旅レポ

フィジー・エアウェイズの直行便で南太平洋の楽園フィジーを訪ねる。9年振りに復活した成田~ナンディ線の初便に乗る

7月3日に復活したフィジー・エアウェイズの成田~ナンディ線。成田発のFJ350便初便に搭乗してフィジーに向かう

 2018年7月3日に約9年3カ月振りに成田国際空港~フィジー・ナンディ国際空港線を復活させたフィジー・エアウェイズ。以前はエア・パシフィック航空という名称だったが、2013年に社名を戻して現在に至る。今回、再び日本との直行便が復活したわけだが、その記念すべき初便に搭乗してフィジー・エアウェイズの乗り心地やフィジー現地の様子を見学してきたので、数回に渡ってレポートしよう。

 出発するにあたり、フィジー・エアウェイズへの搭乗手続きは第2ターミナルのDカウンターで行なった。フィジー・エアウェイズはワンワールド・コネクトに加盟しており、そのなかのアメリカン航空、カンタス航空とはマイレージの提携も行なっている。残念ながらワンワールド・コネクトは準会員(加盟会社3社以上との提携で参加できる)といった位置付けなので、現在のところ前述の航空会社以外との相互マイレージサービスはない。ほか、ワンワールドに参加していない航空会社ではアラスカ航空と相互マイレージサービスを行なっているので、この3社のマイレージプログラムに参加している人はマイルを忘れずに貯めておこう。

 ちなみに、資本的にも地理的にもとても関係が深いカンタス航空とはさまざまな部分でサービスを提携しており、成田空港においてはビジネスクラスの利用時にはビジネスラウンジを利用することもできる。

チェックインは第2ターミナルのDカウンターで行なった。この日のFJ350便の搭乗口は65番を案内された
ビジネスクラスの利用ならカンタス航空のビジネスラウンジを使える。ただし、本館とサテライトはかなり離れているので時間には気を付けよう
関係者によるテープカットなどの記念式典も行なわれた
7月3日の就航を記念してボーディングブリッジの前にはアーチが設置されていた

 使用機材はこちらの記事「フィジー・エアウェイズ、成田~ナンディ線に週3便で就航。約9年3カ月ぶりの直行便復活」でも触れられているが、エアバス A330-200型機またはエアバス A330-300型機を使う。予約状況などによって使用する機材を適時変更するそうだ。初便は273席仕様となる登録記号「DQ-FJT」のエアバス A330-200型機が使われた。

成田~ナンディ線の運航スケジュール

FJ350便: 便:成田(21時25分)発~ナンディ(翌09時05分)着、火・金・日曜運航
FJ351便: 便:ナンディ(13時25分)発~成田(19時30分)着、火・金・日曜運航

 ビジネスクラスは2-2-2の配列になっており、座席は60インチ(約188cm)の間隔で設置されている。シートは8度までフラットになり、15.4インチモニター、ユニバーサルAC電源とUSB電源が備わっている。持ち込み可能な手荷物は7kg×2で、40kgまでの手荷物を預けることができる。

 一方、エコノミークラスは2-4-2の配列になっており、座席は31~32インチ(約97~100cm)の間隔で設置されている。リクライニングは7.5インチ(約24cm)となっており、10.6インチモニターを備えている。モニター脇にはUSB電源があり、座席下に電源が設けられている。持ち込み可能な手荷物は7kg×1で、23kgまでの手荷物を預けることができる。

 これらはフィジー・エアウェイズのシグネチャデザインの装備になるが、エティハド航空からリースされている機体(エアバス A330-200型機×2機)は仕様が異なる。

この日使われたDQ-FJTは、ビジネスクラスは2-2-2の配列で前方から4列の計24席
シートはホワイト系のカラーで、明るく清潔感がある。アメニティポーチには、歯磨きセット、耳栓、アイマスク、ソックス、ボディローションが入っていた
エコノミークラスは2-4-2の配列で計249席。ライトブラウンとホワイトのシートで明るめの内装になっている
10.6インチモニターを備えており、USB電源もある。シートの下には通常のAC電源も装備しており、長距離フライトでも困ることはない

 今回、筆者が搭乗したのはビジネスクラスであり、機内サービスについてはそちらの様子についてレポートする。まず、着席すると早々に熱いおしぼりとウエルカムドリンクが配られ、ビジネスクラスならではのサービスを体験。

 この日は記念便とあって、フィジー・エアウェイズのロゴ入りポーチなどが入った記念品や寝具なども配られた。

着席すると早々にウエルカムドリンクがサービスされる
ビジネスクラスのモニターは15.4インチのサイズで大きく見やすい。その横にはハンガーをかけるフックも用意されている
機内エンタテイメントプログラムは日本語にも対応している
目的地までは約7000km。長距離フライトの始まりだ
機内で配られた記念品。ロゴ入りポーチやパジャマなどが入っていた

 離陸してほどなく安定飛行に入ると夕食の時間。長距離フライトではお楽しみの時間だ。テーブルにはクロスが敷かれ、日本語で記載されたメニューも配られた。こちらはコースとなっており、前菜から始まり、メインにデザートまでが含まれている。

 まず最初に運ばれてきた前菜は、重箱にさまざまな日本的食材が盛り付けられたもので、見た目も美しく、舌鼓を打ちながら早々に平らげてしまった。

夕食メニューと朝食メニューが配られる。朝食メニューは好きなものを選択してチェックしておく
なんとも豪華な前菜。味噌汁もつく
春雨のサラダとパン。パンはガーリックトーストをチョイスした。濃厚でとても美味

 もちろん、これはあくまで前菜で、メインはこれから。筆者は「牛リブ肉の煮込みにトマトタマリンドソースを添えて」をチョイスした。ほろほろと口の中で崩れる柔らかさの牛肉と、トマトとタマリンドのフレッシュでほどよい酸味がうま味を引き立たせてくれる組み合わせに、思わず口元も緩んでしまう。

 メインディッシュをしっかり堪能したあとはデザートの登場。この日は就航記念とのことで、特製の記念ケーキをサーブしていた。

メインの牛リブ肉の煮込み。口の中でホロホロとくずれる柔らかさ
ギャレーに用意されていたデザート
就航記念の特製ケーキ。豪華なデコレーションに驚く

 夕食のあとは就寝タイムのため、機内も必要最低限の照明になり、筆者も横になることにした。飛行機内で座席を倒して足も伸ばすことができるのはなかなかの至福である。とにかく首と腰が楽なのは、ビジネスシートならではだ。

 飛行時間を6時間超えたあたり(日本時間では3時)から徐々に空が明るくなっていき、熱いおしぼりが配られて朝食の準備が始まる。夕食と同じく、メインを選ぶことができ、ここでは「自家製ハーブオムレツ」「鮭の塩焼き、蟹ソース」「ミックスマッシュルームコロッケ」が用意されていた。

 フィジー料理みたいなものがあればそのようなものを選択しようと思っていたがとくに見当たらなかったので、ここでは自分の好みで鮭の塩焼きを選んでみた。ほどよい塩加減の鮭とご飯の組み合わせは鉄板であり、朝食にはピッタリだ。

広い広い太平洋を北から南へ。眼下に広がるのは青い海のみ
朝食はパンとヨーグルトから始まる
鮭の塩焼きと白米。さっぱりとした味わいが寝起きにちょうどいい
こちらはミックスマッシュルームコロッケ。こちらも美味しそうだ
いつでもにこやかに対応してくれるCA(客室乗務員)

 朝食を済ませて到着まで1時間を切ると、着陸に向けて徐々に高度を下げて行くわけだが、それまで大海原しか見えていなかった景色に変化が現われ、珊瑚礁に囲まれた小さな島がポツポツと見え始める。

 目的地のナンディ国際空港は、フィジーの首都があるビティレブ島の北西に位置し、海沿いの平野にある。この日は西側から着陸態勢に入り、筆者の席からは島の中央部の山脈も見えた。「結構、山地が多いんだな」と思ってあれこれ考えている間に飛行機はスムーズに着陸。ホスピタリティ精神あふれるサービスと心地よいシートのおかげもあって、赤道を越えて7000kmにおよぶ9時間のフライトも快適に過ごせた。

目的地に近づくにつれ、大小さまざまな島が見え始める
今回のフライトに携わったパイロットとCAの皆さん。ありがとうございました

 入国審査を終えて、到着ターミナルに出るとそこは南国フィジーであった。あいさつである「Bula!(ブラ!)」の掛け声から始まり、レイを首にかけてもらい、ココナッツが配られ、目の前では歌と踊りの歓迎が始まる。

 この時期、南半球は冬であるが、南緯18度付近に位置するフィジーは、気温も20℃以上で寒くもなく暑くもないので過ごしやすい。空港に降り立って「クラッ!」とめまいがするような暑さとは無縁な快適空間がそこにあった。

ナンディ国際空港に到着した「DQ-FJT」。ちなみにフィジー・エアウェイズの機体にはそれぞれ島の名前が付けられている。この機体は「TAVEUNI(タベウニ)」
到着ロビーでは「ブラ!」の声で始まる歓迎が待っていた。ココナッツやパイナップルが配られる
民族衣装を身にまとった人の踊りや歌でフィジータイムの始まりだ
野村シンヤ

IT系出版社で雑誌や書籍編集に携わった後、現在はフリーのライター・エディターとして活動中。PCやスマートフォン、デジタルカメラを中心に雑誌やWeb媒体での執筆や編集を行なっている。気ままにバイク旅をしたいなと思う今日この頃。