旅レポ

夏期増便のフィンエアーで行く! ヘルシンキとタンペレを巡るアート&グルメ旅(その5)

公共サウナで湖へダイブ! フィンレイソン工場跡地で“かわいい”探し

豊かな水源がタンペレを今も昔も支えている

 フィンエアーとフィンランド政府観光局は、文化や産業の発信地タンペレと首都ヘルシンキをまわるプレスツアーを共同で開催した。

 夏のフィンランド旅、レポート最終回はタンペレの街を支えたフィンレイソンとその工場跡地に生まれた総合エンタテイメント施設。そして一度経験をしたら心奪われる程の魅力を持つ本場フィンランドならではのサウナ体験をお届けする。

地域を支えたタンペレの象徴、巨大紡績工場跡地を散策

 1820年にジェームズ・フィンレイソンが創業し、紡績機器を当初は製造、販売をしていたが、1828年に紡績工場を稼働。タンペレ発祥のテキスタイルブランドとして地位を確立し、最盛期には3000人以上もの人々が暮らし働いていたフィンレイソン地区。

 学校に教会、銀行に病院、地域内通貨にいたるまで、さまざまな福利厚生を充実させ街の中の国と呼ばれていた同地区。現在は、建物の外観を活かしながら工場跡を再利用し総合エンタテイメント施設「Finlayson alue」として多くの地元民や観光客で賑わっている。

 建物の入口には、1882年に北欧で初めて電気が灯った場所を記すメモリアルプレートが掲げられ、最先端の技術を率先して取り入れていたことが示されており、現在も時代を読み、トレンドの最先端を行くアイテムを発表する同社の姿勢に繋がる部分を感じることができる。

以前の姿そのままにフィンレイソンの社名がアーチ部分に残っている
「Finlayson alue」の入口横には、北欧で初めてライトを取り入れた場所を記すメモリアルプレートが掲げられている

 エントランスを抜け、工場跡地に足を踏み入れると左右にレンガ造りの建物がずらりと並び、映画館や人気のカフェをはじめ、アートを展示するための広場など、広大な敷地を利用してさまざまなショップやエンタテイメント施設が目白押し。もちろん散策するだけでも、工場が稼働していた時代にタイムスリップをしたような気分になることもできる。道路には、馬車が通行し、静かな教会で人々が集っているなど、ほっとできる風景も広がっているのだ。

エントランスをくぐると左右にカフェや映画館が並んでいる
教会をはじめ地区内のあちこちにフィンレイソンの文字が残されている。商業施設のほか、オフィスも複数入居している
散歩中、蹄の音とともに馬車がやってきた

「Finlayson alue」で訪れておきたいのが、1923年のショップオープン当時と同じ場所に現在もお店を構える「Finlayson Factory Shop Tampere」。ショップ正面の大きなガラスやエントランスをはじめ、当時のままの外観に圧倒されながら大きな扉を開けると、カラフルで美しいデザインのテキスタイルが目の前に。

 発表と同時に話題となったアーティスト「トム・オブ・フィンランド」とのコラボレーションアイテムも揃い、どのアイテムを購入しようかと、思わず買い物モードに突入してしまう。なお、最新のコレクションとともに、お得なアウトレット商品もあり、探していたあのアイテムをお手頃価格で購入できるチャンスも!?

1923年オープン当初そのままの場所で営業中の「Finlayson Factory Shop Tampere」
店内は最新コレクションがずらり
奥の2階のエリアにはお得に購入できるアイテムが並んでいた

 続いては「タッリピハ厩舎跡」へ。復元されたコテージと庭園は1880年代当時のような佇まい。馬小屋や管理する人々が暮らした住宅などは再利用されショップとなり人々の訪れを待っている。

 ハンドクラフトアイテムを販売する「タイカビーッタ&ノノ」や、北欧中の美味しいチョコレートを集めた「スクラープ&オティ」などフィンランドの“かわいい”が揃うショップが多く、カフェで一休みも。夏の間は先ほど道路で見た馬車もここから乗ることができ「Finlayson alue」探索の出発点としてもお勧めだ。

1880年代の雰囲気そのままの「タッリピハ厩舎跡」
ショップ内で手づくりしたアイテムを購入できる「タイカビーッタ&ノノ」
北欧中のイチオシチョコレートを揃えた「スクラープ&オティ」
エリア内には馬車乗り場や、愛らしいイラストが目を引く鶏小屋などもある
Finlayson alue

所在地:Finlaysoninkatu, 33210 Tampere
Webサイト:Finlayson alue(フィンランド語)

Finlayson Factory Shop Tampere

所在地:Kuninkaankatu 3, 33210 Tampere
Webサイト:Finlayson Factory Shop Tampere(フィンランド語)

タッリピハ厩舎跡

所在地:Kuninkaankatu 4, Tampere
Webサイト:タッリピハ厩舎跡(英語)

 工場跡地を再利用した施設として、もう1つ訪れたいのがタンペッラ地区。1840年代に創業し、製鉄所とリネン工場が合併しタンペッラ製作所が誕生。機関車からリネンまで幅広く製造していた。1990年に利用が終了し、1996年に一般公開、2000年に1万4000m2もの敷地を誇る「博物館センター・ヴァプリーッキ」として生まれ変わった。

タンペッラ製作所の跡地を再利用した「博物館センター・ヴァプリーッキ」

 常設展示として「ゲーム博物館」「フィンランド・ホッケー・ホール・オブ・フェイム」「郵便博物館」「人形博物館」「ルプーリッキ報道博物館」「ミネラル博物館」「自然史博物館」「タンペレ1918展」「タンメルコスキ川とタンペレの歴史展」を開催。

 企画展も8つ開催しており、学生からファミリーまで幅広い層が来館し、学ぶ場所となっている。入場料は大人が12ユーロ(約1560円、1ユーロ=約130円換算)、7~17歳と学生が6ユーロ(約780円)、大人2人と子供1~4人までのファミリーチケットが28ユーロ(約3640円)。すべての展示が1枚のチケットで楽しめるようになっている。

工場だけあり、天井の高さと空間の広さで開放感抜群のエントランス
チケット代わりの「V」マーク入りのシール。服の目立つところにペタリと貼ろう

 まずは最初に「ゲーム博物館」へ。1月からスタートしたばかりの常設展示で、100以上のゲームを紹介。さらにそのうち60ほどが実際にプレイして楽しめるユニークさがポイント。

 まずは、フィンランドにおけるゲームの歴史を学ぶことに。1918年代のボードゲームなどがあり、クリスマスシーズンには、必ず家族全員で遊ぶなどコミュニケーションツールとしての多くの家庭で愛されていたという。テーブルには、プレイ用のカードがあるので時間を忘れて皆で没頭できる。

ボードゲームの歴史と家族団らんの風景を彷彿させるゾーン

 さらに、会場を進むとゲーマーの自宅をイメージした部屋で「コモドール64」や「NES」をプレイできる。2段ベットや壁にお気に入りのバンドのポスターが貼ってあるなど、どこかで見たような部屋で、思う存分懐かしのゲームをプレイする至福の時間を過ごそう。

 なお、家庭用ゲームだけではなく、アーケードゲームもプレイできるなど、かゆいところに手が届く演出で子供だけではなく、大人も夢中になるはずだ。

ゲームのある風景や、ゲーマーの部屋を再現。各時代の人気ゲームのプレイが可能
アーケードゲームではゲームセンター気分で遊べる
壁には歴代のゲーム機が鎮座。思い出話に花が咲く
フィンランド発の「アングリーバード」ももちろん紹介
2000年ごろの実際のショップを再現

「フィンランド・ホッケー・ホール・オブ・フェイム」は、フィンランドのアイスホッケーや選手をフィーチャー。世界選手権の実際のトロフィーの展示をはじめファンにはたまらない内容となっている。また、シミュレータを使いプレイを楽しめ、体を動かすアクティビティも。難易度も高く、点数が入ったときの爽快感は格別だった。

「フィンランド・ホッケー・ホール・オブ・フェイム」は実際の映像やトロフィーなどを展示して、その魅力を紹介
ホッケー・シミュレータでは2人で遊べるなど、ワイワイみんなで楽しめる

 さらに、「タンペレ1918展」ではフィンランド独立直後に勃発した内戦に関し、大きなエリアを使って紹介。約4万人が犠牲となったヨーロッパ内陸最大の戦いについて当事者の視点も含め、客観的でかつ総合的な展示を行なっていた。内戦最大の激戦区となったタンペレの歴史をしっかり知るために観ておくことお勧めする。

「タンペレ1918展」では、フィンランドの内戦についてを紹介

 なお、「自然史博物館」では、タンペレに生きる野生動物や自然環境を紹介。花や木々の香りを感じられる展示や、木を模した穴に入ることができるなど、ファミリーが楽しめる内容。

「自然史博物館」では上を見上げたり、穴に入ったり空間を最大限に使った展示を行なっていた

「人形博物館」では、人間サイズのドールハウスでおままごとを楽しんだり、「郵便博物館」では、切手をイメージしたフォトスポットで写真が撮れるなど、観て、体験し、ワクワクする気持ちを大切にしながら学習ができるような工夫が随所にあふれていた。

「人形博物館」では自分が人形気分になって遊べるエリアも
「郵便博物館」は、歴代のポストマンの制服やフォトスポットがあった

 博物館内を歩き回ったあとは、館内に併設されている「ミュージアムレストラン・バルッシ」のランチビュッフェ(17ユーロ、約2210円)、またはスープランチ(11.5ユーロ、約1495円)をチョイス。

 訪れた日は、パイクパーチの煮込みスープをメインに、フレッシュな野菜がたっぷり、ミートボールやマッシュポテトなどの定番とともにデザートのパンナコッタなどが用意されていた。ドリンクは、サワーミルクにベリージュースなど。博物館利用者とともに近隣で働く人々も続々とお昼時に集合。誕生日パーティもスタートし、レストランは活気にあふれていた。

「ミュージアムレストラン・バルッシ」。パーティ用に飾り付けされたテーブルもあった
ランチのメインはパイクパーチの旨味たっぷりの煮込みスープ
野菜や付け合わせなどが並んだビュッフェカウンター
ベリージュースやサワーミルクを用意。デザートのパンナコッタの美味しさは抜群だった
スープとともに、ブレッドやマッシュポテト、野菜などをチョイス
博物館センター・ヴァプリーッキ

所在地:Alaverstaanraitti 5, Tampere
Webサイト:博物館センター・ヴァプリーッキ(英語)

ミュージアムレストラン・バルッシ

所在地:Alaverstaanraitti 5, Tampere
Webサイト:ミュージアムレストラン・バルッシ(英語)

本場の公共サウナに初挑戦、その心地よさで一気にサウナファンに!

 フィンランド滞在時に一度は体験するべきなのが本場のサウナ。今回は、1929年から地元の人々に愛され続けているタンペレ市の公共サウナ「ラウハニエミ サウナ」へ向かった。ナシ湖のほとりに位置し、周辺を森で囲まれた同サウナは、1年中オープンしており、いつでもサウナに入ることができる場所なのだ。

 なお、サウナ初心者ということで「アドベンチャー・エイプス」によるサウナツアー「Guided Sauna and Swimming Tour in Tampere」(大人49ユーロ、約6370円、子供は半額)を利用。約2.5時間のツアーとなっており、タンペレ市内から公共交通機関を使ってサウナまでの移動。そしてサウナ利用代金、タオルの貸し出しとドリンク付きのパッケージとなっている。

 サウナ周辺に到着すると、まずはガイドの2人が挨拶。フィンランドに住む人々が愛するサウナについての知識とマナーを伝授。サンダルとタオルとサウナキャップ、ドリンクが入ったバッグが渡され歩いて「ラウハニエミ サウナ」まで行くことに。

「アドベンチャー・エイプス」のガイドのHeidiとFrancesca。最初にバッグとサンダルが渡される
バッグの中身はタオルとサウナキャップ、そしてドリンク。サウナキャップは熱から髪を保護するためのもの
森の中をテクテク歩きながらサウナへと向かう

「ラウハニエミ サウナ」に到着し、早速サウナへ向かうための準備を開始。日本でいうところの銭湯的な脱衣所で水着に着替え、貴重品はロッカーへ。なお、鍵は腕に着けると湖で抜けてなくしてしまうので、足に着けるようにとアドバイスされた。

 サウナ部屋に入る前には、シャワーで体を清潔にし、座るときに熱くないように板を持って入る。扉を開けると熱い空気がむわっと室内から押し寄せてきた。部屋の中は100℃以上となっており、ひな壇のように3段、座る場所がある。上に行く程熱く、そしてサウナストーンに近いほど水をかける作業、「ロウリュ」をした瞬間の水蒸気を感じやすくなる。

「ラウハニエミ サウナ」は大盛況。常に外もサウナ部屋ともに利用者がいる状態でギューギュー。でもそれがまた楽しい

 公共サウナのため実際のサウナ小屋内部は撮れなかったが、まさにすし詰め状態。30~40人以上の利用者が立ち替わり汗を流していた。

 サウナ奉行が水をサウナストーンにかけるたびに熱風と水蒸気が押し寄せ、約10分ほどで体が温まりナシ湖へダイブ。相当の冷たさだったが、ガイドのアドバイスに従い最低3回はサウナと湖を行き来するを念頭に挑戦。すでに2回目の時点でサウナのとりこになっていた。

 最初はサウナ小屋の出口近くに陣取っていたが回数を重ねるうちに3段目、そしてサウナストーン付近にも行けるように。すると湖に入ったときの気持ちよさもアップ。サウナ部屋は湿度もたっぷりあるため、日本とは異なり呼吸もしやすく快適。疲れも一気に吹き飛び、フィンランドの人々がサウナを愛する理由がすっかり理解できた。

飛び込むナシ湖には約2mの飛び込み台とともに手すりと階段付きのポイントもある

「サウナのあと、夏場はみんなアイスを食べるのが楽しみ」と地元の人に聞いたので、「ラウハニエミ サウナ」に併設されている「Minetti Jäätelö 」でリコリス味とストロベリー味のダブル(5ユーロ、約650円)をオーダー。

 リコリス味は見た目はグレーながらほどよい苦さと甘みのハーモニー、そして適度な塩気で、大量に汗をかいた体に染み込む美味しさ。ストロベリーはフレッシュさが全面にでており、ベリー大国を実感する安定感。ともに1スクープが大きめながら、完食。ナシ湖のほとりでぼんやりしながら、アイスを頬張りながらのクールダウンはまさに幸せな時間そのもの。

「Minetti Jäätelö 」でアイスクリームをオーダー。リコリスとストロベリーのダブル

 サウナのあとは、飲みきったドリンクのペットボトルのリサイクルのために近隣の「Kスーパーマーケット」へ。よく見るとラベルにリサイクルに協力した場合に戻ってくる金額が印刷されているので、バーコードの読み取りがしやすいように専用機器に投入。するとレシートに金額が印刷されて、スーパーで買い物ができるようになるのだ。エコなうえ、お財布にも優しいシステムのため、滞在時は捨てずに買い物ついでに小銭を手に入れてみては。

飲みきったペットボトルのラベルのバーコード上に「0.20ユーロ」(約26円)の文字を発見
スーパーの奥に回収専用のマシーンがあり、横には金額の目安表もあった
投入し、レシートを受け取り購入したいアイテムを持ってレジへ
ラウハニエミ サウナ

所在地:Rauhaniementie 24, Tampere
Webサイト:ラウハニエミ サウナ(英語)

アドベンチャー・エイプス

所在地:Majoontie 2, 35300 Orivesi
Webサイト:アドベンチャー・エイプス(英語)

マリメッコ満載のビジネスクラスを利用、ヘルシンキのフィンエアーラウンジはサウナ完備

 帰国は16時45分ヘルシンキ・ヴァンター国際空港発、8時5分成田国際空港着のAY071便。空港では、自動チェックイン発券機を使いチェックイン。預け入れ荷物用のタグや搭乗券を入手し、次は手荷物自動預け機へ。タグのバーコードをスキャンして登録するだけの簡単作業で、スムーズに手続きは完了した。

ヘルシンキ・ヴァンター国際空港のターミナル2に到着
空港で自動チェックイン発券機と手荷物自動預け機を使い時間を短縮できた

 搭乗までの間、36番と37番ゲートの間にあるビジネスクラス向けのプレミアムラウンジを見学。フィンエアープラスのプラチナ会員とゴールド会員、ワンワールドアライアンスのエメラルド会員のみが利用できるスペシャルな空間だ。

 最大の特徴はラウンジ内にフィンランド式サウナを完備している部分。サウナでリラックスしてから旅に出られると訪れた際も時間も多くの利用客がいた。サウナの外にはシャワーを完備。更衣室までも近く効率よく利用ができる仕様。

36番と37番ゲートの間のフィンエアーのラウンジ
プレミアムラウンジに併設されたフィンランド式サウナとシャワールーム

 ラウンジへ向かうとカナッペ類やデザート、たっぷりベリーなどが並び、マリメッコのボウルやナプキンが用意され柔らかな照明でゆったりとくつろげる空間が広がっていた。

カナッペやデザート類など、少しつまみたい時に重宝するメニューが並ぶ
照明もエリア別で異なっており、眺めているだけで楽しい

 通常のビジネスクラスのラウンジも同時に見学。イッタラのフラワーベースやマリメッコのマグが並び、おしゃれ空間がこちらも広がっていた。シナモンロールやマッドケーキなどでお茶をしながら、多くの人がまったりと過ごしていた。

通常のビジネスクラスのラウンジにもイッタラやマリメッコのアイテムが使われていた
シナモンロールとコーヒーでほっと一息

 搭乗時間にあっという間になったため32a搭乗口へ。機材はエアバス A350-900(A350 XWB:エクストラ・ワイド・ボディ)型機。往路の記事でも紹介したが、機内はブルー、ホワイト、シルバーグレーで統一され、北欧らしい清潔で落ち着いた雰囲気。

 2~3分おきに空気が循環し適度な湿度と過ごしやすい環境で、最大1680万色以上もの色彩を作り出すLED照明で、常にリラックスした雰囲気を作ってくれる。さらに、ビジネスクラスはフルフラットシートになるため、ぐっすり眠ることができるのだ。

32a搭乗口から出発。ラウンジから少し距離がある
AY071便はエアバス A350-900型機
機内はLED照明技術によりオーロラのように美しい光が天井を照らす
ビジネスクラスはフルフラットシート採用で極上の眠りを約束してくれる。足下も広々

 16インチのシートモニターは折りたたみ式で、収納した状態だとより座席が広々と使える。リモコンや110V/60HzのユニバーサルAC電源とUSBポート、座席のコントローラ、読書灯などはサイドの操作パネルにまとめてあり、ボーズ製のノイズキャンセリングヘッドフォンをかけておける収納もある。

 小物入れとしては伸縮自在なアームレスト部分を開けると現われる。テーブルは2段階方式となっているが、メインよりもサイドテーブルを活用する場面が多かった。

操作パネルには、モニター用のリモコンやリクライニングのボタン、ユニバーサルAC電源やUSBポートなどを集約。ボーズ製のノイズキャンセリングヘッドフォンを収納するスペースもある
アームレスと部分は開くと小物入れになっている。また上に出すこともでき、パーソナルスペースの確保にも役立つ
メインのテーブルは2段階式。サイドテーブルはウェルカムドリンクを置いたり、ちょっとした小物を置いたりと使い勝手がよい

 アメニティはマリメッコの石の意味を持つ「Kivet(キヴェット)」柄のスリッパ、ホワイトグレーのカラーリングがシックなカモメの意味を持つ「Lokki(ロッキ)」柄のポーチを提供。ポーチの中には、フランスの人気スキンケアブランド「ロクシタン」のリップバームや保湿クリーム、歯ブラシセットに耳栓、アイマスクがイン。

「marimekko for FINNAIR」オリジナルのアメニティキット

 座席には、ワインならびに食事のメニューがあり、離陸までの間献立をじっくりと吟味することができる。フィンランドのトップレストランで腕を振るってきたシェフのEERO VOTTONENによるシグネチャーメニューとなっており、期待が膨らむ。

 しばらくするとアミューズブッシュとして「燻製カワカマスのサラダ、麦芽パン」が提供。続いて、前菜の「アスパラガススープ 燻製玉子添え」または「薄塩サーモンときゅうりのピクルス ホースラディッシュクリーム添え」がテーブルに。今回は「アスパラガススープ 燻製玉子添え」をチョイス。マリメッコのカップにたっぷりと入ったスープは濃厚でほっとできる美味しさ。麦パンにつけて味わってもいい。

ワインやメニュー一式は専用ケース入りで提供
アミューズブッシュの「燻製カワカマスのサラダ、麦芽パン」
「アスパラガススープ 燻製玉子添え」
「薄塩サーモンときゅうりのピクルス ホースラディッシュクリーム添え」

 続くメインは「パイクパーチのポシェ 新ジャガイモ バターソースディル添え」「牛胸肉の照りをつけたグリル、キャベツとトリュフのソース」、または「和風ポークの卵ソース、豆腐、お野菜、ご飯」のいずれか。

「パイクパーチのポシェ 新ジャガイモ バターソースディル添え」を味わったが、パイクパーチの白身のふんわり加減が絶妙でソースが旨味を引き立たせていた。新ジャガイモのほくほく感も◎。

「パイクパーチのポシェ 新ジャガイモ バターソースディル添え」
「牛胸肉の照りをつけたグリル、キャベツとトリュフのソース」
「和風ポークの卵ソース、豆腐、お野菜、ご飯」

 デザートは、行きの便でもイチオシと聞いていた「フィンランドの小さなチーズ工房からのチーズ ペルトランブルーとビーニタルフリ-熟成されたミルクチーズ イチジクのジャム」からスタート。ジャムと一緒に味わうと至福のマリアージュが広がり、ワインがほしくなる1皿だ。

「ショートブレット または ゲイシャチョコのクッキー」は、さっくりボリューム大のショートブレットはもちろん、チョコクッキーの美味しさに驚き。Fazerのチョコレートがたっぷりで再度リクエストしたいほど。

「フィンランドの小さなチーズ工房からのチーズ ペルトランブルーとビーニタルフリ-熟成されたミルクチーズ イチジクのジャム」
「ショートブレット または ゲイシャチョコのクッキー」

「フィンランドのオーガニックアイスクリーム JYMY バニラまたはルパーブ」は、ミルクのしっかりした味わいが印象的なバニラとチーズを彷彿させる旨味が広がるルパーブ味の2種から選べる。バニラ味はエコノミークラスでも提供される。

 コーヒーまたは紅茶と一緒に各種デザートをはじめ、こだわりのメニューを思う存分楽しめるのはビジネスクラスならではの特権だ。なお、緑茶もリクエストしたところ、愛らしいカップに入って提供された。

「フィンランドのオーガニックアイスクリーム JYMY バニラまたはルパーブ」
食後の緑茶をお願いしたところ、ちょこんとかわいい湯のみ入りで提供された

 なお、エコノミークラスの食事は、「和風の餡かけご飯」か「合い挽き肉とマッシュポテトのキャセロール」のいずれかをチョイス。ボックス入りのポテトチップスとクラッカー、チーズ。そしてブレッド2種となっている。

ボックス入りのスナック、ならびにブレッド2種は共通で「和風の餡かけご飯」(写真左)、または「合い挽き肉とマッシュポテトのキャセロール」(写真右)のどちらかを選ぶ

 食事が終了してしばらくすると、照明が消され就寝時間に。ビジネスクラス用のスナックバーをのぞいたところ、クッキーやポテトチップス、ナッツ類などが用意されていた。

 眠れずに機内誌を読んでいたところ「SIROCCO」の「JAPANESE SENCHA」とともにKarl Fazerのチョコレートを持ってきてくれる心使いに感動。「SIROCCO」の「JAPANESE SENCHA」は、1908年に創業した老舗コーヒーブランドによるオーガニックティで、日本でも注目を浴びている。まだ日本ではなかなか飲むことができないため、空の上で味わっておこう。

スナックバーには、ポテトチップスやナッツ類などが揃っていた
眠れずに起きていたところ温かいお茶とチョコレートを持って来てくれた

 到着90分前には朝食のサーブがスタートし、ペットボトルの水とオレンジジュースが配布された。そのあと「洋食朝食」として「ほうれん草とリコッタチーズ入りクレープ トマトソース ポテトベーコン」、または「和風朝食」として「お味噌汁」と「塩鮭、厚焼き玉子、つみれ、蓮根、お漬物、ご飯」のいずれかを提供。共にボリュームたっぷりで、朝到着の便ならではのすぐに動けるように考慮されているメニュー。ジューシーなフルーツは体の目覚めを促進してくれる。

目覚めの1杯はオレンジジュースとミネラルウォーター
「洋食朝食」の「ほうれん草とリコッタチーズ入りクレープ トマトソース ポテトベーコン」
「和風朝食」の「お味噌汁」と「塩鮭、厚焼き玉子、つみれ、蓮根、お漬物、ご飯」

 朝食後は、機内販売でしばしお買い物。Fazerの「Fazer Moomin gift box with Moomin pendant 318g」(10ユーロ、約1300円)とフィンエアー限定Finlaysonの「Moomin Traveller Bag」(15ユーロ、約1950円)を購入した。

 フィンエアーのみの限定品も数多くあり、アクセサリーからマスコット、エアバス A350-900型機のモデルプレーンまで幅広く取り扱っているので、行きの便で事前注文し、帰りの便で受け取るシステムを使うのも手だ。

 ヘルシンキからタンペレ、そしてサウナに美術館。さらに伝統料理やこだわりメニューでフィンランドの魅力をたっぷり満喫したアート&グルメ旅。ビジネスクラスを利用すればワンランク上の上質な空の旅が味わえるうえ、到着日からアクティブに動き回れる。一度訪れたら、必ず再び帰りたくなる場所ヘルシンキ&タンペレにエアバス A350 XWBで飛んでみては!?

相川真由美

フリーライター/鉄鋼業やIT系やエンタメ関連の雑誌やWeb媒体の編集者を経て、フリーの記者として活動中。海外は一人旅がほとんど。趣味は世界のディズニーのパーク&リゾート巡り。最近は年間パスポート片手に日々舞浜通い。うなぎとチョコレートが好物で、旅の基本は“出されたものは全部食べる”。激辛とうがらしから謎の木の実まで挑戦するのがモットー。