旅レポ
タイ・バンコク滞在2日目は花いっぱい。市場散策&フラワーアート作りで花文化を体感
2019年12月10日 07:00
タイ国政府観光庁のプレスツアーで訪れたバンコク滞在2日目は、タイでの生活に欠かせない花について探求することに。タイではお寺の祭壇や供物として目にすることが多く、アレンジメントも独特で魅力的だ。
マリーゴールドや香りのよいオーキッドにジャスミン。華やかなローズやクラウンフラワーを組み合わせ、鮮やかながら厳かな空間をも演出している。タイにおける花とはどのような存在なのか。その秘密をちょっと覗いてみた。
お寺で見かけるフラワーアートの意味って? 博物館で見て、実際に作ってみよう
タイの花文化学習とワークショップを体験するために訪れたのは「ザ・ミュージアム・オブ・フローラル・カルチャー(花の文化博物館)」。国内外で活躍するフローラルアーティストのサクン・インタクン氏が主催する博物館だ。
デュシット地区の静かなエリアに立地しており、緑あふれるエントランスにうっとり。マリーゴールドとクラウンフラワーを組み合わせたデコレーションが来場者を迎えてくれ、アートな世界が広がっている。
同ミュージアムでは、タイの花祭りや文化の歴史、伝統的なものから現代的なアレンジまで幅広く紹介。総合的にタイの花についての知識を得られる。カフェやワークショップエリアも併設され、花を身近に感じながら過ごすことができる。
まずはコロニアル様式のチーク材建築が美しい博物館の見学コースに参加。約100年前の花の造形の方法からアジア各国の文化、タイ東北地方のお守りや花祭りの神輿などを紹介。そして実際の作業場での作品解説が続く。さらに結婚式の「ロットナームサン」と呼ばれる聖水の儀式のデコレーションや実際に使用された結納品を収める道具の展示も。ガイドさんに質問をしつつじっくり学べるのはうれしい。
しっかりと学んだあとは併設のカフェ「ドクマイタイ・サロン・ド・テ」に移動。ワークショップに挑戦。ここではお寺などにお供えするためのパーン・プムを約1時間かけて制作する。店内はかわいらしくデコレーションされ、席に着く前からテンションも上がりっぱなし。テーブルには、センニチコウ、クラウンフラワー、スモールホワイトガーデニア、台座と蓮のつぼみ形の発泡スチロールやピン類が用意されている。
マック先生の指導のもと作業開始。今回はモダンスタイルで花弁をそのままピンで刺すが、伝統的な方法の場合は花弁下部を切り両端を折り畳みピンで刺すそうだ。デモンストレーションを見つつ、もくもくと制作を進める。実際の花を分解再構築し、理想の花を形作っていく印象だ。
続いてフラワー用ワイヤーでトップ部分を作っていく。クラウンフラワーとセンニチコウを組み合わせ、上部にスモールホワイトガーデニアを4つ。その後ハスのつぼみの上部に刺す。周囲にも同様にワイヤーで作った飾りを添えればほぼ完成だ。あとはお好みで花を置いてできあがり。コツを得るまでは時間がかかるが要領が分かればサクサクと進む。日本とタイの花の使い方の違いを作品作りをとおして直に知れるのは経験値としてかなり大きい。なお、制作したパーン・プムは持ち帰って、観光中にお寺にお供えするのがベスト。ぜひ、お寺巡りの際に心を込めて作った作品をお供えしよう。
集中して脳が疲れたあとは、甘いスイーツでリフレッシュ。サクン・インタクン氏が世界を旅して見つけた中国やインド、そして自身の住むタイのスイーツが並び、その美味しさと地域性の違いにびっくり。タピオカを使いもっちもちプルプルのタイならではの伝統菓子もラインアップ。ハーブティーと一緒に味わおう。見学コース、ワークショップ、アフタヌーンティー付きで合計3000バーツ(約1万800円、1バーツ=約3.6円換算)。
博物館を主催するサクン・インタクン氏にワークショップの意義と花文化の特徴を伺ったところ「タイの花文化は生活に根付いており、日々のいろいろなシーンで花が関係してきます。それは、お寺に花飾りがなければタイのお寺とはいえませんし、タイ式建築に花飾りがなければもの足りなく感じるほどです。
ワークショップなどで気づかれたと思いますが、タイの花飾りは水を使いません。水を使わない花は当たり前ですが死んでしまいます。これは今生きている人もいつかは年老いて死ぬということも示しているのです。また、供物としてのデコレーションづくりは信仰深いタイ人の表われでもあり完成後枯れてはしまいますが、それ以上に心を込めて作り供えるということが大切、という教えでもあります。その部分も含め多くのことを伝えたくワークショップを行なっています」と話してくれた。
タイ最大級の花市場「パーククローン花市場」でフレッシュな花に囲まれよう
花文化や制作方法を学んだあとはタイ最大級の花市場「パーククローン市場」に出発。24時間営業の同花の卸市場は約50年の歴史があり広大なエリア内にところ狭しと花屋が並んでいる。周囲の道路沿いにも花屋が軒を連ねるが「ヨッピマンフラワーマーケット」の看板下からなかへと入ると雰囲気は一変。さらにカラフルな光景に思わず目が奪われる。
市場を散策していると価格のリーズナブルさに驚く。ローズの花束1つ60バーツ(約216円)であったり、日本では考えられないほど。販売方法も卸売のため単位も大きめ。しかし業者だけでなく一般客も買い求めており、花の生活密着度も感じることができた。なお、花本体だけでなく完成したプアン・マーライやパーン・プムなど各種供物も販売中。手際よく作る様子や氷を使った劣化防止策も見ることができた。花の種類や使い方を博物館で学んだからこそ気づける部分も多く、ぜひセットで訪れてほしい。
市場横の「ヨッピマン・リバーウォーク」でお買い物。ディナーは「マンゴーツリー」が鉄板
花市場「パーククローン花市場」を花探しをしていると、あっという間に18時。夕日待ちもかねて正面のチャオプラヤー川沿いのクラシックなデザイン「ヨッピマン・リバーウォーク」でショッピングすることに。こちらは周辺環境にも配慮し、低層階かつアユタヤ時代のデザインを取り入れているのが特徴。レストランに衣料品店、お土産屋さんを含む50店舗以上がならび、チャオプラヤー川沿いの夜景を眺めつつ、食事も楽しめると国内外で人気のスポットなのだ。
ちょうど夕日の時間に「ヨッピマン・リバーウォーク」内の「マンゴーツリー・オン・ザ・リバー」へ。川沿いのオープンデッキから「ワット・アルン」や「ワット・プラユーン」「サンタクルーズ教会」のライトアップを夜景とともに堪能できる。
メニューに関しては辛さ控えめで、スパイシーな食事に弱い人でも大丈夫。まずは、夕日を眺めながらデッキで「スイカジュース」「マンゴージュース」で乾杯。続いて「チキンサテー」「空芯菜炒め」「海老のすり身揚げ」「グリーンカレー」などをオーダー。気がつくとライトアップの時間に。窓越しにライトアップされたお寺や教会を眺めつつ味わう食事はとてもロマンティック。ぜひ、バンコク滞在ではリバーサイドでとっておきの時間を過ごしてほしい。