旅レポ

2度目のタイはバンコク街歩き。到着日はローズ香るスパ&ルーシー・ダットンで体にうれしいウェルネスデー

「ディバナ・センチュアラ・スパ」はラーマ6世の詩よりインスピレーションを受け、ローズがモチーフの新店舗

 きらびやかな寺院に世界遺産、刺激的な美食が楽しめ、極上スパで癒しのご褒美とさまざまな魅力にあふれるタイ。タイ国政府観光庁主催のプレスツアーで、首都バンコクを訪れた。タイ旅行をこれが2度目だ。

 バンコクのスワンナプーム国際空港へは羽田空港から約6時間30分。0時20分発のタイ国際航空TG661便を利用すれば、ぐっすり眠り起きたころには到着。仕事あがりでも出発時間に余裕があり、機内で体力回復もできると人気の便だ。

 到着時間は早朝の現地時刻4時50分。到着早々バンコクで朝活をするにはもってこいの時間帯。とはいえ、体が若干硬くなっていることも事実。ならばとこの日は滞在を快適に過ごすために体調を整えるウェルネスデーと位置付け、スパや体操で体をほぐすことにした。

0時20分発のタイ国際航空TG661便を利用
エコノミークラスは3-4-3の配列
軽食はツナとチェダーコールスローのサンドイッチ
朝食はチーズオムレツをメインにジャーマンポテトとグリルポークソーセージ。季節のフルーツも

「ワット・ポー」で「ルーシー・ダットン」に挑戦。内側に働きかける動きでスッキリ

 早朝到着のため渋滞にもはまらずスイスイと空港から宿泊ホテルへ。荷物を預けタイ・マッサージの総本山・王宮寺院「ワット・ポー」を目指した。目的は毎朝8時から約30分間本堂東側のマッサージ・サービス・センター横で行なわれているタイ式健康法「ルーシー・ダットン」。シャキッと目覚めるためにぴったりなのだ。

 拝観開始は8時30分のためエントランスで参加の旨を伝え入場券(200バーツ、約720円、1バーツ=約3.6円換算)を購入し境内へ。早朝の静かな空間は猫たちの憩いの場所、ゆったりとした時間が流れている。10分ほど歩き集合場所へ。「ルーシー・ダットン」への参加は無料で、飛び入り参加もOK。少ない日で5人ほど、多い日で数十人が朝から汗を流す。雨天や行事がある日は中止となる。

王宮寺院「ワット・ポー」に到着。参加したいことを伝え、入場券を購入
チケットは200バーツ(約720円)
猫たちが気ままにくつろぐ姿は早朝ならでは
集合場所のマッサージ・サービス・センター

 8時ごろに講師が到着し「ルーシー・ダットン」がスタート。もともとは127ポーズあったそうだが現存するのは24ポーズ。そのなかの18ポーズをしっかりと学ぶことができる。前方と後方の動きが分かるように講師が並んでくれるので初めてでも安心。さらに一人一人の動きを見て、ポーズを手取り足取り修正してくれる。「ヌーン・ソーン・サーン(1・2・3)」の掛け声とともに呼吸を整え、夢中でポーズを取り気がつくと汗だく、気分もスッキリ。

 ストレッチを中心に構成されており、血の流れをよくし心臓や臓器関連に働きかける具体性のあるメニューが特徴。お腹の空気を押し出したり、肩凝りや首の痛みの回復を促す効果があるとのこと。ヨガにポーズが似ているのは、インドの影響をともに受けているから。境内には「ルーシー・ダットン」のポーズを取る像、そして「サラライ」には伝統的なマッサージの位置を示す画も飾られているので、ぜひチェックを。

前後の動きが見られるように講師が並んでくれる
後半に進むほど難易度の高いポーズに
指の先まで意識を集中させる
十数人の参加者が朝から汗を流していた
お腹のなかの空気を下へと押し出すポーズの像
終了後に水分補給用にマルベリーティーなどが配布される
「サラライ」にはマッサージのツボなどが描かれた絵が飾られていた
具体的な場所を細かく記載

「ルーシー・ダットン」で体が軽くなったあとは全長46m×高さ15mの涅槃仏を鑑賞。柔らかな表情に朝から癒され心も穏やかに。足裏の螺鈿細工で表現された108の仏教の世界観は必見。そして拝観開始直後の8時30分だからこその回廊の眺めも堪能。いつもは撮影で常に混雑している涅槃仏の周囲だが、朝は写真のような静けさが広がる空間に。涅槃仏と自分だけのひとときがかなう時間となっている。

8時30分からは涅槃仏の鑑賞が可能となる
足裏の美しい螺鈿細工にうっとり。前回訪れた際は修復中だった
誰もいない回廊。朝だからこその風景が広がる
拝観後は付属するフリーチケットで水のボトルに交換

 9時30分ごろに「ワット・ポー」を出発し、対岸の「ワット・アルン」へ。三島由紀夫の小説「暁の寺」で描かれた寺院だ。アユタヤ時代に建立され、ビルマ軍が侵攻していたアユタヤから逃れたタークシン王が寺院についたときに夜が明けたという伝説が残っている。タークシン王はのちのバンコク王朝の前身であるトンブリ王朝を開いたという。

 高くそびえ立つ仏塔が特徴で、細かな装飾で描かれた鬼神や猿神、つややかな陶磁器が見どころ。50バーツ硬貨に描かれるなどタイでも有名なお寺だ。以前は上部まで階段で行くこともできたが、改修工事後は1段目までになっている。それでもなかなかの高さで見晴らしもよい。

 仏塔の手前にはタークシン王を祀る建物も。参拝後の寄進(20バーツ、約72円)で聖水によるお清めとお守りを授けてもらえる。なお、入場料(50バーツ、約180円)が必要。服装もほかの寺院同様肌の露出が激しいものや短いスカートなどはNG。エキスプレスボート(片道4バーツ、約14円)のターティアン船着場からチャオプラヤー川を渡るのが一番早く到着できる。

エキスプレスボートの船着場から対岸の「ワット・アルン」へ
国王の訪問が予定されており、この日は飾り付けがされていた
拝観には露出の少ない服装がマナー。短いスカートなどはスカーフ着用が必須
高く空へとそびえる仏塔は白く美しい
陶磁器による装飾がぎっしり施されている。近くで見てみよう
仏塔手前にはタークシン王を祀るエリア。こちらも参拝を
観光客も地元の参拝者が多い印象だった
寄進後は僧侶によるお清め
お清め後はお守りを左手首に結んでもらえる。男女でデザインが異なる

「ディバナ・センチュアラ・スパ」でフライト疲れをリセット&パワーチャージ

 寺院を巡りに続き、11時ちょっと前に3か月前にオープンしたばかりの「ディバナ・センチュアラ・スパ」へ移動。ラーマ6世のロマンティックな詩からインスピレーションを受け、タイのローズをコンセプトに展開する新店舗だ。全19部屋完備した緑あふれる伝統的なタイの家屋とガーデンがポイント。タイ産ローズを活かしたスペシャルトリートメントやマッサージを今後検討しているとのことで非常に楽しみだ。人気のコースはスパコース、オイルコース、タイ古式マッサージとのこと。

3か月前にオープンしたばかりの新店舗「ディバナ・センチュアラ・スパ」
バラをイメージしたロゴが輝く。笑顔が素敵なスタッフが迎えてくれる
樹木をそのまま活かしたレイアウト
ローズ系プロダクツを中心としたデコレーション

 今回体験したのは「アロマテラピー・ボディ・マッサージ」(90分1950バーツ、約7020円)。オイルを使った全身マッサージでストレスや緊張からくる筋肉のコリをほぐす内容だ。オイルを使うことで、香りでのリラックスと肌をスムーズに導いてくれる。スタッフによる問診後、香りをチョイス。若返りとリラックス効果のジャスミン、しっとり潤い肌へと導くオリーブ、アンチエイジングのローズ、デトックスなレモングラスの4種。一番人気のジャスミンを使いミディアムの強さでお願いすることにした。

ウェルカムドリンクはローズティー。おしぼりも濃いローズの香り
香りはジャスミン、オリーブ、ローズ、レモングラスの4種から選べる
オイルを肌につけてもらい香りを確認

 案内されたのは2名用の個室。友人同士やカップルで一緒に施術を受けることができる。ベッドにはシャワーキャップと着替え用の下着、ローブを用意。貴重品はセキュリティボックスに入れてロック。シャワーとトイレは1か所ずつ。観光などで汗をかいている場合は施術前にサッとシャワーを浴びておこう。準備ができたら鐘を鳴らして合図。今回はスタッフ歴5年のSUNGさんが担当してくれた。

2名用の個室はローズカラーで統一。ベッドの上ではオイルが温められていた
セキュリティボックスは洗面台に。鐘は用意ができたら鳴らす
施術を担当してくれたSUNGさんとSAさん

「アロマテラピー・ボディ・マッサージ」はフットマッサージからスタート。ローズとライムが浮かんだぬるま湯に足を浸し、大粒の塩でマッサージ。みるみる足元がツヤツヤに変わっていく。ほっと一息ついたところでベッドに移動し、うつ伏せになりレッグマッサージ、背中、肩と丁寧に進む。ちょうどよい温度のジャスミン香るオイルが全身に染み渡り、あっという間に夢心地。背中と肩を中心にとリクエストしていたため重点的に施術してもらえ、体が一気に柔らかくなる。

 後半は仰向けで足とお腹周り。そして首の付け根ほぐし。約90分たっぷり時間を使い全身ツヤツヤ、肌もしっとりに。ラストにシャワーを浴びてもよいが、肌にオイルを乗せておきたい場合はそのまま着替えてもよいだろう。チップは料金の10%+アルファを手渡しで。ロビーエリアへと戻り、季節のフルーツとローズティーを味わいながら至福の時間を振り返り。その気持ちよさが恋しくなるため帰国日前日の予約もこのタイミングで入れておくべきと確信した。

 スパを訪れたならば、プロダクツも必ず手に入れておこう。お勧めは夜に咲く約8種類のタイの花々を取り入れた「QUEEN OF THE NIGHT」シリーズ。「グローリー・エイジ・ディファイ・オーガニックハンドクリーム」は30gで380バーツ(約1368円)、80gで850バーツ(約3060円)。ルームフレグランスや施術で利用したオイルなども販売。お気に入りの香りを自宅に持って帰るならば迷わず購入を。

ローズとライム入りのフットバス。塩のスクラブマッサージで足元から幸せに
術後は季節のフルーツとローズティーでクールダウン
各種プロダクツ。ハンドクリームからシャンプーまで全身が香りに包まれる

ホテルでもウェルネス。クリニック隣接で運動&ヨガ、ビタミンCシャワー

 バンコク滞在で宿泊したのは「モーベンピック BDMS ウェルネスリゾート バンコク」。バンコク中心部に位置し、先ほどのスパからも徒歩7分ほど。タイ最新の再生治療と予防医学を中心にサービスを展開する「BDMS ウェルネスクリニック」に隣接している。現在ホテルはリノベーション中。今後、新レストランやフィットネスエリアがオープン予定だ。最大の特徴は豊かな緑が生い茂るガーデン兼プールエリア。中心地とは思えないほどの静けさのなかリラックスできる。

「モーベンピック BDMS ウェルネスリゾート バンコク」外観
緑に囲まれたプールサイドでうたた寝も
レストランで食事を取りながらガーデンを眺められる
ホテルからお隣の「BDMS ウェルネスクリニック」へ通院できる
予防治療や再生医療が中心。待合室はラグジュアリー
美しい笑顔を手に入れるための歯科治療なども行なえる
ホテルのフィットネスエリア完成まではクリニック側のジムが利用可能

 宿泊した部屋は「ウェルネススイート」で約74m 2 。ベッドルームにはキングまたはツインベッドを配置。ソファとデスクやミニバーのある2部屋で構成されている。バスタブとシャワーは別でシャワーヘッドはマッサージ用に水の出が変えられる。ヨガマットやストレッチバンド、バランスボールなども用意されており、今後ヨガチャンネルの導入などで自室でトレーニングができるように検討中とのこと。アメニティは「ELEMIS」を採用。バスソルトからスポンジ、歯ブラシセットに綿棒、コームにマウスウォッシュなど網羅。入り口付近にも映える洗面所&トイレを併設。

「ウェルネススイート」のベッドルーム
自室でヨガマットにストレッチバンド、フォームローラーなどが自由に使える
もう一部屋用意。ソファを中心に団らんのひとときを
シャワールーム。シャワーは手持ち、レインシャワーは通常とマッサージの2種
アメニティは英国スキンケアブランドの「ELEMIS」。ホワイトロータスとライムの香り
深めのバスタブ。お湯の出もよくあっという間に湯船がたまる
アメニティ一式。歯ブラシセットはありがたい
クローゼットにはバスローブやスリッパ、セキュリティボックスなどを配置
映える洗面所とトイレは入り口すぐ脇にある

 ミニバーは14本まで無料。コーヒーメーカーや紅茶も充実。全部屋バルコニー付きでホテルでゆったりおこもりにもよさそう。なお、同じ部屋構成の「ウェルネススリープスイート」(約74m 2 )は、質のよい眠りを提供するためにベッドの柔らかさの調整が可能な「YouBed」を採用。シャワーもビタミンCシャワーで続けて使うことで肌質改善を促してくれるそうだ。

ミニバーには炭酸飲料がメイン。水はボトルで各部屋に用意されていた
コーヒーメーカーと紅茶などもふんだんに揃っている
バルコニーからの眺め。ガーデンビューが楽しめた
同じ部屋構成の「ウェルネススリープスイート」。違いはベッド部分
手元でお気に入りのベッドの硬さや柔らかさに調整できる
シャワー部分にビタミンCを供給する装置を設置
「ウェルネススイート」や「ウェルネススリープスイート」利用者が使えるラウンジ
タイメニューやスイーツ、各種ドリンクが楽しめる。メニュー横には骨や心臓の記号も掲載

 スタンダードなタイプの「デラックスルーム」(約42m 2 )も見学。改装による薄型テレビの導入や家具のレイアウト変更でより広く部屋を使うことが可能になったという。「スーペリアルーム」(約42m 2 )もほぼ同じ配置。「デラックスルーム」よりも家具が若干多いという。

「デラックスルーム」全景
明るめのアートと薄型テレビで居住エリアを広めに設定
「スーペリアルーム」全景
バスタブ完備で日本人にはうれしい

 食事はオールディダイニングの「タマリンド」を。特に朝食はガーデンを眺めながらバケーションを感じつつ食事が楽しめる。野菜やヨーグルト関連が充実しており、食から健康体へと導いてくれる。毎朝特製のフルーツジュースを提供してくれるのもありがたい。もちろん通常の朝食として日本人向けに味噌汁なども用意。種類豊富なブレッドやメニューでがっつり食べることもできる。

サラダ関連のビュッフェ台。たっぷり補給できる
ヨーグルトポットからドライフルーツ&ナッツまで健康志向なゲストにぴったり
毎朝特製のフルーツドリンクも各テーブルに回って提供してくれる
ブレッドも種類が豊富。ほかにも日本食に中華系までメニューが揃う

相川真由美

フリーライター/鉄鋼業やIT系やエンタメ関連の雑誌やWeb媒体の編集者を経て、フリーの記者として活動中。海外は一人旅がほとんど。趣味は世界のディズニーのパーク&リゾート巡り。最近は年間パスポート片手に日々舞浜通い。うなぎとチョコレートが好物で、旅の基本は“出されたものは全部食べる”。激辛とうがらしから謎の木の実まで挑戦するのがモットー。