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本日開業、ハイアット ハウス 東京 渋谷に泊まってみた。キッチン・冷蔵庫・洗濯機完備、“渋谷のど真ん中で暮らす”ホテル
歩行者デッキで回遊しやすくなった駅周辺も詳細レポ!
2024年2月26日 16:00
- 2024年2月26日 開業
ハイアットと東急不動産は2月26日、「ハイアット ハウス 東京 渋谷」(東京都渋谷区桜丘町3-3)を開業した。オープンに先立ち、報道向けの内覧会が開催されたので、その様子をお届けする。
「ハイアット ハウス(HYATT House)」は「暮らすように滞在する」をコンセプトとする中長期滞在型のホテルブランドで、すでに金沢駅金沢港口に「ハイアット ハウス 金沢」があり、東京へは初進出となる。2023年11月30日に竣工した渋谷駅西口とJR線に隣接する「Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)」内の「SAKURAサイド(B街区)」と呼ばれるエリアの1~3階・6~16階に入居し、渋谷駅とはペデストリアン(歩行者)デッキでつながっている。
歩行者デッキで駅改札にもアクセス良好。周辺が上空でつながった
「ハイアット ハウス 東京 渋谷」のエントランスはペデストリアンデッキ3階にあり、「SAKURAストリート」と名付けられた都市計画道路(補助線街路第18号)上をまたぐ「にぎわいSTAGE」からアクセスする。このデッキ3階からは、JR線を越えた側にある渋谷ストリーム、さらに渋谷スクランブルスクエア(東棟)へと、デッキづたいに線路や道路で分断されることなく徒歩での移動が可能になっている。駅周辺の散策やショッピングがとてもしやすくなった。
またこのデッキを使って、渋谷駅改札へのアクセスも良好。もっとも近いのはJRの2階「新南改札」から3階「にぎわいSTAGE」を経由する経路で、1階に降りずにデッキをつたいアクセスできる。今後「SHIBUYAサイド(Shibuya Sakura Stageの中央あたり)」近く、渋谷ストリームへと抜ける通路上にも新しい改札が完成する予定となっている。
エントランスのある「にぎわいSTAGE」上には、桜をイメージしたエレメントのオブジェがあり、光や音、ミストシャワーなどの演出が行なわれている。特に夜は、光の演出が日によって異なり見応えがある。この演出は周辺の音などをセンサーで取得して、周囲の状況に応じても変化する仕組み。
ルーフトップガーデンや屋内プール、ジムなど付帯施設も充実
3階エントランスからは、エレベーターでレセプションカウンターのある16階ロビーに向かう作りとなっている。チェックイン後は、カードキーを持ったままロビーを通ることなく自由に部屋へ出入りが可能なシステムだ。
16階のロビーフロアには長いカウンターがあり、このカウンターはレセプションとバーの「Hバー」が並んだ作りになっている。24時間営業の「Hマーケット」も併設されていて、各種飲料のほか、DEAN&DELUCAの食品、Picard(ピカール)の冷凍食品などを扱っている。
16階には、ほかにも宿泊者は無料で使用できる屋内プールがある。約15mのプールとジャグジーも併設されていて、3面ガラス張りの開放感ある作り。プールやカウンター裏などガラスからルーフトップガーデンテラスが見える作りになっていて、高層階でありながら自然がふんだんに感じられリラックスできる。庭園は自由に散策できる。また、13階には24時間利用可能なフィットネスセンターも用意されている。
中長期滞在をターゲットにしたスイート含む126室
客室は126室あり、うちスイートルームは18室。最低でも32m2あり、くつろいだり作業をするには十分なスペース。一番広い「2ベッドルームスイート」では96m2もある。
客室タイプは、キング、キング シティービュー、キング(ソファベッド付き)、ツイン(ソファベッド付き)、デラックス キング、デラックスツイン、プレミアム キング、プレミアムツイン、キング スイート、ツイン スイート、デラックス スイート キング、デラックス スイート ツイン、2ベッドルーム スイートの13種。
すべてに共通し、窓が広めにとられた明るくモダンなデザイン。重厚感重視ではなく長くいて居心地がいい作りになっている。内覧会では6タイプを公開した。
「キング」タイプ客室に泊まってみた
もっともオーソドックスな1ベッドの「キング」と2ベッドの「ツイン」は、シティービューかどうかの違いでタイプが分かれているが基本的に同じ構造。客室数はもっとも多く81室用意されていて、ソファベッドの部屋も選べる。浴室とトイレは別で、ここで上のタイプと大きな差は付けられていない。部屋の広さは32m2で十分にくつろげる。
全室で食事やデスクワークをすることが考慮されていて、要所にテーブルとコンセントが用意されている。ベッドはシモンズ製。キッチン(流し台とIHクッキングヒーター)、オーブンレンジ、冷蔵庫、食器や調理器具、洗濯乾燥機、アイロンとアイロン台、55~65インチ大型スマートテレビ、Bluetoothスピーカーが完備され、スイートルームでは食洗機も追加される。
全室無料でWi-Fiが利用でき、めんどうな登録やログイン操作もなく、ホテルのSSIDを選択し、画面で「今すぐ接続」ボタンをタップするだけで接続できる。大型スマートテレビは最低でも55インチあり、外部HDMI入力も利用可能。スマートテレビ機能でホテルの無料Wi-Fiにつないだスマートフォンからキャストして、好みの動画配信サービスを楽しむこともできる。Bluetoothスピーカーのペアリングも電源をオンにするだけで簡単にできた。USB電源ポートはType-C(USB-C)になっているので注意してほしい。
ここで「キング」タイプにあった備品などを中心に紹介する。部屋のタイプによって多少アップグレードされるモノもあるが、アメニティを含め基本的には同一だ。「備品は試行錯誤している。使い勝手や要望によって、随時アップデートしていきたい」(ハイアット ハウス 東京 渋谷 小川信也ホテルマネージャー)とのことなので、変わっていく可能性がある。
せっかくなので部屋で調理もしてみた。調理とは言ってもPicard(ピカール)の冷凍食品を解凍しただけだが、部屋でこういったことが気軽にできるのは魅力的だ。Picardは冷凍食品ではあるが、手軽にフランス料理が食べられるメニューが揃っている。イオンにて扱っているので、見かけたこともあるかもしれない。
部屋にある電子レンジは、オーブンレンジでオーブン調理も可能なモデルになっている。IHクッキングヒーターと洗濯乾燥機はドイツAEG製で、使ったことがないと操作に不安になるだろう。内覧会利用時に取扱説明書が用意されていなかったのだが、オープン後は「QRコードを読み込む形で使い方が簡単に表示されるようにする」とのことなので、心配はいらないはずだが、ここで洗濯手順を簡単に紹介しておこう。脱水時にはけっこう大きな音がするので、夜は避けて昼に洗濯することを勧める。洗濯乾燥機なので乾燥までコースで選択するとよい。
日本ハイアット 坂村代表取締役「渋谷の真んなかで暮らしてみたいという夢を実現できる施設」
メインダイニングのモダンジャパニーズ フレンチ「MOSS CROSS TOKYO」は、16階ロビー奥にあり、ホテルと同日にオープンとなる。ランチ11時30分~15時(ラストオーダー14時)、ディナー17時30分~22時。宿泊とは別料金で洋朝食ビュッフェスタイルで提供する。
ランチとディナーでは、フランス料理のテクニックに、薬膳、発酵などを掛け合わせた独特の世界観のコース料理が楽しめる。福島信幸料理長は「体にいい素材を惜しみなく使い丁寧に仕上げた“和漢洋才キュイジーヌ”をお楽しみください」とのこと。実際に「Dear Artisan」と銘打ったコースメニューを試したが、薬膳や発酵と聞いて想像するような独特な匂いもなく、フランス料理、中華料理、和食のいいところを引き出して癒合させた、誰にでも食べやすい新しい食が堪能できる。特に松花堂弁当を模した百花繚乱の前菜「SHOKADO-9」は、そのテクニックがいかんなく使われていて食べ応えがある。
内覧会ではメディアラウンドテーブルが行なわれ、日本ハイアット 代表取締役の坂村政彦氏が登壇、「ハイアットハウス 東京 渋谷」がハイアットの国内ホテルとしては20軒目、東京で7軒目となるとのこと、ハイアットハウスは中長期滞在型施設で、リモートワークやデジタルノマドという働き方を意識していて、スーツケース1つで暮らすように泊まれることなどを説明。「渋谷の真ん中で暮らしてみたいという夢を気軽に実現できる、そういう施設になっている」と話した。
続けて、ハイアット ハウス 東京 渋谷 総支配人の矢野花恵氏は、「“わが家のような心地よさを旅先でも”がコンセプト。渋谷が皆さまのわが家になります。1泊でも1か月でも1年でも、滞在に必要なものがすべて揃い、スーツケース1つで思い立ったその日から滞在できます。出張先や旅先でその日常生活を維持することはとても難しく、ストレスに感じる方もいらっしゃるでしょう。私どもが提供できることは、ゲストそれぞれに自分らしい生活を送っていただけるようにお手伝いすることです」と語った。
最後に、東急不動産 執行役員 ウェルネス事業ユニット ホテル・リゾート開発企画本部長で、不動産協会 リゾート事業委員会 委員長の友井俊介氏は、100年に一度と言われる渋谷再開発の渋谷駅中心地区のラストピースとして「Shibuya Sakura Stage」が2023年11月30日に竣工したこと、今回の「ハイアットハウス 東京 渋谷」も含め今後順次開業し、各施設や店舗などがおおむね出揃うタイミングで行政地元周辺事業者と連携した町開きイベントを7月22日に予定していることを説明した。
中長期型ホテルといっても、短期で宿泊する分には一般ホテルと特に変わることはなく、渋谷駅に近く調理や洗濯も可能な設備の整った快適なホテルととらえてよいだろう。実際に多くはそういう使われ方になると思われる。ハイアット ハウス 東京 渋谷 ホテルマネージャー 小川信也氏が言うには「現在多くの問い合わせはインバウンドが中心。常時3割くらいを目標に中長期型のニーズをとらえていきたい」としていた。すぐ近くの渋谷ストリームには、Google日本法人が入居している。「IT系技術者、研究者の長期滞在問い合わせが多い。ほかにはリフォーム時の一時滞在もある」とのことだ。
また、中長期の宿泊は通常とは異なり、サービスを決めたうえで契約を交わすことになるそうだ。料金が想像しにくいが、「変動があるので一概に言えないが、一番安価なタイプであれば、1か月で50万以下になることもある。間取りやサービスが異なるので単純比較は難しいが、周辺マンションの家賃相場よりさほど高くならない設定。装備、サービス、通信光熱費、利便性で考えてみるとリーズナブルととらえる人もいるだろう。また一般的な賃貸契約ではないので、気軽に住み始めることができることも大きな魅力になる。興味を持ったら気軽に相談してほしい」と話す。
東京都内主要駅隣接でのホテル住まいを数か月間、節目のタイミングで奮発して体験してみることは、生き方の考えが変わるほどの大きなインパクトをもたらすはずだ。1か月以上の長期滞在では、ペット(10kg以下の小型犬)と一緒の滞在も可能になっているので、ペットがいても安心だったりもする。海外旅行の代わりに自身が体験するのもよいし、両親など大切な人にプレゼントしてみてもおもしろいのではないだろうか。