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フィジー政府観光局 CEO マシュー・ストーケル氏に聞く。「フィジーではどこに行っても、誰と話しても幸せになれる」

2018年7月4日 実施

フィジー政府観光局 CEOのマシュー・ストーケル氏がインタビューに応じた

 フィジー政府観光局は7月4日、都内の日本事務所で来日中のCEO マシュー・ストーケル(Matthew P. Stoeckel)氏がインタビューに応じた。

 なお、前日の7月3日には、約9年3カ月ぶりに日本とフィジーを結ぶ直行便がフィジー・エアウェイズによって再開している(関連記事「フィジー・エアウェイズ、成田~ナンディ線に週3便で就航。約9年3カ月ぶりの直行便復活」)。

この10年で宿泊施設が充実、日本人旅行者が好むラグジュアリータイプも

――直行便が再開したことによる期待感と、フィジーの魅力を日本人にどのように訴求していくか。

ストーケル氏:一言で言うと楽観的に捉えている。その理由は3つあり、1つは「再開初便から週3という高頻度でフィジー・エアウェイズが運航すること」。3年前にフィジー~シンガポール直行便が就航したときでも週2便だったので、週3便からはフィジー・エアウェイズの自信がうかがえるし、日付を選びやすいので旅行会社にとっても商品が作りやすいはず。

 2つ目は「以前のノウハウがまだ残っている」ということ。フィジーは安全で日本との時差が3時間と少なく、ワールドクラスの観光施設・宿泊施設があり、現地の人たちのホスピタリティがある。3つ目の理由は、「フィジー・エアウェイズの日本に対するコミットメントと、政府観光局のコミットメント」で、1月に日本事務所を設立し、旅行会社と一般消費者に向けてプロモーション活動を行なっている。また、3月にはセールスロードショー(商談会)を開催、19のフィジーのローカルサプライヤが参加しており、その参加数の多さも理由に付け加えることができる。

――日本からフィジーへの渡航者の推移は。

ストーケル氏:以前直行便が就航していた2009年ごろは、平均2万2000人程度で、それ以降は下降している。しかし、週3便の就航で年間8万席(往復)のキャパシティが生まれるため、直行便撤退以前の水準、あるいはそれ以上の数字も見込めるのではないか。フィジー・エアウェイズからは座席の売れ行きは順調と聞いている。

――日本市場をどう見ているか。

ストーケル氏:日本事務所を通じて市場調査を行なったところ、直行便撤退以前を知る40歳以上にはデスティネーションとして認知されており、一方で若い世代のカップルにも認知はされている。メインターゲットは30~40代のカップルで、ロマンスやリラクゼーションが渡航目的の中心。また、日本人はほかの国の旅行者に比べると、島での体験に興味がある印象で、サーフィンやダイビング、現地の人と触れ合って現地の文化を知るといったことに重きを置いている。

――旅行会社に対するプロモーションは。

ストーケル氏:まず直行便が復活したということを伝えたい。そして改めてフィジーのプロダクツ・観光素材をアピールして、魅力を再認識してもらう。10年間で知識が失われてしまった部分もあるだろう。

 ただ、10年の間にインフラの拡充拡大が進んでおり、例えば「シックスセンシズ・フィジー」「フィジー・マリオット・リゾート・モミ・ベイ」といった宿泊施設が開業しているほか、空港も新しくなっている。実際に見てもらうことが大事なので、視察ツアーなども行なっている。

――個人旅行者に向けたプロモーションは。

ストーケル氏:直行便の復活に際して、日本の新聞2紙に1面広告を出した。同時にWebサイトでキャンペーンも始めている。全世界で使っているタグラインは「Fiji where happiness finds you」というもので、「どこに行っても誰と話しても幸せになれる」という考えが根底にある。

――どんな体験ができて、どうアピールするか。

ストーケル氏:フィジーは砂浜、海、サーフ(打ち寄せる波)だけではない。体験という面では、サーフィン、ダイビング、マリンアクティビティ、内陸でもサイクリングやジップライン、ラフティング、トレッキングなどがあり、何より重要なのは現地の人と触れ合えることだ。フィジーでは訪問者と家族として迎える習慣があり、例えばホテルのチェックインでも、単に「ウェルカム」というのではなく、「ウェルカムホーム」という。

 ハード面では宿泊施設のバラエティの豊富さも挙げられる。ハイエンドからバジェット(格安)レベルまであり、1人で来ても家族で来ても選択肢がある。

――日本からの直行便が途絶えた期間に変わったこと、変わらなかったことは。

ストーケル氏:1つ大きく変わったのは、先ほども言ったように宿泊施設が充実したこと。10年前はオーストラリアやニュージーランドからの旅行者に向けた家族向けの宿泊施設が多かったが、今は日本の旅行者が好むラグジュアリータイプも増えた。

 変わってない点は環境。海水やサンゴ礁などはダメージを受けておらず、自然以外の要素として、極端に人口が増えたり、観光客が増えたりすることで環境に影響が出たということもない。直行便の再開にあたって旅行業関係者を招いて視察旅行を行なった際、ある担当者は「どこが変わったか」という質問に対して「変わっていない」と回答した。「現地の人たちが歓迎してくれる気持ち、幸せに感じられる気持ちが以前と変わっていなかった」と答えた。弊局は「ハピネス(幸せ)」をプロモーションのキーワードにもしており、そう感じてもらえるのは幸せなことだと思う。