旅レポ

タイ・バンコク滞在2日目は花いっぱい。市場散策&フラワーアート作りで花文化を体感

タイならでの花の世界を体験!

 タイ国政府観光庁のプレスツアーで訪れたバンコク滞在2日目は、タイでの生活に欠かせない花について探求することに。タイではお寺の祭壇や供物として目にすることが多く、アレンジメントも独特で魅力的だ。

 マリーゴールドや香りのよいオーキッドにジャスミン。華やかなローズやクラウンフラワーを組み合わせ、鮮やかながら厳かな空間をも演出している。タイにおける花とはどのような存在なのか。その秘密をちょっと覗いてみた。

お寺で見かけるフラワーアートの意味って? 博物館で見て、実際に作ってみよう

 タイの花文化学習とワークショップを体験するために訪れたのは「ザ・ミュージアム・オブ・フローラル・カルチャー(花の文化博物館)」。国内外で活躍するフローラルアーティストのサクン・インタクン氏が主催する博物館だ。

 デュシット地区の静かなエリアに立地しており、緑あふれるエントランスにうっとり。マリーゴールドとクラウンフラワーを組み合わせたデコレーションが来場者を迎えてくれ、アートな世界が広がっている。

「ザ・ミュージアム・オブ・フローラル・カルチャー(花の文化博物館)」
マリーゴールドとクラウンフラワーで花のシャワーのような演出に

 同ミュージアムでは、タイの花祭りや文化の歴史、伝統的なものから現代的なアレンジまで幅広く紹介。総合的にタイの花についての知識を得られる。カフェやワークショップエリアも併設され、花を身近に感じながら過ごすことができる。

 まずはコロニアル様式のチーク材建築が美しい博物館の見学コースに参加。約100年前の花の造形の方法からアジア各国の文化、タイ東北地方のお守りや花祭りの神輿などを紹介。そして実際の作業場での作品解説が続く。さらに結婚式の「ロットナームサン」と呼ばれる聖水の儀式のデコレーションや実際に使用された結納品を収める道具の展示も。ガイドさんに質問をしつつじっくり学べるのはうれしい。

永遠、愛、繁栄などタイで愛される花の意味を教えてもらいつつ見学
アジア各国で使用される花関連の道具や花器を展示。日本の剣山などもあった
お祭りで使用される神輿のレプリカやお守り、デコレーションを展示
作品を生み出す作業場。フラワーネットやパーン・プムなどいろいろ
1枚1枚手作業で花びらで花を作っていく。職人さんは2から3時間で完成
聖水の儀式で新郎新婦が聖水をかけ祝してもらう台も展示
金をはじめとする結納品を入れるための器たち

 しっかりと学んだあとは併設のカフェ「ドクマイタイ・サロン・ド・テ」に移動。ワークショップに挑戦。ここではお寺などにお供えするためのパーン・プムを約1時間かけて制作する。店内はかわいらしくデコレーションされ、席に着く前からテンションも上がりっぱなし。テーブルには、センニチコウ、クラウンフラワー、スモールホワイトガーデニア、台座と蓮のつぼみ形の発泡スチロールやピン類が用意されている。

見学後は「ドクマイタイ・サロン・ド・テ」でワークショップ
台座と花々がセットされたテーブル
使用する花はセンニチコウ、クラウンフラワー、スモールホワイトガーデニアなど
マック先生が制作の指導を担当してくれた

 マック先生の指導のもと作業開始。今回はモダンスタイルで花弁をそのままピンで刺すが、伝統的な方法の場合は花弁下部を切り両端を折り畳みピンで刺すそうだ。デモンストレーションを見つつ、もくもくと制作を進める。実際の花を分解再構築し、理想の花を形作っていく印象だ。

トップは4枚の花弁をピンで配置。ピンが隠れるように下段に花弁を付けていく
伝統的な手法の場合、花弁を折り細かく配置する。1日がかりの作業だが美しさは段違い
次第に蓮のつぼみらしい見た目になってきた
台座にセットして、デコレーションへ

 続いてフラワー用ワイヤーでトップ部分を作っていく。クラウンフラワーとセンニチコウを組み合わせ、上部にスモールホワイトガーデニアを4つ。その後ハスのつぼみの上部に刺す。周囲にも同様にワイヤーで作った飾りを添えればほぼ完成だ。あとはお好みで花を置いてできあがり。コツを得るまでは時間がかかるが要領が分かればサクサクと進む。日本とタイの花の使い方の違いを作品作りをとおして直に知れるのは経験値としてかなり大きい。なお、制作したパーン・プムは持ち帰って、観光中にお寺にお供えするのがベスト。ぜひ、お寺巡りの際に心を込めて作った作品をお供えしよう。

ワイヤーにセンニチコウなどを配置。トップにスモールホワイトガーデニアを4つをとおす
台座の周囲にもワイヤーに刺した花をデコる
周囲に花を散らして完成!

 集中して脳が疲れたあとは、甘いスイーツでリフレッシュ。サクン・インタクン氏が世界を旅して見つけた中国やインド、そして自身の住むタイのスイーツが並び、その美味しさと地域性の違いにびっくり。タピオカを使いもっちもちプルプルのタイならではの伝統菓子もラインアップ。ハーブティーと一緒に味わおう。見学コース、ワークショップ、アフタヌーンティー付きで合計3000バーツ(約1万800円、1バーツ=約3.6円換算)。

アフタヌーンティーセット。バナナの葉で作ったフタを開けると……
タイを含むアジア各地のスイーツが6種類も

 博物館を主催するサクン・インタクン氏にワークショップの意義と花文化の特徴を伺ったところ「タイの花文化は生活に根付いており、日々のいろいろなシーンで花が関係してきます。それは、お寺に花飾りがなければタイのお寺とはいえませんし、タイ式建築に花飾りがなければもの足りなく感じるほどです。

 ワークショップなどで気づかれたと思いますが、タイの花飾りは水を使いません。水を使わない花は当たり前ですが死んでしまいます。これは今生きている人もいつかは年老いて死ぬということも示しているのです。また、供物としてのデコレーションづくりは信仰深いタイ人の表われでもあり完成後枯れてはしまいますが、それ以上に心を込めて作り供えるということが大切、という教えでもあります。その部分も含め多くのことを伝えたくワークショップを行なっています」と話してくれた。

フラワーアーティストのサクン・インタクン氏

タイ最大級の花市場「パーククローン花市場」でフレッシュな花に囲まれよう

 花文化や制作方法を学んだあとはタイ最大級の花市場「パーククローン市場」に出発。24時間営業の同花の卸市場は約50年の歴史があり広大なエリア内にところ狭しと花屋が並んでいる。周囲の道路沿いにも花屋が軒を連ねるが「ヨッピマンフラワーマーケット」の看板下からなかへと入ると雰囲気は一変。さらにカラフルな光景に思わず目が奪われる。

「パーククローン花市場」内の「ヨッピマンフラワーマーケット」の看板下から入場
軒先きに吊るされた供物用のデコレーション。サイズも大きい
香りのよいオーキッドはジャスミンとともに欠かせない花だ
花市場の内部。両サイドに大量に並べられた花々は壮観
マリーゴールドは特に多く販売されており、使いやすいよう花部分がカットされた状態だ
プアン・マーライ(花飾り)によく使用されるローズも袋売り。ローズ風呂にも使えそう

 市場を散策していると価格のリーズナブルさに驚く。ローズの花束1つ60バーツ(約216円)であったり、日本では考えられないほど。販売方法も卸売のため単位も大きめ。しかし業者だけでなく一般客も買い求めており、花の生活密着度も感じることができた。なお、花本体だけでなく完成したプアン・マーライやパーン・プムなど各種供物も販売中。手際よく作る様子や氷を使った劣化防止策も見ることができた。花の種類や使い方を博物館で学んだからこそ気づける部分も多く、ぜひセットで訪れてほしい。

リーズナブルなローズの束
つなげて使うクラウンフラワーの中央部分のみを袋買いできる
手早くお供え用のアレンジメントを制作するスタッフたち
できあがったプアン・マーライは氷を中央に入れ劣化防止

市場横の「ヨッピマン・リバーウォーク」でお買い物。ディナーは「マンゴーツリー」が鉄板

 花市場「パーククローン花市場」を花探しをしていると、あっという間に18時。夕日待ちもかねて正面のチャオプラヤー川沿いのクラシックなデザイン「ヨッピマン・リバーウォーク」でショッピングすることに。こちらは周辺環境にも配慮し、低層階かつアユタヤ時代のデザインを取り入れているのが特徴。レストランに衣料品店、お土産屋さんを含む50店舗以上がならび、チャオプラヤー川沿いの夜景を眺めつつ、食事も楽しめると国内外で人気のスポットなのだ。

花市場を突っ切ると目の前に「ヨッピマン・リバーウォーク」が現われる
クーラの効いた店内でタイパンツなどを品定め。客引きもなく自分のペースで買える
タイ土産として話題となったギョサンを発見
小物入れにぴったりのボールなど扱うハンドメイドショップ

 ちょうど夕日の時間に「ヨッピマン・リバーウォーク」内の「マンゴーツリー・オン・ザ・リバー」へ。川沿いのオープンデッキから「ワット・アルン」や「ワット・プラユーン」「サンタクルーズ教会」のライトアップを夜景とともに堪能できる。

「マンゴーツリー・オン・ザ・リバー」。開放的な雰囲気のなかタイ料理が味わえる
デッキがお勧めだが、暑い場合は涼しい店内を利用しよう
雲が多めだったが18時半過ぎにレストランのデッキから夕焼けが楽しめた
ライトアップもしっかり店内外から眺めることができる

 メニューに関しては辛さ控えめで、スパイシーな食事に弱い人でも大丈夫。まずは、夕日を眺めながらデッキで「スイカジュース」「マンゴージュース」で乾杯。続いて「チキンサテー」「空芯菜炒め」「海老のすり身揚げ」「グリーンカレー」などをオーダー。気がつくとライトアップの時間に。窓越しにライトアップされたお寺や教会を眺めつつ味わう食事はとてもロマンティック。ぜひ、バンコク滞在ではリバーサイドでとっておきの時間を過ごしてほしい。

「スイカジュース」と「マンゴージュース」で乾杯!
「グリーンカレー」「チキンサテー」など定番を中心にオーダー
シャキシャキで野菜の旨味たっぷりの「空芯菜炒め」
「海老のすり身揚げ」は定番中の定番。絶対に食べよう

相川真由美

フリーライター/鉄鋼業やIT系やエンタメ関連の雑誌やWeb媒体の編集者を経て、フリーの記者として活動中。海外は一人旅がほとんど。趣味は世界のディズニーのパーク&リゾート巡り。最近は年間パスポート片手に日々舞浜通い。うなぎとチョコレートが好物で、旅の基本は“出されたものは全部食べる”。激辛とうがらしから謎の木の実まで挑戦するのがモットー。