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渋谷の新しい複合施設「渋谷サクラステージ(Shibuya Sakura Stage)」、全貌現わす。低層階に100店舗超の商業施設も
2023年11月24日 19:50
- 2023年11月30日 竣工
東急不動産ら渋谷駅桜丘口地区市街地再開発組合が推進している複合施設「Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)」が、11月30日に竣工する。以降、順次開業していき、ほぼ出揃う2024年7月26日に「まちびらきイベント」を実施するという。
本稿では、竣工に先立ち行なわれた記者発表と内覧会の様子をお伝えする。
渋谷駅西口の新たなランドマーク
「Shibuya Sakura Stage」は渋谷駅とJR線に隣接し、国道246号線を挟み「渋谷フクラス」や「渋谷スクランブルスクエア(東棟)」「渋谷ストリーム」にも近い、渋谷駅西口の新たなランドマークとなる複合施設。
建物は面積約25万4830m2となる広大なエリアに、A街区(SHIBUYAサイド。地上39階、地下4階)、B街区(SAKURAサイド。地上29階、地下2階)、C街区(日本基督教団中渋谷教会。地上4階)の3エリアに分かれていて、これらはすべてデッキによって接続されている。このデッキと「アーバンコア」と呼ばれるエスカレーターにより、歩行者は周辺高低差や線路、道路で分断されることなく回遊できるようになる。
例えば渋谷駅西口から代官山方面へ抜けたり、駅の東西の往来がしやすくなる。東西をつなぐ「北自由通路(仮称)」はまだ工事中。
施設を突っ切るように西側に新設された恵比寿駅方面に向かう都市計画道路(補助線街路第18号)は「SAKURAストリート」と呼ばれ、低層階に動きのあるピンクの桜模様がデザインされたファサードが連続して続き、桜の街路樹も植えられていて、とても明るい雰囲気。新たな渋谷駅周辺の道として多くの人に親しまれそうだ。この道の上に2階と3階に計2本のデッキがかけられ往来できるようになっている。道路は12月1日から供用を開始する。
東急不動産 星野社長「渋谷駅中心地区のラストピース。街の分断を解消する」
竣工記者発表会では、東急不動産 代表取締役社長の星野浩明氏から、竣工のあいさつと開発の歩み、概要について説明があった。東急グループ創業の地、渋谷での100年に一度と言われる大規模な再開発も、ここでひと段落がつく。
「旧準備組合の設立から、2018年10月にようやく権利変換計画認可がおり、19年5月より新築工事を着工したShibuya Sakura Stageが、地域発展への思い、地検者120名の思いを込めまして、この2023年11月30日に竣工いたします。渋谷駅中心地区のラストピースとなります(星野社長)」と施設竣工を宣言した。すでに2012年に渋谷ヒカリエ、2018年に渋谷ストリーム、2019年の渋谷スクランブルスクエアの第1期と渋谷フクラスが完成している。
ご存じのとおり、渋谷駅周辺は谷地形となっており、ここ桜ヶ丘エリアは高低差が非常に大きい地区でもある。「街の分断を解消する整備、谷地形を克服することが地元の方々の悲願でした。地下から地上へをつなぐ縦移動の導線アーバンコアの整備を進め、都市計画道路の上を安全に横断するデッキを2本通し、通路が新設することで、渋谷ストリートの接続を実現して、鉄道による分断も解消します。今まで駅周辺にはなかった緑豊かな憩いの広場やにぎわいの広場といった施設を設けています」と説明した。
「Shibuya Sakura Stageでは1万人規模のワーカーが働くことになります。多様性ある感性の高い人々が、渋谷に集まってきて、自然と優れたカルチャーやコンテンツビジネスが生まれるという、にぎわいの好循環をShibuya Sakura Stage竣工をきっかけにさらに加速していきたい。渋谷の街の力と魅力をさらに高めて、東京全体が都市としての国際的なプロセスプレゼンスが高まり、渋谷の発展が日本経済の成長の一端を担うことを目指したいと考えています。今後も発展を続けていく渋谷にぜひご注目いただければと思います」と結んだ。
続いて、東急不動産 都市事業ユニット渋谷開発本部 執行役員本部長の黒川泰宏氏が登壇し、施設詳細を説明した。11月30日竣工から施設は順次開業していき、店舗などがおおむね出揃うタイミングにて地元行政や周辺事業者と連携した「まちびらきイベント」を2024年7月26日に実施することが決定している。同日はパリオリンピック開会式の日とも重なり、オリンピック関連イベントも検討しているという。
商業施設は全体で約100店舗が入り、体験型のテナントが4割を占めるとのこと。「単純に衣服を並べて販売する形式のテナントは、今回まったく入っていません。桜ヶ丘エリアに関しては昔から趣味を楽しむというローカルカルチャーが根付いていました。その場所に行って実際に体験して楽しむという体験型ストアが重要だと考えてます。イベントスペースやサイネージと連動することで、店舗内にとどまらないリアルとデジタルを掛け合わせた次世代の体験を提供いたします。当社区画においてはすでにすべて契約済みであり、2024年7月のイベントまでには全テナントがオープンする予定です」と説明した。具体的な入居テナントの発表はなく、今後発表される。
「オープン以降、にぎわい創出の取り組みは継続的に行なっていきます。広域渋谷圏(東急グループは渋谷を“Greater SHIBUYA”として都市開発の重要拠点と位置づけている)を舞台に、多様な人や他業種の企業とともに、まちづくりを推進する取り組みを行ない、街で新しい体験や事業が創造され世界中から共感を得るよう発信することにより、さらに共感してくれた多様な人々や企業がさらに集積する、そういった好循環をこの渋谷桜ステージからも生み出していきたいと考えています」と締めくくった。
南側の「SHIBUYAサイド」と「SAKURAサイド」をつなぐ3階デッキには、「にぎわいSTAGE」が誕生する。広場中央にある水盤や桜の木をイメージしたクラウド状のエレメントからは、光や音、ミストシャワーなどの演出を行ない、キッチンカーやステージを使いイベントを実施していく予定となっている。
このエレメントの演出プランナーは、「FLOWPLANTEAUX(フロウプラトウ)」が担当し、センサーによって人流や音、気象データなどを活用し365日異なる空間演出がされ、1200台の小型照明を使ってライトアップされる。例えば、電車の通過音や降雨で変化するといった演出がされるそうだ。
「SAKURAタワー」にて、地下2階から地上3階までをエスカレーターで垂直(縦軸)方向につなぐ「アーバンコア」が整備された。地下2階に西口国道地下通路で渋谷駅と直結。すでにある歩道橋デッキの2階部分もつながり、3階部分では新設される「北自由通路(仮称)」によりJRの新改札口ともつながる。これら通路がすべて完成すれば、駅との移動や、国道246号線をまたぐ移動が大幅にラクになると思われる。
この「ときめきSTAGE」と「北自由通路」の近くには、直結する多機能イベントスペース「BLOOM GATE」が用意され、A~Cの3ゾーンにてイベントやプロモーションが行なわれる。AとBゾーンには、大型のLEDビジョンが設置されていて、人の流れに強く訴求する。
オフィスフロアは全棟で提供され、「SHIBUYAタワー」ではL字形で基準階面積が約2780m2もある。ほぼ入居は決まっていて、ITやエンタテイメント系企業が多いとのこと。最上階の38階には、ダイニングやラウンジバーとして利用できる起業支援施設「manoma」が用意され、商談や発表会などに利用できる。スタートアップ企業の支援や交流の場となることが期待されている。
また、世界初というインディゲームの拠点「404 NOT FOUND」が「SHIBUYAタワー」4階に開設される。多種多様なイベントを通じて、ゲームクリエイターの制作、広報活動、交流などを支援する。