旅レポ
タイ・バンコクでポルトガル、中国との融合メニューに舌鼓。クディーチーン地区を訪問
2019年12月29日 09:00
タイ国政府観光庁のプレスツアーで訪れたバンコク、滞在5日目はチャオプラヤー川沿いを散策。ポルトガルや中国からの影響を色濃く残すエリアを巡る散策デー。この日訪れたクディーチーン地区は現在もポルトガルや中国の血を引く末裔が多く住むエリアだ。
1767年にビルマ軍との戦いによりアユタヤからこの地へと身を寄せたタークシン王が首都をトンブリーに制定。そして1768年にアユタヤでの戦いに参加したポルトガル系の兵たちや中華系の人々の定住地として提供したのが現在の同地区。現在、教会やポルトガル系のメニューにスイーツなどが味わえるひそかな人気エリアなのだ。
ポルトガルとタイ料理の融合。宮廷料理を思わせるビジュアルにうっとり
最初に訪れたのは一軒家レストラン「バーン・サクン・トーン」。ポルトガル料理がタイ料理に影響を与えた事実を舌をとおして教えてくれる。ローカル感漂う路地を進むと見えてくる一軒家がお目当の場所。実際にオーナーが住んでいる住居を改装し、2階部分をレストランとして開放している。
懐かしさあふれる店舗内はすべて個室で、非常にプライベートな空間。マトゥームティーで涼みつつ、最初に出てきたのは前菜の盛り合わせ。その美しさに思わずうっとり。棒状のカリッとした巻物「ロー」はチーズ&カレーでスパイシー。エッグネットが印象的な「ラー・ティアン」に鶏肉入りの「カノム・ジープ」は小鳥シェイプ。「クラトン・トーン」は鶏肉とジャガイモにコリアンダー、ウコンで仕上げている。
続いては「カノム・ジーン・ゲーン・ガイ・クア」。レッドカレーのような見た目だが、実はまったく辛くない。ひき肉やココナッツソースを使い仕上げたソースはパスタに影響を受けているとのこと。黄唐辛子とパクチーが添えてあり、米麺と一緒に味わう。
メインは肉料理の盛り合わせ。ポルトガルに影響を受けたタイ料理が並ぶ。とろっとろの野菜の煮込み「トム・マ・ファッド」、汁なしシチューのような「ムー・トム・ケム」に肉厚ポークの「ムー・サウムー」に玄米ミックスのライスが付属。すべて時間をかけて煮込まれおり、ほろりと口の中で旨味と一緒にほどける。
デザートはジンジャーの効いたタイ中部のデザートにシナモンやチョウジなどを入れたハーブティーでフィニッシュ。コースは1人700バーツ(約2520円、1バーツ=約3.6円換算)で、仕込みに時間がかかるため3日前までに予約が必要。
クディーチーンの始まりを学びながら、博物館でティーブレイク
続いてはレストランから徒歩30秒で到着する「バーン・クディーチーン・ミュージアム」へ。周辺エリアにおけるカトリック・コミュニティ「サンタクルーズ教会」についてやクディーチーン・コミュニティのルーツについて知ることができる。入場は無料。博物館の1階には運営資金調達のためにカフェとショップも併設している。コーヒーやタイティーを片手にガーデンで撮影する利用者が多いそう。美しいポルトガルタイルの床もチェック。
なお、周囲には博物館でも紹介され、現在もコミュニティで大きな役割を担う「サンタクルーズ教会」や、100年以上前に建立された中国系の神社「建安宮」なども。なお、ミサがない時間帯は閉まっていたり、本堂が撮影禁止であったりもするので、承知のうえで訪れよう。
伝統カップケーキはポルトガルが起源。カステラとつながる味わいにニッコリ
博物館横の小道を進むとカフェ兼ショップ「タヌーシン・ベーカリー・ハウス」に到着。約200年の歴史を持ち5世代に渡り伝統菓子を作り続けている老舗で、タイで初めてのベーカリーともいわれている。販売しているのはアユタヤ時代から伝わるポルトガルに影響を受けたお菓子「カノム・ファラン・クディーチーン」(3つ入りで45バーツ、約162円)。材料は小麦粉と卵、砂糖のみ。バターやミルクは一切使っていない。外はカリカリ仕上げ、中はふわっ。長崎のカステラにも似た風味だ。トッピングはレーズンや冬瓜などを使用。代々伝わるオリジナルレシピで、当時の美味しさを今に伝えている。
そのままチャオプラヤー川沿いの「ワット・カンヤラナミット」へ。中国系タイ人が多く参拝に訪れる王室寺院で旅の安全やよい友人との出会いなどに御利益があるといわれている。本殿内にはきらびやかな仏像が安置されていた。
さらに「ワット・プラユーン」へ。美しい仏塔が特徴で内側に入ることができる。実際に登ってみたが急な階段を進み、人ひとりが通れるほどの隙間を進むとやっと仏塔に到着。金箔が参拝者により貼られ、不思議な空間が広がっていた。ユネスコの文化遺産保全賞も受賞しているので、時間があればぜひ訪れてほしい寺院だ。対岸から見えるライトアップも美しく、花市場や「ヨッピマン・リバーウォーク」を訪れた際に見てみてはいかがだろう。
商売繁盛・映えスポットにタイ系中華料理。中華街の推しスポットをまとめて巡る
夕方からは地下鉄MRTを利用し「サナームチャイ駅」から「ワット・マイコン駅」へと移動。「サナームチャイ駅」は王宮を彷彿させる構内デザインが話題となっており、SNSに撮影した写真を乗せることがタイではやっているそうだ。また「ワット・マイコン駅」も同様に企業コラボにて構内が中華な極彩色に。アプリを使いAR撮影できるなど、駅とエンタテイメントの融合で訪れる利用客を楽しませていた。
チャイナタウン散策で必ず訪れたいのが「ワット・マイコン・カマラワート(龍蓮寺)」。願いごとが必ずかなうといわれ、タイ各地から多くの参拝者が訪れるバンコクで一番古い中国系の仏教寺院だ。旧正月などは参拝者で身動きが取れないほどだとか。パワースポットとしても有名で誰もが必ず一度は訪れるという。
本殿内も夕方にも関わらず多くの参拝者の姿。おみくじを引く人も多く、ならばとタイ式のおみくじに初挑戦。まずは棒の入った筒を握り、願いごとを心で唱えながら神様に「教えてください」と話しかけながら上下に振り続ける。しばらく振っていると不思議と1本上がってきて床に落ちるので番号を確認。次にセットになった三日月形の道具を振りながら「この結果でよいでしょうか?」と聞きながら床に落とす。裏表がバラバラならば、結果はOK。表同士、裏同士のペアはもう一度引き直しとなる。おみくじ結果は現代的で紙がない場合はQRコードの読み込みでスマホに表示する。
ディナーに訪れたのは中華料理店「和成豊」。店頭のオープンキッチンからアツアツの料理が次々とテーブルに運ばれていく。そんな人気店のお勧めはフカヒレをふんだんに使った「フカヒレと蟹のレッドスープ」(600バーツ、約2160円)や「川海老のグラスヌードル添え」(750バーツ、約2700円)など。中華系ながらタイ料理の要素も盛り込まれているのが特徴。日本で味わう中華料理とは辛さも異なり、タイ料理との融合を感じる品々が味わえる。
食事のあとはチャイナタウンの台所であるプータレート市場を散策。中国茶やスイーツ、各種食材まで網羅。市場を抜けた大通りには屋台がひしめき合い、夕飯を味わう人々でごった返していた。行列も多く、タイの人々も日本人同様食べたいときは長時間でも並ぶと地元の人に教えてもらえた。なお、雨が降ってくると列は即解散になるらしい。