旅レポ

ウズベキスタンってどんなところ? 美しい青の壮麗なイスラム建築に出会える中央アジアの国へ行ってきた

首都タシケントにある「ハスト・イマーム広場」。このような青く美しいモスクを各所で見ることができる

とても観光向きの国ウズベキスタン

 中央アジアの「ウズベキスタン共和国」をご存じだろうか。なんとなく名前を聞いたことはあるけど、どのあたりにあるのかを含め、具体的にイメージできない人がほとんどではないかと思う。旧ソ連から独立した国、オリンピックでは柔道が強いというイメージが漠然とあるという程度だろうか。

 今回、ウズベキスタン芸術文化開発財団(The Uzbekistan Art and Culture Development Foundation)主催のツアーに参加してきたので、国の概要やどうやって行けばいいのかなど、基本的な部分からお伝えしていく。

ウズベキスタンに向かう機内から見た中央アジアの山岳地帯。イシク・クル湖が見える

 ウズベキスタンのおおよその位置だが、ロシアの南側で中国の西側というあたりになる。ロシアとの国境はカザフスタン、中国とはキルギスとタジキスタンを間に挟んでいて直接は接していない。これら隣国との関係も良好で紛争もなく、国内はとても穏やか。

 中央アジアというと紛争が多いイメージを持つかもしれないが、現在のウズベキスタンでは政治の安定と経済成長を遂げていて、近年は観光にも力を入れていることもあり思いのほか過ごしやすい。今回の訪問でも、とても安全な国だと感じた。30日までの観光目的の滞在はビザは不要となっていて、気軽に訪れることができる。

ウズベキスタン

 宗教はイスラム教が主流なのだが、戒律は緩めに感じる。女性はヒジャブを着用しているが、それほどガチガチではなく街中ではしていない人も多い。念のためスカーフを持参して肌の露出を抑えておけばモスクでも問題ない。食では、宗教上豚肉が出てくることはないのだが、牛肉やラム肉が豊富なので困ることはないだろう。お酒も積極的には飲まれていないが、レストランで頼めば出てくるし、バーも存在する。

地方都市ヒヴァにある内城塞「イチャン・カラ」内にあるパフラヴァン・マフムドの霊廟内。青いマジョリカ焼きの装飾。緻密で美しい歴史的な装飾を堪能することができる

 現地通貨はスム(UZS、1スム=約0.01円換算)で、観光地やお土産屋などでは米ドルも利用できる(ただしお釣りはドルではないので注意)。古い旅行ガイドでは換金がしにくいと書かれていたりするが、市内でも日本円から問題なく交換できた。日本で出国前にスムを用意することは少し難しいと思うが、現地で交換できるので心配しなくてもいいだろう。物価は安めだ。観光地でトイレが有料の場合があるので、少額でも現地通貨は持っていた方がいい。チップの文化はあるが、必須ではない。ホテルで置いてもそのまま残っていることが多かった。

 モバイル通信環境も比較的良好だ。日本のキャリアでローミング通信が利用でき(利用したのは楽天モバイルでBeeline Uzbekistanのローミング回線)、ツーリスト向けSIMを安価に調達することも可能なので心配することはない。SIMは空港の入国審査直後のバゲージクレームエリアで入手可能だった。

ツーリストSIMは空港のバゲージクレームエリアにて格安で入手可能
イスラム圏となるが食事は困らない。ラム肉と牛肉が豊富。肉じゃがのようなメニュー

 このあたりの情報を聞くと「意外とイケるかも」と思うだろう、そのとおりだ。想像しているより、まったく普通にイケるし、むしろ旅行向きだ。特にラム肉やスパイスが好きなら、食は天国だ。

 そして、あまり目にしない巨大で青いイスラム建築、シルクロードが通っていたことが放つ独特の雰囲気、旧ソ連名残の建築物、広大な砂漠と自然など、これまで見たこともない異世界感に叩きのめされる感覚を存分に味わえる。また、人々がとても社交的かつ友好的。街を散策していると、頻繁に声をかけられたり、目が合うと笑顔で微笑み返してくれる。観光していて、とても穏やかな気持ちになる国だと感じた。興味を持ったら、この後の続きも読み進めてみてほしい。

「イチャン・カラ」は城壁内をシルクロードが通っていた。その雰囲気を味わえる

 言語はウズベク語が主に使われていて、ホテル以外では英語は通じないことがあるので、スマホの翻訳などでうまく切り抜ける必要はある。これは知らない言語の国はどこでも同様だろう。砂漠地帯になるので、朝晩の気温差が大きく、日中日差しが強いのでサングラスや帽子は必須だ。防寒と防風用の上着もあった方がいい。注意するのはその程度だ。

ウズベキスタン航空はおもてなし度高め

 さて空路なのだが、これもウズベキスタン航空の成田~タシケント線の直行便があるので、難易度はまったく高くない。タシケントはウズベキスタンの首都で唯一の国際空港がある都市になる。とはいえ週1~2便(季節によって変わる)と便数は多くないので、乗り継ぎ便を使った方が日程の自由度が高くなる。今回も以下のような仁川(ソウル)での乗り継ぎ便を使っている。

往路(アシアナ航空~ウズベキスタン航空)

OZ177便: 羽田(01時30分)発~仁川(04時30分)着
HY512便: 仁川(10時00分)発~タシケント(13時10分)着

復路(ウズベキスタン航空~アシアナ航空)

HY515便: タシケント(20時15分)発~仁川(翌06時25分)着
OZ102便: 仁川(09時00分)発~成田(11時20分)着

 トランジットを選択して休暇に余裕があれば、ソウルでの乗り継ぎ時間を長めにとって、ソウルを観光するとより楽しめるだろう。空港外に出ない場合、仁川空港ターミナル1地下1階に、入浴や仮眠ができる施設も用意されているほか、仮眠スペースやシャワールームもある。

 この仁川空港でのトランジットは、慣れないと迷うかと思うので少し案内しておこう。まず、羽田では仁川までの航空券しか渡されない。仁川でもチェックインが必要だ。チェックインが可能になった時間になったら、航空会社別のチェックインカウンターに行く必要がある。

 カウンターは航空会社によって場所はさまざま。韓国や中国系の航空会社は専用のカウンターを用意していたりするようだが、今回のウズベキスタン航空は出発ゲート横の臨時カウンターだった。つまり、出発ゲートとチェックイン可能になったかを電光掲示板を見て確認し、その該当ゲートまで行ってチェックインしてチケットをもらっておくという作業が要る。預け入れ荷物は仁川でピックアップ不要でそのままタシケントで受け取ればOKだ。

仁川空港に到着したら「Transfer(乗り継ぎ)」方面へ。この後は保安検査を受ける
保安検査後はモールへ。「Transfer Lounge」方面へ
「Transfer Lounge」という名のリラックススペースがある
無料の仮眠用スペースもあるが、ほぼ埋まっている
近くに有料のシャワールームがある
乗り継ぎの人は30分6ドルで利用できる
「Transfer Lounge」近くにデスクがあるが、これはアシアナ航空専用カウンターなので往路では使えない。復路はここでOK
ウズベキスタン航空は出発ゲート横のカウンターでチェックインする

 ウズベキスタン航空の搭乗は初めてだったが、機内食も盛りだくさんで、エコノミークラスにはめずらしくスリッパ、アイマスク、靴べらセットのアメニティがあるなど、とても満足度は高め。機内誌の記事も力が入っていて観光の参考になる。機内エンタテイメントの映画は言語が現地の人向けだけのようで、音楽しか楽しめなかった。あと、ビールの提供はなく、アルコールはワインのみ。

ウズベキスタン航空のHY512便はボーイング 787-8型機。あいにく外は小雪が舞っている
ウズベキスタン航空のエコノミークラスシート
モニター付き
エコノミーにはめずらしい、スリッパやアイマスクのアメニティ付き
機内の安全ビデオではシルクロードの演出があって見応えがある
機内誌もしっかりしていて読み応えあり
往路のビーフの機内食。ボリュームしっかり
デザインがカワイイ
こちらは復路で出たチキンの機内食
到着前には軽食が提供された。マジョリカ模様のデザイン

 飛行機が中国を過ぎるころ、景色が高地になってきて山脈が美しい。今回は雪山の景色だったので、見応えがあった。

途中、高山地帯を通過する。雪に覆われた山脈は見応えがある
そろそろウズベキスタンが近くなってきた
タシケント郊外が見えてくる。アパート群の形状がおもしろい
タシケント空港に到着。タラップで降機
タシケント空港
復路での夜のタシケント空港も美しい

 タシケント空港に到着後は、すぐにホテルに向かう。宿泊ホテルは市の中心部に近いナヴォイ・オペラ・バレエ劇場前にある「LOTTE City Hotel Tashkent Palace」。ホテルには無料Wi-Fiも用意されていて、両替カウンターもすぐ横にあるなど、とても便利。大きな公園や地下鉄の駅も近く、付近の散策もしやすい立地だ。

「LOTTE City Hotel Tashkent Palace」。とても大きなホテル
エントランス。ドアマンが常駐
中庭とプール
レセプションカウンター
宿泊した客室
デスクもあり広々として快適
コンセント各国仕様になっていて変換は不要。ウズベキスタンは基本的にCタイプ。充電用のUSB Type-AとType-Cポートもあり万全
洗面と浴室
洗面のアメニティ

 今回のツアーは、タシケントにあるこのホテルを拠点にして、連日ブハラやヒヴァという都市に飛行機で向かうという国内の移動方法をとっている。一般的にウズベキスタンの主要都市を観光でまわる場合、東側から首都タシケント、サマルカンド、ブハラ、ヒヴァという順で電車やバスで移動しながら周遊し、最後に西のヒヴァから飛行機で移動してタシケントに戻ってくるというパターンが多いそうだ。もしくは先に飛行機でヒヴァに移動して逆に周遊という方法も考えられる。

村上俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、Web媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。