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ドリップ仕立てで圧倒的に美味しくなったJALの国内線コーヒーを飲んでみた

普通席でもファーストクラス同等のコーヒーが味わえる

JALの国内線で楽しめるドリップ仕立てのコーヒー「JAL CAFE LINES」。普通席でもファーストクラスクオリティの美味しさ。もちろん無料サービス

 航空機の機内ドリンクサービスで頼む飲み物はなんだろう? リゾートへの国際線であればアルコール類となるのだろうが、国内出張のための国内線に限定すれば、記者はホットコーヒーがもっとも多く、お腹が空いていれば糖分補給のためにコーラ、夏であればアイスコーヒーなどをお願いしている。

 上級シートであればアルコールのサービスもあるが、そもそも国内出張でアルコールなど飲むわけにはいかず、機内で作業することも多い。結局作業の友達であるコーヒーにすることがほとんどだ。

 そのため、JAL(日本航空)が国内線クラスJおよび普通席のコーヒーを粉末式からドリップ仕立てに4月1日から順次切り替えるというニュースには注目しており、実際に羽田(東京)~福岡間で味わってみることにした。

JALは「JAL CAFE LINES」としてコーヒーの質を訴求している。ドリップ仕立てになったことで、さらにコーヒーの味わいを楽しめるようになった

ドリップ仕立てのコーヒーが提供される航空機には種類がある

 JALはもともと機内サービスのコーヒーの質にはこだわっており、2011年よりコーヒーハンターとして知られる川島良彰氏、焙煎・抽出の第一人者である石脇智広氏の全面協力で作り上げたコーヒーを「JAL CAFE LINES」として提供している。国内線はこれまでファーストクラスにおいてドリップ式もしくはフレンチプレス式によってJAL CAFE LINESを提供していたが、4月1日からはドリップ仕立てのコーヒーをクラスJおよび普通席でも楽しめるようになったわけだ。ちなみに国際線では、エコノミークラスでもドリップ仕立てで提供されており、国内線サービスの底上げがされたことになる。

 ドリップ仕立てのコーヒーが提供されるのは、ボーイング 777-200/300型機(4月1日より)、ボーイング 737-800型機(4月11日より)で、今後エンブラエル170/190による運航便でも提供を予定している。残念ながらギャレーの仕様などにより、ボーイング 767-300型機、およびボーイング 777-200型機の一部(登録記号:JA8984、JA8985の2機)においては従来どおり粉末式のJAL CAFE LINESの提供とのことだ。

 今回、JAL CAFE LINESを機内サービスとして楽しんだのは、羽田~福岡便のボーイング 777-200型機。普通席のシートを新設計することでシート形状をスリム化&革張りにし、ひざまわりのスペースを最大約5cm拡大した「JAL SKY NEXT(スカイネクスト)」仕様の機材だ。JAL SKY NEXTについては関連記事(JALは国内線も容量無制限の空飛ぶインターネット「JAL SKY Wi-Fi」&座席間隔拡大シート「JAL SKY NEXT」へ)をご覧いただくとして、空飛ぶインターネット「JAL SKY Wi-Fi」も備えた機材だった。

 今回、特別に作業中のギャレーに入り、ドリップ仕立てのコーヒーを作るまでを見せてもらった。作業は一般的なドリップコーヒーの作り方とは変わらず、あらかじめフィルターに包まれたコーヒーをコーヒーメーカーにセット。そこにお湯が注がれ、味わい深いコーヒーの香りとともにコーヒーが抽出されていく。

コンビニのコーヒー競争の影響が背景に

ドリップコーヒー開発を担当した日本航空株式会社 商品・サービス企画本部 開発部 客室サービスグループ リードキャビンアテンダントの池田さん

 このドリップコーヒー開発を担当した、日本航空 商品・サービス企画本部 開発部 客室サービスグループ リードキャビンアテンダントの池田さんにお話をうかがったところ、機内で美味しいコーヒーを味わってほしいため、クラスJおよび普通席のコーヒーもドリップ仕立てのコーヒーに切り替えることにしたという。とくにドリップ仕立ては香りがよいといい、実際にコーヒー抽出中は客席まで淡いコーヒーの香りに包まれる。

コーヒーハンターの川島良彰氏、焙煎・抽出の第一人者である石脇智広氏の協力によって作られた「JAL CAFE LINES」。これが機内に備え付けられているコーヒーパック
ボーイング 777-200型機の後部ギャレー。左上と右上の2カ所にコーヒードリッパーが設置されている
左がコーヒードリッパー。右のボックスではお湯を沸かすことができ、お茶やコンソメスープ用に使われている
あらかじめ挽かれたコーヒーが不織布の中に入っているコーヒーパック。不織布抽出となる
コーヒードリッパーの上部にコーヒーをセットする箇所が用意されている
コーヒーパックをセットする
コーヒーパックをセットをドリッパーの上部にセットする
ボタンを押すと約80℃のお湯がコーヒーパックに注がれる
結構勢いよくコーヒーがコーヒーサーバーに抽出されていた。コーヒーの香りに包まれる
抽出中。コーヒーサーバーはしっかりと固定されており、航空機の揺れなどを考慮した設計になっていた
機内コーヒーのサービスは、耐熱プラスチック製のピッチャーに移してから
ピッチャーのふたには、ふたが外れないようにストッパーが付いている
ピッチャーから「JAL CAFE LINES」ロゴの入った紙コップに移して完成
ドリップされたばかりのコーヒー。味は文句なしに美味しく、飲みやすくまろやかだった

 機内コーヒー高品質化の背景にあるのがコンビニエンスストアのコーヒー競争。コンビニエンスストアで100円で購入できるコーヒーは激しい競争の結果、豆を挽いて、すぐにドリップ抽出するコーヒーが普通になっている。誰もが、挽きたて、抽出したてのコーヒーを楽しめる時代になっており、コーヒーの基準となるレベルが上昇したわけだ。

 機内でのドリップとなると気になるのが、与圧されているとはいえ、気圧が地上よりも低いため沸点が低くなり、ぬるいコーヒーになるのではないかという心配。池田さんによると機内で作るお湯の温度は80℃となり、コーヒーを作る際に熱すぎずぬるすぎずちょうどよい温度になる。

 今回のこの機内コーヒーに用いられているのが、レインフォレスト・アライアンス認証農園のアラビカ種コーヒー豆100%(コロンビア産:70%、ブラジル産:30%)で、コーヒーハンター川島良彰氏と石脇智広氏の協力によって作り上げられたもの。ドリップ用のフィルターには不織布が用いられていた。

 実際に機内でホットコーヒーを味わってみたが、以前の機内コーヒーに比べて香りがよく、滑らかな味わいとなっている。焙煎も深煎りではなく、かといって浅くもなく、とても飲みやすい。羽田~福岡線であれば、無理なく2杯を楽しめる味だ。

 前述したように、現在ドリップ仕立てのコーヒーを普通席やクラスJでも楽しめるのは、ボーイング 777-200/300型機(登録記号:JA8984、JA8985の2機を除く)、737-800型機の3機種。これらはJALの国内線で主力機となっているため、利用する機会も多いだろう。その際は、ぜひ一度圧倒的に美味しくなった「JAL CAFE LINES」を機内サービスとして注文していただきたい。

 ところで、コーヒー好きにとって気になるのは、夏季に加わるアイスコーヒーはどうなるのか?ということ。アイスコーヒーに関して池田氏は、「昨シーズンよりクオリティアップしてお届けする予定です」と語ってくれた。新しいアイスコーヒーの登場も楽しみに待ちたい。

(編集部:谷川 潔)