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J-AIR、全席ACコンセント装備の新鋭機「エンブラエル 190型機」のお披露目式

5月10日初便就航

2016年5月9日 実施

2016年5月10日 就航

J-AIRが導入し、5月10日に就航する「エンブラエル 190型機」

 J-AIR(ジェイエア)は5月9日、4月25日に伊丹空港に到着し、5月10日に定期便に就航する最新鋭機「エンブラエル 190型機(E190型機)」のお披露目式を開催。J-AIR、エンブラエル、空港会社などの関係者が参列した。機内外の詳細については別途レポートをお届けする予定だが、まずはセレモニーの内容をお伝えする。

 J-AIRが導入したエンブラエル 190型機は、先に導入されたエンブラエル 170型機とは異なり「クラスJ」シートを装備。さらに、普通席も含めた全席にユニバーサルACコンセントを搭載するのも特徴で、特にコンセントについては既存のJALグループの国内線機材にも導入されていないものだ。

 なお、E170型機の1機(JA219J)で導入されたエンタテイメントサービスを提供する機内Wi-Fiサービスについては現時点では対応しておらず、今年度中にE190型機にも導入することが示された。

 就航は5月10日。まずは伊丹~鹿児島線の1日7往復中4往復に投入。その後、7月1日からは伊丹~仙台線の1日7往復中3往復、9月からは全便に。7~8月には伊丹~福岡線の1日4往復のうち1往復に使用する。

 今年度(2016年度)中に5機を導入する予定で、J-AIR代表取締役社長の大貫哲也氏は「最初の鹿児島と仙台は、J-AIRにとって二大看板路線なので、その意味合いから2つの路線をまずは選んだ」とし、伊丹~鹿児島線の搭乗率目標を「年間を通じて70%超」と説明。今後については「ビジネス利用のお客さまが多い路線。そこで競争に勝っていくために、選んでいただけるソリューションにしたい。一方で、利用率が高くて座席を取りにくい路線を大型化するということを考えて投入していく」とした。

株式会社ジェイエア 取締役 中村智氏
E190型機とE170型機の比較。座席数は9席増となる95席。うちクラスJを15席備える
クラスJを15席(3アブレスト×5列)搭載
クラスJの仕様はJAL機と同様。1名掛けの席も用意
クラスJ、普通席ともにユニバーサルACコンセントを装備
JAL SKY NEXT仕様機同様の本革シートを採用。既存のE170型機も順次改修する
本革シートに施されたこだわりのポイント
大小2つの円を組み合わせた「ダブルバブル構造」により圧迫感の少ない広い客室を実現
E170の1機(JA219J)で先行導入された機内Wi-Fiサービスも今年度中に採用
現在計画されている投入路線の計画
伊丹~鹿児島(写真左)、伊丹~福岡(写真中央)、伊丹~仙台(写真右)の投入予定ダイヤ

E190型機はJ-AIRの次の10年を支える戦略機材

株式会社ジェイエア 代表取締役社長 大貫哲也氏

 セレモニーではまず、J-AIR代表取締役社長の大貫哲也氏が挨拶。「航空会社にとって、新しい機材を持てること、とりわけ今回のようにワンサイズ大きい最新鋭の航空機を持てることは、事業の拡張、会社の発展を意味することになり感慨深いものがある。J-AIRは大阪から地方、地方から地方、地域と地域を結ぶことでお客さまに喜んでもらえる航空ネットワークを提供することを生業にしている会社。現在、北は北海道の女満別から南は九州の鹿児島までネットワークを提供し、JAL国内線の約2割の便を担当している。J-AIRは瀬戸内海の海上交通を代替する鉄道事業として立ち上がった会社。その後、国内線のリージョナルコミューター事業へと展開、歩みを進めてきたが、5年前に大阪の地に本拠を移して以来、地域の皆さまにお世話になりながら事業を継続してきた」とE190型機の導入と同社事業を説明。

 続けて、「JALグループは中期経営計画の最終年度にあたり、顧客満足ナンバーワンの掛け声のもとに、フルサービスキャリアとして品質の高い商品を提供することで、お客さまに選んでいただけるためにサービス改善に取り組んでいるところ。J-AIRもコミューター事業を営んでいた頃とは大きく変わり、昨今は厳しい競争にさらされているが、安全安心を継続しながら、お客さまに最高のサービスを提供し続ける所存。そんななかで、充実の客室仕様を備えた航空機を手にできるのは、たいへんうれしいこと。この飛行機は我が社の次の10年を支える戦略機材。明日5月10日から商業運航を開始するに先立ち、新しい航空機を手にした社員の士気は上がっている。世界で一番選ばれ、愛される航空会社となるために不断の努力と創意工夫を続けていく」と新機材導入に伴う強い意欲を示した。

国土交通省 大阪航空局 局長 加藤隆司氏

 続けて、来賓挨拶として、国土交通省 大阪航空局 局長の加藤隆司氏が挨拶。「少子高齢化社会のなかで、定住人口ではなく交流人口を増やすることが重要な課題になっており、地方と地方を結ぶJ-AIRのネットワークは重要なもの。外国人の訪日人口も大幅に増えており、外国人が日本のなかを縦横無尽に動きまわる。2020人は4000万人、2030年には6000万人を目標にしているが、そんななかでJ-AIRの地方間ネットワークは重要なものになると信じている。今回、E190型機という一まわり大きな飛行機を導入され、快適な旅行ができるようになることは、日本人だけでなく外国人の方々に貴重な交通手段を提供することになる。日本はたいへん縦長で、ヨーロッパが日本のなかにあるような感じ。日本に来た外国人の方々がE190型機を使って、日本国内のいろんな地域へ行ける」と昨今の旅行業界の動向を踏まえて分析。

 さらに「今回熊本地震で、JALグループが大変しっかりと対応いただき、よいお仕事をしていただいた。この場を借りて敬意を表するが、熊本空港の再開、飛行機が飛ぶ、そのときの安心感は大変素晴らしいものがあった。これで地域と地域がつながった。まさに航空ネットワークは心と心をつなぐ最たるものではないかと思う。E170、E190を使って日本全国をネットワークしてもらうことは重要なこと」とし、国交省としてもそのネットワークを支える意向を示した。

関西エアポート株式会社 代表取締役社長 山谷佳之氏

 次に4月1日に発足した関西エアポートの代表取締役社長 山谷佳之氏が登壇。「初ということは、ビジネスマンにとって価値が高いと思っており、私たち関西エアポートも日本で初めての純粋民間による空港運営会社となる。4月1日から始めて、私たちも士気が高まっているところで、お互い仲間として手と手を取り合ってそれぞれの会社が今後発展すればうれしい」と両社の境遇になぞらえて協力関係の構築を希望。「(就航を予定している路線は)いずれもビジネスの多くのお客さまに利用いただいている路線。新しい機材の魅力的なサービスと広々とした区間によってこれまで以上にお客さまの満足度を上げていただけるものと期待している。現在、JALグループには大阪国際空港、関西国際空港の国際線、国内線合わせて1日往復100便以上運航していただいており、私たち関西エアポートにとっても大切なパートナー」として、今後の協力も約束した。

エンブラエル アジア・太平洋地区 バイスプレジデント マーク・ダナキー氏

 最後に、機体の製造メーカーであるエンブラエルから、アジア・太平洋地区 バイスプレジデントのマーク・ダナキー氏が登壇。あいにくの雨模様に「スコットランドのような天気をありがとう」と場を笑わせたあと、「このE190型機は日本初就航で、J-AIRにより運航されることをうれしく思う」と感謝の意を表明。「E190には新型の“クラスJ”が導入され、国内市場向けに最適化された素晴らしいサービスとなることは間違いないと思う。E-Jetシリーズはさまざまな航空会社の収益増に貢献してきた。今回、JALグループに採用されたように、継続的に新市場への参入を果たしてきた」と説明し、大型化した機材の導入は日本国内の旅行業界の順調さを示すものと説明した。

 そして、J-AIRの大貫社長へモデルプレーンを贈呈。片面に大阪、反対側に鹿児島のスカイラインを描いた特製のものとなっている。

マーク・ダナキー氏から大貫哲也社長へモデルプレーンの贈呈
右舷側に大阪、左舷側に鹿児島のスカイラインを描いた特別塗装のモデルプレーンをプレゼント
テープカットの瞬間
JALグループ初のE190型機導入
写真左よりエンブラエル アジア・太平洋地区 バイスプレジデント マーク・ダナキー氏、株式会社ジェイエア 代表取締役社長 大貫哲也氏、国土交通省 大阪航空局 局長 加藤隆司氏、関西エアポート株式会社 代表取締役社長 山谷佳之氏、日本航空株式会社 取締役 専務執行役員 経営企画本部長 乘田俊明氏

 お披露目式のあとは、関係者や地元の人たちを乗せての遊覧飛行が予定されており、同機も格納庫からトーイングカーに引かれて所定のスポットへ移動。17時頃から約1時間の遊覧飛行へ飛び立っていった。その模様も別途お伝えする予定だ。

格納庫から駐機場へ向けてトーイングカーによる牽引作業
トーイングカーに引かれて駐機場へ
出発に向けた地上走行
途中、旧塗装ではあるがE170型機とも共演