旅レポ
ウズベキスタンの首都タシケント、青い壮麗なイスラム建築と近代的な街並みが共存する美しい街
2025年5月10日 12:00
ウズベキスタン芸術文化開発財団主催で行なわれた「ウズベキスタン共和国」ツアー。前回は、首都タシケントのホテルに到着したところで、続けてこのタシケントでの様子をお伝えしていこう。
タシケントは現在の首都となっているが、1930年までは首都はサマルカンドであった。今回のツアーではサマルカンドは訪れなかったが、どちらもウズベキスタン観光には欠かせない大きな都市なので、機会があればぜひどちらも訪れてみてほしい。
首都タシケントは近代的なクルマ移動中心の街
タシケントに降り立つと、整然と整備された太い道路にそびえ立つ高層ビル、時には渋滞するほど行き来するクルマ、そしてけたたましいクラクションに圧倒される。砂漠のなかにあることを忘れるほどの大都市だ。
クルマ移動がとても発達しているので、一応中央アジア唯一の地下鉄が整備されているが、移動は基本的にタクシーやバスなどクルマを活用した方がスムーズ。移動にかかる費用は日本に比べ安価なので、タクシーを観光で1日借り切ったり、市内観光ツアーに申し込んでもいいだろう。
今回実際に利用する機会はなかったが、タクシー配車アプリ「Yandex Go」が利用できるとのことで、同社の電動キックボードも繁華街で頻繁に見かけた。「Yandex(ヤンデックス)」はロシアでは最大手の検索ポータルサービスで、タクシー配車サービスも手がけている。なお空港の出口では、ものすごいタクシー呼び込み攻勢の洗礼を受ける。ここは無視した方が無難だろう。配車サービスをうまく使うといい。
日本人が建設したナヴォイ劇場
実はタシケントは、第二次世界大戦後に満州にいた日本人が旧ソ連軍に抑留された地でもあることは、伝えておかねばならないだろう。前回宿泊先として紹介した「LOTTE City Hotel Tashkent Palace」の目前にある、「ナヴォイ劇場」(Moustafa Kamoul Ataturk, Bukhara Street 28, Tashkent)は、日本の軍人たちが強制労働で1945年から2年をかけて建設した建物だ。
しかし、ただ悲しみだけが残ったのではない。日本人が作った完成度が高く緻密な装飾が施されたこの劇場は、1966年に直下型の大地震にも耐え、避難所としても活用されたという。また、ウズベキスタンが独立した際に当時の大統領は、石碑に日本語で書かれた「日本人の捕虜が~」という表記を、敬意を込めて「日本国民が~完成に貢献した」と変更したという逸話もあるという。日本とウズベキスタンの架け橋ともなった歴史的建築物でもある。現在でもメンテナンスを受けながら、オペラやバレエの公演に使われている。
歴史的な宗教建造物が集まるハスト・イマーム広場
「ハスト(ハズラティ)・イマーム広場」(Karasaray Street, Tashkent)は、ウズベキスタンに入りまず最初に目にする歴史的なイスラム建築物になるはずだ。とにかくその巨大で美しい青い装飾に圧倒される。
「バラク・ハン・メドレセ」ほか、モスクなどいくつかの建物から構成されていて、7世紀に書かれた世界最古といわれるコーランが展示される建物もある。こちらの室内は撮影不可だった。なおメドレセは神学校で、モスクはイスラム教徒が礼拝をする寺院のことだ。ミナレットと呼ぶ高い塔が脇に備えられていて、ここから礼拝時間を知らせる。
モダンな円形ドーム市場「チョルスー・バザール」
旅行先では必ず地元の市場をチェックする、としている人も多いのではないだろうか。タシケントの「チョルスー・バザール」(Tafakkur ko'chasi 57, Toshkent)もぜひ訪れてみてほしい。市場はいくつかあるが、一番古くからある市場とのことだ。香辛料やナッツ類、ドライフルーツ、穀物、肉、野菜などが整然と販売されている。地下鉄チョルスー駅の近くにある。
なかをうろついていると、かなり強めに試食を勧められるのだが、試食をしたら必ず購入する必要はなく、遠慮なくいただいてもいいそうで、試食と購入は別というのがここのスタイルとのこと。せっかくなので試してみてほしい。ナッツやドライフルーツを試食したが、強い日差しで育ったためか、とても美味しかった。
この市場は、特徴的な紋様が描かれた円形のドーム型をしている。タシケント周辺には1960年代から建てられたモダニズム様式の建築が多くあり、その1つとなっている。このモダニズム建築群に関しては、後ほどまとめて紹介しよう。
アパートのデザインがすごくエモい
タシケントの市街地を散策していると、アパートのデザインや装飾がとてもおもしろいことに気づく。日本や欧米にあるアパートやマンションとは、まったく異なっていて遊び心も感じられる。街の様子を少し並べてみよう。
手縫い刺繍が美しいスザニ
ウズベキスタンに関わらず中央アジア諸国では、さまざまなパターンの模様が刺繍されたスザニが生活に入り込んでいる。地域の伝統として、手刺繍で受け継いできた技術だ。
「Suzani by Kasimbaeva(カシムバエワのスザニ)」(Suzuk Ota 35, Tashkent)という工房兼ショップで手刺繍のスザニが作られている工程を見学した。室内の仕切りや壁掛けに使われることが多いとのこと。また、古くは結婚時の持参金としての役割もあった。現在では、服やクッション、アクセサリーなどに刺繍も行なわれているが、天然染料を使った手縫いという伝統は引き継いでいる。お土産にもぴったりだ。
伝統ショーと食事が楽しめる「Obi Hayot Tashkent」
ディナーを食べながら、伝統舞踊などが楽しめる「Obi Hayot」(4 Jarqo'rg'on ko'chasi, Obi Hayot, Tashkent)というレストランを訪れた。市街からは離れていて、タシケント空港の近くになるので、訪れるにはクルマ(もしくはタクシー)が必要になるが、ディナー時間は終始、ウズベキスタンの伝統音楽や舞踊のショーが行なわれているので、これを見に行く価値は十分にある。もちろん食事も、ウズベキスタンの代表的なメニューを楽しむことができた。見てもらうと分かるが、豚肉以外で肉多めの料理が多い。
ウズベキスタンの首都タシケントは、近代的で緑の多い公園が広く、散策してて居心地がとてもよい。そして、壮麗なイスラム建築、活気のある市場、めずらしいデザインの建築物など、観光するポイントも多い。あまり感じたことのない中央アジアの独特の雰囲気を、存分に味わうことができる。特に北米やヨーロッパ、南の島など、よくある観光先に飽きた人にはオススメしたい観光先だ。
次回は、大阪・関西万博に出展中のウズベキスタンパビリオンについて紹介をしていく。続けて、さらに地方都市を見ていこう。


























































































