間に機内サービスも行なわれた。
JALでは4月から国内線のコーヒー「JAL CAFE AIRLINES」のサービスをドリップ仕立てへ切り替えはじめている(詳しくは試飲レポート“ドリップ仕立てで圧倒的に美味しくなったJALの国内線コーヒーを飲んでみた”を参照されたい)が、J-AIRのE190型機も初便から早速、ドリップ仕立てのコーヒーを提供している。また5月からはアイスコーヒーの提供も開始。もちろんクラスJだけでなく、普通席の乗客もオーダーできる。
ビジネス客を意識してクラスJが導入されたE190型機だが、顧客層を考えると、このコーヒーの充実も魅力の一つになるのではないだろうか。
今回は普通席に搭乗したが、普通席も本革張りなので座り心地のよさは言うまでもないだろう。また、シートピッチは31インチ(約79cm)とされているが、JAL SKY NEXT機材同様に足下はわりと余裕がある。今回、ACアダプタと500mlペットボトル、初便の搭乗記念品が入った袋をシートポケットに入れた状態で座っていたが、それほど窮屈には感じなかった。短距離運航向けのリージョナルジェットで犠牲になりがちな部分だが、普通席でも書類などを収納しても余裕があるのはうれしいところだ。
また、リージョナルジェットのイメージのわりには機内が広く、2-2配列の普通席では隣の人との間隔も想像以上に余裕があり、大型機に近い間隔で過ごせるように思えた。
さらに、ユニバーサルACコンセントを備えるのは既報のとおりで、当然のようにノートPC(12.5型液晶搭載)を取り出してシートテーブルに置いてみたが、テーブルと膝のスペースもやはりゆとりがある設計になっている。テーブルの広さも十分で、14型クラスのノートPCでも余裕だろう。
もっとも、機内でノートPCを使う、使わないに関わらず、ユニバーサルACコンセントの存在は重要だ。特にビジネス利用の場合、ターミナルでの待ち時間や訪問先での営業など、ノートPCをバッテリ駆動で利用する機会は多い。飛行機での移動中に充電できると考えれば、残量に対する意識をやや緩めて、思う存分バッテリ駆動させて仕事を進められる。ラウンジを使えるマイレージバンクの上級会員でなくても電源を確保できる場所が増えるのはありがたいのではないだろうか。
一方で気になったのは、JAL SKY NEXTのシートでは、テーブルを収納する際のラッチがフックの形状になっていて上着などを掛けることができるのだが、E190型機のシートは形状が異なっており、フックにはならない。SKY NEXT機材に乗り慣れている人には注意が必要なポイントだ。
このほか、J-AIRのE190型機ではクラスJを1-2配列として、1人掛け席があることが特徴となっているが、もう一つ、普通席の最前列は間隔が広くお勧めだ。クラスJ(38インチ、約97cm)よりも明らかに広く、もちろん座幅は普通席なのだが、本革張りである点は同様なので、かなり贅沢な気分で過ごせそうな席だった。
1時間ほどのフライトは、新しい機材の乗り心地やサービスを見ているとあっという間で、揺れもあってやや早めにシートベルトサインが点灯し、鹿児島空港に到着。
鹿児島空港では、JAL代表取締役社長の植木義晴氏が出席したセレモニーが開かれていたのだが、到着時にはすでに終了しており、植木氏やCAらと乗客による記念撮影大会となっていた。
乗客の搭乗後に行なわれた植木氏の囲み取材では、鹿児島線にE190型機を投入したことについて「E170型機を伊丹~鹿児島線で7往復使ってきたが、搭乗率が高くなってきているので、もう少し大型化したいと思っていた。その意味でE190型機の95席はちょうどよいサイズ。そして、リージョナルジェットで初めてクラスJを設けた。伊丹~鹿児島間はビジネスのお客さまも多いので、クラスJもご好評いただけるのでは」と新機種導入による期待を述べた。
また、植木氏はJ-AIRの副社長を務めた経歴があり、ちょうどそのときにE170型機を導入。受領のためにサンパウロにも行った思い入れのある機材だという。パイロット出身の観点でE190型機の感想を尋ねると、「10年前にリージョナルジェットというものに乗り始めた。ボンバルディアのCRJに乗っていたが、(JAL機内誌の)SKYWARDにも私が好きな飛行機はCRJと書いていて、パイロットの感覚からすると非常に興味を持てる機体。ただ、サイズなりの天井の低さだったり、窮屈さがあったりしたが、エンブラエルの飛行機は初めから旅客機として作られているので一段優れた飛行機だと思っている」と魅力を語った。
エンブラエル機の今後については、「E170型機とE190型機を合わせて32機で統一する。その後は、三菱航空機のMRJの導入を決めており、これが2021年から。7年間ぐらいをかけて、この32機を今度はMRJに変えていく。J-AIRはどんどん拡大しているし、新しい航空機を導入している。リージョナルの分野はJ-AIRに期待しているので、伊丹ベースでしっかりとお客さまの利便性に貢献できるよう頑張ってもらいたい」とコメントした。