旅レポ
LCCだけどボーイング 787。スクートの関空~ホノルル線で行くハワイ(その1)
関西在住なら2万円台でハワイも可能
2018年1月22日 12:00
スクートは2017年12月19日、関空~ホノルル線を就航した。LCC(格安航空会社)が日本からホノルルに就航するのはこれで2社目だ(関連記事「スクート、関空~ホノルル線の就航セレモニー。セール時往復1万円台でハワイへ」)。
今回、この初便に搭乗してスクートとハワイ州観光局が実施したプレスツアーに参加してきた。倉庫街からの転換が急速に進む注目エリア・カカアコを散策したり、セグウェイに乗ってワイキキを2時間ほど巡ったり、帰国前日の夜にはブルーノート・ハワイでライブを鑑賞したりしており、この模様を5回に分けてお伝えする。
LCCだけどボーイング 787。スクートの関空~ホノルル線で行くハワイ 記事一覧
大手フルサービスキャリアと同等のシート幅/ピッチ
試しに検索してもらうと分かるが、スクートの関空~ホノルル線は、片道1万36円とか1万3029円とかのセール価格が普通に出てくる。つまり、関西在住なら最安時2万円ちょっとでハワイに行けてしまう。もし関東在住でも、新幹線と特急はるかで片道1万5000円程度なので、最安時なら5万円台前半でハワイを往復できてしまう。これはすごいインパクトのある価格で、まだハワイに行ったことがないという人も、ぐっと身近に感じられるのではないだろうか。
もちろんLCCなので、手荷物の預け入れ手数料や機内食、飲み物、座席指定などは別料金だが、例えば夜出発の往路便は寝てしまうので食事を空港で済ませておくとか、好きなように旅をカスタマイズできるというメリットもある。
もう1つ、スクートの大きな特徴として、ワイドボディのボーイング 787型機(787-8/787-9)を保有している点が挙げられる。シートはもちろん、キャビン自体が広いので、長時間乗っていても圧迫感がないのはうれしい。今回搭乗した関空~ホノルル線の機材はボーイング 787-8型機で、ビジネスクラスとエコノミークラスの2クラス構成。なお、エコノミークラス前方には12歳以下は利用できない「スクーティンサイレンス」と呼ばれるサイレントゾーンが設けられている。
用意されたシートはエコノミークラスで、配列は3-3-3。シート幅は18インチ(約45.7cm)、シートピッチは31インチ(約78.4cm)。これは航空会社にもよるが、フルサービスキャリアの787-8型機のエコノミークラスの寸法と同等だ。個人用のモニターは用意されていないが、機内Wi-Fiとスマートフォンアプリやブラウザのプラグインを使って機内エンタテイメントを楽しむことができる(11ドル、約1221円、1ドル=約111円換算)。シートの電源は有料(5~8シンガポールドル、約425~680円、1シンガポールドル=約85円換算)で、CA(客室乗務員)に声をかけると使えるようになる。なお、降機時に気付いたが、サイレントゾーンの座席には、左右のフチを折り曲げられる可動式のヘッドレストが用意されていた。
関空発の往路TR700便は、19時25分に日本を離れ、現地時間7時30分にダニエル・K・イノウエ国際空港(ホノルル空港)へ着く。ちょっと分かりにくいけど、ハワイの時差は19時間なので、現地の朝7時30分は日本だと深夜2時30分。機内には7時間いる計算だ。ちなみに、復路のTR701便は向かい風の影響で9時間30分かかる。
定刻から少しあってプッシュバック開始。ちなみにスクートでは、着陸・離陸の際にイヤフォンやヘッドフォンの使用が禁じられている。
ところで、記者はLCCに搭乗するのはこれが初めてだったので、「機内への飲食物持ち込み禁止」という制限を知らなかった。機内アナウンスで初めて気付いたので、持ち込んだペットボトルは開栓できずにシートポケットに入れっぱなしだった。まわりでも「そうなの?」という声が聞こえたので、機内での飲食物の提供が有料ということは知っていても、持ち込み禁止という制限はあまり知られてないのかもしれない。
今回のプレスツアーでは機内食がオプションとして付けられていて、カレーが用意されていた。ドリンクはコーラを選択。ホワイトチョコレートとクランベリーのクッキーも添えられていた。機内食は予約時に選ぶことができるが、機内で注文することもできる。メニューを見たところ軽食やスナック、カップヌードルなどが用意されていたので、急にお腹が減ってしまってもいろいろ選べる。なお、メニューはシンガポールドルで表記されているが、ほかのお客さんとCAとのやり取りを見る限り、日本円もクレジットカードも使えていた。
機内はボーイング 787型機だからか、寒すぎず暑すぎずちょうどよい温度に保たれていたが、膝掛けの貸し出しはないので、寒がりの人は荷物にならない程度の薄手の膝掛けを用意しておくとよいだろう。
機内Wi-Fiと機内エンタテイメント
ここで、機内Wi-Fiと機内エンタテイメントについても触れておきたい。
機内エンタテイメントは「スクートTV(ScooTV)」を使う。スクートTVはスマートフォンアプリまたはWebブラウザのプラグインで利用でき、PC/Macは機内ポータルからブラウザのプラグインを、Androidは機内ポータルからアプリを落とせる。ただし、iOSは事前にアプリを落としておかなければならない。
映画のラインアップなどはフルサービスキャリアと遜色ないものの、ほとんどが英語音声中国語字幕なので、日本人には少々厳しい。あまり数は多くないが邦画もあり、こちらはもちろん日本語音声だ。
機内Wi-Fiは、スマートフォンやPCなどから機内ポータルにアクセスして、20/50/100/200/500MBの容量別のプランを購入する。今回は、200MB分のプラン(32.99ドル、約3662円)を試してみた。地上で使うときほど快適ではないが、メールの送受信やWeb閲覧なら十分。もちろん、同時に使っている人数にも影響を受けるはずだが、テキストメッセージのやり取りやSNSの利用なら問題ないだろう。
そうこうするうちにTR700便がハワイに着陸。入国審査を経て空港の外に出ると朝8時ごろ。まだ日が昇ったばかりで(12月ということもあって)それほど暑くない。寒い日本からハワイを訪れて、徐々にハワイの気温に慣らしていけるのはむしろ好都合かもしれない。プレスツアー参加者は空港の個人出口で再集合してクルマに乗り込んで、まずはカカアコ地区へ向かった。
カカアコのウォールアートと地元の料理・ビール
ハワイといえばワイキキの様子を思い浮かべる人が大半だろう。著名なホテルとブランドの路面店、大小の飲食店、コンビニ(ABCストア)が立ち並び、日本人がたくさん、というのがワイキキ。もちろん記者もワイキキは好きだけど、空港からワイキキへ向かう途中、ワイキキやアラモアナ地区の手前にあるのがカカアコ地区だ。
このカカアコ、最近は開発が進んでこの1~2年でオシャレな複合施設やショッピングセンターが続々作られている。また、倉庫街だった以前からウォールアートが盛んで、インスタグラムなどSNSに自撮りを投稿する人たちで賑わっていたりする。カカアコのウォールアートは「POW! WOW! Hawaii」という団体が管理・運営しており、基本的には毎年書き換えられている。
今回よく見かけたのは、ホノルルで比較的最近始まったシェアバイクサービス「biki(ビキ)」。30分の利用で3.5ドル(約389円)、日をまたいで300分までだと20ドル(約2220円)。bikiのポートがあるところならどこでも返却可能で、日本にも東京23区を中心に普及が進むコミュニティサイクルと同じように使える。「カカアコからワイキキまで歩くのがめんどくさい」みたいなときに便利だけど、日本と違って電動自転車ではないので注意。bikiのポートの位置はオフィシャルサイトで確認できる。
ウォールアート群に囲まれたエリアで、ひときわ目立っているのが新しい複合施設「SALT(ソルト)」だろう。カフェやレストラン、アパレルなどが入居しており、どの店もオシャレできれい。ワイキキみたいに混みすぎてないのもいい。ここのレストラン「Highway Inn(ハイウェイイン)」では、バナナの葉で豚肉や鶏肉を包んで蒸し上げる「ラウラウ」や塩漬けサーモン、紫イモなど、本場のハワイアンフードを食べることができる。
最近のハワイは地ビールも人気だそうで、カカアコのど真ん中にある「Honolulu BeerWorks(ホノルルビアワークス)」を訪問。店内の奥で実際に醸造もしているここでは、6種類のクラフトビールを飲み比べできる「ビアフライト」でお気に入りを見つけてから、パイントグラス(またはハーフパイント)でオーダーするのがお勧め。試飲したなかでは、ココナッツ酵母(Coconut hefe)を使った「COCOWEIZEN」が甘みがあって、これまで飲んだことのない新鮮な味わいだった。
現地デザイナーのアパレルが集まるサウスショアマーケット
続いて訪れたのは、カカアコの端にある「South Shore Market(サウスショアマーケット)」。こちらも著名な複合施設「Ward Village(ワードビレッジ)」の一角にできたショッピングスポットで、入居しているのはほとんど服飾・雑貨店。ただ、特徴的なのは現地デザイナーの手掛ける店舗が中心になっていることで、現地でも注目を集めているとのこと。
アパレルは女性だけでなく、男性向けや子供向けもあるので年齢層を問わないイメージ。一通り見た印象では、物価の高めなハワイにあっては比較的お手頃価格、という感じ。ハワイ初日に来て、ここで買った服を着てワイキキを歩くとハワイ通を気取れそう。
プレスツアー参加者が「Salvage Public」のTシャツを着ていたところ、ワイキキで「それSalvage Publicのでしょ!」とすぐ気付かれたくらいなので、敏感なハワイっ子が注目しているエリアなのは間違いないようだ。
次回は今回の宿泊先、アウトリガー・ワイキキ・ビーチ・リゾートと、初日の夕食で訪れたアウトリガー・リーフ・ワイキキ・ビーチ・リゾートを紹介する。