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JAL、大河ドラマ「西郷どん」特別塗装機を就航。デカールサイズも西郷どん級
初便の搭乗ゲートで主演の鈴木亮平さんがお見送り
2018年4月21日 15:53
- 2018年4月21日 就航
JAL(日本航空)は4月21日、NHKで放映中の大河ドラマ「西郷どん」の出演者が描かれた特別塗装機を就航する。同日、JALの格納庫で、主演の鈴木亮平さんも登壇して、お披露目会が行なわれた。
JALでは現在、地域活性化プロジェクトの「新・JAPAN PROJECT」で奄美地方を取り上げている、また、東亜国内航空(のちの日本エアシステム)が、DC-9-41型機を使用して羽田~鹿児島線の直行便を開設したのが1978年7月20日で、2018年で40周年を迎える。こうした背景もあり、西郷隆盛のふるさとである鹿児島県への観光需要促進などを図るべく全国の空へ展開する。
機体はファーストクラス5席、クラスJ 42席、普通席205席のボーイング 767-300型機(登録記号:JA615J)。機体後方に西郷どんのタイトルロゴと、西郷隆盛(鈴木亮平さん)、西郷隆盛の3番目の妻となる糸(黒木華さん)、大久保利通(瑛太さん)、島津斉彬(渡辺謙さん)、篤姫(北川景子さん)の5名が青空をバックに描かれている。
デカールのサイズは9.15×4.7m(横×縦、番組タイトルロゴを除く)で、ボーイング 767型機の主翼~後部ドアの間の限界まで使うほどの大きさが目を引く。3日間をかけて機体への貼り付け作業が行なわれたという。
初便はJL649便(羽田13時35分発~鹿児島15時25分着)となり、11月末までボーイング 767-300型機を使用する国内線路線での運航を予定している。
お披露目会であいさつしたJAL 執行役員 佐藤靖之氏は、「JALは破綻を経験している。その際、企業理念なるものを一新して、全社員の物心両面の幸福、お客さまに最高のサービスを提供する、社会の進歩発展に貢献する、このような思いを理念にして、再生に向けて活動した。これは実は西郷隆盛の『敬天愛人――天を敬い、人を愛する』。そこに根源があった。大義を持って、人を愛し、人に愛される航空会社になるという思いで再生に取り組んだ。今は次のステージに来ている。2018年は明治150年の節目の年、私たちも挑戦して世界を切り拓いていく。大河ドラマ『西郷どん』のますますの盛り上がり、これと一緒に私たちも成長していきたい」と、JALと西郷隆盛が持つ共通の思いを紹介。
さらに、今回の西郷どん特別塗装機運航について、「JALは今年、羽田~鹿児島40周年を迎える。そして、JALグループではJAC(日本エアコミューター)が鹿児島を拠点にして運航している。鹿児島拠点、鹿児島での歴史を活かして、地域の振興に向けて盛り上げていきたい」と話した。
続いて登壇したNHK広報局 局長の正籬(まさがき)聡氏は、1月にスタートした大河ドラマ「西郷どん」について、「2週間前の土曜日に、鹿児島市の市民文化ホールで土曜スタジオパークの公開生放送を行ない、1000名の定員に8000通の応募があり、遠くは千葉県や岐阜県から鹿児島へお越しいただき、期待の重さをひしひしと感じた」と好評を博していると紹介。
今後については、「奄美大島や沖永良部島という鹿児島の離島でもロケをしている。キーパーソンの1人の坂本龍馬役に小栗旬さんを起用することも発表した。ますます面白くなるし、壮大な風景もお楽しみいただけるのではないか」とアピールした。
今回の西郷どん特別塗装機については、「青空のなかに5人の俳優の皆さんが躍動する感じのラッピングで、非常に素晴らしいと思った。私ごとだが、初任地が鹿児島で5年間いたので、いつかこれに乗りたい気持ちになっている」と感想を話し、「このラッピングジェットを見た人が鹿児島に行ってみたい、ドラマを1回見てみようと思ってくだされば」との期待の言葉を述べた。
そして、西郷どんで主役の西郷隆盛を演じる鈴木亮平さんが登場。西郷どん特別塗装機について、「昔から旅行が好きで、空の旅は大好きなので、その飛行機に自分の顔、そして自分がいま一番大切に思っている作品の共演者のみんなの顔が乗って、この飛行機が青い空を飛ぶと思うとロマンを感じる。なによりも格納庫自体に入ったのも初めてで、こんなに間近にジェット機を見たのも初めて。改めて、こんな鉄の巨大なかたまりが空を飛ぶって不思議だなと感じる」と、間近に見る自身の顔が描かれた飛行機に感動。
後述のゲートイベント終了後の囲み取材では、西郷どん特別塗装機について、「飛行機にへばりついてるわけではないが、そんな気持ち。当たり前だが、飛行機の外に乗ったことはなく、空の外を飛ぶのだと思うとワクワクする」とコメントした。
鹿児島の魅力については、「何度も行かせていただいて第2の故郷と呼んでも過言ではないぐらい親近感を持っているが、なんといっても桜島を中心にした大自然。西郷どんのオープニングでも映っているような火山を中心とした山と海と川と島。これがほかの県と大きく違うところだと思う。そして、そこから生まれる食べ物も美味しいし、大自然を見て育った人たちも温かくて、熱くて、薩摩武士の伝統が残ってると思う。情が濃くて熱いけど礼儀がしっかりあるという印象があって、日本で唯一無二の素晴らしい場所だと思う。自分の好みでは、やっぱり肉が美味しい。豚は黒豚や豚しゃぶで有名だが、牛肉も美味しい。ぜひ鹿児島に行かれた際には豚しゃぶだけでなく焼き肉にも行ってほしい」と紹介。
ドラマでは今後登場する、奄美大島や沖永良部島を訪れた際には、「沖永良部島に飛行機で着いて、タラップを降りて空港に向かうときに、コクピットを見ると機長さんが、手書きの『西郷どん、きばれ!』と紙を見せてくれて、それを見てすごく感動した。頑張らないといけないと思ったし、愛されている作品に出ているという思いを強くした」とのエピソードを披露した。
また、ロケでの印象的な風景を尋ねると、「狐ヶ丘(高原)から見る桜島がとてもきれい。1話の最後で島津斉彬と吉之助(西郷隆盛)が初めて会った場所。あとは、奄美大島の海の美しさと、森のうっそうとした暗さのコントラストめちゃくちゃきれいで、いま奄美大島ファンになっている」と紹介した。
その後、お披露目会では、1/100スケールのモデルプレーンが、JALのCA(客室乗務員)から鈴木亮平さんに贈られ、「100分の1でも結構大きい。玄関に飾ります」と話した。
初便の鹿児島行き搭乗口で、鈴木亮平さんが乗客をお見送り
この西郷どん特別塗装機の初便運航となった、JL649便の搭乗ゲート前では就航セレモニーを実施。ここにも鈴木亮平さんが姿を見せ、「これから西郷どん飛行機に乗られる方は? (周囲の多くが挙手)。そのなかで西郷どん見てるぞ! という方は?……おぉ全員(笑)」と利用者との掛け合いで楽しませ、視聴者に感謝。
そして、「明日(22日)の夜も20時から第15回『殿の死』がある。見逃せない回なので、鹿児島に帰るという方はもちろん、鹿児島に行くぞという方もちょっと観光をお休みして見ていただければうれしい」と呼びかけた。
その後、搭乗口にも鈴木亮平さんが立ち、乗客一人一人と握手。西郷どんのポストカードと、鹿児島県鹿屋市のフェスティバロが製造する「西洋風唐芋(ハイカライモ)」もプレゼントされた。
西郷どん特別塗装機の初便は、幼児5名を含む131名の利用者を乗せ、13時38分にプッシュバックを開始。13時52分にA(16R)滑走路から鹿児島へ飛び立った。