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出国税3000円「インバウンド対策になぜ日本人が払うの?」国際ルールの壁と、動き出した新制度JESTA
2026年6月29日 17:00
- 2026年6月 時点
日本から飛行機や船で出国する際に、運賃に上乗せされる形で1回につき1000円が徴収されている「国際観光旅客税(出国税)」。このたび7月1日から税率が3000円へと引き上げられることはご存じだろうか。
政府は「所得税法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第12号)に基づき改定を実施。観光庁はWebサイトでリーフレットを公開し、改定内容の周知を行なっている。
しかし、SNSなどでは「外国人観光客(インバウンド)を歓迎するための対策なのに、なぜ日本人からも多く徴収するのか」「外国人のみ高い料金設定にすることはできないのか」という疑問や不満の声が根強い。
そこで今回は、出国税の値上げに関するモヤモヤを紐解き、同時に改定されるパスポートの申請費用や訪日ビザの発給手数料などについても解説していく。
出国税は、なぜ外国人だけ高くできないのか?
結論からいえば、出国税や国際線の施設使用料(PSFC)などで「外国人だけを高くする二重価格」を設けることは事実上不可となっている。これは、国際条約における「内外無差別の原則」によるものだ。
国際的な航空・税制のルールでは国籍による差別が厳格に禁じられており、もし日本が強行すれば他国からの報復措置(日本人が海外へ行くときだけ高い税金を取られるなど)を招くリスクがある。
そのため国籍を問わず一律での引き上げとなっているが、増税分の税収は、混雑対応やマナー啓発といったオーバーツーリズム対策だけでなく、顔認証ゲートの導入による出入国時の待ち時間短縮や日本人旅行者の保護など、安全安心な海外旅行環境の整備にも活用される。日本人にとっても直接的なメリットがあるので、等しく負担が求められているともいえる。
外国人からの実質的な徴収へ。日本版ESTA「JESTA」が始動
一方で、税とは異なる「手数料」という名目で外国人渡航者から費用を徴収し、出入国管理を厳格化する新たな仕組みも動き出している。政府は今年3月10日、「JESTA(電子渡航認証制度)」の創設を含む入管法の改正案を閣議決定した。
JESTAは、現在ビザ(査証)が免除されている外国人が、観光などの短期滞在、クルーズ船での上陸、あるいは乗り継ぎを目的に入国する際、事前のオンライン認証と手数料の支払いを義務付けるもの。
世界での導入例として、アメリカの「ESTA」(手数料40米ドル、1米ドル=約161円換算で約6440円)、イギリスの「ETA」(16ポンド、1ポンド=約214円換算で約3424円)、オーストラリアの「ETA」(20豪ドル、1豪ドル=約112円換算で約2240円)などがある。
認証のない外国人の入国を禁止して不法滞在などを防ぐ半面、上陸審査(JESTAの認証完了)後はウォークスルー型ゲートなどを活用して入国待ち時間の短縮を図る。この方法なら国際ルールに縛られない「行政手数料」という形で、実質的に外国人からのみ費用を徴収することが可能だ。
7月からスタートする「海外旅行の足し算・引き算」
今回の改定に伴い、2026年度における国際観光旅客税による歳入は、昨年度の約490億円→約1300億円と、およそ2.7倍になる見込み。
旅行者にとって負担増となる新税率は7月1日から適用となるが、経過措置として、6月30日までに発券(購入)を済ませた航空券・ツアーなどで出国する場合は、7月以降の出発であっても改定前の税率(1回1000円)が適用される。
なお、2歳未満の乳幼児、入国後24時間以内に出国する乗り継ぎ(トランジット)などは、改定後も非課税だ。通常は航空券などに一括して上乗せされるが、プライベートジェットなど個人手配の場合は搭乗時までに税関への納付が必要となる。
一方で、日本人の海外渡航に関しては、出国税の改定と同じく7月1日より、パスポート申請費用の引き下げも実施される。デジタル化推進の観点からオンライン申請の場合は窓口申請よりもさらに割安となるのが特徴だ。
10年旅券は現行の1万6300円から、窓口申請で9300円(オンライン申請で8900円)に。また、18歳以上の5年旅券が廃止され、18歳未満のみを対象とする5年旅券は、現行の2段階から窓口申請で4800円(オンライン申請で4400円)に統一される。
さらに、日本を訪れる外国人に対しては、査証(ビザ)の発給手数料が同じく7月1日付けで改定され、大幅な値上げとなる。1回のみ入国できる「一次入国査証」手数料は現行の約3000円から約1万5000円に、有効期間内であれば複数回出入国できる「数次入国査証」手数料については現行の約6000円から約3万円に、それぞれ引き上げる。
まとめ:長期的に捉えると「日本人だけが損」ではない
一見すると「日本人ばかりが負担を強いられている」ようにも思える今回の出国税引き上げ。しかしその裏では、パスポート費用の値下げといった日本人への配慮もあり、外国人に対してはビザ手数料の大幅値上げや、将来的な「JESTA」の導入など、しっかりと負担を求める仕組みづくりが並行して進んでいる。
これから夏の旅行シーズンやビジネスで海外へ渡航する人は、新しくなったパスポートの申請方法や、これからの日本の出入国管理のあり方にもぜひ注目してみてほしい。































