旅レポ

JALが就航したカタール・ドーハってどんなとこ? 砂漠サファリと旧市街を巡るド定番コース行ってみた

カタール・ドーハで観光してみた

 JALは本邦航空会社発の中東地域への定期便として、3月31日に羽田~ドーハ線(JL59/50便)を開設した。

 目下、利用者の8割がドーハ・ハマド国際空港を経由地とした乗り継ぎ需要とのことだが、実際に訪れてみると観光地としても魅力あふれる地域であることが分かった。今回は取材のためわずか1日の滞在だったが、ドーハで体験したアクティビティなどについてお伝えしたい。

ドーハについて行く前に知っておきたいこと

日本との時差: 6時間(JST-6/AST)
ビザ: 事前申請不要、短期滞在なら入国時に30日間のビザを無料取得できる
通貨: カタールリヤル(1QAR=約42円換算、2024年4月現在)
両替: 現地空港またはATMで。基本はクレカ決済(Visa/Mastercard)
水: 飲料水は購入したほうがよい
電源電圧: 240V、50Hz
コンセント形状: BFタイプ
治安: 良好
チップ: 習慣なし
気温と服装: 4月でも昼間は30℃に達する
宗教的注意点: イスラム教圏のため、露出の多い服装は避ける

 日本との時差は-6時間。日本で昼の12時のとき、カタールでは朝の6時。羽田22時50分発のJL59便に乗ると12時間ほどで(日本時間11時40分ごろに)現地へ到着するが、そのときカタールは早朝の4時40分というわけだ。

 空港に到着して最初に検討するのは「どれくらい両替するか」だが、後述の理由で200QARほど現金を用意しておいた方がよい。しかし基本的にはクレジットカード決済が基本で、Visa/Mastercardブランドのカードがあれば街中の買い物や交通機関の乗車は事足りる。米ドルが使えるという情報も事前に目にしたが、今回旅したなかではそうした局面には遭遇しなかった。なお、チップの習慣はないので、ホテルで枕元にチップを置く必要はない。

ライドシェアも地下鉄も料金が安い。写真の地下鉄1デイパスは6QAR(約250円)

 空港から市外への移動はUberなどライドシェアをお勧めしたい。著名なホテルの集まるウエストベイエリアまでの料金は、25~45QAR(約1050円~1900円、取材当時)ほど。仮に1人でも格安だし、2~3人ではなおさらだ。

 市内は地下鉄網が充実しているので、乗り放題のデイパスを購入してあちこち行ってみてもよいだろう。空港~市内の地下鉄移動についてはJAL初便の搭乗記を参照していただきたい。ちなみにドーハは非常に治安がよいので、地下鉄に乗ってもまったく不安は感じなかった。

 物価は高くない。駅のコンビニで見た水のペットボトルは350mLで0.5~1QAR(約21~42円)、1.5Lで1.25~1.75QAR(約53~74円)という安さで、ボルヴィックのような著名ブランドものが330mLで3.25QAR(約137円)という具合。小腹が減ってて購入したクロワッサン2個入りが4.75QAR(約200円)、ホットドッグが6QAR(約250円)、レジ前で売ってるコーヒーも6QAR(約250円)だったので、こうした身近な食べ物に関しては日本より安かった。

今回の宿泊先の最寄り駅(DECC駅)の駅ナカコンビニで見かけた水のペットボトル
マシンドリップのコーヒーは5~6QAR(約210~250円)

定番アクティビティ「デザートサファリ」へ!

砂漠を疾走する「デザートサファリ」へ

 ドーハは乗り継ぎ需要が旺盛なためトランジットツアーが充実していて、その代表格が4WDで砂漠を疾走する「デザートサファリ」だ。カタール南部の砂漠地帯とインランドシー(Khor Al Udeid:ホール アル ウデイド)まで往復の送迎込みで、所要時間は4時間。

 今回はカタール航空の運営するツアーサービス「ディスカバー・カタール」を利用して、空港送迎ではなくホテル送迎タイプのツアーに参加した。3名で予約して、料金は1名あたり334QAR(約1万4000円)。クルマ1台で催行するプライベートツアーなので、身内だけ(+ガイド兼ドライバー)という気楽さが魅力だ。

 今回は朝5時過ぎに空港へ到着、取材を終えてホテルへチェックインしたのが8時ごろ。ツアーは9時~13時の枠を選んでいて、9時少し前にフロントから「ドライバーが到着した」との内線が入った。このとき「時間に正確だな」と感心したのだけど、定番ツアーだけあって現地までの往復を含めてガチガチにパッケージ化してあるので、たっぷり楽しめるのにホテルには13時きっかりに戻ってこられて、終始驚かされた。

 迎えに来たクルマはトヨタ・ランドクルーザー。というか、サファリのクルマはみんなランクルだった。ガイドのハマドさんいわく、「カタールではこれが最高」だとか。

ランドクルーザーで迎えに来てくれるプライベートツアー

 ウエストベイエリアから南へ走ること40~50分、いったんシーラインのガソリンスタンドへ。ここで休憩しつつ、このあとのデザートサファリのためにタイヤの空気圧を調整する(空気を抜く)。このとき、「追加で150QAR(約6300円)を現金で払うとラクダに乗れるけど、どう?」という提案を受けた。海外でたびたび痛い目に遭っている経験からすると、“あと出しで現金払い”というのが不安で仕方ないのだけど、結果的にこの提案は受けて大正解だった。

 追加料金を支払って、いよいよ砂漠へ。道をそれた砂漠の入口のようなところにラクダ乗り場があって、ここでクルマを降りてラクダ乗り、鷹と記念撮影、カラックティーでひと休み、までがセット。どうやらこれが現金払い分の体験のようだ。

 ラクダに乗るのは生涯2回目。引き馬のようなもの……なんだけど、足を掛ける鐙はなくコブの隙間に座るため安定感もなく、後ろ足の方から激しい突き上げがあるので、馬とは別物。

 でも、ラクダの背に乗って砂漠をゆくのは本当に特別な体験で、これがオプションで+6000円なら安いもの。間違いなく思い出に残るし、遊牧民気分をお手軽に味わえるので、誇張なしでお勧めできる。

 余談だが、ドーハのデザートサファリを検索すると、ディスカバー・カタール以外にもツアーが見つかる(もっと安いものもあるみたい)。どこで申し込んでもこのラクダ乗り場へ集まってくるようなので、好きなツアーを選べばよいと思う。最初からラクダ乗りを料金に含むツアーもあった。

市街地を抜けるのはあっという間
30分もするとあたりは砂漠に
ガソリンスタンドで休憩しつつ、タイヤの空気圧を調整する
ラクダ乗り場に到着
鞍上は不安定なので、撮影したいならネックマウントなど用意すると臨場感のある動画を撮れそう
ラクダの口にはマスクが着けられていて、唾液の飛沫が飛ばないように配慮している
鷹(カタールの国鳥)の手乗りも貴重な体験
カラックティー(カラックチャイ)をいただいて一息

 さて、デザートサファリの本番はここから。激しい起伏のある砂漠を4WDであちらこちら走り回るアクティビティで、言ってみれば足場が天然のジェットコースター。クルマが横転するんじゃないかってくらい傾けてみせたり、急斜面を一気に駆け下りてみたり、ドライバーの腕の見せどころだ。斜面で横滑りしそうな状況でも危なげなく踏ん張るのは、ランクルのスタビリティのなせるワザか。

 とはいえ、さすがにそれだけで1時間以上走り回るのは間が持たないので、合間にインランドシー(潮の満ち引きで海水が砂漠まで入り込む場所)を眺めたり、サンドボード(ソリ)で斜面を滑り降りたり、ペルシャ湾に面した砂浜で水遊びしたりと、カタール砂漠のいろいろな姿を見られるのも楽しいところ。

砂漠の斜面を豪快に疾走する
砂漠に海水が入り込むインランドシーは不思議な光景だ
砂質はさらさら。粒の細かい砂と、やや赤みのある大粒の砂があるように見える
インランドシーをパノラマ撮影で。アラキスと違って水があるが、これはあくまで海水
サンドボードで斜面を滑り降りたり……
ペルシャ湾を臨む砂浜で水遊びしたり

 往復で約2時間かかるので、現地での体験は2時間ほど。しかしそうとは思えないほど濃密な時間を過ごせるので、初カタールならぜひ体験すべきアクティビティだ。記者は午前中のツアーに参加したが、夜明け前のツアーや日没を見るツアー、星を見るツアーなどバリエーションも豊富とのこと。

 前述のとおり、ホテルへは13時きっかりに帰着。実はこのとき外の気温は30℃を超えつつあって、シャワーで砂を落として、一眠りして夕方から旧市街に行ってみようということになった。(主にソリのせいで)全身砂まみれになっていて、耳の中にも砂が入り込んでいたので、ツアーのあとはシャワーを浴びる時間を作ることを強くお勧めしたい。できれば着替えも。

デザートサファリのあとはシャワー必須。服と靴もひっくり返して砂を落としておきたい
30℃超えの日中はベッドでひと休みしていた

 最後に注意を1つ。カタールを含む中東では「MERS(中東呼吸器症候群)」が発生しているため、ラクダと濃厚接触した場合は帰国時に検疫官に申し出る必要がある。今回、羽田の検疫では「ラクダの背に乗ったくらいなら大丈夫ですが、後日異常があったら保健所に連絡を」との指導があった。濃厚接触とは、唾液に触れたり殺菌していない乳・肉を喫食したりすることを指し、感染すると重篤な症状になる場合があるので、注意していただきたい。

空港で配っていたMERSの注意喚起リーフレット

旧市街「スーク・ワキーフ」で買い物と夕食を

 午前中にデザートサファリを満喫して、日中はホテルで休憩、日の傾いた夕方から旧市街へ繰り出すことにした。

「スーク・ワキーフ(ワキフ/ワーキフ)」は、空港とウエストベイエリアの中間あたりに位置する市場(スーク)で、レストラン・飲食店はもちろん、観光客向けの土産物店、工芸品店、スパイス専門店、民族衣装店のほか、地元の人たちが使うような雑貨・日用品店、薬店、ペットショップ、鷹の病院など、巨大なショッピングモールのよう。細い路地の入り組んだ迷路のような構造で、ところどころに貼り出されている地図で現在地のブロックを覚えておかないと、「このお店はあとでもう一度見に来よう」と思ってもたどり着けないでは、と思ってしまうくらい。

 スーク周辺にはイスラム美術館やカタール国立博物館、著名なホテルが建ち並んでいるので、宿泊拠点としてもよさそうだ。“旧市街の市場”という文字面だけ見ると、観光客が気軽に歩けない印象を持つかもしれないが、ドーハはとにかく治安がよくて、夜暗くなってからも身の危険を感じなかったのが印象に残っている。街中は清掃が行き届いているし、声をかけてくる怪しい客引きもいない。取材で訪れたときはラマダン真っ最中だった、ということもあるかもしれない。日が落ちてから賑わいが増したものの、それでも平時より落ち着いていたようだ。

スークの様子。写真を見ていただくと分かるが、街中がとにかくきれい
スークでは野良猫がたくさん暮らしている。子育て中の猫のためにベッドを用意しているところも
スークの端にあるビュースポット。ウエストベイエリアのビル群が見える
スークで見かけたタクシー
スークには鳥類ほかペットを扱う一角がある
夕食はスークのレストラン「THE VILLAGE」でビュッフェをいただいた
お腹に貯まる肉料理、ご飯物がたくさん
食後にアイスとカラックティー

お土産は中東ならではのお菓子を買って帰りたい

 最後にお土産について。記者が帰りがけに空港で購入したのは「デーツ(ナツメヤシの実)」だ。甘みの強い乾燥したフルーツで、中東エリアの定番のお土産かつ健康食品としても人気がある。

 実をそのまま箱詰めしたタイプと、個包装を袋にまとめたタイプがあって、安いものは1箱/袋(200~300g)が1000円ちょっと。どうやらチョコレートコーティングしたものが個包装になっているようで、記者が購入したものはチョココーティングかつ種を取り除いて代わりにアーモンドを入れるという手の込んだ作りになっていた。デーツは日持ちするので、お土産としても助かる。

 次に機会があれば購入したいのが「バクラヴァ」。パイ生地に各種ナッツを織り込んだお菓子で、帰国便(JL50便)でチーフパーサーを務めた吉本さんによると、「Halwa Al Saigal」というメーカーのものがお勧めとのこと。実際に1つ食べてみたが日本でも万人受けしそうな美味しさで、もっと早く知りたかった!と後悔したほど。

お土産に購入したデーツ
中央の白いジャケットが帰国便のチーフパーサー吉本さん。Halwa Al Saigalのバクラヴァは次回のお土産候補
編集部:松本俊哉