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タイ国政府観光庁、東京事務所 新所長にセークサン・スィープライワン氏。前所長パッタラアノン・ナチェンマイ氏が4年の任期を振り返る

2019年8月2日 実施

タイ国政府観光庁 東京事務所 新旧所長が揃った

 タイ国政府観光庁は8月2日、ネットワーキングイベントを実施し、7月31日で任期を終えた東京事務所 前所長のパッタラアノン・ナチェンマイ氏のあいさつと、後任のセークサン・スィープライワン(Seksan Sripraiwan)氏の紹介が行なわれた。セークサン・スィープライワン氏は、先日までタイ本国のタイ国政府観光庁 ウドーンターニーオフィスで所長を務めていた人物。

 パッタラアノン・ナチェンマイ氏は在任中4年間を振り返り、まずは2018年のタイの外国人訪問者が3800万人(前年比7.54%増)、収益が620億ドル(同9.63%増)まで成長していることを報告した。市場のトップ5は、1000万人以上の訪タイのある中国が1位で、以下マレーシア、韓国、ラオスと続く。日本は5位で、訪問者数は約163万人(同7%増)。そして2019年のタイ国政府観光庁の目標は、すべての国際市場からの観光収入を12%アップさせることだという。

2019年は全マーケットからの収入を12%アップさせる

 コミュニケーション面では、タイのユニークな地域体験に浸れるよう、「Open to the new shades(新しい色合いへの誘い)」というコンセプトを掲げている。「時間とともに変化しつつも、タイのままのタイ文化を体験してほしい」と呼びかけた。

 そして、タイ国政府観光庁は2020年に創立60周年を迎える。「旅行と観光を(タイ)王国の最も経済的に有望、環境に優しく、文化的に活気のある分野にするという確約・再確認をした」と述べ、2020年の目標は相互観光収入10%増と設定。収益を生み出す質の高い旅行者に重点を置いて、「観光産業をマスツーリズムから責任あるツーリズムへ明確にシフトする」との目標を紹介した。

責任あるツーリズムへ

 一方、日本市場だけを見ると、渡航者数は前述したように約163万人で、収入は前年比9.7%増の23億ドル。日本人の滞在は平均7.8日で、消費額は1日平均180ドル、リピーター率は79%(ファーストビジターは21%)、旅行手配はFIT(海外個人旅行)が85%(グループツアーは15%)、男女比は男性66%、女性34%となっている。日本人に人気のデスティネーションはバンコク、チョンブリー、プーケット、チェンマイ、アユタヤとのこと。2019年の日本市場は、推定25億ドル(同10%増)の観光収入を見込んでおり、渡航者数目標は180万人。1月から6月までの渡航者数は86万4000人で、これはすでに同10%増の伸びを示しているという。

日本市場の動向

 こうした目標を達成すべく、新たな取り組みとして「5つのGO」を紹介した。5つのGOとはすなわち、富裕層に贅沢な経験、お金では買えない経験をしてもらうという「Go High」、女性・スポーツ愛好家・結婚式需要など新規顧客を取り込むための「Go New Customer」、リピーター向けに料理などのアクティビティを通じて地方の魅力を訴求する「Go Local」、いつでも旅行できる活発な高齢者や若い世代に向けて繁忙期以外を提案する「Go Low Season」、SNSの果たす役割の大きさを踏まえてデジタルマーケティング戦略を開発するという「Go Digital」を指す。このあたりの詳細は、別掲の記事でも紹介している(関連記事「タイ国政府観光庁、2019年のタイ観光は『5G』にフォーカス。現地観光施設と日本の旅行業者など36社を集めた商談会」「タイ国政府観光庁、TTCJ 6月例会で観光セミナー。ゴルフやマラソンなど『見る・参加するスポーツに注目』と藤村氏」)。

5つのGO

 タイ国政府観光庁の創立60周年の2020年には、日本人渡航者数は200万人を目標としている。東京事務所の設立は1971年で、当時はニューヨーク、ロサンゼルスに続く海外拠点だったという。パッタラアノン・ナチェンマイ氏は、集まった関係者に改めて感謝を伝えると、バンコクの本庁に戻ってからは研究開発部の所属になることを紹介。「将来、再び人生の道のりでまた皆さんと交差することもあるでしょう」と述べ、8月1日に着任した新所長のセークサン・スィープライワン氏を招き入れた。ちなみに同氏は、ウドーンターニーで所長になる前の2012年から2016年にはタイ国政府観光庁 大阪事務所で副所長を務めていた経験もあり、「日本語は私より堪能」と会場の笑いを誘った。

2020年にはタイ国政府観光庁が創立60周年を迎える

 セークサン・スィープライワン氏は「皆さんとパットさん(前所長の愛称)の4年間はよい思い出になっているはず。パットさんの幸運を祈りつつ、ここにいる皆さんと密接な協力関係を築くべく、最善を尽くします」とあいさつした。

あいさつする新所長のセークサン・スィープライワン氏
乾杯のあいさつを行なったJATA(日本旅行業協会)理事長の志村格氏を交えて